最近の新書の出版ラッシュのなかで少しでも目立とうと書名も刺激的だったり二番煎じ(「Web2.0」とか)するものが多いのですが、本書もそんな感じのタイトルがついています。
また、作りかたも、大学でフランス文学を教えている作者が論文の書き方を文芸春秋社の編集者に連続講義したものを書籍にした、というお手軽スピーディーなものです。
にもかかわらず、内容的にはけっこう面白かったです。
著者は長年共立女子大学で、生まれて一度も論文を書いたことのない(しかもフランス文学に興味をもっているかも確かでない)学生に卒論指導をしてきたと豪語するだけあって、なかなか教え上手(話し上手)であり、また知識も豊富です。
本書は表題と異なり「問題を立てる」ことの大事さを中心に語っています。
いかに独創性のある問い、追求し解決するに値する問題について論じていなければその論文自体の価値がないというのは言われてみれば当たり前のことです(筆者は学者の世界でも大学の紀要に載せるためだけのような論文が多いことを嘆いています。)。
また、問いのない「○○について論じよ」という論文の出題は論理矛盾だ、とも言っています(それもそうですねw)。
「問いの立て方」を学ぶことは論文だけでなく、ビジネスやその他の局面でも生かせると著者は言います。
論文というのは、自分の頭でものを考えるために長い年月にわたって練り上げられた古典的な形式なので、ビジネスだろうと政治だろうと、なんにでも応用がきくのです。
いわば講義録なのでスムーズに読めますし、著者の過去の著作などから例を引いたエピソードも面白くかつ豊富で、しかも参考になるポイントもけっこうあります。
通勤電車で立ちながらも気楽に読むのにお勧めです。