褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 北北西に進路を取れ(1959) スリルとユーモアが融合した傑作

2015年04月26日 | 映画(は行)
 サスペンスの神様と呼ばれる映画監督のアルフレド・ヒッチコックだが、彼の多くの傑作群の中でも最もスペクタルなシーンが多く、そしてボケをかませしてくれるのが今回紹介する映画北北西に進路を取れ。次から次へとケーリー・グラント演じる主人公にピンチが訪れるが、その度に機転の良さと、運の良さで切り抜けていく様子は、まるでダイ・ハードのブルース・ウィリスを見ているよう。まあ、ブルース・ウィリスの方は裸足にランニングシャツで銃を持って戦うが、本作の主人公のケーリー・グラントの方は殆んど全編をグレーのスーツにネクタイをビシッと決め、全く武器らしき物を手に持たない。ビジネススーツを着た普通のサラリーマンが逃げ回る様子はなんだかシュールで笑える。

 それにしても、なぜこの普通の重役サラリーマンである主人公が追いかけられる羽目に陥ったのか?この理由があまりにも理不尽過ぎて、現実でこんなことがあったらたまったもんじゃない。悪の組織から敵方スパイと間違えられて殺されそうになり、しかも警察からは全くの無実なのに殺人犯として追いかけられる。もし俺がこんな目に遭ったら、ひたすら逃げまくるだけ。しかし、この主人公の偉いところは自ら事件を解決しようと行動にうってでるところ。それはまるで、CIAに追われながらも逆に反撃を試みるボーンシリーズのマット・デイモンのように見える。しかし、マット・デイモン演じるジェイソン・ボーンは恐るべき格闘能力を備えているが、本作のケーリー・グラントは全く格闘能力などない。最後の最後で火事場の馬鹿力を発揮するだけだ。

 こうやって考えると、まさにハリウッド映画を代表する大ヒットシリーズであるダイ・ハードシリーズ及びボーン・シリーズに影響を与えていたんだと気付かせてくれるストーリーとは如何なるものか。
 ホテルのロビーで会合していた広告会社の重役であるロジャー・ソーンヒル(ケーリー・グラント)だったが、2人組みの男に連れ去られる。ある大邸宅でタウンゼントと称する謎の男(ジェームズ・メイソン)から『キャプラン君、さっさと知っている秘密を教えたまえ!』と恐喝される。ソーンヒル(ケーリー・グラント)は必死で自分はキャプランじゃないことを説明するが、全く相手にされないどころか、無理矢理酒を飲ませれて車に乗せられ、危うく崖から車ごと転落しそうになる。命は助かるが警察から酔っ払い運転及び乗せられた車の盗難で捕まってしまう。
 罰金を払って保釈されたソーンヒル(ケーリー・グラント)は、自分が間違えられたキャプランとはいったい何者か探ろうとするのだが、その過程でタウンゼントが国連の総会に出席していることを知る。ソーンヒル(ケーリー・グラント)は国連へ出向き、タウンゼントに会いに行くのだが、現われたのは自分が知っているタウンゼントとは全くの別人。目の前の本物のタウンゼントと話している最中にタウンゼントの背中に短剣が刺され殺されてしまう。その写真が大々的に新聞に載せられたソーンヒル(ケーリー・グラント)は殺人犯として警察から追われることになってしまう。
 自分の無実を晴らすためにキャプランと会って話をすることが早期の解決方法だと考えたソーンヒル(ケーリー・グラント)は、彼の行方を追うために寝台列車に乗り込むが、そこで謎の美女イヴ・ケンドール(エヴァ・マリー・セイント)と出会うのだが・・・

 ロジャー・ソーンヒル(ケーリー・グラント)が、なぜキャプランなる人物に間違えられてしまったのか?これがなかなかのギャグであり、自信たっぷりのアホな2人組みが笑える。そして、さらに笑えるのがキャプランの正体。ヒッチコックというのは本当にギャグのセンスが良いようで、ソーンヒル(ケーリー・グラント)がキャプランが泊まっていた部屋に入ってする行動なんかはその例だろう。
 そして、この映画は観光気分にさせてくれるのも良い。国連ビル、グランドセントラル駅、そして四人の大統領が彫られたラッシュモア山、それぞれを舞台にしたスリルは流石はヒッチコック。彼の手にかかると自由の女神もラッシュモア山も単なる映画の小道具に過ぎない。
 ソーンヒル(ケーリー・グラント)とキャプランの待ち合わせ場所はマジかよ!と思わせるし、またその場所でソーンヒル(ケーリー・グラント)に起こる悪夢のような出来事もスリルがあるというより楽しいシーンだ。
 
 他にもサングラスや剃刀を使ったギャグやボケは笑えるし、その他の小道具の使い方も抜群。二転三転するドンデン返しは初めて観る人はへぇ~!と驚かされる。オープニングから凝っているビジュアルセンスは視覚的にも良いし、ここぞというときに使われる音楽も効果的。そして中央情報局で行われている会議での好い加減な会話は笑えるし、そして最もヒッチコックらしさを感じさせるのが、ロケショーンとセットの違いがハッキリわかる適当さ。そして出鱈目なオチ。そしてヒッチコック映画に映えるブロンド美女の登場、そして当時の世界が冷戦状態であったことを皮肉る風刺など褒めることがたくさんありすぎる。
 今の映画の特撮シーンの迫力には敵わない場面も見受けられるように思えたりするが、逆に言えばそのことが今観れば新鮮に感じる。ちなみに俺が観たことのあるアルフレッド・ヒッチコック映画の中では最も好きなのがこれ。それだけでも映画北北西に進路を取れは多くの人に観てもらいたい作品だ

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ワーナー・ホーム・ビデオ


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 監督は前述しているアルフレッド・ヒッチコック。多くのお勧め作品があるが、そんな中でも少々異色的な作品としてハリーの災難を挙げておこう。

 出演陣で注目したいのは落ち着いた雰囲気を醸し出している悪役であるジェームズ・メイソン。スタンリー・キューブリック監督のロリータ、キャロル・リード監督の邪魔者は殺せがお勧めです。

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