ネタは降る星の如く

とりとめもなく、2匹の愛猫(黒・勘九郎と黒白・七之助)やレシピなど日々の暮らしのあれこれを呟くブログ

英語で日本史を解説する

2007-04-12 17:30:00 | しごと
 関連会社のアジア太平洋地域の事業部長の会合にて、依頼されたレクチャーを行った。日本のユニークさ、そのユニークさがビジネス文化に与えた影響、結果として日本人のキャリア観や仕事観にどういう特徴があるか、その特徴に応じた人材育成の方法とは、というのが大体のお題。

 冒頭の1枚のスライドに日本史をまとめるのが、なかなか至難の業だった。歴史好きなもんで、特に260年続いた江戸時代が近代化以前の日本の経済や社会に近代化への適応力を生み出す自力の発展があったことを強調した。世界史的に見ても、260年間、島原の乱から幕末の戊辰戦争まで、大きな内乱がなかったというのは日本の歴史のユニークな点だと思う。18世紀には世界最大の都市であった百万都市江戸が上水道を完備したこと(その頃、上水道があったのは江戸とロンドンだけだった。しかも、江戸は24時間上水を供給したのに対して、ロンドンは週3回7時間だけだった)は語り落としてしまったが、種子島にポルトガル人が漂着して何年も経たないうちに銃を内製化して戦国時代の後半に銃を主力兵器にした技術力の高さについては紹介することができた。

 黒船が来てから明治維新に至るまでの10年間、混乱の中にも欧米列強の脅威を受けて開国しながらも超スピードで欧米の科学技術を身につけたことは、十分に触れられなかったなぁ……反射炉の建設、西洋式の船舶の建築、ドック建設(完成したのは明治に入ってからだが……)、種痘の導入など、語りたいエピソードはいくらでもあった。個人的には、明治維新が近代化の幕を開けたのではなくて、維新前のこの10年間が日本の近代化の基礎になったと考えていて、だからこそ幕末の歴史は面白いと思うのだが、時間の制約もあって英語でそこまで説明しきれなかったし、本論として日本の歴史がビジネス文化に与えた影響に結びつけるにはちょいマニアックなので語れなかったのが残念……。