一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『シリアナ』

2006-07-17 | キネマ
石油利権をめぐるアメリカの石油会社とCIAとアラブの王族と、そこで下級市民として扱われる非産油・イスラム国出身者などが複雑に絡み合った関係を描いた映画。

スティブン・ソダーバーグ製作総指揮ジョージ・クルーニーがアカデミー賞助演男優賞をとりました。


でも、結果から言えば、今ひとつでした。
(以下ちょっとネタバレあり)




石油メジャーやCIAがアラブ諸国で親米的な政権を作るべく王族にくい込んでいたりするのはもはや周知のことがらで、また、石油メジャー同士のM&Aをめぐる争いもまあ、こんな事もあるのかな、という感じです。
多分時代の方が先行してしまっていて、今や、そういう裏技が(過去のものも含めて)表に出る可能性を前提にした上でどうするか、が課題になっている中で、テーマ自体の目新しさはあまりありませんでした。


確かに複雑に絡み合ったストーリー展開は見ごたえがありますが、ちょっと複雑にしすぎて120分くらいあるのですが、それでも過程がなく結果だけをなぞっていて=よくできたあらすじを追うことで精一杯で消化不足の感じがしました。


特に最後。
結局CIAは悪者だけど力はある
イスラム原理主義のテロ組織は悲劇を拡大再生産する(それにしてもスティンガーミサイルの使い方としては一番非効率なのでは?)
石油メジャーも司法省も弁護士事務所も汚い奴らばかりだけど、競争原理がればそこそこ自浄のメカニズムは働く
アラブの王子とともに国の自立を考えるようになっていたマット・デイモンもつらい目に会うと最後はアメリカの我が家に帰って来て安らぎを得る


と、結局いろいろ問題提起しながらも観客に「アメリカ人で(orなら)よかったな」と思わせる終わり方になっています。


『トラフィック』のときはアメリカにとって救いのなさがあったのですが、やはりアラブの石油問題、はアメリカにとっては遠い国の出来事なんでしょうか。







コメント
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