はぎがはな ちるらむをのの つゆしもに ぬれてをゆかむ さよはふくとも
萩が花 散るらむ小野の 露霜に ぬれてをゆかむ さ夜はふくとも
よみ人知らず
萩の花が散っているであろう野原の露霜に濡れて行こう。夜が更けても。
秋の夜更けに、夜露に濡れてでも行こうという行き先は、思いを寄せる異性のところでしょうか。万葉集には、類歌と言ってよい次の歌もあります。
あきはぎの さきちるのべの ゆふつゆに ぬれつつきませ よはふけぬとも
秋萩の 咲き散る野辺の 夕露に 濡れつつ来ませ 夜は更けぬとも
(万葉集 2252 よみ人知らず、新古今和歌集 333 柿本人麻呂)
つゆしもに ころもでぬれて いまだにも いもがりゆかな よはふけぬとも
露霜に 衣手濡れて 今だにも 妹がり行かな 夜は更けぬとも
(万葉集 2257 よみ人知らず)
2257 はこの 0224 と同じく男性の立場からのものですが、2252 は女性の立場からの歌ですね。なお、2252 は新古今和歌集に採録されており、上記の通りそちらでは人麻呂作とされています。