をりてみば おちぞしぬべき あきはぎの えだもたわわに おけるしらつゆ
折りて見ば 落ちぞしぬべき 秋萩の 枝もたわわに 置ける白露
よみ人知らず
枝を折って見ようとするれば、落ちてしまうに違いない。秋萩の枝がたわむほどについている白露は。
一つ前の 0222 と同じく、秋萩の枝につく露を詠んだ歌。しなりやすい萩の枝葉が露の重みにたわんでいるさまは風流人の興趣をそそるのでしょうか、たくさんの歌が詠まれていますね。さらに、和歌ではありませんがかの枕草子にも、
(第64段)
萩、いと色深う、枝たをやかに咲きたるが、朝露に濡れてなよなよとひろごり伏したる。さ牡鹿のわきて立ちならすらむも、心異なり。
(第130段)
すこし日たけぬれば、萩などのいとおもげなるに、露の落つるに枝のうち動きて、人も手ふれぬに、ふとかみざまへあがりたるも、いみじうをかしといひたることどもの、人の心にはつゆをかしからじと思ふこそまたをかしけれ。
と描写されています。