ふみこは、目の前に見えていることがどう考えても信じられないでいる。リョウには慣れていることも、どれもがふみこは初めてだ。ここが月世界であり、ふみこの住んでいる暮らしとの差があまりにも大き過ぎる。リョウの話すことばも説明にはならずで、よけいに混乱していく。それなのにリョウの泣きべそは弱い。
ばあちゃんの、ふみこを気遣う顔が浮かぶのだ。あのね月の時間は地球の三分の一なんだよ、白兎と玉兎に送らせるからね。あ・リョウが笑ってるわ、ふみこはしてやられたことに気づいたが怒る気にもならない。リョウはふみこのよろこびそうな物は何かと、部屋中に並べる。その中に白い反物を、ふみこは見つけた。
これ!きれいじゃねぇ、まるで月の光で織ったみたいじゃな。ふみこは、その布の輝きにじっと瞳を凝らした。白い布なのに、見る角度から赤や青にも変わり虹のように七色にもなっていく。いいよ、ふみこに上げるから持ってお帰りよ。ううん、もらえん高いんじゃろ。リョウは、にこっとしてこれを着て踊れば?
ふみこは学芸会の舞台で、この衣装をつけ踊る姿を思った。でもこれは月世界の物で、リョウがくれると言っても無理なことは分かるふみこだ。そんならこれをちょうだい、ふみこはガラスの筒が中心で細くなり片方に砂が入っているのを見せた。ああ砂時計だね、その中には月の砂が入っているよ。これにする。
リョウは、ふみこが少しでも長くいてくれるかと次々に玩具を取り出す。独楽もあれば、竹馬や市松人形さえある。幼馴染の家にある人形は、ふみこが貸してもらえるはずもなく買うなど無理は知っている。貧しいということが、ふみこを真っ暗な奈落に突き落としていく。リョウとは何もかもが違うことに気づいた。
ばあちゃんの、ふみこを気遣う顔が浮かぶのだ。あのね月の時間は地球の三分の一なんだよ、白兎と玉兎に送らせるからね。あ・リョウが笑ってるわ、ふみこはしてやられたことに気づいたが怒る気にもならない。リョウはふみこのよろこびそうな物は何かと、部屋中に並べる。その中に白い反物を、ふみこは見つけた。
これ!きれいじゃねぇ、まるで月の光で織ったみたいじゃな。ふみこは、その布の輝きにじっと瞳を凝らした。白い布なのに、見る角度から赤や青にも変わり虹のように七色にもなっていく。いいよ、ふみこに上げるから持ってお帰りよ。ううん、もらえん高いんじゃろ。リョウは、にこっとしてこれを着て踊れば?
ふみこは学芸会の舞台で、この衣装をつけ踊る姿を思った。でもこれは月世界の物で、リョウがくれると言っても無理なことは分かるふみこだ。そんならこれをちょうだい、ふみこはガラスの筒が中心で細くなり片方に砂が入っているのを見せた。ああ砂時計だね、その中には月の砂が入っているよ。これにする。
リョウは、ふみこが少しでも長くいてくれるかと次々に玩具を取り出す。独楽もあれば、竹馬や市松人形さえある。幼馴染の家にある人形は、ふみこが貸してもらえるはずもなく買うなど無理は知っている。貧しいということが、ふみこを真っ暗な奈落に突き落としていく。リョウとは何もかもが違うことに気づいた。