風をうけて vol.3

お引越ししてまいりました。
拙いブログですがよろしくお願いします。

かっこつけすぎだぜ、半端な山男よ!

2010-05-14 19:24:00 | 山、ハイキング

2010_05140004 「今日、山に行くけど仕事休む?」

で、始まった今日の朝。

既に昨日からそのような事を

奥さんには匂わせていた。

どうしてもこの時期になると

山が恋しくなる。

世間ではこの時期に

鬱状態に入ることを五月病と言うらしい。

ならば私には一月病から十二月病まで存在してしまう。

そんな時に私の助け舟となるのは自然の息吹を体全体で感じること。

人波も商店街もコンビニさえもない、不便極まりない自然の中に

身をおくことで、地球からのエネルギーを吸収することができる。

そして私の心身は復活するのだ。

残念ながら奥さんは仕事が忙しいようで、結局私一人での出発となった。

淋しい山行となったが、これはいつもの事。

淋しいと言うよりどちらかと言えば気楽で行き当たりばったりの肩のこらない

山行と言っていいかもしれない。

2010_05140005 平日であっても

誘えば何人かの友人が

付き合ってくれるだろう。

そうして世間話や、近況報告や

愚痴、悪口に至るまで

一山二山ぐらいは飽きることなく

喋りつづけていられるだろう。

しかし、今日は静かに山を味わいたかった。

リュックの中には雨具やら少量の食料やら地図などのほかに

今日は抱えきれないほどの「ため息」を担いでいったのである。

とにかく今日は静かな山に行きたかった。

場所は「赤城・鈴ヶ岳」。

標高1565mのあまり人影がない山だと聞いていた。

ここ何日か季節はずれの寒波の影響か、赤城の最高峰「黒桧山」は

うっすら雪化粧をしていた。

2010_05140003 登山口の気温5℃

風が強く、

凍えてしまいそうな雰囲気。

しかしそれでも日差しは

春を迎えていたが、

これから600m程

標高をあげるのだから

ちょっと暑くなるかなくらいの厚着で歩き始める。

ブナ林を歩き続けて急登のような場所もなく快適なことこの上ない。

やがて稜線に出ても、それでもこの感じは続く。

山の中ではあの冷たかった風は全く感じない。

日差しの暖かさだけが残りかなり汗も吹き出る。

重ねて着込んできたシャツを一枚脱ぎ一息つく。

2010_05140009 景色と言えば全く展望も開けず

ブナと松の林がこの周辺を

取り囲んでいるようだ。

人気のない理由はこのせいかと

すこしがっかりしながら足を進める。

それにしても静かだ。

既に30分は歩いているだろうに

誰一人として会うことがない。

聞こえるのは、たまに鳥たちのさえずりだけ。

こんな時にはやっぱり話し相手の一人でもいたら随分助かるだろうとも

思うのだが、そうすればやはり相手に合わせたペースで

歩かなければならない。

今日はわがまま放題、やりたい放題の登山としたかったのだから

これでいいのだと言い聞かせる。

2010_05140016 2010_05140021 2010_05140022

そんな事を

考えながら

歩いていると

いきなり

視界が開けた。

何たる景色だ。

今まで暗闇の中を人の踏み後ばかりを求めて歩いていたかのように

周りを見てはいなかった。

まるで今の社会の中を生きる最近の自分のように。

ふと視線をずらせばこんな景色が迎えてくれるではないか。

目が覚めたような気がした。

命の炎が再び燃え始める気配を感じるのだ。

ここが鈴ヶ岳に至る途中に超える鍬柄山(くわがら)のピークだった。

そして目指す鈴ヶ岳の姿が林越しに見えてきた。

2010_05140054_2 しかし、ここからが難所の

連続であった。

急登、急下りの連続。

この山はいくつものの

ピークを越え

その度に急な上り下りが

待ち構えていた。

ロープがなければヤバイ場所がいたるところに・・・。

前半の優しい山の雰囲気は全くなくなった。

“そうは問屋がおろさない”そんな雰囲気である。

息も切れ、汗も噴出す。

これが登山なのだ。

これこそが登山なのだと嬉しくもなってきた。

2010_05140031 2010_05140033 2010_05140035

そうして

過激な

岩場を

何とか

クリアする。

これでもかと言うくらいに続く急登に恐怖と喜びを感じながら

岩にしがみつくこの感覚。

必死に振り落とされまいと生きていく人生に似ている。

それを楽しいと感じるには相当な覚悟がいるものだ。

一歩踏み外せば何処までも転げ落ちてしまうと言う恐怖と戦いながらも

上へ上へと進もうとする。

しかし、しかしである。

そんな事を思いながら登っているのではない。

道があるから進むのだ。

どんなに険しくも、上がある、道がある、だから進む。

2010_05140042 本能のまま進めば

おのずと先が開けてくるのだ。

日本一の世界一の頂上に

上がれなくっても

気にする事はない。

人には人の頂上が存在する。

それを目指せば良いだけの事だ。

そう思った瞬間、ふ~っとリュックの重さが引いた。

心の荷物を降ろせた気がした。

いくつもの「ため息」が山のいたるところに置きっぱなしにされているのだろうな。

そう思った瞬間、自然と笑いが出た。

山は優しい。

山は厳しい。

山は全てだ。

抜けるような青空の下、下界に戻る勇気が出た。

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2 コメント

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いいですね、山(^^♪ (yoppe)
2010-05-14 21:45:14
いいですね、山(^^♪
ロープ場もあり、岩場もありで楽しめそうな山ですね
でも、まだ寒いでしょう?
久しぶりに今日は晴れたので、モエレに行こうと自転車に乗ったけど
あまりの寒さに、途中で引き返してきた、まだまだ冬眠中の私です
でも、今日のブログを見て、やっぱり、山だよね~
山、行きたくなりました
置きっぱなしにしてきた「ため息」はどうなったのかな

あ、ウェブアルバムのアドレス、前にちゃ~んと
送ってもらってましたよ~
返信する
Unknown (一路)
2010-05-16 07:24:52
_________________________





     
       yoppe様へ





寒かったですよ~。
だって、たぶん前夜だと思うのですが、山頂は雪景色の山まで
あったのですからね。
1000mを超えたら全く新緑じゃないんです。真冬の景色。
だけど、日差しは春で山の中に入ると風がなくなって今度は暑くなっちゃった。
私もこんなに寒いと知っていたら行かなかったでしょうね。

札幌もそんなに寒いのですか。。。
早く暖かくならないと遊べる時間が少なくなっちゃいますよね。
なんだかソワソワするyoppeさんの姿が目に浮かぶようですよ。

「ため息」、いっぱい落ちてました。
きっと私以外のたくさんの人が置きっぱなしにしていったのでしょうね。
ゴミを置きっぱなしじゃないんで、ここはお許しを。。。(笑)

Webアルバム、そのつどアップする度にアドレスが変わるのかと思ってました。
同じなのですね。
で、今回の鈴ヶ岳の写真もアルバムにしましたので、
これからの登山に向けてのイメージトレーニングに役立ててください。
って、こんなもんじゃ役には立ちませんね。(笑)




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