「面白く見せる」ことと「面白いものを作る」ことは、似ているようで全然違うと、叫びたくなりました。
番組サイトの見どころとして
愛、絆、憎しみ、裏切り、絶望etc・・・、人間が抱える深い業。
そんな、もの言わぬ死者が残した声無き想いを手掛かりに、謎と驚きに満ちたミステリアスな事件を紐解いていく。
「死因究明」を通して描かれるヒューマニズムと、仕事と家庭の狭間で、葛藤する女性たちのリアルな生き様をお楽しみください。
面白そうです。
さらに、主役の江角マキコ、石原さとみの他、稲垣吾郎、志田未来、ブラザートム、市川亀治郎、市毛良枝、小日向文世と多彩で豪華な顔ぶれ。
テーマ、キャスト共に、これでもかというくらい盛り込んで、面白そうを前面に押し出しています。
しかし、面白そうに見せただけで、肝心の中身が練られていなかった。ただ盛り込んだだけで、テンポもバランスも悪く、中途半端で、その場限り感が強かった。
サイトが謳った「もの言わぬ死者が残した声無き想い」とか「死因究明を通して描かれるヒューマニズム」は置き去りで、もうひとつのテーマである「仕事と家庭の狭間で、葛藤する女性たちのリアルな生き様」も、ただ挿入しただけで、緊迫感をぶち壊しにしただけであった。
ミステリー度を上げるため、序盤からちらつかせ、最終回に向けて引っ張った武田教授死体検案書偽造も意外性やドラマ性もそれほどではなく、余分な要素と思えた。
最終回は多くの視聴者が予想したであろうストーリー展開。
珠実(江角マキコ)と知佳(石原さとみ)の暴走、名倉(稲垣吾郎)の正義の?裏切り、知佳とと名倉の元サヤ……お約束の展開は、最終回なので仕方がないかもしれないし、異議を唱えるつもりはない。
ただ、そこまでに至る経緯が、その場限りの展開が多く、一貫性がないので、お約束の展開がより浮いたものになってしまった。
①無理やり家族愛の挿入
窮地に追い込まれているにもかかわらず、母子でプールのシーン。「あきらめないこと」の教えが暴走の決断の後押しになる意味はあったものの、あのタイミングはないだろう。せめて先週ぐらいに入れておくぐらいの緻密さが欲しい。
母(市毛良枝)のビンタも、家族を思う気持ちからだが、唐突感が強かった。
市川亀治郎の歌舞伎シーンも巷ではかなりのブーイングだが、これほど不評なのは、ストーリーに一貫性がないことによる盛り込み過ぎからきているような気がする。
②名倉のどんでん返しも取って付けた感
今までの流れからすると、名倉は悪の手先に収まりそうというか、そういう演出をしていた。名倉の良い面は、序盤で見せただけで、終盤は悪人一直線だった。ただ、視聴者側からすると、名倉の良い面を見せていた方が、却って、名倉がどちらに転ぶか予想がつかないように思える。
それにしても、珠実と知佳が縄文寺(鹿賀丈史)に迫り追求したものの、証拠がなく窮地に陥った時、名倉がさっと知佳側に翻った時は、どちらにでもすぐ寝返る『クレヨンしんちゃん』に登場するブリブリ左衛門を思い出してしまった。まあ、名倉の場合、ちゃんと計画的だったみたいだけれど。
名倉は黒だと分かっているものを白だとは言えないという信念カッコよく言い放ってたが、「じゃあ灰色だったらどう言うんだ?」と突っ込みたくなるあやふやな信念のように思えるが、どうなんだろう?
③暴走しないと始まらないのだけれど
結果的に、勇み足気味になってしまった遺体強奪。
名倉と神岡刑事、教えてやれよ!と言いたくなってしまう。あれだけ悩み、犯罪者になる覚悟までしたんだから。
④小道具にされてしまった名倉
珠実の夫・高広(市川亀治郎)も武田教授の娘・美亜(志田未来)もストーリーを展開する上で小道具化されていたが、名倉でさえもその感が強い。
法医学上の見地の違いから、珠実と対決するシーンを期待したが、中盤からは知佳の恋の悩みの種のみの存在となり、最終回では正義の味方。
メインになった知佳との恋愛関係も、最後に元の鞘に戻っても、知佳が名倉のどこに惚れたのかが全く描かれてないので、絵空事にしか思えない。最終回で名倉に幼少の頃のトラウマを告白されてもピンとこない。
せめて名倉をしっかり描けていれば、ドラマとして面白かったように思う。
結局、面白く見せることに終始し、何を描きたかったのか分からないドラマだった。
以下追記です。
⑤「こんな時何ですが、書道でも」
って、本当に「こんな時」だよ!
これから、取り調べ、裁判、刑務所が待っている者に対して。
無理やり、市毛さんを挿入させた見舞いのシーン。娘(珠実)の法医学への思いを充分理解している様子……なのに、平手打ち。
⑥縄文寺の秘書の奥山(羽場裕一)の家族への説得
奥山の妻の言い分(犯罪人の遺族が生活するには縄文寺を頼るしかない)は理解できるが、犯罪人にしたのは縄文寺であり、追い詰めたのも縄文寺、さらに縄文寺が殺人の指示を出した疑惑が強いのだから、説得に足る材料はあると思う。
まして、珠実は自分の父親が医療ミスだったのではないかという思いから、法医学を目指したのだから、その心情、信念からすると、説得に力を注ぐべきだったのではないか。
⑦八代くん、キミねえ?!
「そのくらいの危ない橋、渡りますよ。武田教授の思いを晴らすためなら」
君は加害者だろう?君が言う台詞じゃないだろう?
よほどの鉄の心臓か、記憶喪失なのか?
番組サイトの見どころとして
愛、絆、憎しみ、裏切り、絶望etc・・・、人間が抱える深い業。
そんな、もの言わぬ死者が残した声無き想いを手掛かりに、謎と驚きに満ちたミステリアスな事件を紐解いていく。
「死因究明」を通して描かれるヒューマニズムと、仕事と家庭の狭間で、葛藤する女性たちのリアルな生き様をお楽しみください。
面白そうです。
さらに、主役の江角マキコ、石原さとみの他、稲垣吾郎、志田未来、ブラザートム、市川亀治郎、市毛良枝、小日向文世と多彩で豪華な顔ぶれ。
テーマ、キャスト共に、これでもかというくらい盛り込んで、面白そうを前面に押し出しています。
しかし、面白そうに見せただけで、肝心の中身が練られていなかった。ただ盛り込んだだけで、テンポもバランスも悪く、中途半端で、その場限り感が強かった。
サイトが謳った「もの言わぬ死者が残した声無き想い」とか「死因究明を通して描かれるヒューマニズム」は置き去りで、もうひとつのテーマである「仕事と家庭の狭間で、葛藤する女性たちのリアルな生き様」も、ただ挿入しただけで、緊迫感をぶち壊しにしただけであった。
ミステリー度を上げるため、序盤からちらつかせ、最終回に向けて引っ張った武田教授死体検案書偽造も意外性やドラマ性もそれほどではなく、余分な要素と思えた。
最終回は多くの視聴者が予想したであろうストーリー展開。
珠実(江角マキコ)と知佳(石原さとみ)の暴走、名倉(稲垣吾郎)の正義の?裏切り、知佳とと名倉の元サヤ……お約束の展開は、最終回なので仕方がないかもしれないし、異議を唱えるつもりはない。
ただ、そこまでに至る経緯が、その場限りの展開が多く、一貫性がないので、お約束の展開がより浮いたものになってしまった。
①無理やり家族愛の挿入
窮地に追い込まれているにもかかわらず、母子でプールのシーン。「あきらめないこと」の教えが暴走の決断の後押しになる意味はあったものの、あのタイミングはないだろう。せめて先週ぐらいに入れておくぐらいの緻密さが欲しい。
母(市毛良枝)のビンタも、家族を思う気持ちからだが、唐突感が強かった。
市川亀治郎の歌舞伎シーンも巷ではかなりのブーイングだが、これほど不評なのは、ストーリーに一貫性がないことによる盛り込み過ぎからきているような気がする。
②名倉のどんでん返しも取って付けた感
今までの流れからすると、名倉は悪の手先に収まりそうというか、そういう演出をしていた。名倉の良い面は、序盤で見せただけで、終盤は悪人一直線だった。ただ、視聴者側からすると、名倉の良い面を見せていた方が、却って、名倉がどちらに転ぶか予想がつかないように思える。
それにしても、珠実と知佳が縄文寺(鹿賀丈史)に迫り追求したものの、証拠がなく窮地に陥った時、名倉がさっと知佳側に翻った時は、どちらにでもすぐ寝返る『クレヨンしんちゃん』に登場するブリブリ左衛門を思い出してしまった。まあ、名倉の場合、ちゃんと計画的だったみたいだけれど。
名倉は黒だと分かっているものを白だとは言えないという信念カッコよく言い放ってたが、「じゃあ灰色だったらどう言うんだ?」と突っ込みたくなるあやふやな信念のように思えるが、どうなんだろう?
③暴走しないと始まらないのだけれど
結果的に、勇み足気味になってしまった遺体強奪。
名倉と神岡刑事、教えてやれよ!と言いたくなってしまう。あれだけ悩み、犯罪者になる覚悟までしたんだから。
④小道具にされてしまった名倉
珠実の夫・高広(市川亀治郎)も武田教授の娘・美亜(志田未来)もストーリーを展開する上で小道具化されていたが、名倉でさえもその感が強い。
法医学上の見地の違いから、珠実と対決するシーンを期待したが、中盤からは知佳の恋の悩みの種のみの存在となり、最終回では正義の味方。
メインになった知佳との恋愛関係も、最後に元の鞘に戻っても、知佳が名倉のどこに惚れたのかが全く描かれてないので、絵空事にしか思えない。最終回で名倉に幼少の頃のトラウマを告白されてもピンとこない。
せめて名倉をしっかり描けていれば、ドラマとして面白かったように思う。
結局、面白く見せることに終始し、何を描きたかったのか分からないドラマだった。
以下追記です。
⑤「こんな時何ですが、書道でも」
って、本当に「こんな時」だよ!
これから、取り調べ、裁判、刑務所が待っている者に対して。
無理やり、市毛さんを挿入させた見舞いのシーン。娘(珠実)の法医学への思いを充分理解している様子……なのに、平手打ち。
⑥縄文寺の秘書の奥山(羽場裕一)の家族への説得
奥山の妻の言い分(犯罪人の遺族が生活するには縄文寺を頼るしかない)は理解できるが、犯罪人にしたのは縄文寺であり、追い詰めたのも縄文寺、さらに縄文寺が殺人の指示を出した疑惑が強いのだから、説得に足る材料はあると思う。
まして、珠実は自分の父親が医療ミスだったのではないかという思いから、法医学を目指したのだから、その心情、信念からすると、説得に力を注ぐべきだったのではないか。
⑦八代くん、キミねえ?!
「そのくらいの危ない橋、渡りますよ。武田教授の思いを晴らすためなら」
君は加害者だろう?君が言う台詞じゃないだろう?
よほどの鉄の心臓か、記憶喪失なのか?
みんなと同じく「歌舞伎シーン」は要らない。
犯罪とわかりながら突っ込む前に子供に相談してどうしてご主人に相談しない??ホントに仲直りしたんかい?って突っ込みたくなりました。
いい所は、名倉と神岡刑事が全部もっていってしまいましたよね~
珠実が「懲戒解雇」なのに知佳が「降格」ってありえません。。公務員の方がそんな時、厳しくないですか??おまけにご都合主義??前職場に復帰?ありえないー
それにしても、英様が「ブリブリ左衛門」を知ってらしゃるとは(笑)変な突っ込みすいません。しんちゃんの映画、結構面白いですね
ああ話がそれましたー
それついでに、次回予告の『家政婦のミタ』題名に家族中大爆笑でしたー
以前元気BOXのイベントに行き、それに出ていた水野さんという人が、ブルドクターにチョイ役ででるらしく、今回見ました。最後に捕まった刑事役のボディーガードで、ちょいセリフもあり、いたいた!という視点で見てました。知ってる人が出てると、これまたおもしろいですね。
非常に残念な作品でした。
私の評価(あくまで私の評価です)は最低ラインです。それなのに、視聴率がよかったのがさらに残念。製作サイドが勘違いしてしまいます。
>犯罪とわかりながら突っ込む前に子供に相談してどうしてご主人に相談しない??
そうそう、私もそう思ったのですが、書き忘れました。よくぞ、指摘してくださいました。
おっしゃる様に、大学の対応も疑問に思いました。
武田教授の説教シーンも変。恥を忍んで研究室にいて最後の訓辞をしたのでしょうが、普通はいられないよね。本人も言っていましたが、説教できる立場ではまったくありません。しかも、皆の前で逮捕されるなんて。自ら出頭すべきでしょう。
『クレヨンしんちゃん』については、機会があったら書きます。
>以前元気BOXのイベントに行き、それに出ていた水野さんという人が、ブルドクターにチョイ役ででる
舞台を中心に活動し、ストレートプレイにミュージカル、コントでは笑いの殿堂難波グランド花月などにも出演。
現在アルファセレクションに所属し、TVに舞台、MCもこなすマルチプレイヤー。特にお笑い系が得意分野……だそうです。
10月2日NHKBS時代劇塚原卜伝第一話に出演!するそうです。
『ブルドクター』で台詞があるなんてすごいですね。
よろしければ、お読みください。
ほんとに法医学のドラマでとても期待してた割にはいろんなとことがずさんで・・
突込みどころどころか突っ込めないところがないドラマでしたね(笑)
それにしても説教してから自首じゃなくて逮捕される教授もかっこ悪いし
私も あの市毛さんが急にたたくのってどうなのぉぉぉ?って思ったし・・ほとんど同じ感想です。
上手く全部まとめたつもりだろうけど 歌舞伎が出てきた段階ですべておじゃんな気がするーー;
石原さとみちゃんの綺麗さは際立ってたと思うけど ドラマは残念だった。
でもね・・
英さんの分析があるとあんまりぃって思ってたドラマも結構面白くなる(笑)
どうも・・ありがとうね。
>法医学のドラマでとても期待してた割にはいろんなとことがずさんで・・
あまり公式サイトをチェックすることはないのですが、かなり激しく突っ込んだので、サイトを覗いてみました。
サイトのコーナーで、法医学の基礎知識というコーナーで、法医学について監修したと思われる方の、コメントが載っていました。
「プロデューサーや監督からは、通常のミステリーで出てくるような、法医学の謎解きはほどほどにして、働く女性をリアルに表現しつつ、全体としては女性を応援するようなヒューマンドラマを目指していると伺っておりました」
このドラマの初回と最終回の記事で紹介した公式サイトの謳い文句とは若干ずれているようです。確かに「仕事と家庭の狭間で、葛藤する女性たちのリアルな生き様」とも言っていますが、それと同時に「“人間が受ける最後の医療”とも言われる死因究明。闇に葬り去られようとしている多くの真実に切り込み、死の裏に秘められた様々な人間模様を描いてく・・・、そんな法医学の世界が今回の物語の舞台」ともの記されていました。しかし、この監修者の話だと、それほど重要じゃなかったということになります。
また、この監修者さんは
「犯罪見逃しが構造的に発生している問題、感染症に対する恐怖など解剖従事者が抱える問題、置き去りにされる遺族の問題、臓器移植や医療事故の問題といった、現実の日本の法医学で発生している諸問題が描かれていました。そうした多くの問題に対して珠実、武田教授、名倉先生といった法医学教室の方々や、知佳などの現場の警察官が、ともに成長しながら、勇敢に戦ったドラマだったと思います」
と述べていました。
しかし、そうでしょうか?
「犯罪見逃しが構造的に発生している問題」という実情に斬り込むはずが、どちらかと言うと意図的に隠ぺい・改ざんする話が主題になっていました。
結局、本文で述べたように、いろいろ盛り込んで、面白そうに見せるだけのドラマでした。
一番残念だったのは、これで視聴率が取れてしまったことです。
あらら、随分熱くなってしまいました。
>英さんの分析があるとあんまりぃって思ってたドラマも結構面白くなる(笑)
熱くなって突っ込んでる私の様が面白いのかもしれませんね。
>文句をいいながら、面白いドラマでした
面白く感じたのは、ヒロインの二人が魅力的で、二人のやり取りも刻があったからだと思います。
まあ、ヒロインの二人の魅力を際立たせるためだけの脚本でしたから。