子ども・家族にかけるお金を考える 高橋希代子
第20回 専業主婦のリスク ― 離婚の危機、年金、子どもへの影響は ―
妻が専業主婦になるという家族形態は、逆に言えば、夫の雇用と収入が安定していることが前提となってできた仕組みではないかと思う。この前提が、今は崩れている。
となれば、妻が「専業主婦」として家事全般と育児に専念するという仕組みもまた、この時代ではいくつかの前提が満たされて初めて合理的な結婚・家族の分業形態でしかない。もちろん、その前提のひとつとして、結婚が長期的に安定的なものであるということも考慮に入れておかねばならない。離婚率が上がっている今は、それもまた不確定要因ととらえる方がいいかも知れない。
第20回 専業主婦のリスク ― 離婚の危機、年金、子どもへの影響は ―
かつては、「永久就職」とか「3食昼寝付き」と呼ばれてきた「専業主婦」は、相対的に、かならずしも居心地のよいポジションとは言えなくなってきている。とはいえ、まだまだ「結婚したら働きたくない」とか、もっと言えば、「高収入の男性と結婚してセレブになりたい」と、専業主婦を夢見る若い女性たちも少なくない。
(中略)
堂々と「専業主婦です!」と言えた時代は、もう終ろうとしている。妻に収入があることは、夫にとっても、そして子どもにとっても恩恵をもたらす。終身雇用の時代は終わり、変化の激しい今の時代を生き抜くうえで、妻になっても母になっても収入を得ることは、家族全員にとって大きなリスクヘッジといえる。
ちなみに、高収入の夫と結婚しても一生セレブな暮らしができるという保証はどこにもない。高収入が永遠に続くとは限らないし、離婚や死別の可能性もある。また、先祖から多大な遺産を相続しても、案外、妻が自由になるお金は少ないのが現実のようだ。そして、お金は使い続ければ、やがてなくなるもの。
専業主婦でも、社会性のある人はいるに違いない。せっかくの能力を家庭内だけで使うのはもったいないことだ。情報とスピード、そして激動の時代を迎え、家族や家庭に貢献していた女性の役割は、活動の範囲を広げ、社会に貢献すべき時が来たのではないだろうか。
妻が専業主婦になるという家族形態は、逆に言えば、夫の雇用と収入が安定していることが前提となってできた仕組みではないかと思う。この前提が、今は崩れている。
となれば、妻が「専業主婦」として家事全般と育児に専念するという仕組みもまた、この時代ではいくつかの前提が満たされて初めて合理的な結婚・家族の分業形態でしかない。もちろん、その前提のひとつとして、結婚が長期的に安定的なものであるということも考慮に入れておかねばならない。離婚率が上がっている今は、それもまた不確定要因ととらえる方がいいかも知れない。