歩けば楽し

楽しさを歩いて発見

  思い出を歩いて発掘

   健康を歩いて増進

シロアリ社会、死ぬリスク高い最前線で戦うのは老兵

2018-03-19 | 生物
 京都大農学研究科松浦健二教授、柳原早希同修士課程学生、三高雄希同特定研究員らの研究グループは、「シロアリの社会における個体の年齢と役割分業の関係を分析し、高齢の兵隊アリが死亡リスクの高い最前線で天敵と戦う役割を担い、若い兵隊アリは死亡リスクの低い巣の中心部で王や女王の近衛兵としての役割を担っている」ことを明らかにした。
 研究グループは、野外で採取したシロアリの女王アリや働きアリ、兵隊アリを、人工的に作った巣に入れて観察した。兵隊アリは巣の防衛に特化した役割を担い、一部の働きアリが脱皮して兵隊になってから約5年間生きるとされる。
 約1ヵ月後、脱皮したばかりの新兵アリと脱皮から1年以上たった老兵アリの巣の中での配置の関係を調べた。その結果、女王アリの王室がある巣の中心部付近に新兵アリが集中、離れた場所は老兵アリが多かった。老兵と新兵では外敵に対する防御力に差はないが、老兵の方が積極的に天敵を攻撃することが実験で分かった。
 余命の短い個体が死亡リスクの高い仕事を引き受けることによって巣全体として機会損失を最小化し、防衛力を効率的に維持している。
 これより、昆虫の社会における高度な分業システムの実態や、年齢による分業が生まれるメカニズムの解明にも取り組む、と言う。

 ”ロウバイ”には大きく見て、2種類ほどが知られている。”ロウバイ”と”ソシンロウバイ(素心蝋梅)”である。”ロウバイ”は中央部が暗紫色で、花弁は黄色。”ソシンロウバイ(素心蝋梅)”は、蝋細工の様な艶のある黄色で、中央部の色も黄色、花弁も花中心も同じ(黄色と同色)なので、”ソシンロウバイ”と付いている。
 街の散歩で見たのは、基本種の中心部が暗紫色の”ロウバイ”。
 名(ロウバイ:蝋梅)の由来は、「蝋細工の様な梅に似た花」説、「花色が蜜蝋(みつろう)に似ている」説、「臘月(ろうげつ、旧暦の12月)に、梅に似た香りの花」説がある。
 ロウバイ(蝋梅)
 別名:唐蝋梅(とうろうばい)、唐梅(とうばい、からうめ)
 ロウバイ科ロウバイ属
 落葉低木(丈は2m~4m)
 原産地は中国、17世紀頃に渡来
 開花時期は1月~3月
 花径は2cm程


ウンシュウミカン「宮川早生」の全ゲノム配列を解読

2018-03-03 | 生物
 農研機構は国立遺伝学研究所と共同で、ウンシュウミカン「宮川早生(みやがわわせ)」の全ゲノム解読に成功したと発表した(2月20日)。カンキツ類のゲノム解読としては、世界で4番目であるが、ウンシュウミカンの解読としては世界初となる。
 ウンシュウミカンは日本を代表するカンキツで、国内カンキツ生産の約70%を占めている。
 優れた特性は、
 1、果実に種子がほとんどない
 2、手で簡単に皮をむくことができ食べやすい
 3、健康機能性を有するβ-クリプトキサンチンを高濃度に含有している
 ウンシュウミカンは今から400~500年前に九州地方で発生したとされる。その後日本各地で接木繁殖される過程で、さまざまな突然変異系統(枝変わり)が見出されて選抜されてきた。その早生の変異系統の一つ「宮川早生」は、果実特性が優れていることから各地の主要な生産系統となっているだけでなく、「ゆら早生」や「上野早生」など多数の変異系統が見出されている。品種育成にも積極的に利用され、清見や不知火(デコポン)など70を超える品種・系統の親となっている。
 ゲノム解読では、ゲノムの大きさが3億5,965万塩基対と解明。カンキツの基本染色体数と対応する9本の配列を得ることに成功した。ゲノム配列中に29,024個の遺伝子の存在を推定し、その85%について機能を予測することができ、その中から結実性等に関与する植物ホルモンのジベレリンの生合成・分解に直接関わる遺伝子など、農業上重要な遺伝子91個を特定した。従来知られていなかった遺伝子も複数特定、ウンシュウミカン固有の可能性のある1761個の遺伝子も見出した。
 今回の研究では、近年開発された複数の高速DNAシーケンサ技術と新たなデータ解析手法を活用し、部分的に解読された短い塩基配列を段階的に結合することにより、ウンシュウミカンでの全塩基配列の解読に成功した。
 本成果で得られた全ゲノム配列を利用すれば、ゲノムワイド関連解析を利用した果実形質や栽培性に関わる重要遺伝子の機能推定が高速化され、カンキツの品種育成をさらに効率化できると期待される。

岩手県大槌町船越湾で発見、92歳の長生き貝

2018-02-05 | 生物
 東大大気海洋研究所の白井厚太朗助教らの研究チームが、岩手県大槌町船越湾で92年間生きた”ビノスガイ”という二枚貝を見つけた。
 東日本大震災の津波の影響を調べていた研究チームが見つけた”ビノスガイ”は、1960年のチリ地震と2011年の東日本大震災、二度の大津波を生き延びたことになる。
 ”ビノスガイ”は幅約10cmで、貝殻の断面にあるしま模様が樹木のように年輪になっていることを確かめ、年齢が分かった。因みに、年輪の数え間違えが無いかを確認するために、年輪計数により1950年以前に形成されたと判断された部位に、1950年代に行われた核実験由来の放射性炭素が含まれていないことを確認した。しま模様からは、40~50年周期で成長速度が増減していることも判明。大西洋の長周期気候変動と似た傾向だといい、白井助教は「太平洋と大西洋は北極海を介してつながっており、なんらかの共通するメカニズムがある可能性が考えられる」と指摘した。
 研究チームは北海道紋別市でも長寿のビノスガイを発見。日本一寿命が長い海産二枚貝としている。貝殻の成長状況を調べることで、観測記録がない時代の気候変動が分かると言う。
 ◆ビノスガイ(Stimpson's hard clam)
 地方名・市場名
 オオスダレハマグリ、カラガイ、カラマキ、ソバモヂ、ソバモチゲィ、タバコガイ、タボコガイ、ビノシガイ、マサソバモチ
 生息域
 海水生。東北以北。水深5m~30mの砂地。
 生態
 福島県~北海道の太平洋側でホッキガイ漁(ウバガイ漁)のときに混ざる。
 貝殻が厚く、熱を通すと硬くなるので人気がない。安い。
 殻長10センチ前後になる。
 貝殻は厚く、貝殻はほんの少し赤味を帯びた灰色。貝殻の表面にざらざらした輪肋がある。

女王アリは体内で精子10年超貯蔵

2017-09-01 | 生物
 ハチ目昆虫(アリ、ハチ)では、女王とオスは羽化後の限られた時期のみ交尾をする。女王はその時に受け取った精子を精子貯蔵器官「受精嚢」に寿命が続く限り貯蔵し、産卵時に必要な数の精子のみを取り出し受精させる。アリの女王は他の昆虫より極めて長寿であり、多くの種で10年以上、記録では29年生存する種も報告されている。言い換えれば、女王アリは膨大な数の受精卵を生産するだけの大量の精子を受精嚢内で寿命と同じ位長寿化させている。動物のオスの精子は交尾後数時間から数日で著しく劣化して受精能力も低下することを考えると、女王アリの精子貯蔵能力は極めて特殊と言える。
 甲南大学理工学部の後藤彩子講師、基礎生物学研究所の重信秀治特任准教授、山口勝司技術職員、筑波大学の小林悟教授、香川大学の伊藤文紀教授、琉球大学の辻和希教授らの研究グループは、女王アリの精子貯蔵器官ではたらく遺伝子を特定した(7月20日発表)。
 研究グループは数千個体も女王を用意できる「キイロシリアゲアリ」という種の女王を材料として用いた。その受精嚢でどのような遺伝子が活発にはたらいているかを、RNA-seq法と呼ばれる次世代シークエンサーを利用した技術で特定した。精子貯蔵に関与すると予想していた抗酸化酵素、シャペロンタンパク、抗菌タンパク、受精嚢内環境に影響するイオンや糖輸送体、合成酵素をコードすると考えられる遺伝子や、具体的な機能は不明だが発現量が極めて多い遺伝子も見つかった。これらほとんどの遺伝子は受精嚢だけではなく、卵巣や中腸などの活動的な器官でも発現していた。一方、受精嚢のみで強く発現している遺伝子を12個発見することができた。これらの遺伝子の機能は他の生物の生殖器官ではまったく知られていないため、これらが女王アリの精子貯蔵に特殊化した機能をもつ遺伝子であることが期待できる。
 現在、畜産や不妊治療の現場では、家畜やヒトの精子は液体窒素により凍結されて保存されている。女王アリの特殊な精子貯蔵メカニズムが解明されれば、家畜やヒトの精子を低エネルギーかつ高品質で保存できる技術の開発につなげられると期待される。

 急に涼しくなってきた。10月上旬ころの気温らしい。
 畑の近くに雑草地があり、草木が生い茂っている。その中に”アカネ”が張り付き、花が咲き出していた。
 ”アカネ”はアカネ科のつる性多年生植物。つる性ではあるが巻きつかず、他の植物などに引っかかるようにして伸びる。四角い茎には細かい棘(トゲ)がある。葉はハート型で輪生する様な4枚が見える。でも2枚は托葉が変化したもので、実際は対生(これを偽輪生と言う)。
 花は枝の先や葉のわき(葉腋)から花序を出す。花は目立たない黄緑色~白色の合弁花(5弁花様)、花冠は径4mm程である。
 ”アカネ”は「赤根」の意で、その根を煮出した汁にはアリザリンが含まれ、これを使った草木染めが古くから行われている。これを茜染と呼び、その色を茜色と呼ぶ。昔昔(万葉の頃)、朝日の出る頃の空の印象を「茜さす」と表し、多くの詩歌に詠んでいる。
 因みに、赤坂 (東京都港区) は古くは「茜坂」と呼ばれていた、これは”アカネ”が群生していたから、と言う。
 アカネ(茜、赤根、日本茜)
 別名:茜蔓(あかねかずら)
 アカネ科アカネ属
 蔓性多年草(冬には地上部は枯れる)
 開花時期は8月~10月
 花は基部がつながっている合弁花、花冠は5裂して平開
 花冠は径4mm程で、花色は目立たない黄緑色~白色
 果実は直径8mm程、液果で黒く熟す


ニホンアマガエル、国内東西で遺伝的差異がある

2017-01-17 | 生物
 ドイツ・スイス・中国・ロシア・韓国と広島大学の三浦郁夫准教授の国際研究チームは、4ヶ国(日本、韓国、ロシア、中国)に生息するニホンアマガエル(Hyla japonica)の遺伝的な地域差を調べ、大きく2つの遺伝的グループから構成されていることを明らかにした(研究成果は、2016年11月23日、「BMC Evolutionary Biology」に掲載)。
 日本列島の本州中央部を境界にして東西に大きく分かれ、各グループが近隣国の集団をも含むことが示された。東西のニホンアマガエルは見た目はあまり変わらないが、従来の単一種ではなく、少なくとも2つの異なる種から構成されている可能性が示された。
 広島大の三浦郁夫准教授らは、国内各地で採取された約200匹から2種類の遺伝子の塩基配列を解析して比べた。三重県より東側(東日本)で見つかったカエルと広島県より西側(西日本)で見つかったカエルとでは、遺伝子の特徴が異なることがわかり、500万年ほど前に分岐したと推定された。東日本のカエルは国後島やサハリンあたりまで、西日本のカエルは、韓国・中国・ロシア沿海州あたりまでのカエルとそれぞれ同じ特徴を持っていた。
 近畿地方と中国地方の間が「分水嶺(ぶんすいれい)」になったのかは、チーム内でも見解が分かれる。この地域に浅い海が広がっていた時代があり、地形的に分断されたとする説と、大陸で互いに分岐した後に東西別々のルートで日本に入ってきたという説があると言う。
 ◆ニホンアマガエル (Hyla japonica)
体長が2cm~4.5cm。手足に吸盤を持ち、一般に背中が緑色のカエル。ほぼ日本各地に棲息する。5月から7月にかけて、主に水田で産卵する。
 普通のカエルは繁殖期の夜に鳴くが、ニホンアマガエルは「雨蛙」の和名の通り、雨が降りそうになると繁殖期でなくとも、昼間でも鳴くのが特徴。この時の鳴き声は「雨鳴き(あまなき)」「レインコール(Raincall)」などと呼ばれる。

 天気は晴れ。良く晴れた、気温が昨日より少し上がり、暖かさを感じる。・・最高気温6℃だけど。
 街に出かけた。大分前に開業した”一番町平和ビル”の壁面緑化を久しぶりに見てきた。開業したのは平成24年3月だから5年ぶりかな。
 壁面緑化システムは、ジョイントパネルを使用した”カセット式”。このシステムは国内外の大型博覧会(国際博)で採用されている。特徴は、植物の簡単交換、市販のポット苗の使用、潅水システム対応(専用チューブ配管、完全自動潅水システム)などである。(紹介のブログは、H24.3.15に)


悪性脳腫瘍を核酸で治療、マウスで効果確認

2017-01-09 | 生物
 脳腫瘍の中でも悪性度が高い膠芽腫の新しい治療法を名古屋市立大などの研究チームが開発した(12月24日、英科学誌電子版に発表)。
 チームは、リボ核酸のひとつ「TUG1」がないと、がんの元になるがん幹細胞が死ぬことを突き止めた。これより、「TUG1」と結合して働かなくする核酸を合成し、患部にだけ届くよう大きさを調整した薬剤を開発。これを膠芽腫のマウスに週2回、計10回注射すると、腫瘍が約180分の1に縮小した。明らかな副作用は見られなかった。
 名古屋市立大の近藤豊教授(分子腫瘍学)は、「膠芽腫が治ったと考えられる」としている。「今回開発した治療薬の安全性を確かめ、人間での実用化を目指したい」と言う。
 ◆脳腫瘍
 脳腫瘍は、悪性度によりグレードI~IVに分類されている。その中でもグレードIVの多形膠芽腫(GBM:Glioblastoma multiforme)は、ガンの中でも最悪中の最悪といわれる。膠芽腫は年間3000~5000人が発症する。
 旧来の治療法では、発見後の平均余命は1年2か月程で患者の90%以上が5年以内に死亡している。GBMの予後が非常に悪い理由のとして、浸潤性(腫瘍細胞が脳に染み込むように広がること)が高く、進行もとても早く(週単位で大きくなる)、手術による完全摘出が困難であることなどである。

 朝から小雨。昼頃より曇り空。寒い、最低気温数℃。明日からはもっと寒くなる・・。
 寒さに負けずに”フユサンゴ”が緑の葉と橙色の実を付けている。この実は、春の緑から黄~オレンジ~赤色と変化し、春まで楽しめる。冬の実は赤橙色でとても綺麗で、沢山付いている。まだ鳥に食べられていない。
 名(フユサンゴ:冬珊瑚)の由来は、冬の鮮やかな赤い色の実を珊瑚に見立た。果実は有毒とされ、食用に適さない。
 フユサンゴ(冬珊瑚)
 別名:玉珊瑚(たまさんご)、竜の玉(りゅうのたま)、玉柳(たまやなぎ)、ソラナム(Solanum)
 英名:Christmas cherry
 ナス科ナス属
 南アメリカ原産、明治の中頃に渡来
 半耐寒性常緑低木
 開花時期は5月~8月
 花冠は鐘状で先が5裂し白い星形、花径は1.5cm程
 果実は球形の液果で径1.0~1.5cm位、最初緑色で黄色・橙色となる
 実の鑑賞期は10月~12月


北極海のニシオンデンザメは400歳、脊椎動物で最長寿か

2016-08-13 | 生物
 コペンハーゲン大学の研究員ユリウス・ニールセン氏らの国際研究チームが、科学誌「サイエンス」に発表した(8月12日)。北極海などに生息する大型のサメ「ニシオンデンザメ」が400年近く生きることがわかった。脊椎動物としては最も長寿と言う。研究は、別の種の魚を狙っていた漁師が意図せずに捕獲したニシオンデンザメの雌28匹の眼球の水晶体に、放射性炭素年代測定法を適用した結果によるもの。
 ニシオンデンザメの成長スピードは1年で約1cm非常に遅く、長寿であろうと推測されていた。魚類の年齢測定は、頭部にある耳石(独特の溝と模様(輪紋)がある)を調べる。しかし、サメは軟骨しかもたないため、従来の方法では簡単には寿命を分析できなかった。ニールセン氏らの研究チームは、ニシオンデンザメの目の水晶体に含まれる放射性炭素の量から誕生年代を測定する方法で、寿命を推測した。
 これによると、ニシオンデンザメの平均寿命は少なくとも272歳とわかった。研究対象の中で体が大きかった全長が4m93cmの個体が335歳、5m2cmの個体が392歳と推定された。
 これまで脊椎動物の中では、ホッキョククジラが150年~200年程生きる最長寿とされていた。
 ◆ニシオンデンザメ(学名:Somniosus microcephalus)
 学名:Somniosus microcephalus
 英名:Greenland Shark
 分類:魚類・板鰓亜綱・ツノザメ目・オンデンザメ科
 生息地域:北極海、北大西洋
 全長:最大7m
 北極海に棲む唯一の大型のサメ。深海(水深1800m)にまで生息。
 体形は筒状で、短く丸い口吻、背ビレ・尾ヒレとも小さい。
 泳ぐ速度が遅く、世界一のろまの魚とも言われる。

 畑に行ったら””バジル”に白い小さな花が咲いている。虫除けにトマト株の間に植えたもので、今の所虫よけになっている。”バジル”には150種の栽培品種があると言われ、これは良く知られる”スイートバジル”。ハーブの一種で、スパイス(香辛料)として”ブッシュバジル”とともに良く使われる。”バジル”の葉はイタリアン料理に良く使われ、トマト・オリーブオイルと相性が良い。
 ”バジル”の和名は目箒(めぼうき)。グルコマンナンを含む”バジル”の種を水に浸すと30倍程に膨張し、半透明の白っぽいゼリー状の物質で覆われる。名の由来は、そのゼリー状の物質が目薬となり、目のゴミを取り除く事から。
 バジル(スイートバジル)
 別名:目箒(めぼうき)、バジリコ
 シソ科メボウキ属(オキマム属)
 多年草(日本では越冬できないので一年草扱)
 原産地はインド・アフリカ
 (インド、ネパールでは神聖な植物とされる)
 中国から江戸時代に渡来
 開花時期は6月~10月


D-アミノ酸を好む深海微生物を発見

2016-04-26 | 生物
 海洋研究開発機構 海洋生命理工学研究開発センターと京都大学は共同で、有人潜水調査船「しんかい6500」、無人探査機「ハイパードルフィン」等により深海から採取した堆積物から、D-アミノ酸を好んで食べて増殖する微生物を発見した(4月21日発表)。
 研究グループは、2001年から2008年にかけて相模湾の水深800~1500mから採取した深海堆積物から、D-アミノ酸を利用して増殖する微生物を計28株分離することに成功した。また、もっとも効率良くD-アミノ酸を利用する微生物について、その利用能を浅海から単離された近縁株と比較したところ、殆ど遺伝子上の違いがないにも関わらず、今回深海から単離した微生物のみが効率良くD-アミノ酸を利用する能力をもつことが分かった。
 一般的に生物が圧倒的に多く生産するL-アミノ酸ではなく、D-アミノ酸をわざわざ選んで取り込むという驚くべきこの性質は、深海のような栄養に乏しい極限環境で生き残るための生存戦略として急速に獲得されていったものである可能性が示唆される。こうした深海微生物の性質をさらに詳しく調べ、未だ謎の多いD-アミノ酸の機能が明らかにされ、新たな医用技術やバイオテクノロジー開発へ応用されることが期待される。
 ◆D-アミノ酸(英:D-amino acid)
 タンパク質を作るアミノ酸は不斉炭素原子を持つため、LとDの光学異性体(鏡に映るように向かい合った左右対称の立体構造)を持つ。通常のタンパク質には、L型のアミノ酸が使われる。
 生体を構成するアミノ酸20種のうち、グリシンを除いた19種には光学異性体2種類存在する。生物では、L-アミノ酸によって構成されている。しかし、近年の分析技術の向上により、高等生物体内にもD-アミノ酸の存在・利用が分かった。特に哺乳類で、D-アミノ酸の一種であるD-セリンが脳の様々な高次機能を制御していることが発見され、D-アミノ酸の生理機能や代謝経路が非常に注目を集めている。

 晴れ、風も弱い。日差しが強くなった来た。
 散歩道沿いのお庭で、”アマドコロ”の花が咲いている。・・多分、近縁種(同属)のナルコユリ と良く似ていると言うが、私には分からない。
 地下茎の先から、1本の稜がある茎を出し、葉腋から2個ずつ下垂して花が咲いている。花は鐘形で、花色は緑白色、先の方が緑がかっている。茎や根茎には甘みがあり、山菜として食用にされる。根茎は特に晩秋が旬とされ、テンプラが美味しいと言う。
 名(アマドコロ:甘野老)の由来は、根茎に甘味があり、根茎の形がヤマイモ科のオニドコロ(鬼野老)に似ているから。
 アマドコロ(甘野老)
 ユリ科アマドコロ属
 多年草
 原産地は日本、朝鮮半島、中国
 開花時期は4月~5月
 花は筒状で、長さ1.5cm位、緑白色で、先端は緑色を帯びる。2個ずつ垂れ下がる
 果実は球形(径1cm位)で、熟すと黒くなる


マウスの尿に含まれる細胞からクローンのマウス

2016-04-03 | 生物
 山梨大学の若山照彦教授らの研究グループは、尿に含まれる細胞からクローン(親と全く同じ遺伝情報を持つ)マウスを誕生させることに成功した(4月1日)。動物を傷つけずクローンを作ったのは世界初。少量の尿でも作製可能なので、野外で動物の尿しか採取できなかった場合でも、クローンを作ることができる可能性があり、絶滅の恐れがある貴重な動物の保存などに役立つ。
 尿には卵管・精管・尿管などの体細胞が含まれていることは知られている。研究グループは、非無菌状態で尿を採取し、尿中にあった細胞を直接核移植に使用し、クローンマウスを作ることに成功した。これまで無菌状態の動物から採取した尿に含まれる細胞を増殖させてクローンを作製した例はあるが、尿から直接採取した細胞からマウスを誕生させたのは初めて、との事。
 成功率は1~3%(平均1.3%)とやや低めだが、若山教授は「低い原因や排尿からどれくらいまでの尿が使えるのかを検討し、実用の可能性を探っていきたい」、と言う。

 今日の天気は、時々晴れの曇り空。気温は高く、最高気温19℃とか・・暖かい。
 道路の植栽地の小さな空き地で、”タネツケバナ”が咲いている。”ミチタネツケバナ”は、小さな花、茎に沿って鋭角に細長い棒状の実(長角果)、小葉は小さく楕円形から円形、茎には少しの毛がある。
 タネツケバナ(種漬花)は田圃などの湿った所で多く見られ、ミチタネツケバナ(道種漬花)は道(路傍)などのやや乾燥した所で育っている。道で育っているタネツカバナだからミチタネツケバナとの命名。タネツケバナ(種漬花)の名の由来は、種籾(たねもみ)を水に浸ける頃に花が咲くからとの説と、実が熟すと種を四方に飛ばして発芽させて繁殖力が強から(種付花)の説がある。前者説が有力かな。
 ミチタネツケバナ(道種漬花、路種漬花)
 アブラナ科タネツケバナ属
 越年草または一年草
 ヨーロッパ原産の帰化植物
 渡来したのは新しく、1970年代と言われる
 タネツケバナ(種漬花)は江戸時代に渡来したと思われる
 開花時期は2月~3月
 花は小さく(径7mm位)白色、アブラナ科特有の四弁花(十字花)
 果実は直立して花を挟んでいる


働かないアリは集団の絶滅防ぐ

2016-02-17 | 生物
 北海道大長谷川英祐准教授(進化生物学)らのチームが、研究成果「アリの集団が長期間存続するためには、働かないアリが一定の割合で存在する必要がある」を英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した(2月16日)。
 これまでの研究で、アリの集団には常に2~3割、ほとんど働かないアリが存在する。働くアリだけのグループを作っても、必ず働かないアリが一定割合現れることが確認されている。仕事をする上では非効率な存在で、働かないアリがいる理由が謎だった。
 チームは、様々な働き方のアリの集団をコンピューターで模擬的に作成、どの集団が長く存続するかを調べた。結果、働き方が均一な集団よりも、バラバラの集団の方が長く存続した。働くアリが疲れて動けなくなった時に、普段は働かないアリが代わりに働き始めた。チームは日本全国に生息するシワクシケアリ(着色で個体識別)を飼育し、8集団1200匹を1ヵ月以上に亘って観察し、働くアリが休んだ時、それまで働いていなかったアリが活動し始めることが確認できた、と言う。
 長谷川英祐准教授は、「働かないアリを常駐させる非効率的なシステムがコロニーの存続に欠かせない。人間の組織でも短期的な効率や成果を求めると悪影響が出ることがあり、組織を長期的な視点で運営することの重要性を示唆する結果ではないか」と言う。
 ◆本
 長谷川英祐著
 「働かないアリに意義がある」 メディアファクトリー新書
  2010/12/31、¥799

 市場の中にガラス張の温室があり、”コチョウラン”の鉢が飾られている。白色とピンク色の花が付いている。
 ”コチョウラン”は、ラン科コチョウラン属の総称として、同属及びドリテノプシス属を含む洋ランを含むとしても使われる。しかし、和名としての”コチョウラン(胡蝶蘭)”は”Phalaenopsis aphrodite”である。
 コチョウラン(胡蝶蘭)
 別名:ファレノプシス(Phalaenopsis)
 ラン科コチョウラン属(ファレノプシス属)
 非耐寒性多年草
 樹木・岩肌に根を着生させる
 原産地は、台湾・東南アジア・ヒマラヤ・オーストラリア北部など
 開花期は不定期(開花は春~夏に比較的多い)
 花径は2cm~12cm、花色は白・赤・ピンク・黄・緑・複色


日本のタヌキは固有種、頭骨で裏付け

2016-02-08 | 生物
 帯広畜産大学畜産生命科学研究部門の研究グループ(博士課程院生キム・サンイン、押田龍夫教授)とソウル大学獣医学部の研究グループ(木村順平教授、ミン・ミスク講師、リ・ハーン教授)による共同研究チームは、日本に分布するタヌキはDNA塩基配列および形態的特徴(頭骨の形態)において大陸産のものとは異なる固有種であることを発表した(2015年12月28日)。
 押田龍夫教授(野生動物学)らは、2011~14年に日本・ロシア・韓国の博物館など9ヵ所で計339個体の頭骨の形状を調査。日本のタヌキは大陸のものより平均で頭骨の大きさ(鼻先から頭の後部までの長さ)が約8mm、下顎の骨の長さが約6mm短いことを突き止めた。また共同研究を行っているソウル大のチームが、日本と大陸のタヌキではDNAの塩基配列が2~3%異なっていることを明らかにした。
 これらの結果から、共同研究チームは日本産タヌキの種名を変更する必要性を唱えており、本州・四国・九州に生息するニホンタヌキをNyctereutes viverrinus viverrinusおよび北海道に生息するエゾタヌキをNyctereutes viverrinus albusと命名することを提案している。
 ◆タヌキ(狸)
 学名 :Nyctereutes procyonoides
 分類:哺乳綱ネコ目イヌ科タヌキ属
 アジアにのみ生息する世界的に見れば珍しい動物。日本・朝鮮半島・中国・ロシア東部などに分布。
 主に山野に生息するが、日本に棲むものは都市部でも見られる

 雲が一つも見当たらない程に晴れた。気温は低く、畑にはまだまだ雪がある。
 散歩で見つけた”ハボタン”。直径40cm程ととても大きい。葉の色は赤紫と黄白色。食用なのか?、鑑賞用なのか?・・。
 ”ハボタン”は食用のキャベツ(紫キャベツ)として江戸時代中期に渡来したもので、この食用キャベツを日本が観賞用として改良した(食べても美味しくない)。野菜を鑑賞用とするのは世界的にも珍しいと言う。初めはオランダ菜と呼ばれていたが、1778年(安永7年)に山岡恭安が牡丹菜と命名した。しかし、葉がボタン(牡丹)の花のように美しいことから、ハボタン(葉牡丹)と呼ぶ様になった。
 ハボタン(葉牡丹)
 別名:花キャベツ
 英名:ornamental cabbage
 アブラナ科アブラナ属
 耐寒性一年草、鮮やかな葉の色や姿を鑑賞する園芸植物
 葉の鑑賞期は11月~翌3月
 開花時期 は4月~5月 、黄色の菜の花が咲く
 結球しない品種のキャベツ又はケールを観賞用として品種改良した
 品種には葉に葉緑体以外の色素を持たない品種と色素(アントシアニン)を持つものがあり、温度によって発色し、白・黄白・紫・赤・ピンクなどに色づく。


南極のクマムシ、30年半の凍結保存から蘇生し繁殖も

2016-01-22 | 生物
 国立極地研究所の辻本惠特任研究員らの研究グループは、南極昭和基地周辺で1983年11月に採取され、30年半年の間凍結保存されていたコケ試料からクマムシを取り出し、蘇生直後の回復と繁殖の様子を記録することに成功した。
 南極昭和基地周辺で、マイナス20度で凍結保存されていたコケ試料の中にいたクワムシ(体長は0.5mm~1mm程度)。クマムシは“乾眠”という能力を持っており、体内のほとんどの水分が無くなり乾燥状態になっても、“無代謝”になることで生命を維持することができる。これに、水を与えることで再び動き出す。この状態(乾眠)では高い放射能耐性や150度の高温に耐えるなどができ、“最強生物”とも言われる。しかしながらこの乾燥状態での最長生存記録は9年までしか確認されていなかった。
 今回の研究では、その1983年に採取・凍結保存されていたコケ試料を2014年5月に解凍・給水し蘇生させたもので、2個体のクマムシと卵1つを取り出して培養。1個体は十分に回復せず死亡してしまい、もう片方のクマムシと卵はなかなか回復しなかったものの、2週間後に個体の方は歩き回って餌を食べるなどの通常状態に戻り、繁殖にも成功。凍結保存されていた卵からふ化した個体もその後、同様に繁殖した。
 本研究は、クリプトビオシス動物の長期生存メカニズムの解明に貢献することが期待される、との事。
 ◆クリプトビオシス、乾眠
 クリプトビオシス:隠れた生命の意味。蘇生可能な無代謝状態を示す用語。
 乾眠:極度の乾燥によって誘発されるクリプトビオシス状態。

 晴れ。風は穏やか、気温は低いので雪は溶けない。明日も明後日も悪天候の予報。
 垣根の”ベニシタン”、赤い実がまだ付いている。でも直に、鳥たちが整理する・・。”ベニシタン”はバラ科コトネアスター属(Cotoneaster)植物で、良く普及しているのはベニシタンである。このため、ベニシタンの別名としてコトネアスターと呼ぶことがある。
 ベニシタンの花は淡紅色の5弁花で、果実は球形の鮮明な光沢ある赤色になる。花の色が赤みを帯びた白色もあり、”シロシタン”と呼ばれ、枝変わり品種だと言われる。
 ベニシタン(紅紫壇)
 バラ科シャリントウ属 (コトネアスター属)
 中国原産、昭和初期に渡来
 常緑小低木、常緑であるが関東以北では紅葉・落葉する
 枝が横に良く伸び、枝垂れてくる
 開花時期は5月~6月
 花は葉の脇に咲く、花径は数mm、5弁花で花色は淡紅色
 秋に球形の小果(径数mm)が光沢ある鮮紅色に熟して鈴なりにつく