【8回戦終了時の成績】(成績横の順位は今期A級ランキング)
豊島九段 6勝2敗(3位)○稲葉 ○佐々木○渡辺 ○永瀬 ○佐藤 ○中村 ●広瀬 ●斎藤 菅井(←1位)
永瀬九段 5勝3敗(4位)●菅井 ○佐藤 ○斎藤 ●豊島 ○広瀬 ○渡辺 ●稲葉 ○佐々木 中村(↑4位)
菅井八段 5勝3敗(6位)○永瀬 ○中村 ●稲葉 ○広瀬 ○佐々木○斎藤 ●渡辺 ●佐藤 豊島(↓2位)
渡辺九段 4勝4敗(1位)●佐々木○稲葉 ●豊島 ○佐藤 ○斎藤 ●永瀬 ○菅井 ●中村 広瀬(↓3位)
佐藤天九段4勝4敗(8位)○斎藤 ●永瀬 ●中村 ●渡辺 ●豊島 ○広瀬 ○佐々木○菅井 稲葉(↑6位)
中村太八段4勝4敗(10位)●広瀬 ●菅井 ○佐藤 ○佐々木●稲葉 ●豊島 ○斎藤 ○渡辺 永瀬(↑8位)
広瀬九段 3勝5敗(2位)○中村 ●斎藤 ●佐々木●菅井 ●永瀬 ●佐藤 ○豊島 ○稲葉 渡辺(↑9位)
斎藤八段 3勝5敗(5位)●佐藤 ○広瀬 ●永瀬 ○稲葉 ●渡辺 ●菅井 ●中村 ○豊島 佐々木(↑10)
稲葉八段 3勝5敗(7位)●豊島 ●渡辺 ○菅井 ●斎藤 ○中村 ●佐々木○永瀬 ●広瀬 佐藤(↓5位)
佐々木八段3勝5敗(9位)○渡辺 ●豊島 ○広瀬 ●中村 ●菅井 ○稲葉 ●佐藤 ●永瀬 斎藤(↓7位)
右端の順位は7回戦終了時の暫定順位
【8回戦】(赤字は予想が外れた対局)
●渡辺明九段-中村太地八段○
○広瀬章人九段-稲葉陽八段●
●豊島将之九段-斎藤慎太郎八段○
○永瀬拓矢九段-佐々木勇気八段●
●菅井竜也八段-佐藤天彦九段○
……全部的中しそうな時間帯もあったが、3つも外れた。懸賞商品は露と消えた……
7回戦終了時点での暫定順位が5~7位の棋士が敗れ、8~10位の棋士が勝ったので、団子状態は解れない。
“ほぐれない”どころか、“さらに密”と言った方が良いかもしれない
〈3勝棋士4名、2勝棋士2名〉⇒〈4勝棋士3名、3勝棋士4名〉……ただし、4勝の最上位の渡辺九段は降級の可能性はない
菅井竜也八段-佐藤天彦九段
初手から▲2六歩△3四歩▲7六歩△3二飛▲2二角成△同飛▲6五角△7四角(第1図)
この局面、菅井八段は順位戦で2局経験しているらしい。(▲羽生九段ー△菅井八段、▲豊島九段ー△菅井八段)
この2局は、1図から▲4三角成△5二金左▲3四馬△4七角成……と進んでいる。
本局は1図より▲7四同角△同歩▲5五角△8二角(第2図)▲7七角△4二金▲2二角成(第3図)△同銀と進んだ。
第2図で、一旦▲7七角と引いた後、△4二金に▲2二角成としたのは不思議な手順だが、▲7七角自体は前例の多い手順で、その直後の△4二金が珍しいそうだ。
以下、指し手は省略するが、第4図、第5図と進む。
第5図から、菅井八段が切り込んでいく。
2八で総交換(角飛交換だけに留める選択もあった)し、飛車打ち~飛車合~交換~飛車打ち~飛車打ち返し、と進み第6図
図の△5七銀では△5九同飛成▲同金△3九飛とする手もあったが、菅井八段はもっと過激だった。
ただ、少し過激すぎたのか、少し攻めが細くなってしまった。
第7図では△4八成桂と飛車を取りに行きたいが(▲7九飛なら△6八金)、かまわずの▲7四歩が厳しすぎる。
そこで、△4四銀~△7五歩と手を戻した後、飛車に迫るが、
と、巧く立ち回られて、余されてしまった。
この後、幾ばくもなく投了。持ち時間を約3時間を残しての早い終局だった。
この将棋、菅井八段が主導権を握っていたが、少し過激に行き過ぎて、やや不利に陥った。
問題はその後の淡白な指し手。気になる負け方だった。
渡辺明九段-中村太地八段
相掛かりの将棋から、先手の中村八段が7四の歩をかすめ取り、さらに、3四の歩も取る。
もちろん、後手もむざむざ2歩損に甘んじるわけがなく、歩が取られる間に、どんどん銀をどんどん繰り出し、盤面を支配する。
《歩得 対 手得》の戦いとなったが、先手の中村八段によると「7七角と3六飛の組み合わせがよくなかった」らしい。
下図の少し前には、6八の玉を6九に引いて6八にスペースを作って、▲6八銀と守ったり、7七の角も8八に引いて敵銀の進出に備えるなどの辛抱を強いられた。
図の局面は、▲5六同歩とすると△7六銀と銀の進出が可能となってしまう。かと言って、放置も出来ず、▲5六同歩と応じるしかなかった。
その後、後手は飛車先を交換。先手は7七銀と専守態勢。(先手の角が隠居状態)
先手の辛抱が続き、後手の渡辺九段は気分が良かったことだろう。
ただし、第4図での評価値は後手の+300弱程度で、実感ほどは後手に形勢は振れていない。中村八段の辛抱が見事だったと言える。
気分が良かった(←私の推測)渡辺九段、ここでの形勢を過大評価していたようだ。
その因として、渡辺九段は第4図からの△4五銀を挙げている。この手では、△5二飛とするんだったと。
AI評価値は、第5図の△3三桂のマイナス評価が大きかった。この△3三桂では△1三桂とこちらに跳ねるべきだったと。
桂を端に跳ねてしまうと、当然、中央での働きは不可能。さらに、下手をすると端攻めを食らってしまう。それで、△1三桂を選択肢から外したのだ。
《なぜ、桂を当然と思われる3三に跳ねてはいけないのか?》
おそらく……恐らくだが、桂で角筋を遮ってしまったので、桂を跳ねての飛車当たりに対して、▲2六飛が可能になったことが理由。
△1三桂だったら▲2六飛に△4四角で、先手は飛車を引かざるを得ない。
渡辺九段にとって不運だったのは、《△3三桂と角道を遮断しても、角は1三に出れば、活躍できる》こと。さらに、第4図で形勢の利はわずかと判断していれば、△3三桂▲2六飛の変化が思わしくないと読めたのではないだろうか。
第6図では、成り込んだ銀が負担になっており、先手の角も働いてきており、先手が有利になっている。
図の△5五歩は流石の最善手。
4五での銀桂交換は甘んじて、先手の角を働かせない。形勢は利あらずと切り替えて、倒されないことを重視した。
それが功を奏して、形勢を押し返した局面もあったが、徐々に、形勢は中村八段に傾いていった。
終盤冴えなかったのは、4図~6図の釈然としない気持ちが影響したのかもしれない。
一方の中村八段。
序盤から中盤の辛抱。中盤以降の後手の攻め駒にプレッシャーを与え続け、押し返した強い受け手。
終盤の的確さは見事だった。
再掲載【8回戦終了時の成績】(成績横の順位は今期A級ランキング)
豊島九段 6勝2敗(3位)○稲葉 ○佐々木○渡辺 ○永瀬 ○佐藤 ○中村 ●広瀬 ●斎藤 菅井(←1位)
永瀬九段 5勝3敗(4位)●菅井 ○佐藤 ○斎藤 ●豊島 ○広瀬 ○渡辺 ●稲葉 ○佐々木 中村(↑4位)
菅井八段 5勝3敗(6位)○永瀬 ○中村 ●稲葉 ○広瀬 ○佐々木○斎藤 ●渡辺 ●佐藤 豊島(↓2位)
渡辺九段 4勝4敗(1位)●佐々木○稲葉 ●豊島 ○佐藤 ○斎藤 ●永瀬 ○菅井 ●中村 広瀬(↓3位)
佐藤天九段4勝4敗(8位)○斎藤 ●永瀬 ●中村 ●渡辺 ●豊島 ○広瀬 ○佐々木○菅井 稲葉(↑6位)
中村太八段4勝4敗(10位)●広瀬 ●菅井 ○佐藤 ○佐々木●稲葉 ●豊島 ○斎藤 ○渡辺 永瀬(↑8位)
広瀬九段 3勝5敗(2位)○中村 ●斎藤 ●佐々木●菅井 ●永瀬 ●佐藤 ○豊島 ○稲葉 渡辺(↑9位)
斎藤八段 3勝5敗(5位)●佐藤 ○広瀬 ●永瀬 ○稲葉 ●渡辺 ●菅井 ●中村 ○豊島 佐々木(↑10)
稲葉八段 3勝5敗(7位)●豊島 ●渡辺 ○菅井 ●斎藤 ○中村 ●佐々木○永瀬 ●広瀬 佐藤(↓5位)
佐々木八段3勝5敗(9位)○渡辺 ●豊島 ○広瀬 ●中村 ●菅井 ○稲葉 ●佐藤 ●永瀬 斎藤(↓7位)
右端の順位は7回戦終了時の暫定順位
1敗の豊島九段、2敗の菅井八段が敗れ、永瀬九段が星一つ差の2位に浮上。
最終局は、豊島九段(6勝2敗)vs菅井八段(5勝3敗)、永瀬九段(5勝3敗)vs中村八段(4勝4敗)。
挑戦権争いも、風雲急を告げてきた(←古い言い回しだ・笑)
残留争いは、3勝5敗の佐々木八段、稲葉八段、斎藤八段、広瀬九段、さらに4勝4敗の中村太八段、佐藤天九段に降級の可能性がある(危険度は先に名前を挙げた方ほど大きい)
確率的には、暫定5位の中村太八段辺りは降級危険度は低いかもしれないが、最終局の相手は永瀬九段。対戦成績は中村八段の3勝4敗と拮抗しているが、あの永瀬八段なので、負ける確率の方が高い。
で、敗れて4勝5敗になると……
渡辺九段(4勝4敗・1位)-広瀬九段(3勝5敗・2位)
斎藤八段(3勝5敗・5位)-佐々木八段(3勝5敗・9位)
稲葉八段(3勝5敗・7位)-佐藤天九段(4勝4敗・8位)
対局が関係してくる(渡辺九段は降級の可能性はない)
斎藤八段(3勝5敗・5位)-佐々木八段(3勝5敗・9位)は、どちらが負けても3勝6敗になるので、中村八段が敗れても4勝5敗なので、中村八段は敗者より上位になる。
勝者は4勝5敗で中村八段と同星になるが、中村八段はランク最下位なので、この1局の勝者よりは下になる。
渡辺九段(4勝4敗・1位)-広瀬九段(3勝5敗・2位)戦は、広瀬九段が勝つと、渡辺、広瀬の両者とも中村八段より上位になる。広瀬九段が敗れると3勝6敗で、中村八段より下位になる。
稲葉八段(3勝5敗・7位)-佐藤天九段(4勝4敗・8位)は、稲葉八段が勝つと、稲葉、佐藤の両者とも4勝5敗となり、ランク最下位の中村八段より上位になる。佐藤八段が勝つと、佐藤5勝4敗、稲葉3勝6敗となり、稲葉八段は中村八段より下位になる。
斎藤八段ー佐々木八段戦は勝敗に関わらず、どちらか一方が必ず中村八段より下位になるので、残りの2局で、下位者が1人生じれば8位以上になり、残留できる。
その2局で、中村八段より下位者が生じるのは、①「渡辺-広瀬で広瀬負け」と②「稲葉-佐藤戦で稲葉負け」の場合。
この①②のうち、どちらかが成立すれば中村残留となる。逆に陥落するケースは①②の逆の目が両方出る場合だけ。
勝ち負けを50%とすると、中村降級の確率は25%となる(中村八段が最終局敗れると仮定した場合)
とにかく、降級危険度は僅差で密集しているので、誰が降級するかは分からない状況だ。
豊島九段 6勝2敗(3位)○稲葉 ○佐々木○渡辺 ○永瀬 ○佐藤 ○中村 ●広瀬 ●斎藤 菅井(←1位)
永瀬九段 5勝3敗(4位)●菅井 ○佐藤 ○斎藤 ●豊島 ○広瀬 ○渡辺 ●稲葉 ○佐々木 中村(↑4位)
菅井八段 5勝3敗(6位)○永瀬 ○中村 ●稲葉 ○広瀬 ○佐々木○斎藤 ●渡辺 ●佐藤 豊島(↓2位)
渡辺九段 4勝4敗(1位)●佐々木○稲葉 ●豊島 ○佐藤 ○斎藤 ●永瀬 ○菅井 ●中村 広瀬(↓3位)
佐藤天九段4勝4敗(8位)○斎藤 ●永瀬 ●中村 ●渡辺 ●豊島 ○広瀬 ○佐々木○菅井 稲葉(↑6位)
中村太八段4勝4敗(10位)●広瀬 ●菅井 ○佐藤 ○佐々木●稲葉 ●豊島 ○斎藤 ○渡辺 永瀬(↑8位)
広瀬九段 3勝5敗(2位)○中村 ●斎藤 ●佐々木●菅井 ●永瀬 ●佐藤 ○豊島 ○稲葉 渡辺(↑9位)
斎藤八段 3勝5敗(5位)●佐藤 ○広瀬 ●永瀬 ○稲葉 ●渡辺 ●菅井 ●中村 ○豊島 佐々木(↑10)
稲葉八段 3勝5敗(7位)●豊島 ●渡辺 ○菅井 ●斎藤 ○中村 ●佐々木○永瀬 ●広瀬 佐藤(↓5位)
佐々木八段3勝5敗(9位)○渡辺 ●豊島 ○広瀬 ●中村 ●菅井 ○稲葉 ●佐藤 ●永瀬 斎藤(↓7位)
右端の順位は7回戦終了時の暫定順位
【8回戦】(赤字は予想が外れた対局)
●渡辺明九段-中村太地八段○
○広瀬章人九段-稲葉陽八段●
●豊島将之九段-斎藤慎太郎八段○
○永瀬拓矢九段-佐々木勇気八段●
●菅井竜也八段-佐藤天彦九段○
……全部的中しそうな時間帯もあったが、3つも外れた。懸賞商品は露と消えた……
7回戦終了時点での暫定順位が5~7位の棋士が敗れ、8~10位の棋士が勝ったので、団子状態は解れない。
“ほぐれない”どころか、“さらに密”と言った方が良いかもしれない
〈3勝棋士4名、2勝棋士2名〉⇒〈4勝棋士3名、3勝棋士4名〉……ただし、4勝の最上位の渡辺九段は降級の可能性はない
菅井竜也八段-佐藤天彦九段
初手から▲2六歩△3四歩▲7六歩△3二飛▲2二角成△同飛▲6五角△7四角(第1図)
この局面、菅井八段は順位戦で2局経験しているらしい。(▲羽生九段ー△菅井八段、▲豊島九段ー△菅井八段)
この2局は、1図から▲4三角成△5二金左▲3四馬△4七角成……と進んでいる。
本局は1図より▲7四同角△同歩▲5五角△8二角(第2図)▲7七角△4二金▲2二角成(第3図)△同銀と進んだ。
第2図で、一旦▲7七角と引いた後、△4二金に▲2二角成としたのは不思議な手順だが、▲7七角自体は前例の多い手順で、その直後の△4二金が珍しいそうだ。
以下、指し手は省略するが、第4図、第5図と進む。
第5図から、菅井八段が切り込んでいく。
2八で総交換(角飛交換だけに留める選択もあった)し、飛車打ち~飛車合~交換~飛車打ち~飛車打ち返し、と進み第6図
図の△5七銀では△5九同飛成▲同金△3九飛とする手もあったが、菅井八段はもっと過激だった。
ただ、少し過激すぎたのか、少し攻めが細くなってしまった。
第7図では△4八成桂と飛車を取りに行きたいが(▲7九飛なら△6八金)、かまわずの▲7四歩が厳しすぎる。
そこで、△4四銀~△7五歩と手を戻した後、飛車に迫るが、
と、巧く立ち回られて、余されてしまった。
この後、幾ばくもなく投了。持ち時間を約3時間を残しての早い終局だった。
この将棋、菅井八段が主導権を握っていたが、少し過激に行き過ぎて、やや不利に陥った。
問題はその後の淡白な指し手。気になる負け方だった。
渡辺明九段-中村太地八段
相掛かりの将棋から、先手の中村八段が7四の歩をかすめ取り、さらに、3四の歩も取る。
もちろん、後手もむざむざ2歩損に甘んじるわけがなく、歩が取られる間に、どんどん銀をどんどん繰り出し、盤面を支配する。
《歩得 対 手得》の戦いとなったが、先手の中村八段によると「7七角と3六飛の組み合わせがよくなかった」らしい。
下図の少し前には、6八の玉を6九に引いて6八にスペースを作って、▲6八銀と守ったり、7七の角も8八に引いて敵銀の進出に備えるなどの辛抱を強いられた。
図の局面は、▲5六同歩とすると△7六銀と銀の進出が可能となってしまう。かと言って、放置も出来ず、▲5六同歩と応じるしかなかった。
その後、後手は飛車先を交換。先手は7七銀と専守態勢。(先手の角が隠居状態)
先手の辛抱が続き、後手の渡辺九段は気分が良かったことだろう。
ただし、第4図での評価値は後手の+300弱程度で、実感ほどは後手に形勢は振れていない。中村八段の辛抱が見事だったと言える。
気分が良かった(←私の推測)渡辺九段、ここでの形勢を過大評価していたようだ。
その因として、渡辺九段は第4図からの△4五銀を挙げている。この手では、△5二飛とするんだったと。
AI評価値は、第5図の△3三桂のマイナス評価が大きかった。この△3三桂では△1三桂とこちらに跳ねるべきだったと。
桂を端に跳ねてしまうと、当然、中央での働きは不可能。さらに、下手をすると端攻めを食らってしまう。それで、△1三桂を選択肢から外したのだ。
《なぜ、桂を当然と思われる3三に跳ねてはいけないのか?》
おそらく……恐らくだが、桂で角筋を遮ってしまったので、桂を跳ねての飛車当たりに対して、▲2六飛が可能になったことが理由。
△1三桂だったら▲2六飛に△4四角で、先手は飛車を引かざるを得ない。
渡辺九段にとって不運だったのは、《△3三桂と角道を遮断しても、角は1三に出れば、活躍できる》こと。さらに、第4図で形勢の利はわずかと判断していれば、△3三桂▲2六飛の変化が思わしくないと読めたのではないだろうか。
第6図では、成り込んだ銀が負担になっており、先手の角も働いてきており、先手が有利になっている。
図の△5五歩は流石の最善手。
4五での銀桂交換は甘んじて、先手の角を働かせない。形勢は利あらずと切り替えて、倒されないことを重視した。
それが功を奏して、形勢を押し返した局面もあったが、徐々に、形勢は中村八段に傾いていった。
終盤冴えなかったのは、4図~6図の釈然としない気持ちが影響したのかもしれない。
一方の中村八段。
序盤から中盤の辛抱。中盤以降の後手の攻め駒にプレッシャーを与え続け、押し返した強い受け手。
終盤の的確さは見事だった。
再掲載【8回戦終了時の成績】(成績横の順位は今期A級ランキング)
豊島九段 6勝2敗(3位)○稲葉 ○佐々木○渡辺 ○永瀬 ○佐藤 ○中村 ●広瀬 ●斎藤 菅井(←1位)
永瀬九段 5勝3敗(4位)●菅井 ○佐藤 ○斎藤 ●豊島 ○広瀬 ○渡辺 ●稲葉 ○佐々木 中村(↑4位)
菅井八段 5勝3敗(6位)○永瀬 ○中村 ●稲葉 ○広瀬 ○佐々木○斎藤 ●渡辺 ●佐藤 豊島(↓2位)
渡辺九段 4勝4敗(1位)●佐々木○稲葉 ●豊島 ○佐藤 ○斎藤 ●永瀬 ○菅井 ●中村 広瀬(↓3位)
佐藤天九段4勝4敗(8位)○斎藤 ●永瀬 ●中村 ●渡辺 ●豊島 ○広瀬 ○佐々木○菅井 稲葉(↑6位)
中村太八段4勝4敗(10位)●広瀬 ●菅井 ○佐藤 ○佐々木●稲葉 ●豊島 ○斎藤 ○渡辺 永瀬(↑8位)
広瀬九段 3勝5敗(2位)○中村 ●斎藤 ●佐々木●菅井 ●永瀬 ●佐藤 ○豊島 ○稲葉 渡辺(↑9位)
斎藤八段 3勝5敗(5位)●佐藤 ○広瀬 ●永瀬 ○稲葉 ●渡辺 ●菅井 ●中村 ○豊島 佐々木(↑10)
稲葉八段 3勝5敗(7位)●豊島 ●渡辺 ○菅井 ●斎藤 ○中村 ●佐々木○永瀬 ●広瀬 佐藤(↓5位)
佐々木八段3勝5敗(9位)○渡辺 ●豊島 ○広瀬 ●中村 ●菅井 ○稲葉 ●佐藤 ●永瀬 斎藤(↓7位)
右端の順位は7回戦終了時の暫定順位
1敗の豊島九段、2敗の菅井八段が敗れ、永瀬九段が星一つ差の2位に浮上。
最終局は、豊島九段(6勝2敗)vs菅井八段(5勝3敗)、永瀬九段(5勝3敗)vs中村八段(4勝4敗)。
挑戦権争いも、風雲急を告げてきた(←古い言い回しだ・笑)
残留争いは、3勝5敗の佐々木八段、稲葉八段、斎藤八段、広瀬九段、さらに4勝4敗の中村太八段、佐藤天九段に降級の可能性がある(危険度は先に名前を挙げた方ほど大きい)
確率的には、暫定5位の中村太八段辺りは降級危険度は低いかもしれないが、最終局の相手は永瀬九段。対戦成績は中村八段の3勝4敗と拮抗しているが、あの永瀬八段なので、負ける確率の方が高い。
で、敗れて4勝5敗になると……
渡辺九段(4勝4敗・1位)-広瀬九段(3勝5敗・2位)
斎藤八段(3勝5敗・5位)-佐々木八段(3勝5敗・9位)
稲葉八段(3勝5敗・7位)-佐藤天九段(4勝4敗・8位)
対局が関係してくる(渡辺九段は降級の可能性はない)
斎藤八段(3勝5敗・5位)-佐々木八段(3勝5敗・9位)は、どちらが負けても3勝6敗になるので、中村八段が敗れても4勝5敗なので、中村八段は敗者より上位になる。
勝者は4勝5敗で中村八段と同星になるが、中村八段はランク最下位なので、この1局の勝者よりは下になる。
渡辺九段(4勝4敗・1位)-広瀬九段(3勝5敗・2位)戦は、広瀬九段が勝つと、渡辺、広瀬の両者とも中村八段より上位になる。広瀬九段が敗れると3勝6敗で、中村八段より下位になる。
稲葉八段(3勝5敗・7位)-佐藤天九段(4勝4敗・8位)は、稲葉八段が勝つと、稲葉、佐藤の両者とも4勝5敗となり、ランク最下位の中村八段より上位になる。佐藤八段が勝つと、佐藤5勝4敗、稲葉3勝6敗となり、稲葉八段は中村八段より下位になる。
斎藤八段ー佐々木八段戦は勝敗に関わらず、どちらか一方が必ず中村八段より下位になるので、残りの2局で、下位者が1人生じれば8位以上になり、残留できる。
その2局で、中村八段より下位者が生じるのは、①「渡辺-広瀬で広瀬負け」と②「稲葉-佐藤戦で稲葉負け」の場合。
この①②のうち、どちらかが成立すれば中村残留となる。逆に陥落するケースは①②の逆の目が両方出る場合だけ。
勝ち負けを50%とすると、中村降級の確率は25%となる(中村八段が最終局敗れると仮定した場合)
とにかく、降級危険度は僅差で密集しているので、誰が降級するかは分からない状況だ。
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