monologue
夜明けに向けて
 



1967年、2月3日、プロデューサー、ジョー・ミークが鬱状態で落ち込んだためアパートの管理女性をショットガンで射殺した後自殺した。享年37才。かれはビートルズ以前にイギリス勢で初めて全米1位の曲を作ったことで有名だった。その曲とは1963年January 5とJanuary 12 付けキャッシュボックス誌で2週にわたって首位を走ったトーネードーズ(Tornadoes) の『テルスター(Telstar) 』 である。この曲は1962年7月10日に打ち上げられた、重さ77kg、直径85cmの球体 放送衛星、テルスター1号の打ち上げ成功を祝う曲で宇宙時代の幕開けを飾り人類の希望を背負うようにヒットしたのだ。

 ミークはエンジニア出身なので楽譜に弱く、楽器も弾けないので、セッションミュージシャンにハミングのテープや口移しでメロディを伝え、弾いてもらってテープに録る。それを繰り返してできた原稿のような多くのテープをスタジオで編集しまとめて曲を仕上げたのである。おかげであの独特な機械的なノイズや疾走感、合っているのかどうかわからない一種の浮遊感が生まれたのだ。かれは1963年の時点で現代のサンプリングやシンセの手法を駆使してレコード作りしていたのである。変な死に方をしないで長生きしていればレコーディング技術の偉大なるパイオニアとしてその名が人々の記憶に残り讃えられていたのにと惜しい気がする。

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