ロサンジェルス市西南区クレンショー地区に「国際劇場」という日本映画専門館があった。新しい映画がかかると夫婦で見に行った。よく行くのでそのうち支配人と顔なじみになって料金を安くしてくれた。人気があるのはやはり「寅さんシリーズ」で普段それほど席は埋まらないが年に二回の寅さんの新作上映日だけはいっぱいになった。アメリカ人にも寅さんのファンは多くその人情喜劇は受けた。息子の友達のオクラホマの大学生たちは勝新太郎のファンで実際に会ったことがあるかとインターネットのチャットでわたしに尋ねてきた。かれはkitanotakesiというハンドルを使用していた。武道オタクで合気道の二段をとったと自慢していた。わたしたちの知らないうちに日本の文化は世界を侵食し繁殖している。政府の事業仕分けでまず削られるのはすぐに実績の見えにくい文化に関わる部門だが本当に世界を変えるのは武力ではなく文化なのだ。武力は表面を変えるが愛に基づいた文化は相手の内側から変える。手塚治虫の「アストロボーイ(鉄腕アトム)」のアニメのヒューマニズムで育った世代が現代の米国社会を支えているのである。
fumio
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