ネタは降る星の如く

とりとめもなく、2匹の愛猫(黒・勘九郎と黒白・七之助)やレシピなど日々の暮らしのあれこれを呟くブログ

ブックオフCEO「社長を育てる方法」

2007-04-10 22:00:41 | 時事
 NBオンラインで橋本社長のインタビュー連載が続いているが、『日経ビジネス』に掲載された坂本CEOの「社長を育てる方法」も面白かった。

ブックオフ流「社長を育てる方法」
坂本 孝(ブックオフコーポレーション会長兼CEO)が語る

 パートのまま2号店の店長に任命して、以来、ブックオフの歴史は「現場の母」橋本さんの成長の歴史です。当初、2号店は赤字続き、閉店を言い渡したら橋本さんが涙を流した。それを見て、やる気のなかった若者たちが奮起、一気に黒字店に転換させました。

 不振店だった八王子の大型店を任せた時には、スタッフさんからボイコットという攻撃を受けました。それでも非ボイコット組の少数と懸命に店を回し、その姿にボイコット組も心を打たれて和解、ついには店を繁昌店に変えた。子供服などのリユース事業が赤字を垂れ流し、会社が経営危機に陥った時にも、自ら店に乗り込んでくれました。店で文字通り、汗と涙を流して赤字の原因にメスを入れ、見事に再生させてくれたのです。


橋本氏の個人的なスナップ。結婚して上京、子育てが一段落して選んだパート先が、たまたま近隣にオープンしたブックオフ1号店だったのだ
 橋本さんのしてきたことは、今で言う「仮説と検証」です。それを橋本さんは、誰にも習わずして実行してきた。福井県の山村で育って、短大を卒業して専業主婦になって、経営学のケの字も知らずに社長になった。でも、引き合いに出させていただくのも恐縮なんですが、イトーヨーカ堂の鈴木敏文さんが「仮説と検証」を徹底して、会社を大きくしたように、橋本さんも彼女のやり方で、それを実行した。

 「橋本さんという逸材に出会って、あなたはラッキーだった」

 人によく言われます。確かにそう。1号店の10人の中に、橋本さんがいたんだから。でも僕に言わせれば、パートやアルバイトを100人雇えば、橋本さんクラスの人が1人はいます。おせっかいで、よく気がついて、人の心を引きつける人。

 要は、その1人を見つけ出せるかどうか。見つけて、任せられるかどうかなんですよ。


 経営者のもっとも重要な仕事は適切な後継者を見いだすことだと言う。ジェネラル・エレクトリックのジャック・ウェルチは自分の時間の7割を幹部育成と選抜に使った、と、どこかで読んだような気がする。

 たぶん、経営者の資質というのは、教えて学べる要素は少ないのだろう。生まれつきと言ってしまうと自分は違うと思うのだが、後天的な環境の中で何をどう学んできたかという部分はある程度の年齢になってしまうと変わりにくいという意味で、教育して身につけさせるのではなく、環境を与えて学んでもらう、という投資をしていかなければならないのだろう。

―― 当サイトで連載中の「最強の現場の創り方」では、橋本さんご自身が、現場のお仕事にどんどんハマっていく経験を語っています。彼女はブックオフに一番ハマった方だと思うんですけれど、それには坂本さんが折に触れて育成してきた、言い換えれば「この人をもっと、このブックオフにハメてやろう」といった誘導もされたのではないでしょうか。

 それはね、あの人は特性として、褒めると素直に喜んでくれるんです。

―― なるほど。それはいつ頃気がつかれたんですか。


 最初から分かりましたね。それは、自分も褒められるとうれしくなる方ですからね、よく分かるんです。うれしそうにして、どんどん仕事をしてくれるんですよ。だから、おだてに乗りやすいというのは、人間としていいことだと思うんですよ。せっかく褒めても「何? 何か下心あるでしょう」みたいな顔をしていてはもったいない。

 山本五十六の有名な言葉じゃないけれども、褒めてやって、褒めてやって、褒めてやれば、人は伸びると(笑)。


 伸びる素質を見いだすことと、伸びる素質を見いだしたことは環境を与えること、そして伸びるようにフィードバックを与えること。それが経営幹部育成の要諦だと、自分も思う……まだまだ十分にその環境をつくりきれていないけど、これはこれで完成したと思えることのない、終わりのないプロセスだ。

上司の褒め言葉は重要だな(苦笑)

2007-04-10 21:50:55 | しごと
 めったに褒めない上司だが、今日は2回も褒めてくれた。

 ひとつは、指示されて改善計画の提案を一旦出したけどNGを出された件、リベンジで提案修正の上で再度説明。「非常にクリアになった」と一発OK。

 もうひとつは、先日の本社出張から帰ってきてのコメント。ドイツの本社の人事部門のスタッフのプレゼンテーションも聞いたけど、「ローカル日本の人事のマネジャーたちがつくっているプレゼン資料の方が(レベル高い)」と。

 明日は雪が降ったりして……(苦笑)。

 再提案のために頑張ってくれたスタッフも、自分の出来に大満足。やはり、上司(上司の上司も含む)の褒め言葉は、ここぞという時には重要だなぁ。

"HOW"だけでなく"WHAT" そのために人事部門は?

2007-04-10 21:50:29 | 時事
野々村人事部長の歳時記
スキルだけではリーダーにはなれません~「HOW」よりも「WHAT」をつくる3つの視点
野々村さん、自動車メーカーの人材開発センター長を訪ねる

上田人材開発センター長: 「そう、自主や自立は大切です。ただ、本当の意味での自主・自立というのは専門知識やスキル、つまり『HOW』を身につけるだけではムリなんです。やはり『WHAT』を明確にできるようになること。リーダーシップの出発点は、何をしたらいいかを明確にする力です。自分たちはどうありたいのか、その達成のために何をするべきか、を自分で考えて部下にきちんと伝えていくことが、リーダーの一番大切な役割です。人や組織が動く方向や動機を与えるものです。WHATは経営者だけがつくるもの、現場の自分たちは運営のスキル、HOWを身につけていればいいという意識では、管理職は務まらないですね」

野々村部長: 「うーん。つまり、社員にスキル習得ではなく、厳しい変化を勝ち抜くための考え方や行動のクセをつけてもらうことね・・・。なるほど。ところで、どのようにWHATをつくる力を身につけさせているのですか?あ、やり方を聞いてしまいました。HOW病かなあ」

 と苦笑した。
 上田さんは笑いながら続けた。

上田・人材開発センター長: 「WHATをつくる力を身につけてもらうのに、以下の3つの観点から常に考えてもらうようにしています。

経営理念の実現のために、自分たちはどうあるべきか?
顧客や社会の要望や期待を満たすために、自分たちはどうあるべきか?
自分自身のありたい姿は何か?


 組織や自分のありたい姿をまず明確にすることから出発します。そして、それを実現するために何をするのかという具体的な課題にまで落とし込むようにしています。こうして考えるクセをつけるのです。スキルを磨くというより、変化に合わせて自主的に課題を発見し解決し続ける思考や行動を身につけるわけです。ありたい姿がはっきりすれば、社員は常にそれと現状のズレを探すようになります」


 ただ、この思考法を身につけるには、ある程度年齢というか脳の学習能力のキャパも考慮しなければならないと思う。個人差はあるが、30代半ばがひとつの区切りだと自分は思っている。特に営業系の経験から学ぶ思考力が固まってしまうと、"HOW"から"WHAT"を考える思考パターンは身に付きにくい。

 だから、自分の会社では、営業系の若手ポテンシャルに「何を考えるか」を考えさせる研修をその年齢層を対象に実施している。現実的には40才ぐらいでも受け入れているが、30才前後から35才前後がねらい目。

 それで売上が上がるというわけではないが、一年後に本社のマーケティング部門に異動した元受講生が「あの研修を受けて、自分の仕事の仕方が変わりました」と言ってくれるぐらいの影響力はあるようだ。


藤井CEO講演録 最終回

2007-04-10 21:41:36 | 時事
 先週から最終回を楽しみにしていた。

判断の軸は“三角測量”で
~ルイ・ヴィトン ジャパン カンパニー プレジデント&CEO 藤井清孝氏(5)


司会、山中(以下Y) この辺で皆さんからご質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

Q 2つありまして、1つは英語のコンプレックスをどう克服されたか。もう1つはプロフェッショナルファームから事業会社に移られたとき、うまくマネジメントするために工夫されたこと、この2点をお願いします。

藤井 まず後半から言いますと、今コンサルティングファームにいる人に、「あなたにとっての一番の褒め言葉は何ですか」と聞いたとします。そうしたら(答えは)大きく2つあって、「すごいコンサルタントですね」と言われるのがいい人と、「うちに来てくれないか」と言われるのがいい人がいる。

 事業会社に向いている人は後者です。「うちに入って、それをやれよ」と言われるのは、私にとって最高の褒め言葉だった。ところが、「あなたはいいコンサルタントですね」と言われると、茶化されているみたいでね。「そっちにいる間はいいけれども、こっちに来たら使いものにならないね」と言われている感じがして。その感覚って大事だと思います。

 何が違うかというと、情熱だと思います。

 コンサルタントのいいところは、1歩下がって物を見るというスキルですが、いったん事業会社に行くと、1歩下がって物を見る社長は、従業員からすると迷惑なんです。

 根本的な態度として、「この会社で成功するまでは俺は絶対にどこも行かないぞ」という情熱をもって、この会社が売っているものが好きでたまらない、朝から晩までそのことを考えている人が社長にならないと。

 1歩下がっている人は経営企画の長で終わってくれればいいんだけれども、そういう人が社長になると、ひとごとみたいな発言が多い。数字を見るとかプレゼンはうまいんだけれども、いざとなると逃げられそうだと。こういう社長には人が一番付いてこない。頭がよければよいほど、そちらの墓穴を掘り始める人がいますね。

 あと事業会社では、社長は絶対1人でやったらだめで、自分のチームを作って、そのチームにいい人が入ってくるような会社にしないと、絶対うまくいかない。そのためにはまず情熱があって、そういう人に賛同して寄ってくる人が必要ですね。


 今、自分が関心あることにどんぴしゃりのQ&Aなんで笑った。

 つまり、勤め先の環境が事業部制に移行しつつあって、将来の事業部長候補を今から見つけて育てることが自分たちのミッションになる……だから、ここで事業会社の社長に合う人の資質の話をしているのは、なかなか参考になるし、自分でこうじゃないかと思っていたことに近い。

 最初の、言葉の問題は、私の場合はMBAに行ったりして、徐々にうまくなってきたんだけれども、1つ面白いと思ったのは、M&Aのトランザクション(一連の作業)として、リキャピタリゼーションというのがあります。これは銀行でお金を借りて、それを株主に特別配当して株価を上げるスキームです。

 その議論をウォール街で弁護士の連中としているとき、日本語でいうと詐欺譲渡ですが、「フロージュレント・コンベイアンスだぜ」とある弁護士が言った。「何のことだか分からない。この辺でネイティブじゃないと差が出るな。だめだな」と思って、ミーティングが終わった後、横のアソシエートに、「おい、どういう意味だ」と言ったら、彼も分からない(笑)。

Y なんだかぐっと気が楽になりますね

藤井 よく考えてみると、ネイティブでも分からないことがいっぱいあって、「これ以上はもう言葉の問題じゃないな」と思う時期が突然来たんです。

 もう1つは、私がよく使う例ですけど、皆さんゴルフをやられますか。ゴルフをやるときに、「あのホールまで約100ヤード」と感覚で分かりますよね。そのときに、100ヤード=130メートルだと思う人は誰もいません。ゴルフというのは全部ヤードの世界でしょう。ゴルフ場でヤードをメートルに換算している人はほとんどいません。

 言葉もそうなんです。要するに、「日本語で何ていうんだろう」と常に“換算”している人はうまくなれなくて、どっぷりと英語の体系の中で軸を作ってしまって、そこの中でしゃべれる人が、いろいろ英語での表現が分かるようになる。母国語の発想から離れられない人は最終的にはうまくならないと思います。


 そうですね、私もある時期から頭の中で日本語を英語に翻訳するのは止めました。ディスカッションする時も、考えている時は日本語で考えてますが、それを口に出す時は日本語から英語に翻訳するプロセスは取りません。

 というのは、日本語と英語は、一対一で言葉を置き換えられないから。英語のボキャブラリーと日本語のボキャブラリーは、脳の別々の倉庫に辞書になっていて、日本語から英語に翻訳するプロセスを取らないで、英語で何と表現するのが自分の考えを言葉にするのが一番近いかを直接探しにいく感じ。

 「よろしくお願いします」も、初対面の人に対しては「Nice to meet you」だし、事業部長クラスに依頼を出すなら「I would appreciate it if you could...」だし(仮定法過去を使って丁寧な表現になるようにしている)、社員に対して返事をお願いする時には「Thank you for your cooperation」と先に感謝してしまう表現になるし(協力してくれるとは限らない難しい案件の時や、事業部長クラス以上にお願いをするというニュアンスの時には使わないけど)、親しい同僚に頼りにしていると言いたいなら「I count on you.」でしょ。気持ちは同じ「よろしくお願いします」でも、相手に伝えたいニュアンスは違う、そこを英語で言わないと的確な表現にならない。

 前項の、ハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化の切り替えを計算に入れなければ、英語的な状況に合った言葉にならないということだ。日本語の発想を捨てろというのは、的確なアドバイスだと思う。




Intercultural Skills

2007-04-10 21:39:38 | しごと
 木曜日に英語でアジアパシフィックの事業部長会議に対して日本での人材育成の成功例についてプレゼンする。その時の資料で用意しているのが、いくつかの主要な文化の比較研究。

 そういうタイミングなので、この記事はタイムリー。
ビジネス英語を身につける
コミュニケーション・スキルを磨く vol.8
 これは“Cultural Context”(文化の脈絡)と呼ばれるコンセプトだ。Cultural Contextが高い(High Context)文化では、状況に応じた共通認識があるため、多くの言葉を必要としない。日本のほかに、サウジアラビア、中国、インドネシアなど、High Contextの文化では、1つのメッセージが10の違う意味を持つ。「はい。分かりました」は常に“Yes, I understand.”とは限らず、状況によって“Yes, I hear you.”の意味にもなり、ときには“Yes, I'm listening but I disagree.”という意味にさえなりうる。情報は、その場の状況(context)や暗黙の了解から導き出されるのだ。

 逆に、アメリカやスウェーデン、ドイツといったLow Contextの文化では、こうした共通認識といったものはなく、多くの言葉を要する。1つのメッセージにこめる意味は1つだ。“Yes”は“Yes”であり、“No”と言えば“No”以外の意味はない。ほとんどの情報は特定の言語によって伝達される。「言わなくても分かる」という日本人の考え方は、Low Contextの文化圏では通用しないことを覚えておこう。


 エドワード・ホールのハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化ですね。

 High Contextの文化を持つ日本人は、Low Contextに合わせる努力が必要だ。「これは決してアメリカ人になれ、ということではありません。Low Contextへシフトするということは、多くの言葉を用い、明確な表現を心がけることです」とワグナー先生。違いを認識したうえで、相手のスタイルに切り替える、Style Shiftという考え方だ。


 これは、次に続く記事でもちょっと触れる予定。