英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『ダンダリン 労働基準監督官』 第1話

2013-10-06 16:11:53 | ドラマ・映画
お笑いドタバタ劇として、深く考えずに観れば面白いかもしれない。

番組サイトによると
 主人公のダンダリン(段田凛)は、働く人を守るルールを遵守するためには曲がらない、融通の利かない、労働基準監督官で、すべ ての働く人を守るために立ち上がる熱い女性らしい。

 「働く人を守るルールを遵守する」という揺るがない信念を持っており、その信念が強すぎる故、融通が利かず、労働現場の実情を考慮せず、同僚の監督官を巻き込んで、突っ走ってしまう。
 そんな彼女の正義の暴走をどう捉えるか、人それぞれだろうと思うが、あまりにキャラクターをデフォルメし過ぎて、「法律を盾に権力の行使」=「暴力」に思えて、私の許容範囲を超えていた。
(そんな極端なヒロインが、今後、西東京労働基準監督署で諸事に対処するうちに、変化していく可能性もある)


 まず、本編開始のシーンで、ダンダリンのキャラを披露させた。

『ウェイトレスさん 大募集  ~若くてかわいい元気な女の子募集中です。』
 この店員募集の貼り紙、多くの人が引っかかりを感じたはず。ただ、他の二人の監督官と同様に、然したる事ではないと看過するのが普通であろう。

しかし、
「あ~、それ法律違反です。
 従業員の募集は、性別にかかわらず均等な機会を与えなければならない男女雇用機会均等法に定められています。
 ですから、ウェイトレスみたいに募集対象を明らかに女性と限定するような書き方は法律違反ですので、直ちに張り紙を剥がし法律的に問題のない文言に差し替えるよう個人的に警告します。
 速やかに従わない場合は、労働局から正式に行政指導されま・す・よ」


 厳密に言えば、「従業員の募集は、性別にかかわらず均等な機会を与えなければならない男女雇用機会均等法に定められています」という台詞は「従業員の募集は、性別にかかわらず均等な機会を与えなければならない男女雇用機会均等法に定められています」
 であるべきだと思う。

 それはさておき、確かにダンダリンの主張は正しい。
 しかし、給仕(ホールスタッフ)を雇用する店主は、接客という業務の観点から、採用基準に、臨機応変な対応能力、言葉使い、清潔さ、容姿などに重きを置く。それらの一つとして、客層や店の雰囲気を考え、「若い女性」という基準を重視したのだろう。それが最重要と考え、張り紙に明記したのである。
 確かに、厳密に言えば男女雇用機会均等法に反しているが、ドラマで店主が改めたような貼り紙をしても、表面に出ないだけで、「若い女性」が重要基準とされ、男性や年配女性が来ても、不採用にするだけである。詭弁になるかもしれないが、それなら最初から条件を明示したほうが、無駄を省け親切だと考えられる。
 それに、是非その店で働きたいと思えば、その項目(若い女性)の条件を覆らせるほどのセールスポイントをアピールすれば良い。

 結局、法律違反だと指摘し、行政指導されますよと脅しただけで、ヒロインの言動には何の説得力も感じず、不快感が残った。
 (個人的な話になるが、今年の春、ハローワークの職員と雇用者の立場でひと悶着あった。「規則ですから」という職員と「その規則と現状の不整合さ」を主張する私が平行線をたどった。
 ただ、規則で線引きするしかないという職員の立場を理解して、和解している)


 法律はよく考えて作られていると思うが、変化する社会現状とずれが生じている点もある。所詮、人間が作ったものなのだから完ぺきではない。
 と言っても、社会に住む以上、原則として法律を守らなければならない。ただ、このドラマの凛みたいに、あまりにも法律を絶対視すると、それが暴力に等しくなってしまうことが出てきそうだ。

 さて、そういう大きな観点での留意点もあるが、初回を見る限り、細かい突っ込み点が多々あった。詳しくは、将棋を知らない母さんの記事『ダンダリン』にお任せするとして、私が一番引っかかったのは、リフォーム会社社長を逮捕を決定したこと。
 まず、会議で決定する際の逮捕に踏み切る理由に説得力を感じなかった。社内から訴えがあったのならともかく、そのリフォーム会社が逮捕に値する著しい超過労働をさせていたかがあやふやな点(この時点では、西川(渡辺いっけい)の漏らした言葉だけ。自殺というのも、うっかり踏切に入ったと主張している)。大した確証もなしに、逮捕を主張し、周囲も同調してしまった。この段階で、凛がある程度労働状況を調べて、会議で報告説得しなければならないはずだ。
 その後、所員総出でリフォーム会社の労働状況を調査し、各関係所(署)の協力を取り付けていたが、凛は何かしたのだろうか?その間、監督署の仕事は停滞したのではないだろうか?
 調査結果は、相当悪質な会社と判明したようだが、他の事業所と比べてどうなのだろう?他にも同様な会社があった場合、不公平ではないのか?
 監督官が考えるべきことではないが、今回の社長の逮捕で、本当に労働環境が改善されるのか?その議論が全くされていないのも不満。
 会社の意向に逆らって、労働時間に異を唱えた西川は無事だったのだろうか?


 初回に関する限り、ダンダリンの自己満足としか思えなかった。

 将棋を知らない母さんも指摘していたが、警察や検察の協力を得るのに、小宮瑠璃子(ドリントル玲奈)が泣き落すって、単なる進行スムーズの便利キャラ?
 逮捕時の、いで立ちなどの議論や、匍匐前進云々のボケも要らない。


【ストーリー】番組サイトより
 西東京労働基準監督署に、1人の監督官・段田凛(だんだ・りん)(竹内結子)が配属されてきた。
 彼女の名前は、段田凛。前の部署では相当の問題児だったらしいというウワサに、課長の土手山(北村一輝)と署長の真鍋(佐野史郎)は戦々恐々。土手山は、凛より年下だがしっかり者の南三条(松坂桃李)に彼女の“お目付け役”を命じることに。
 そんな中、あるリフォーム会社の営業マン・西川(渡辺いっけい) と出会った凛は、彼が会社からサービス残業を強いられていることを知り、「会社に自分がそんなことを言ったとバレたら首になる」 という西川の声にも耳を貸さず調査を開始。しかし、社長の鴨光(でんでん) と取っ組み合いのケンカになり、土手山から大激怒されてしまう。その後ダンダリンがとった監督官としての作戦は、署の監督官全員をアゼンとさせるものだった…

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4 コメント

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2回目は見るけど。。 (koumama)
2013-10-06 17:47:20
うーん。
突込みどころ満載だったね(笑)
ほふく前進は漫画とおなじだけど みんなでやる必要ないし あの会社の社長は最低だけど
本当にあれだけで逮捕できるのかなぁ。。って思ったし。
あと
将棋ママのところでも書いたけど
すごく日が差してて 後ろのほうが天気が良いのに
雨が降ってるのがおかしいだろ~ってちょっと
私でも突っ込むところが多いドラマでした。
社労士事務所と関連してくるらしいので
現実と対比してしまい
ますます
突っ込みどころ満載になるかもしれないけど。。

若い人求むの看板。。 実際 若い人を採用するのは当たり前のように実行されてることだけどね・・
確かに言い回しは 間違えていましたね。
英さん するどい(笑)
返信する
二匹目のどじょう ()
2013-10-06 22:28:54
 koumamaさん、こんばんは。
 特殊な職業とか、今まで取り上げられなかった職業。半沢直樹の分かりやすいキャラ。……ヒロインのダンダリンに、そのような匂いを感じました。

>すごく日が差してて 後ろのほうが天気が良いのに
雨が降ってるのがおかしいだろ~

 ロケ日程の制約などがあって、仕方ない面もありますが、もっとうまく処理して欲しいですね。
 こういうケースは良くありますが、処理の仕方に差が出ますね。今回のはひどい方ですが、私が知る一番ひどかったのは『警視庁継続捜査班』(主演・木村佳乃)
http://blog.goo.ne.jp/ei666/e/b4d23cd90a8781c87e82952467ee345d

 取り上げるテーマによっては、面白くなる可能性がありますが、突っ込みどころがあり過ぎました。裏番組が『リーガル・ハイ』らしいですね。
返信する
ありがとーーー (将棋を知らない母)
2013-10-07 21:37:11
コメントいただけるより、すごい対応、、、嬉しいです。ここまで書いて頂けると、満足満足。。。。「会議で決定する際の逮捕に踏み切る理由に説得力を感じなかった」
母の説明不足も補っていただいて、嬉しいです~
これは、原作だと、どうして逮捕になったか説明が入っているので、納得するのですが・・・
今回の場合、お給料カットも入っているので「最低賃金法違反」「残業代未払い」「モロハラ」でしょうか?
なんて偉そうなことを書きましたが・・・プロが見たら恥ずかしいなー
たまちゃ~ん、、助けてぇーーー(笑)
返信する
逮捕の理由は分かるのですが ()
2013-10-07 22:54:17
将棋を知らない母さん、こんばんは。
将棋母の『ダンダリン』の記事、面白かったですよ。

>今回の場合、お給料カットも入っているので「最低賃金法違反」「残業代未払い」「モロハラ」でしょうか?

 ええ、ドラマでもある程度は分かりました。しつこいようですが、私がこだわるのは、会議の時点で、ヒロインは「踏切で転んだ」という事実を「自殺しようとした」と決めつけ報告をし、逮捕を提案しただけです。(臨検も是正勧告もせずに)
 それに、他のメンバーも逮捕できるか(前例がない)に議論が移ってしまいました。
 逮捕に値するかどうか、逮捕して解決するのかなども検討せず、土手山が切れ、所長が悲鳴を上げて終了。(後の調査で分析はしていますが)
 他の所員も、ヒロインに動かされるだけの道具人間ぽいですし。
 
 泣き落としを2回もして問題解決というのも最低です。今のところ、相当ダメなドラマです。
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