中国の道徳低下ぶりを書いたエッセイ本
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誌タイム12月5日号の書評欄はChina in Ten Words(10の単語で分かる中国)という英語エッセイ本を紹介している。著者のベテラン作家Yu Huaは10のキーワードで毛沢東時代と現代中国を比較しているという。
以下、同書評から抜粋。
・10のキーワードはPeople(人民) Leader(指導者) Reading(読書) Writing(創作) Lu Xun(魯迅) Revolution(革命) Disparity(格差) Grassroots(草の根) Copycat(物まね) Bamboozle(だます)。
・毛沢東時代からトウ小平以降の経済至上時代になって、中国は本当に変わったのか? 著者によれば、一つの狂気(madness)が別の狂気にとってかわっただけだ。現代は新しい空港や高速道路の計画が次々に発表されるが、それは毛沢東の「大躍進」時代(1958−61)に、農業の収穫高がふくれ上がりつつ四川省だけで800万人が餓死した愚行に等しい。
・著者によれば、昔も今も変わらない定数項は暴力(violence)だ。彼は少年時代、友達と一緒に通行人から油の配給券を奪った。今の中国では株主たちが会社を牛耳ろうとして「punch and kick, spit and curse, smash chairs and break cups」(殴る蹴る、つばを吐いてののしる、椅子をぶち壊してカップを割る)。
・昔と変わったのは道徳心の甚だしい低下ぶり(the intensity of moral degradation)だ。1990年以降、経済発展と同じ猛スピードで腐敗が広まった。2004年には地方で不正を被った人が1000万人も北京に陳情にきたが、警察に痛めつけられ野宿する羽目になっただけだった。
・中国は間もなく、ぜいたく品の市場として世界最大になろうとしているのに、親の多くは子供のために医者の往診を頼む金やバナナを買ってやる金さえない。ある都市で売り出された1億元(約12億円)の超高級マンションを最初に買ったのは、人々の血液を商う男だった。貧しい人が血液を売るためにさえ賄賂が必要で、この男は血液業者を何千人も束ねている。
中国13億人が、私たち日本人と同じような自由と豊かさを味わい、日本のように誰もが勤勉で真面目で親切な社会に生きられるよう、何とかして力を貸したいではないか。(司)
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