春夏秋冬の土用はあるが、夏には暑気祓いの意から、特に鰻の需要を試みたためで、江戸時代から続いている。個人的には、鰻は好まないので、価格が上がろうが、天然物がなかろうが、さしたる問題ではない。うなぎパイもイマイチ。
夏の暑気祓いには、枇杷葉が用いられてきた。枇杷葉の生葉と、ドクダミや肉桂、甘草等、七味を加えた物を煎じて、枇杷葉湯として、天秤棒を担いで、売り歩いたとある。枇杷葉は、汗疹や加齢臭にも効果がある。桃の葉は汗疹にいい。
枇杷葉湯の七味には、桑や柿も合った気がする。毒消し・玄草や神輿草もだろう。手近な薬草で、探せば何処にでもある物であった。元手が掛かっては儲からない。現代では、ペットボトルに入った便利な容器で売っているが薬効は薄い。
加えて、防腐剤や保存剤、その他様々な物が混入しているので、不信感が募る。自分で育てて、無農薬の安心したお茶を飲みたい。体を壊すのと、手間を惜しむのとは別だろう。病気になりたくないので、最低限の予防を試みているのだ。
高齢になって来ると、眼の中に色々と視えることがある。霞が懸かっているような、どうにも癪に障る物だ。これが、枇杷葉茶で顔を洗ったり、蒸したりする内に消えた。鬱陶しい梅雨が明けた感じ。視力自体は急展開はしない。衰えはある。
勤務中に、足元の不安定な方を支えようとして、ベッドの柵に右足の腿をぶつけた。激痛が走ったが、転倒を避けられた。帰宅して見ると、青くなって腫れている。枇杷葉の焼酎漬けを、患部に貼って小一時間。荒れれ・・・殆んどわからない。
打ち身、捻挫、擦り傷、切り傷、虫刺され、水虫、田虫、ニキビ、吹き出物、紙魚、雀斑、結膜炎に膀胱炎にも。別名が医者要らず、無痛扇、大薬王樹とも呼ばれる。お釈迦さまが使われていたとも。日本では奈良時代に、光明皇后が有名だ。
枇杷湯に入ると、冬は湯冷めがしない。夏は、さっぱりと汗が引く。べとつかず、爽やかになり、体の火照りを取り去る。反対に冬には、ほかほかと体が温まるので、朝までぐっすり眠れるし、夜間の失禁もないので、起きることもなく安心だ。
春未だ肌寒い日。せっかちな慌て者の感じで咲き始める。淡い陽射しに、精一杯の背伸びして。