あなたは早起き型か、それとも夜更かし型か、その違いが生じる理由は遺伝子にある可能性があるかもしれないという研究結果がNature Communicationsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。すべての動植物は、24時間周期の体内時計を持っていることがこれまでの研究で明らかになっていますが、このサーカディアンリズムのなかでも、ヒトを含むいくつか生物では、昼または夜に対する自然な選好が個体ごとに存在する可能性があるというのです。研究では、8万9283人のゲノムを糸口に調査。健康で朝の方が調子が良いと回答した人には、特定の遺伝子変異十数個以上との明確な関連が示されたそうです。また早起き型は、不眠症に悩まされたり8時間以上の睡眠を必要としたりするケースが少なかったとも。さらに、夜行型約56%の人と比べて、鬱病になりにくい傾向にあったそうです。早起き型は身長と体重の比を表すBMIすなわち肥満指数も低く、一般的に健康度が高いこと。こうした結果には、年齢および性別の影響も考慮されているそうです。ただし、こうした相関関係は必ずしも因果関係を意味するものではないとも。
ある経験で強い精神的ショックを受けたあとに、同じような状況になると恐怖症状がぶりかえす心的外傷後ストレス障害(PSTD)。これまでの研究は症状が明らかになってからのものが多く、トラウマ直後のケアについては不明な点が多く残されていたそうです。今回、経験から6時間以内に、よく見知った場所に行くと、その場所でも恐怖反応を示すようになることがマウス実験で明らかになったそうです(財経新聞)。PTSDの患者は、トラウマ記憶の汎化という症状によって長期的に不眠などに悩まされるそうです。記憶の汎化とは、通常では関係性のない複数の事柄がトラウマ記憶と結びついてしまう現象を指すそうです。研究では、恐怖経験直後にどのような条件で記憶の汎化が生じるかを検討したそうです。その結果、学習から6時間以内に記憶の汎化が起こりやすいことを発見。さらに、汎化が成立する条件を詳細に検討すると、6時間以内によく見知った場所に行くと、その場所でも恐怖反応を示すようになる(汎化が起こる)ことが明らかになったということです。
歩数や消費カロリー量、心拍の速さなどを追跡記録するリストバンド型機器の人気が高まり、多くのユーザーが利用していますが、これらの機器には、体内で何が起きているかを示す分子レベルでの健康状態を評価する機能は備わっていないのが現状です。そして、健康状態を簡易に評価するという機能を実現させる機器が開発されたとの論文がNatureに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。新たな機器では、汗を分析することで、この機能を実現させると見込まれているそうです。測定には、皮膚にぴったりと付く柔軟性の高いセンサーとマイクロプロセッサーで構成されるウェアラブル(装着型)の機器を使用。装着した機器は、汗に含まれるナトリウム、ブドウ糖、カリウム、乳酸塩などの化学物質を分析する他、筋肉疲労、脱水症、危険なほど高い体温などの指標となる皮膚温度も測定。得られたデータは、スマートフォンのアプリにリアルタイムで中継・分析されるそうです。汗は、特定の病気の診断や薬物使用の検出などの目的ですでに用いられているそうですが、この場合は検査所での分析となるため、サンプルを送付する必要が。また、リアルタイムでの連続的な分析は、軽量で柔軟性が高い装着式のモニター機器がないと困難と考えられてきたそうです。今回の最新機器は、これらの問題をすべてクリアしており、さらなる応用の道が開ける可能性もあると論文の執筆者らは指摘している。
英国政府は、不妊に悩む女性に希望を与えることを目的とした研究で人間の胚を遺伝子学的に改変する研究を初めて承認したそうです(AFPBB NEWS)。今回の決定によって、英国は、科学の新たな領域に対してこの種の承認を与えた世界初の国の一に。ただし、改変された胚はすべて、14日以内に廃棄される必要があり、それを女性に移植することはできないそうです。この研究プロジェクトは、数か月以内に開始され、細胞内のDNAの挿入や除去、改変が可能な遺伝子編集技術「CRISPR/Cas9」が使用される予定だそうです。
エジプトの考古省は、首都Cairoの南に位置するAbusirのピラミッド群付近で、チェコの考古学チームが約4500年前の葬儀用の船を発見したと発表したそうです(AFPBB NEWS)。マスタバ(古代の墓)の発掘作業を行っていた同チームのメンバーらが、砂に埋もれ、石の土台の上に置かれていた全長18メートルの船の一部を発見。これほどの大きさの船を建造できるのは、当時、王族など社会の頂点にいる人々に限られていたと考えられ、墓の所有者が非常に高い地位にあったことを示しているそうです。この船を慎重に発掘して記録することは、古代エジプトの船や、埋葬の儀式における船の位置付けについてのわれわれの理解に大きく貢献する可能性があるそうです。
カラスは、姿が見えない別のカラスから見張られているのを察することができるとの研究結果がNature Communicationsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。人間に固有のものとかつては考えられていた抽象化の能力を、カラスが持つことを示す結果だそうです。賢い鳥として知られているカラスは、自分の動きを別のカラスが監視しているのではないかと疑っている場合、別の個体が実際にそこいなくても、餌を隠すために細心の注意を払うことを、一連の巧妙な実験で明らかに。今回の成果は、カラスが直接の目視に頼らずに、別の個体が考えているであろうことを理解する能力を持っていると示唆するものだそうです。
大人の人間の脳を、しわしわのクルミの実のような外見にしている深い溝は、大型で強力な処理装置を小さな頭蓋骨の中に収めるための自然の解決策だったとする研究論文が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。これまで、大脳皮質や灰白質と呼ばれる脳の外層に溝が存在する理由は以前から判明していた一方で、その形成の仕組みは謎だったそうです。この溝(脳溝)の形成が物理現象で説明できるそうです。大脳皮質の溝は、胎児の脳が成長するにつれて、複数の弱い箇所にゆがみが生じることによって発生するそうです。人間の胎児の脳は、最初は溝がなく滑らかな状態で、受精後20週頃から溝の形成が始まり、子どもが月齢約18か月になるまで続くそうです。脳溝構造を成す大脳皮質の表面積は、人間の頭と同じ大きさの、脳溝のない脳の表面積の3倍近くに及ぶそうです。大脳皮質として知られる灰白質は、下部の白質に比べて、脳の成長期に神経細胞の数、大きさ、形状、位置が全て相まって急激な膨張を起こし、これにより大脳皮質が圧迫されることで、力学的不安定性が引き起こされ、それが原因で脳に局所的に溝が生じるそうです。
魚介類を摂取すると脳内の水銀量が増える可能性があるそうですが、水銀の増加が認知症リスクを高める可能性はなさそうだとする研究結果、JAMAに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。研究結果は、平均年齢90歳で死亡した286人の遺体解剖に基づいたもので、調査の参加者は平均して死亡する約5年前から、質問票を通じて、自分の食物摂取の報告。この結果、魚介類をより多く摂取した人は、脳内の水銀量もより高かったそうです。しかし遺体解剖では、脳内の水銀が多い人ほど、脳疾患の兆候が増加する傾向はみられなかったというもの。神経毒である水銀は、廃棄物の焼却や石炭火力発電の際に大気や水を経路とし、魚に蓄積。認知や脳の発達に対する水銀の毒性作用は、魚介類に含まれている必須栄養素のセレンによって、その悪影響が低減されている可能性があると考えられるようです。また魚油サプリメントを摂取した人たちは、脳の健康の点では向上も低下もなく、統計上有意な変化はなかったそうです。この研究は、脳の健康と水銀レベルとの関係を調べた初めてのもので、実験参加者の大半は白人で、67%が女性。したがって、今回の結果は若い世代やすべての民族には当てはまらない可能性があるとも。
帝王切開で生まれた新生児に、有益な細菌を与える方法を発見したとの研究結果がNature Medicineに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。体全体を覆う保護膜を形成する細菌は、自然分娩時に産道で体内に取り込まれるそうですが、帝王切開児はその機会を逸しているとされているそうです。人間の皮膚、口、腸などに生息する細菌は、消化、代謝、免疫などで重要な役割を担っていますが、生涯にわたる恩恵をもたらすと考えられている通路の産道を経由せずに生まれる帝王切開児の体内細菌は、産道を通る自然分娩児とは大きく異なるそうです。統計上、帝王切開児は後年に肥満、ぜんそく、アレルギー、免疫不全などを発症する可能性が高いそうです。これは、自然分娩でもたらされる細菌が施す『教育』を、帝王切開が妨げているからと考えるようです。そこで、帝王切開で生まれた新生児に、母親の膣から採取した体液を塗布。この新生児を30日間観察した結果、自然分娩児が持つ細菌の全部ではないが一部が、新生児の体内に取り入れられていることを確認したというものです。
より多くの赤ちゃんにより長期間にわたり母乳を与え、賢く高収入の子どもを育てることで、世界で年間約3000億ドル(約36兆円)の経済損失を防げるとの研究論文がLancetに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。また、年間80万人以上の子どもと約2万人の乳がん患者の死を回避できるとも。研究は、健康面と経済面で実証された母乳の効果に対する科学的検証とメタ分析28件の結果を基にしたものだそうです。さらに、母乳は平均寿命を「劇的」な向上に導くと結論づけているそうです。高所得国では、幼児の突然死のリスクを3分の1以上低下させ、中低所得国では、下痢症状の約半数と呼吸器感染症の3分の1以上を減少。合計すると、毎年約80万人の子どもの命を救えることに。知能も増すとされているそうで、研究で実施されたモデリングでは、母乳を与えないことが原因の認知力の低下による2012年の世界経済の推計損失額は、3020億ドル(約36兆円)に達したそうです。