自分の中で迷っている時には、時間をかけて思案するが、決めたなら実行する。結果がどうであれ、他人の責任にせず、貶めず、覚悟を以ってあたりたい。何もかもが巧くいくとは限らずで、落ち込むこともあるのが人間だ。時が過ぎゆくのを待ち、ゆったり構えていたい。然し、これには儲けがない。
ところが見返りを考えてもいなかったのに、お礼で貰ったり、想いも掛けない展開になることもある。枇杷葉を信じて、ひたむきにしていれば、天と地とが知っているんだな、と驚いた。自分の利益優先より、誰かが喜んでくれればいい。その歓びは、還ってくるんだね。運命の連鎖を想ってしまった。
勤務先で、残業はもらえないと申告しないが、ずるく立ち回る者は、都合のいいように言っている。そういう者には、神さまはちゃんと知っていて、それなりのことを下すのだ。善行は行えないが、悪行はばれてしまう。隠しても、誤魔化しても、真相は明らかになる。自分の行いは責任の取れる範囲で。
宮部みゆきさんの新刊。これまでに怪奇話しを読んだが、今回のは総毛だった。人間の強欲、修羅とも言うのかもしれない。けれども、阿修羅は、そういうのとは違い、そのお顔を見れば、何とも不思議な想いに捉われるのだ。生きているからこそ、人減は試される。死への恐怖で、凝り固まってしまう。
妬んではならず、羨むことも避け、悲観もせず、自分に見合った生き方と、悟れる者ばかりではないから、人を殺め、陥れ、嘘をつき騙す。そういうのが心を透かして視えるので、何だかとても淋しくなる。苦労した等、序の口である。上っ面のところだけ話しても、真実は通じない。宇宙も神も一つである。
還暦を過ぎたら、怖い物は無くなった。死んでいる者に、恐怖を感じることも少ない。この世とあの世の境目に、留まっていることの方が恐ろしい。そういった想いが災いをもたらし、嫉みの中に巣を作って棲む。人間は、愚かだと知っていれば、厄も転じるが、凡そ欲には勝てない。
夕方の天に眼を遣ると、月が輝いていた。これほどまでに美しい、恒星の光を知っている?