父の初盆である。墓掃除が気になってはいたが、毎週日曜日は休めない。反対に休めないのが現状だ。すると息子の休みと合わない。早めに掃除に行っていて、草丈が20cmばかりになっている。昨夜雨であったため、手で持つと抜ける。
息子は、華筒の水を入れ替え、嫁は華を活け、孫たちはそれを手伝っている。それが済むと、線香と蝋燭に火を灯し、ご先祖の墓にも置いていく。火事にならぬよう短めの線香と蝋燭だが、気をつけるのに越したことはない。父母の仮墓には、花籠を置いた。
本来は、盂蘭盆会には、お墓には不在である。然しながら、深閑とした家屋には、人の気配すらない。玄関は施錠され、田畑は農薬漬けで荒れ放題だ。ミミズもいない有様に愕然とする。除草剤を撒いた後らしく、草が赤茶けていた。
父母の無念さを、祖母の想いを偲ぶほどに、哀しみが胸にこみ上げた。せめてものできることと、息子の家族と、墓参りに通っている。父母の姿は消えても、魂は心の中にある。毎朝のお茶湯に加えて、今朝はおはぎを供えた。
枇杷葉にウンカがまぶれている。エキスを吸うので、直ぐに葉が黄色だ。トルコ桔梗が小さな花を咲かせた。百日紅の鮮やかな花と、薔薇が咲き続けている。鉈豆が思いの他生っている。蜘蛛があちこちで巣を張る。通ろうとして顔にかかる。
火星。赤い星である。水無月も終り、次には文月が控えている。