前のエントリでパロマの湯沸器問題について行政がいちいち安全性に介入するのも、という話をしたのですが、新聞記事を読んでいて「消費生活用製品安全法」なるものの存在をはじめて知りましたので、備忘録代わりのエントリです。
これは本来は生活用品の中で特に危険が高いものについて技術基準を設けて適合製品(=マークを表示)のみ販売を認めるというものです。
現在法律で「特定製品」として規制されているのは
① 家庭用の圧力なべ及び圧力がま(一定の基準以上のものに限定されますがその定義は省略、以下同じ。)
② 乗車用ヘルメット
③ 乳幼児用ベッド
④ 登山用ロープ
⑤ 携帯用レーザー応用装置
⑥ 浴槽用温水循環器
と、かなり限定されていて(個別の法律で規格が定められている製品はその法律により、この法律の適用がないことが原因)、このうち②③(追記参照)⑤⑥が特に監督の厳しい「特別特定製品」とされています。
その他の「消費生活用製品」(つまり普通の製品)については
第82条(緊急命令)主務大臣は、消費生活用製品の欠陥により一般消費者の生命又は身体について重大な危害が発生し、又は発生する急迫した危険がある場合において、当該危害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、政令で定める場合を除き、必要な限度において、その製品の製造又は輸入の事業を行う者に対し、その製造又は輸入に係るその製品の回収を図ることその他その製品による一般消費者の生命又は身体に対する重大な危害の拡大を防止するために必要な応急の措置をとるべきことを命ずることができる。
※制度の概要は経済産業省のHPをご参照ください
昨年の松下の石油ファンヒーターはこの条文に基づき回収命令が出されたのですが、一般の製品についてこの「緊急命令」はめったに出されないいわば「伝家の宝刀」とのことです。
今回の事故(事件)は、メンテナンス会社不適切な改造の問題とメーカーがそれを知りつつ周知を怠った問題が絡み合っていますし、製造後の期間の経過の問題もあり、法律的な責任(被害者への民事上の損害賠償責任とか刑事責任)についてはメーカーが当然に責任を負うかどうかは微妙な部分もあると思います。
※報道を見る限りはパロマの対応は「論外」に近いものであったことが明らかになりつつあるようですが・・・
しかし企業全般が「作った後のメンテナンス(またはメンテナンス不備)上の事故は知ってても関係ない」というスタンスを取りつづけるようだと、政府もちょっとの事故で「伝家の宝刀」を振り回すことになるので、結果として企業自身の首を締めてしまうことになりかねません。
その意味でもパロマの対応が適切であったかをきちんと検証し、他の企業もこれを他山の石とすることが必要だと思います。