漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0225

2020-06-11 19:38:00 | 古今和歌集

あきののに おくしらつゆは たまなれや つらぬきかくる くものいとすぢ

秋の野に 置く白露は 玉なれや つらぬきかくる くもの糸すぢ

 

文屋朝康

 

 秋の野に置く白露は玉なのであろうか。蜘蛛が巡らせる糸が露を貫いているよ。

 蜘蛛の糸に露がかかった情景を、緒を貫く玉に見立てて詠んだ歌。
 作者の文屋朝康(ふんやのあさやす)は、六歌仙の一人である文屋康秀の子。古今集への入集はこの一首のみですが、後撰集採録の次の歌は、百人一首にも採られています。(第37番)

 

しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける

白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける