残虐を極めた金正日・独裁体制の実態――政府は一刻も早く拉致被害者を救出せよ!
平壌で金正日総書記の葬儀が行われた12月28日、東京・文京区で「金正日の犠牲者に思いを寄せる12/28東京集会」が開かれました。
「この日は金正日を追悼する日であってはならず、金正日による犠牲者に思いを寄せる日であるべきだ」として、「救う会」や北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、特定失踪者問題調査会等が企画したもので(実行委員長=「救う会」の西岡力氏)、横田滋・早紀江さんご夫婦らもパネリストとして参加され、会場には約200人の支援者らが詰めかけました。
集いでは、普段から日本のマスコミが一切報じない、北朝鮮国内での強制収容所や虐殺や虐待など、金正日・独裁体制の人権侵害の実態が、下記のように次々と報告されました。
・強制収容所にはこれまで100万人もの人が収容され、その多くが死んで行った。現在も20万人が収容されている。300万人が餓死し、合計700万人の自国民が殺された。
・北朝鮮では、独裁政権打倒に立ち上がった若者たちもいたが、そうした若者は家族全員が連座制で収容所に入れられた。その結果、そうした動きは完全に封じられてしまった。
・日本のマスコミは、金正日死去に関して多くを報道しているが、大部分はどうでもいい報道ばかりで、強制収容所の実態などについては一切報道しない。その結果、日本国民、国会議員も、金正日の犯した悪行に関する認識が極めて低い。
・識者やマスコミは、「北朝鮮の安定化が必要」と訴えているが、それは北朝鮮の国民や拉致被害者にとっては、「地獄の安定」。
・独裁政権の悪行を許すことは、悪に加担すること。北朝鮮の安定化を望むということは、悪魔の手先と同じ――。
改めて語られる金正日・独裁体制下の想像を超えた人権侵害の実態に、多くの参加者は驚きを隠せませんでした。
そして檀上には、特定失踪者(政府が認定した北朝鮮による拉致被害者とは別に、北朝鮮による拉致の疑いが否定できない特定失踪者。その数は250人以上に及びます)の家族や親戚10人が立ちました。
そして、「私の娘は自宅近くから20歳で失踪し、来年40歳になります。今も一切情報はありません」「40年前に子供が失踪し、私も70歳になった。私が生きている間にいい話を聞きたい。なんとかお力を頂きたい」と、切々と訴えました。
また、家族会(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)の事務局長・増元照明さんは、「なぜ、日本の政府も有識者も『被害者を保護せよ』という発信をしないのか。今ある危機を、拉致被害者への危機に対して、もっと言わなければならない。
野田総理は北朝鮮に対し、もっと発信してほしい。国会議員も、政局をやっている場合ではない。北朝鮮の危機に真剣に向き合って欲しい。あまりに危機意識が足りない」と訴えました。
この集いで、いみじくも多くの発言者が共通して訴えていたことがあります。
それは、野田首相を始めとした日本の政治家とマスコミに、北朝鮮・金正日総書記が行ってきた虐殺と虐待、拉致など、国内外で犯してきたすさまじい犯罪行為への認識が欠如していること。
そして、そうした悪を糾弾し、その上で正義を実現しようとする意思と言葉が欠落していることへの指摘でした。
確かに、連日の日本のマスコミ報道は、総じて今回の金正日総書記の死去を、あたかも普通の国の元首の死去と同じように報じています。
それゆえに、内容がどうしても、後継者の動向や、権力継承の分析に終始しがちです。
しかし、死去した当の金正日総書記は、数多くの日本人の拉致実行命令を発し、今も拉致被害者やその家族を塗炭の苦しみに陥れている張本人であります。
そして、数百万の自国民を強制収容所や飢餓で殺害した、ヒトラーと並ぶ残虐な、文字通り極悪非道の独裁者であり、犯罪者です。
そうした隣国の「悪行」に対して、「善悪を分ける」視点を持たず、「正邪」の価値判断を意図的(もしくは無意識)に避け続ける日本の政治家やマスコミの在り方に、現在の日本の宿痾(しゅくあ)が見えてきます。
すなわち、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持する」と決意させられた憲法前文と憲法9条によって、国家の主権を守る決意と意思を奪われて久しい日本の姿です――。
拉致問題の本質は、犯罪国家・北朝鮮の加害と同時に、それを許し、さらにその後、被害者の救出すらままならない日本という国家の「主権意識と正義の欠陥」にあると言えるでしょう。
日本の国家再生への道は、そうした国家の主権意識と、主権を侵す「悪」に対しては交戦権も辞さないという、当たり前の国家としての「気概の回復」にこそあります。
幸福実現党が主張する、「憲法9条の改正」であり、「憲法解釈の変更」(前文に謳われた『平和を愛する諸国民』とは言いがたい中国、北朝鮮に対しては、憲法解釈を変更し、9条の適用対象外とする)という政策の意味と目的は、まさにここにあるのです。(文責・矢内筆勝)
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