monologue
夜明けに向けて
 



そのころ、島健は多重録音機フォステクス(FOSTEX)社の1/4インチ8トラックレコーダーを購入して多重録音を始めていた。
わたしの家にやってきて、日本から入った仕事に使うのでMXRドラムコンピューターを貸してほしいという。

 わたしはオーソドックスなドラムセットの音色のタイプと変則的なタイプの音色のチップを挿し替えてかれに選んでもらった。ドラムを叩くかっこうをしてあれこれ迷った結果、結局オーソドックスなドラムセットチップのセッティングにしてもって帰った。何日かしてドラムコンピューターを返しに来たとき、できあがった作品を聴くと良い仕上がりで生ドラムのように聴こえるといって自画自賛風に喜んでいた。きっとその作品は日本で採用されてかれの現在の名プロデユーサーとしてのキャリアの始まりになったのだろう。その後しばらくしてかれは日本に帰国して本格的に音楽の仕事を始めたのである。

 そしてある日、かれが島田歌穂さんと結婚したという報道に接した時はびっくりした。かれからの賀状にいつも添えてある歌穂さんの漫画はほのぼのとしていてほほえましい。
fumio

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )