(前の記事からの続き)
差し戻し審で述べられた 母胎回帰ストーリーは 余りにも荒唐無稽で、
安田弁護士ら新弁護団が 作り出したフィクションではないかと、
当時 僕は思いもしました。
橋下元弁護士も TVで視聴者に、
弁護団への懲戒請求を呼びかけて 物議をかもしました。
弁護士会に 安易な懲戒請求が殺到し、 弁護団のうち 今枝弁護士ら4人は、
業務が妨害されたとして 民事裁判を起こしました。
高裁は訴えを認め、
「被告の主張は 一般には理解しがたいが、 弁護活動は誠実なものだ」
と述べました。
しかし最高裁は、
「社会の耳目を集める 事件の弁護人は、
国民から様々な批判を 受けるのは止むを得ない」 と 指摘しました。
その後、 今枝弁護士は 方針の違いから解任され、
今回の最高裁判決では ストーリーを受け入れませんでした。
今枝弁護士は、 「弁護団にも説明不足があった。
何が被告の利益なのかも 見極め、
一般の人にも理解してもらえる 活動をしないとしけない」 と 振り返ります。
本村さんは 弁護活動に対して 配慮を見せています。
「被告が言ったことを 一生懸命つなぎ合わせて 主張されたと思う。
(弁護士に対する) 嫌がらせは 法治国家ではあってはならない。
大衆に迎合せず、 弁護士の責務は果たされたんじゃないか」
刑事法の葛野教授は こう指摘します。
「社会の共感を得られなくても、 法廷では 自由に主張できることによって、
刑事裁判の公正さは保たれる。
嘘をそそのかすのは許されないが、
誠実に被告の言い分を聞いて 伝えるのが弁護士の責任だ。
多数者が納得する 主張しか許されないのでは、 裁判とは言えない」
〔朝日新聞より〕