monologue
夜明けに向けて
 

卒業  


     わたしたちの時代の洋画で最も影響を受けた映画といえば当時台頭してきたアメリカン・ニュー・シネマの代表作、卒業(The Graduate) であった。出演は、ダスティン・ホフマン、アン・バンクロフト、キャサリン・ロスら。

  わたしは米国で英語クラスの先生 がこれまで見た映画で最も印象に残ったものについて書いてこい、とアサインメント(宿題)を出したので「卒業」について書いた。

 「主人公、ベンジャミンが、大学を卒業して帰郷し、友人親戚一同が集った卒業記念パーティーで「プラスティック、プラスティック」と明るい未来のキーワードのように繰り返されて、それがどうした、と将来に対する不安らしきものを感じるうち、幼なじみエレーンの母、ミセス・ロビンソンに会い彼女から誘惑を受け憂鬱性に陥るが両親が幼なじみのエレーンをデートに誘えというのでわざと嫌われるようにふるまったが、エレーンに恋してしまう。そしてかれが不倫の相手はかの女の母親と告白するとエレーンはショックを受ける。
ベンジャミンは、かの女の大学に押しかけ、追いかけるがある日、かの女は退学して他の男と結婚することになっていた。かの女の結婚が執り行われている教会に駆けつけたベンジャミンは、「エレーン、エレーン!」と叫ぶ。エレーンはそれに気付き「ベーンッ!」と叫び二人は教会を飛び出す。」とこんな筋書きを思いだし思いだし書いて提出したものである。あの頃は「「プラスティック」が将来の希望のキーワードとして使用されていたことを思い出すとすこし不思議な気がする。「IT」や「エコ」ということばももう少し経てば古びてしまうのだろう。

 時代の雰囲気を表現するテーマ曲サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」 は歌詞が難解でそしてみずみずしくロック感覚もあり、若者たちに絶賛された。ギター少年たちはこぞって挿入曲「スカボロー・フェア」 などで聴かれるポール・サイモンのギター・テクニックをコピーした。そこにはこれまでのフォークではない新たな息吹があった。「卒業」は洋楽の世界にも大きい影響を与える映画だったのである。
fumio

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