こけながら おふるいはほの ひさしさを きみにくらべむ こころやあるらむ
苔ながら 生ふる巌の 久しさを 君にくらべむ 心やあるらむ
苔とともに長い間をかけて大きくなった巌には、その長い年月をあなたさまのご長寿と比べようとする心があるのでしょうか。
詞書は一つ前の 193 と共通で「巌」。巌と言えばやはり思い浮かぶのは「君が代」ですね。そのもととなった和歌は古今和歌集343 に採録されています。
わがきみは ちよにやちよに さざれいしの いはほとなりて こけのむすまで
わが君は 千代に八千代に さざれ石の いはほとなりて 苔のむすまで
よみ人知らず
(古今和歌集 巻第七「賀歌」 第343番)