「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

弁護団の活動 -- 光市母子殺害事件、 最高裁判決 (12)

2012年03月01日 21時35分41秒 | 光市母子殺害事件

(前の記事からの続き)

 差し戻し審で述べられた 母胎回帰ストーリーは 余りにも荒唐無稽で、

 安田弁護士ら新弁護団が 作り出したフィクションではないかと、

 当時 僕は思いもしました。

 橋下元弁護士も TVで視聴者に、

 弁護団への懲戒請求を呼びかけて 物議をかもしました。

 弁護士会に 安易な懲戒請求が殺到し、 弁護団のうち 今枝弁護士ら4人は、

 業務が妨害されたとして 民事裁判を起こしました。

 高裁は訴えを認め、

 「被告の主張は 一般には理解しがたいが、 弁護活動は誠実なものだ」

 と述べました。

 しかし最高裁は、

 「社会の耳目を集める 事件の弁護人は、

 国民から様々な批判を 受けるのは止むを得ない」 と 指摘しました。

 その後、 今枝弁護士は 方針の違いから解任され、

 今回の最高裁判決では ストーリーを受け入れませんでした。

 今枝弁護士は、  「弁護団にも説明不足があった。

 何が被告の利益なのかも 見極め、

 一般の人にも理解してもらえる 活動をしないとしけない」 と 振り返ります。

 本村さんは 弁護活動に対して 配慮を見せています。

 「被告が言ったことを 一生懸命つなぎ合わせて 主張されたと思う。

 (弁護士に対する) 嫌がらせは 法治国家ではあってはならない。

 大衆に迎合せず、 弁護士の責務は果たされたんじゃないか」

 刑事法の葛野教授は こう指摘します。

 「社会の共感を得られなくても、 法廷では 自由に主張できることによって、

 刑事裁判の公正さは保たれる。

 嘘をそそのかすのは許されないが、

 誠実に被告の言い分を聞いて 伝えるのが弁護士の責任だ。

 多数者が納得する 主張しか許されないのでは、 裁判とは言えない」

〔朝日新聞より〕
 
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