monologue
夜明けに向けて
 






四三、 どの様な事が起ろうとも
    神を試してはならない
    神に試されているということに
    気付く様に




なぜわたしがこの夜明けの仕事に選ばれていたように思うかというと
現在住んでいる家がわたしたち一家がこの国で住むためにあらかじめ用意してあったからである。これは勝手な解釈にすぎないのだろうか。

この家のオーナーはアメリカの日系企業の社員だったが日本で仕事することになってこの家を建てたのだ。そしてアメリカから家財道具が届いて運び込んでいるとき会社からサンフランシスコ転勤命令が届いた。結局新築の家に一日も住むことなく、かれは貸家にする手続きをしてサンフランシスコに赴任した。そしてしばらくしてロサンジェルスに転勤した。
そのころ、わたしはロスアンジェルスから日本に帰って一時的に住む家を首都圏に探していた。新築のきれいな家が二年契約で出ていたので二年ほどなら丁度良いと思って契約したのだ。まだ電灯もなにもついていなくて人が住んだ気配がなかった。まるでわたしたちのために用意してあったようだった。わたしたちのうしろでだれかがひょいと人形のように入れ替えたとしか思えない。息子はアメリカに留学してその後アメリカ市民としてロサンジェルスで暮らしているがたしたち夫婦はそのだれかの計画通りいまだにこの家に暮らしている。
fumio

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