鶴岡美代子先生 第4歌集 『日付変更線』 上梓 おめでとうございます
著者 鶴岡美代子先生は、昭和61年 「軽雪」 入会、土屋正夫先生に師事。
土屋正夫先生が2007年7月27日 (92歳) でご逝去後、結社誌 「軽雪」 編集発行人、選者。
現代歌人協会会員
昭和19年の会会員
十月会会員
日本歌人クラブ千葉県幹事
平成20年より今日まで客船飛鳥Ⅱの船上短歌教室担当 (1回の乗船およそ1ヶ月余)
平成23年8月 NHK学園講師就任。
この度、歌集 『緑風抱卵』 (平成18年) に続いて第4歌集 『日付変更線』 を上梓されました。
いつも丁寧に、厳しく、優しくご指導を頂いております先生のご活躍に心から を贈らせて頂きます。
「あとがき」 より一部ご紹介させて頂きます。
本書は私の第4歌集である。 『緑風抱卵』 以後の平成18年夏から平成22年の作品の中から440首
を収録した。 但し、平成22年の作品の一部は次集に入れることにした。
題名の 『日付変更線』 は、
朝ドラを四時間おくれで見むとすも受信不可能 日付変更線上
の作品から、友人が選んでくれた。
私自身、この期間の私にぴったりの題名と思った。友人に感謝している。
(中 略)
題名のご揮毫は、金敷駸房氏にお願いいたしました。氏は毎日書道展および創玄展の審査員をはじめ
NHKの大河ドラマの書道指導など広く活躍されておられ、将来日本の書道界を担われるお方です。
今春の飛鳥Ⅱオセアニアグランドクルーズに講師として乗船され、ご一緒したご縁です。
(後 略)
とお書きになられております。
先生の沢山のお歌を学ばせて頂きましたことは勿論ですが、題名の素晴らしい文字も印象深く拝見させて頂きました。
尚、題字は写真では黒く見えますが、実際は金文字が輝いております。
11月の短歌教室に於いて 『日付変更線』 について感想を述べ合いました。
男性S様の感想をご紹介させて頂きます。
題名の 『日付変更線』 がユニークで面白くその由来もいい。この由来からすれば私は、とっくに変更線を通過している。
この線を越した後の毎日が大切だと考えている。
一読して感じることは、広範囲にわたる事象を極めて平易な言葉で且つ、解りやすく詠んでいることです。
このことから、読み始めたら次々にページをすすめる魅力を感じました。
440首の歌の中に著者が尊敬して止まない土屋先生を歌ったものが1割の43首にも上っている。
心から尊敬する師を得ることは至難のことで、それを為し得た著者はそのことだけで人生の達人と言えるのではないか。
生老病死は万人が避けがたいこととはいえ、土屋先生の事となれば特別の感情のあった事が伺える深い愛情を注ぎつつ厳しく指導下さった先生との師弟愛がみごと。
此の度はいけないようだと吾に告ぐ平成十九年五月お宅で
前日が九十二歳の誕生日 「ありがと」 2回が最後のお言葉
先生の一生思はするご尊顔まこと品位と威厳をたたふ
遺歌集を編みゐる夜の庭に啼く不如帰もしか土屋先生
メモ書きの文字はわれしか読み得ぬと遺稿とけふも会話している
他に十九年会の伊東悦子さんを悼む歌にも感動した。
「馬つ鹿が」 といくたび諭し呉れたりき君ゆきてもう利口になれず
十九年のメンバーに通知出し終へて君宛のラベル一つが残る
冬の海を見たいとのご主人のつぶやきを聞き逃さない細やかな思い遣り、多くは語らないが40年連れ添った夫婦愛が醸成されて美しい。
四十年ひたすら働き来し夫の冬の海見たしとつぶやくをきく
九十九里の冬の落日ながめつつ互みの胸中言葉に出さず
落日を見届けむと佇めば 「目を痛めるな」 と夫が後方に
最後の一首
駅前のスクランブルの雑踏の人の数だけかなしみあらむ
以上
最後のお歌は現代の世相を詠まれましたお歌と、感慨深く拝読させて頂きました。
先生の益々のご活躍とご健勝をお祈り申し上げましてご紹介させて頂きました。