monologue
夜明けに向けて
 




四三、 どの様な事が起ろうとも
    神を試してはならない
    神に試されているということに
    気付く様に


「どの様な事」というのは人によってそれぞれ試練の内容や程度が違うので一概にはいえない。わたしの場合はそれは頸椎損傷だった。首の骨を折ればほとんどの人は生き残ったことに感謝しないでまず自殺を考える。自殺を試みることが神を試していることになる。
ところがそう簡単にはゆかない。首から下が麻痺した状態では無理なのだ。近頃はいじめられたからといって自殺が流行っているがかれらは心が不自由になって動きがとれなくなってしまっている。ところが体は自由に動くから簡単に実行できてしまう。折角この世に生を受けたのにそんなことで途中で断ち切っては神も試練を与え甲斐がない。これからもっともっと大変な試練を与えて鍛え磨いて上の段階に引き上げてやろうとしているのに困るだろう。「神に試されているということに気付いて」試練を乗り越えなければ次のステージには進めない。もう舞台は用意されている。
あの幕を上げるのはだれ?


   女優(Star)
 
 1、 やがて幕があく 呼吸(いき)をとめ 人々の 視線を うけとめる
  
   気がつけば  悲劇のヒロイン
   生命(いのち)を歌い 生命を舞い 生命を終える
   
   拍手の嵐 カーテン・コール
   そのなにもかもが わたしのいきがい
   
   
 2、 そして幕があく 客席には ただひとり あなたしかいない
 
    ふりむけば 本当の わたし
    運命(さだめ)を笑い 運命を泣き 運命を生きる
    
    ためいきの響き 哀しいコメディ
    そしてそれもまた 生きてる証(あか)し
    
    「その時わたしは、わたしの時代の終わりを予感していた」
    
    




 3、 いつか幕があく ふるえながら 見知らぬ 少女が立っている
 
    気がつけば 新しいスター
    若さを歌い 若さを舞い 若さを燃やす
    
    歓声の渦  あふれる舞台
    
    そのなにもかもが 同じはじまり
    そのなにもかもが 同じかがやき



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fumio





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