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大きな物だけ通過できる、真逆フィルターが開発される

2018-10-31 | 科学・技術
 ペンシルベニア州立大学の科学者らによる研究チームは、フィルターの概念を完全に180度ひっくり返す「真逆フィルター」を開発した。
 研究チームが開発したのは、液体の「表面張力」を利用することで、一定の大きさと運動エネルギーを持つ物体だけを通過させることを可能にしたもので、「大きな物だけを通す」という特殊なフィルターである。通常のフィルターは、表面に開けられた小さな隙間の大きさを変えることで通過できる物体の大きさを変えている。
 このフィルターが機能する原理は、物体の運動エネルギーの違いを利用する。一定の高さから落とされた物体は落下による運動エネルギーを持つようになる。この時、大きくて重い物体はより大きな運動エネルギーを持つようになり、液体の表面張力に打ち勝って液体の膜を通過することができるようになる。そして、物体が膜を通過した後は、物体が通過したことで開いた穴は液体の高い表面張力により自動的に閉じられてしう。
 その他の特徴は、表面張力の高い液体でできているために、非常に耐久性が高いというもの。実験段階では、フィルターに異物を繰り返し与え続ける試験を行ったところ、3時間たってもフィルターの機能は全く損なわれなかったとのこと。
 特殊フィルターを作るのに必要なのは、針金で作ったリングと非イオン化された水、そして発泡剤や洗浄剤の材料として用いられるラウリル硫酸ナトリウム(SDS)である。SDSの濃度を変えることによって、表面張力を細かく調整する。
 因みに、この液体フィルターを用いれば、トイレの下水からのニオイや小さな虫の侵入を防ぎ、手術において塵や細菌の侵入を防ぐこともできる、と言う。
 ◆ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate, SLS)
 ラウリル硫酸ナトリウムは陰イオン性界面活性剤の1つ。ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate, SDS, NaDS)とも呼ばれる。硫酸のモノ長鎖アルキルエステルのナトリウム塩である。
 乳化剤や発泡剤、洗浄剤として、日用品では歯磨き粉、シャンプー、髭剃りクリーム、泡風呂、リキッドファンデーションなど、医薬品では薬・サプリメントのカプセルなど、工業用としてはガレージのフロア用洗剤、エンジンの油落とし洗剤、洗車用洗剤などの多く用途に使用されている合成化学物質である。12個の炭素原子鎖が硫酸塩に結合した構造を持ち、洗剤に不可欠な両親媒性特性を有する。

 明日からは、11月。秋がふかまり、寒い冬がやって来る。
 午前は曇りで時々小雨、午後からは雲が多い晴れ。
 近所のお庭で”ハマギク”が咲いている。茎は木質化して越冬し、春先に新しい茎を伸ばし、秋にやや大柄な白い花を咲かせる。葉はやや肉厚でへら型、表面には光沢がある。
 ”ハマギク”は、1属1種の日本特産種であり、学名は「Nipponanthemum nipponicum 」、英名は「Nippon daisy」である。自生地は、青森県から茨城県にかけての太平洋側の海岸と言う。花壇綱目(江戸時代初期の園芸書)に、”ハマギク(浜菊)”の名があり、その頃から栽培されていたと思われる。
 ハマギク(浜菊)
 別名:吹上菊(ふきあげぎく)
 英名:Nippon daisy
 キク科ハマギク属
 耐寒性多年草 、茎・枝は木質化する
 葉は肉厚で艶があり、縁に波状の鋸歯がある
 丈は30cm~90cm
 開花時期は9月~11月
 花はやや大きめ(径6cm位)で、日本的な清楚な白い花


木粉の木質繊維を安価な触媒でレブリン酸に変える

2018-10-30 | 科学・技術
 木質繊維はリグノセルロースと呼ばれる。工業利用するにはその成分を分解する必要がある。分解に触媒を使い、高価なレアメタル(希少金属)を使っている。
 産業技術総合研究所の富永健一研究チーム長らは宇部興産と共同で、木粉から化学品原料を効率的に作る技術を開発した。化学反応を促す触媒を使い、幹や枝などに含まれる木質繊維をレブリン酸と呼ぶ物質に変える。
 新技術では触媒によって木質繊維が分解して糖になり、さらにそれらを原料にレブリン酸ができる。1回の工程で合成でき、触媒も安価なアルミニウムなどを使う。レブリン酸からブタジエンやプロピレンなどを合成すれば、様々な樹脂やゴムの原料となる。試験管の実験では、5時間でスギの木粉の木質繊維の約75%がレブリン酸に変わった。
 2019年度にも数キログラムの木粉を処理できる設備を試作し、性能などを実証する。間伐材を粉砕した木粉や古紙などから化学品原料を作る用途を想定する。
 ◆レブリン酸
 レブリン酸(Levulinic acid)または4-オキソペンタン酸(4-oxopentanoic acid)は、CH3C(O)CH2CH2CO2Hの化学式で表される有機化合物である。白色の結晶で水、エタノール、ジエチルエーテルに可溶である。
 レブリン酸は、ナイロン様のポリマー、合成ゴム、プラスチックの原料になりうる。また医薬品合成の多目的な中間体になり、光線力学療法の光感受性物質としても用いられる。工業的には、2-メチルテトラヒドロフラン、γ-バレロラクトン(英語版)、エチルレブリン酸等の合成における中間体として用いられる。
 ◆リグノセルロース
 リグニンとセルロースの結合した物質。植物の木質部にみられる。
 リグニン(lignin)
 木質素とも呼ばれる高分子物質。高等植物中でセルロースなどとともに植物の木化に関与する。木材中の20~30%を占め,セルロースと結合した状態で存在する。高等植物では生育に伴い道管,仮道管,繊維などの組織でリグニンの合成が始まり,いわゆる木化(木質化)が進行する。木化は生長のかなり初期から始まり、リグニンは合成されつづけ、やがて細胞間に強固な構造をつくりあげる。完全に木化した部分の細胞は死細胞であるが、組織全体は物理的にも化学的にも強固な構造となる。

 今朝から晴れ。気温は低くなり、最高気温18℃とか。風は弱く微風。
 道沿いの畑の隅で、”ムラサキツユクサ”が咲いている。花がずっと咲いている様に見えるが、沢山の蕾が順次咲く一日花である・・蕾が沢山見える。
 鑑賞用に良く見かける”ムラサキツユクサ”は園芸品種で、アンダーソニアナ(学名:トラデスカンティア・アンダーソニアナ)、と言われる。ツユクサと名が付くが、日本に自生するツユクサとは属が異なる(ムラサキツユクサはトラデスカンチア属、ツユクサはコンメリナ属)。
 ムラサキツユクサ(紫露草)
 ツユクサ科トラデスカンチア属
     (ムラサキツユクサ属)
 多年草
 原産地は北アメリカ
 開花時期は6月~10月
 花は径3cm位の3弁花、花弁は丸い
 花の中央の雄蕊(おしべ)が目立つ
 花色は紫が基本で、赤紫・白色などがある


持続型血糖モニタリング用コンタクトレンズを開発

2018-10-29 | 科学・技術
 名古屋大学新津葵一准教授らの研究グループは、世界最小クラスの発電・センシング一体型血糖センサー(発電とセンシングを同時に行うセンサー技術)を新たに開発した(10月17日発表)。涙に含まれる糖分で発電し、採血せずに血糖値を把握でき、無線で測定データを送る機能も持つ。今年度中に動物実験を開始し、実用化をめざす、と言う。
 糖尿病治療や予防においては、患者自身が血糖値を持続的に把握しコントロールすることが重要である。これより、持続型血糖モニタリングの普及に貢献できる技術開発に成功した。世界最小クラスの固体素子型グルコース発電素子とサブ平方ミリサイズで超低消費電力の半導体無線送信器回路技術を開発し、それらを融合した発電・センシング一体型血糖センサーを搭載したコンタクトレンズを試作した。
 発電とセンシングを同時に行う固体素子型グルコース発電素子は、わずか0.6ミリメートル角と世界最小クラスで、涙液に含まれる糖(グルコース)を基に1ナノワット以上の電力を生成する。また、データを送信する半導体無線送信器回路技術についても、従来の1万分の1程度の0.27ナノワット(電源電圧は0.165ボルト)で駆動させることに成功した。この2つの技術を融合し、涙液に含まれる糖をモニタリングしながら、必要な電力を生成することも可能になった。これらにより、給電用のメガネ型端末も不要になり、コンタクトレンズを装着するだけで継続的に血糖値をモニタリングできる。
 ◆持続型血糖モニタリング
 継続的に血糖値を計測すること。糖尿病の予防・治療やヘルスケアへの応用が期待される。
 ◆固体素子型グルコース発電素子
 グルコースを基に電力を生成する素子。
 ◆半導体無線送信器回路技術
 無線通信システムのための半導体集積回路技術を用いた送信器回路。

 今日の天気は晴れ。北日本・北海道では雨、昼頃に一時的に小雨。
 畑の近くに、チョットした雑木林がある。小枝に絡まった”ノブドウ”に小さな色とりどりの実が付いている。葉が深く切れ込んでいる”キレハノブドウ(切葉野葡萄)”だ。”ノブドウ”は、切れ込みのない葉で、”キレハノブドウ”は”ノブドウ”の変種で、両者の違いは葉の形のみで花や実は同じ。
 花は、淡緑色で直径約3mmの小さな花で、花弁は5個。花後球形の液果を結び、淡緑白色・紫色を帯び後に碧色に変る。果実が不規則にゆがんでいるのは虫えい(虫瘤:様々な寄生生物の寄生によって、植物体が異常な成長した作られる)である。
 ノブドウ(切葉野葡萄)
 ブドウ科ノブドウ属
 落葉ツル性の多年草、樹木などに絡み付く
 開花時期は7月~8月、花色は淡緑色、径3mm程の小花が沢山咲く
 実は10月~11月に熟し、緑から光沢のある青・紫色などに色付く
 (実は綺麗だが食用とならない)


アンモニアから高純度の水素を効率よく回収

2018-10-28 | 科学・技術
 大陽日酸は広島大学などと共同で、アンモニアから高純度の水素を効率よく回収する技術を開発した。技術実証用の水素精製装置を試作し、従来70%だった回収率を90%まで高めた。これにより、燃料となる水素の供給源として、安価に水素を供給する道が開けると期待される。
 アンモニアに熱を加えて分解すると、水素と窒素が発生し微量なアンモニアガスが残る。窒素とアンモニアを取り除いて純度の高い水素を回収する。共同開発した技術は特殊なフィルターを使い、加える圧力を変えながら分離する作業を繰り返す。
 大陽日酸は1時間あたり10立方メートルの規模の実験で、高純度の水素を回収できる性能を確かめた。精製装置で発生する排ガスの熱をアンモニアの分解用に再利用する仕組みも取り入れ、エネルギー効率も同時に高めた。この技術で、1時間あたり300~1000立方メートルと実用的な規模の水素精製装置が開発できるとみている。
 水素は、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さないので、地球温暖化を抑制する燃料である。しかし水素は、通常は気体で爆発しやすく、貯蔵や輸送が難しい課題がある。アンモニアは水素を多く含み圧力を加えると簡単に液体になり、水素より扱いやすい。
 今回の成果は内閣府の研究開発事業。国は2020年ごろにガソリンと同程度の価格で水素を供給する目標を掲げている。
 ◆アンモニア合成に新手法、200℃程度の温度でも合成できる
 H29.6.19・・「歩けば楽し」のブログより
 早稲田大学関根泰教授・中井浩巳教授らは日本触媒と共同で、化学肥料や医薬品の原料になるアンモニアを合成する新手法を開発した。
 農作物など植物の生育には窒素(N)が必須で、その供給源としてアンモニア(NH3)が使われている。世界の人口は70億人を超え、この人口増加を支えるのが農作物の安定供給である。これには窒素肥料が必要で、肥料原料はアンモニアである。最近では、燃やしても窒素と水しか生成されないため、再エネと組み合わせた水素貯蔵媒体としても期待されている。
 アンモニア合成には高温・高圧を必要とし、エネルギーを大量に消費している。一般的には、アンモニアの生産は「ハーバー・ボッシュ法:1906年ドイツで開発」と呼ぶ技術で、400℃~600℃、数百気圧の条件で水素と窒素を反応させて作る。
 研究チームはルテニウム(Ru)を使った触媒に直流電圧をかけると、水素イオンと窒素分子が反応し、同200度、9気圧程度でも効率よくアンモニアができた。この反応の原因を電子顕微鏡観察や赤外分光分析などを用いて解析した結果、直流電場中での水素イオンのホッピングが反応を誘起していた。この際、N2H+が中間体となっていることを明らかにした。

 晴れ。風も微風、穏やかな日だ。
 玄関の横に”ツワブキ”が植えられており、花が咲いている。数少ない秋~冬にかけて花を咲かせる草花に、”ツワブキ”がある。キク科の花なので、菊様の黄色い一重の頭花である。葉は大きくて形はフキ(蕗)に似ており、葉色はとても艶々(つやつや)している。名(ツワブキ)の由来は、このツヤ(艶)のあるフキ(蕗)の様な葉からツヤバブキ(艶葉蕗)→ツヤブキ→ツワブキとなった。葉に厚みがあるので「厚葉蕗」→ツワブキとなった説もある。
 葉が大きくて艶があり、観葉植物となっているが、”ツワブキ”の花も良い。葉には、斑(黄斑)が入っているものや、白斑葉、縮葉などもある。
 因みに、葉や根茎に強い抗菌作用がある成分(ヘキセナール)を含んでいるので、湿疹・切り傷・火傷などに効果がある(葉を火で炙り、刻んで用いる)と言う。他に、早春の若葉はお浸しで美味しい、とか。
 ツワブキ(石蕗、艶蕗)
 キク科ツワブキ属
 常緑多年草(宿根草)
 開花時期は10月~12月
  (初冬の季語になってる)
 花は菊様で、花色は鮮やかな黄色
 花が終わるとタンポポに似た種ができる


文化勲章に一柳慧氏ら、文化功労者に都倉俊一氏ら

2018-10-27 | アート・文化
 11月3日は「文化の日」。
 政府は、2018年度の文化勲章受章者5人と文化功労者20人を発表した(10月26日)。文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は11月5日に東京都内のホテルで開かれる。
 ◆文化勲章 5人
 一柳慧(いちやなぎ・とし)作曲家。85歳。精力的な創作活動で長年にわたり作曲界に刺激を与え、現代音楽の振興や音楽界の発展に貢献した。
 今井政之(いまい・まさゆき)陶芸家。87歳。技術的に難しいとされる象眼技法を広い面に展開する面象眼に発展させ、陶芸に新しい可能性を切り開いた。
 金子宏(かねこ・ひろし)東大名誉教授。87歳。課税要件の理論的解明という課題に初めて取り組み、今日の租税法学の基礎を築く業績を挙げた。
 長尾真(ながお・まこと)京大名誉教授。82歳。情報工学、特に知的情報処理の分野で世界をリードする独創的な研究成果を上げ、実用化に多大な貢献を果たした。
 山崎正和(やまざき・まさかず)劇作家・評論家。84歳。劇作家として独自の視点による作品を次々と発表し、評論家としても多様かつ優れた見識を示し続けた。
 ◆文化功労者 20人
 阿刀田高(あとうだ・たかし)小説家。83歳。洗練された多様な表現で人間の心の奥底を照射する独創的な作風を示し、文学界の向上と後進の育成に尽力した。
 池辺晋一郎(いけべ・しんいちろう)作曲家。75歳。社会との関係の中で音楽を捉えるメッセージ性のある創作活動を展開し、クラシック音楽の普及に尽力した。
 井茂圭洞(いしげ・けいどう、本名井茂雅吉=いしげ・まさきち)書家。82歳。斬新な「散らし書き」が、伝統美の品格と現代の造形感覚を兼ね備え、高く評価。
 伊東豊雄(いとう・とよお)建築家。77歳。「建築を軽く」という方法論で注目を集め、日本各地でプロジェクトを展開。現代建築の発展に寄与した。
 宇井理生(うい・みちお)北海道大・東大名誉教授。85歳。薬学・生化学の分野で、百日ぜき毒素を用いてGTP結合タンパク質Giを発見した。
 上田閑照(うえだ・しずてる)京大名誉教授。92歳。ドイツ神秘思想と京都学派の思想に関する哲学研究、禅仏教を巡る宗教哲学研究で顕著な業績を挙げた。
 江頭憲治郎(えがしら・けんじろう)東大・早稲田大名誉教授。71歳。商法学の幅広い領域で、新たな方法論を駆使し、研究水準を飛躍的に高めた。
 大槻文蔵(おおつき・ぶんぞう)能楽師。76歳。能楽界の発展をけん引する存在の一人。廃絶した作品の復曲に数多く携わり、新作能や演出の再検討でも実績を重ねた。
 笠谷幸生(かさや・ゆきお)元全日本スキー連盟ジャンプ部長。75歳。札幌五輪ノルディックスキー・ジャンプ70メートル級で金メダル。スポーツ界の発展に尽力。
 片岡仁左衛門(かたおか・にざえもん、本名片岡孝夫=かたおか・たかお)歌舞伎俳優。74歳。上方、江戸を問わず幅広い作品に挑み、後進の育成に尽力。
 北川フラム(きたがわ・ふらむ)アートディレクター。72歳。地域創生に至るアートプロジェクトという前人未到の領域で第一人者として活躍。
 塩川徹也(しおかわ・てつや)東大名誉教授。73歳。独自のパスカル理解を展開することにより、日本のみならずフランスでも評価される画期的な業績を挙げた。
 新海征治(しんかい・せいじ)九州大名誉教授。74歳。分子を使い分子やイオンを選択的に捕捉して分子認識する研究分野を開拓し「分子機械」の原点となる顕著な業績。
 高樹のぶ子(たかぎ・のぶこ、本名鶴田信子=つるた・のぶこ)小説家。72歳。「光抱く友よ」で芥川賞。長年にわたり、数多くの優れた短編、長編小説を創作した。
 都倉俊一(とくら・しゅんいち)作曲家。70歳。阿久悠氏と組んで歌謡界を席巻し、多数のヒット曲を手掛けた。音楽創作の環境整備にも貢献した。
 福原義春(ふくはら・よしはる)資生堂名誉会長。87歳。企業による社会貢献、とりわけ芸術文化支援(メセナ)の重要性に着目し、メセナ活動をけん引した。
 村田吉弘(むらた・よしひろ)菊の井社長。66歳。伝統的な京料理の継承だけでなく新しい料理スタイルに挑戦。日本の食文化の普及と振興、海外発信をけん引している。
 茂木友三郎(もぎ・ゆうざぶろう)キッコーマン名誉会長。83歳。しょうゆを世界に広めていくことを通じて食文化を紹介。国際交流に幅広く貢献した。
 森和俊(もり・かずとし)京大教授。60歳。細胞生物学の分野で、小胞体ストレスに起因するさまざまな疾患の予防、治療法開発への道を開く優れた業績を挙げた。
 山本尚(やまもと・ひさし)シカゴ大・名古屋大名誉教授。75歳。適切な配位子を持つルイス酸触媒が有機反応の制御に重大な役割を果たすと世界で初めて実証した。

 朝は雨。昼近くに止み、曇り空。
 近所のお庭で、”ホトトギス”が咲いている。ホトトギス(ホトトギス属)には幾つもの種があり、東アジア(日本・台湾・朝鮮半島)では19種が確認され、うち日本では 12種(13種説あり)が確認されていると言う。良く見かけるのは、タイワンホトトギス(台湾杜鵑)らしい。
 鳥のホトトギスは「不如帰」と書き、植物の2ホトトギス2は「杜鵑草 、杜鵑」と書く。名(ホトトギス:杜鵑草)の由来は、花弁(はなびら)の斑点が鳥のホトトギスの胸の模様に似ているから、と言う。
 ホトトギス(杜鵑草、杜鵑)
 ユリ科ホトトギス属
 夏緑性多年草、雌雄同花
 原産地は日本・東アジア
 開花時期は8月~11月
 花は径数cm程で、上向きに咲き、花弁は6枚
 花弁の白地に濃紫の斑点が特徴的
 斑の入らない(純白)もの、紫色単色・黄色のものなどがある


ホタルの光の遺伝子は遺伝子のコピーミスから

2018-10-25 | 科学・技術
 懐かしく幻想的・・初夏の夕闇に光を放ちながら舞うホタル。
 ホタルの発光は、ルシフェリンを基質としたルシフェラーゼ酵素による、酸素とATPを使った触媒反応により生み出される。この仕組みを使った発光技術はバイオテクノロジーの世界においても広く活用されている。しかし、ホタルがいつどのように「発光」という新規機能を獲得し進化してきたのか、その過程と遺伝基盤は不明だった。今回、日米の共同チームは2種のホタル(ヘイケボタルとフォティヌス・ピラリス)と、その近縁種のヒカリコメツキのゲノムを解読し比較することにより、発光の進化を紐解くことに成功した。
 国際的な共同研究チームは、基礎生物学研究所重信秀治准教授、中部大学大場裕一准教授、別所学博士(現所属:米国モントレー湾水族館研究所)の日本の研究グループと、マサチューセッツ工科大学 (MIT) の Timothy R. Fallon氏や Jing-Ke Weng 准教授らの米国の研究グループ。
 日本の研究グループは、 「ヘイケボタル(学名:Aquatica lateralis)」のゲノムの解読に成功した。米国の研究グループは、北米産ホタル「フォティヌス・ピラリス(学名: Photinus pyralis)」 のゲノムを解読した。ヘイケボタルのゲノムは9億塩基対、フォティヌスのゲノムは4億7千万塩基対のDNAから構成されており、その中にそれぞれ約1万5千個の遺伝子を同定した。
 ヘイケボタルとフォティヌス・ピラリスはともに甲虫の仲間でホタル科に属し、分岐年代は約1億5百万年前と推定されている。共同チームは日米のホタルゲノムを比較することにより、ホタルの発光の進化過程の理解を目指した。
 ホタルの発光は、ルシフェラーゼと呼ばれる酵素がルシフェリンを基質として、酸素とATPを使って光を発生することがすでに明らかになっているが、今回のゲノム解析によりルシフェラーゼ遺伝子がどのように生まれ、どのように変化を遂げてきたか、その過程が明らかになった。
 ルシフェラーゼ遺伝子の起源は、光らない生物でも普遍的に持っているアシルCoA合成酵素と呼ばれる脂肪酸代謝酵素の遺伝子であること、この遺伝子が何度も重複を繰り返しそのひとつが発光活性を持つルシフェラーゼに進化したことが明らかになった。遺伝子重複を繰り返した形跡が、ヘイケボタルとフォティヌスの両方のゲノムに共通に残っていた。さらに、ルシフェラーゼはもう1度遺伝子重複を起こし、ひとつはホタルの成虫の発光器官で、他方は卵と蛹で発光するように進化した。この特徴もヘイケボタルとフォティヌスの両方に共通にみられることから、これら脂肪酸代謝酵素遺伝子の高度な重複とルシフェラーゼ酵素遺伝子の1回の重複のイベントは、ヘイケボタルとフォティヌスの共通祖先で1億5百万年以上前に起こったと解釈することができる。
 また研究チームは、プエルトリコ産ヒカリコメツキの一種(学名:Ignelater luminosus)のゲノムも解読した。ヒカリコメツキはホタル科に近いコメツキムシ科に属し、ホタルとは1億1500万年前に分岐したと推定されているが、発光の進化がホタルとヒカリコメツキの共通祖先で一度起きたのか、それとも独立に進化したのか、専門家の間でも長い間論争になっていた。ホタルとヒカリコメツキのゲノムを比較した結果、ヒカリコメツキのルシフェラーゼも高度に重複したアシルCoA合成酵素を起源としているものの、ホタルとは独立に発光の能力を獲得したことが明らかになった。
 このように、ホタルやヒカリコメツキのルシフェラーゼの発光進化においては、遺伝子の重複が鍵だったと言える。
 ◆ヘイケボタル
 ゲンジボタルと並んで日本を代表するホタル。北海道から九州まで広く分布し、幼虫は水田などの水の中で生活する日本の里山環境によく適応した生態を持っている。近年、開発や里山環境の変化によりその数が減少しつつある。
 今回のゲノム解析に用いたヘイケボタルは、桐蔭学園高校の生物教諭、池谷治義氏から提供を受けた。このヘイケボタルは、池谷氏が1990年に横浜市で採取した個体を30世代以上も近親交配を重ねて確立されたほぼ純系の系統。今回、Ikeya-Y90系統と名付けられ、現在、桐蔭学園高校、基礎生物学研究所、中部大学の3ヶ所で維持されている。
 ◆ヒカリコメツキ
 コメツキムシ科の昆虫には発光する種類がいくつか知られており、一般にヒカリコメツキと呼ばれる。分布は、中米から南米およびメラネシアの一部の島。ホタルとは異なり前胸背側と腹部に発光器がある。
 ◆遺伝子重複と生物進化
 生物進化において、遺伝子の重複が重要な役割を果たしていると考えられている。重複した遺伝子の一方は機能的制約から解放され、突然変異が蓄積する。多くの場合、突然変異が蓄積した遺伝子は、機能が失われ偽遺伝子化し消失するが、新たな機能を獲得したり(neofunctionalization)、機能が特化したり(subfunctionalization)することがある。
 今回のホタルルシフェラーゼの例では、重複したアシルCoA合成酵素から発光という新規機能を獲得したのがneofunctionalization、ルシフェラーゼが2つに重複して、一つは成虫発光器もう一つは卵・蛹で発光するように機能が特化した過程がsubfunctionalizationに相当する。
 ◆RNA-seq
 次世代DNAシーケンシング技術を用いた、網羅的遺伝子発現解析の手法。

 秋晴れの朝だ。風もなく穏やか。
 今年も見えた、丘陵地にある住宅地の道での”マメガキ(豆柿)”。道肩の下が3m程低くなっているので木の中頃が目の高さとなっている。だいぶ落葉したが、まだ葉が残っている。果実が沢山付いている。熟している様に見えるが、まだ渋い・・そんなには甘くなかった。
 昔は”マメガキ(豆柿)”の未熟果で柿渋を採取したと言う。今は柿渋を使わない・・昔話となる。信濃柿(しなのがき)の別名があるが、柿渋を採るために信濃国(現在の長野県)で多く栽培されたからと言う。
 マメガキ(豆柿)
 別名:信濃柿(しなのがき)、葡萄柿(ぶどうがき)
 カキノキ科カキノキ属
 落葉小高木
 雌雄異株
 (ヤマガキの改良で出来た食用の柿は雌雄同株)
 東北アジア原産、古くに中国から渡来
 開花期は6月
 花は長さ約5mmの釣鐘形、上が4裂して反り返る、花色は淡黄白色
 果実は径1.5cm位の液果で、熟すと黄色(柿色)から黒紫色となる

 


レム睡眠に必須の遺伝子2つを特定、眠りの仕組み解明へ

2018-10-24 | 健康・病気
 哺乳類や鳥類は眠っている間、深い眠り(ノンレム睡眠:体も脳も休んでいる)と浅い眠り(レム睡眠:体は寝ているが脳は起きている)を繰り返している。人のレム睡眠は睡眠全体の2割ほどで、夢を見たり、記憶が固定されたりすることが知られている。しかし、詳細な仕組みは不明だった。
 理化学研究所の上田泰己チームリーダーらは東京大学などと共同で、「レム睡眠」を引き起こすのに必須の二つの遺伝子を特定したと、米科学誌セル・リポーツで発表した(8月28日付け)。
 研究グループは神経伝達物質の1つである「アセチルコリン」が睡眠に関与することに着目した。この物質を脳細胞で受け取るための遺伝子のうち15個を一つ一つ壊し、マウスの睡眠を調べたところ、「Chrm1」遺伝子を壊したマウスは両方の睡眠が減り、「Chrm3」遺伝子を壊したマウスはノンレム睡眠のみが大きく減ったうえ、レム睡眠も1回の持続時間が短くなった。さらに両遺伝子を同時に壊すと、普通は1日あたり約70分あるレム睡眠が検出できなった。
 レム睡眠ゼロのマウスは体の発育がやや遅いが活動的で、予備的な実験では強い記憶障害もみられるという。上田さんは「レム睡眠がゼロになったのは予想外の結果で驚いている。今後、レム睡眠の意義や分子レベルでの解明につなげたい」と言う。
 ◆レム睡眠とノンレム睡眠
 レム睡眠とは、急速眼球運動(rapid eye movement からREM:レム)を伴う睡眠という意味。急速眼球運動とは、閉じたまぶたの下で眼球がきょろきょろと動くことを指す。体はぐったりしているのに、脳は覚醒に近い状態になっていて夢を見ていることが多い眠りである。
 ノンレム睡眠は、レム睡眠でない眠りという意味で、いわゆる安らかな眠りである。ヒトでは浅いまどろみの状態から、ぐっすり熟睡している状態まで脳波をもとに4段階に分けることができる。
 深いノンレム睡眠はいわば「ぐっすり眠る」状態で、レム睡眠はいわば「ぐったり眠る」状態である。
 健康な成人では,これら2種類の眠りが約1.5時間の単位をつくり,いくつかの単位がまとまって,一夜の睡眠を構成している。

 朝は雨、降り続くと思ったが、昼前に止み、曇り空に。
 ブロック塀の際に、小さな白い花の塊が見える。近くには、赤い花も見えるから、植えられたのかな。
 ”ユーフォルビア”と呼ばれるが、ユーフォルビア属の原種は2000種以上ある。この花は、”ユーフォルビア・ダイアモンド・フロスト”と呼ばれる(と、思う)。
 白い花(花弁)は、ポインセチアなどと同様に、苞と呼ばれる花序のすぐ下の葉である。中心にある、本当の花は小さくて目立たない。
 因みに、ユーフォルビアの仲間は、茎や葉の切口から出る白い液に触れるとかぶれることがある・・注意。
 ユーフォルビア・ダイアモンド・フロスト
 別名:ユーフォルビア・ヒペリキフォリア
 学名:Euphorbia hypericifolia
 トウダイグサ科・ユーフォルビア属
 低木(戸外では一年草扱い)
 原産地はメキシコ
 開花時期は、4月~11月


PD-1・CTLA-4に続く免疫チェックポイント分子LAG-3の免疫抑制機構を解明

2018-10-23 | 医学
 徳島大学丸橋拓海特任助教、岡崎拓教授らの研究グループは、免疫チェックポイント分子であるLAG-3(Lymphocyte Activation Gene-3)による免疫抑制機構を解明した(10月23日発表)。LAG-3は、PD-1とCTLA-4に続く第3の免疫チェックホ゜イント分子として注目されている。今後、自己免疫疾患の新規治療法や新規がん免疫療法の開発につながると期待される。
 LAG-3は、2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学本庶佑特別教授らが見つけたPD―1と似た働きがある。
 がん細胞の多くは免疫細胞による攻撃力を弱める働きがある。これを邪魔すれば、免疫細胞の攻撃力が復活してがん細胞を殺す。PD―1の発見からがん治療薬「オプジーボ」が生まれた。LAG―3は免疫細胞の表面にあり、PD―1と似た働きがあるとみられていた。LAG-3は、ヘルパーT細胞の補助受容体であるCD4類縁分子として1990年に同定され、活性化T細胞表面に発現すること、リンパ球の活性化を抑制することにより自己免疫疾患の発症を防いでいること、がん免疫を抑制することなどが報告されていた。
 研究グループはウイルスやがんの情報を伝える役目の細胞とLAG―3が結合すると、免疫の働きが弱くなることを突き止めた。LAG―3の働きを抑えると、免疫による攻撃が活発になり、がん治療に応用できる可能性がある。LAG-3による免疫抑制機構は、他の免疫チェックポイント分子とは異なり、LAG-3は提示される抗原ペプチドによって多様な構造を持つpMHCIIを構造依存的に認識することでそのpMHCII反応性のヘルパーT細胞を選択的に認識する、つまり多様性の無い単一の分子が免疫系の多様性を制御しうるという点で非常に特徴的である。
 ◆免疫チェックポイント分子
 過剰な免疫応答から生体を守るために免疫系にブレーキをかける抑制性の分子のこと。近年、がんが免疫チェックポイント分子を利用することで免疫系からの攻撃を回避していることが明らかになった(2018年ノーベル医学・生理学賞)。代表的なものにPD-1やCTLA-4がある。
 ◆リガンド
 特定の受容体の特定の結合部位に特異的に結合する物質のこと。一般的に、リガンドが受容体に結合すると細胞へとシグナルが伝達され、遺伝子発現などの応答が起こる。
 ◆MHC class II(MHCII)
 主要適合組織遺伝子複合体、MHC(major histocompatibility complex)は細胞膜貫通型の糖タンパク質であり、抗原ペプチドを細胞表面に提示する分子である。中でもMHCIIは抗原提示細胞に発現しており、細胞内に取り込まれた後に分解された外来抗原由来のペプチドを、CD4を発現するヘルパーT細胞へと提示し、活性化させる。
 ◆ヘルパーT細胞
 細胞表面にCD4を発現するT細胞であり、MHCIIとペプチドの複合体を認識することで活性化する。一方で、CD8を発現するT細胞は細胞障害性T細胞と呼ばれ、MHCI?ペプチド複合体を認識することで活性化する。ヘルパーT細胞は活性化に伴ってサイトカインと呼ばれる情報伝達物質を分泌し、B細胞による抗体産生や細胞障害性T細胞の活性化を補助する役割を持つ。
 ◆機能発現クローニング法
 細胞に導入した遺伝子(多くの場合はcDNA)が発現することで示す機能を指標として、目的の遺伝子を同定する方法。

 朝はいい天気、昼過ぎから曇り空。
 お庭に背高く”ハナミズキ”が見える。この”ハナミズキ”に実が赤くなっている。葉はまだ枯れていないが、少し紅葉している。でもだんだん寒さが増し・・紅葉の秋がやってくる。
 ”ハナミズキ”はアメリカ山法師(やまぼうし)とも呼ばれる。日本の近縁種のヤマボウシに似て、アメリカ原産だからとの事。日本での植栽は、1915年(大正4年)に米国ワシントン市へ桜(ソメイヨシノ)を1912年に贈った返礼として贈られたのが始まり。
 ハナミズキ(花水木)
 英名:dogwood
 別名:アメリカ山法師(やまぼうし)
 ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属
 落葉高木
 北アメリカ原産
 開花時期は4月~5月
 花で4枚の花弁に見えるのは総苞片(苞とはつぼみを包んでいた葉、苞葉とも言う)である。
 中心の緑色の塊が花序である秋に複合果の赤い実を付ける


クライオ電顕像からの「高速並列計算アルゴリズム」を開発

2018-10-22 | 科学・技術
 理化学研究所杉田理論分子科学研究室の杉田有治主任研究員、森貴治研究員らの研究チームは、タンパク質の立体構造をクライオ電子顕微鏡像から計算機シミュレーションを用いて精密化するための「高速並列計算アルゴリズム」を開発した。本研究は、米科学雑誌「Structure(2019年1月2日号)」の掲載に先立ち、オンライン版(10月18日付け:日本時間10月19日)に掲載される。
 研究チームは、クライオ電子顕微鏡を用いて得られるタンパク質の近原子分解能の立体像から、原子解像度の分子構造を分子動力学シミュレーションに基づいて精密化する「フレキシブル・フィッティング法」に対して、効率の良い並列計算アルゴリズムを考案した。本手法の適用範囲は広く、ヘモグロビンのような小さなタンパク質から、リボソームのような巨大生体分子複合体に対しても高速計算が可能である。開発したソフトウェアは無償にて公開され、今後、クライオ電子顕微鏡と他の実験手法を組み合わせる統合的なタンパク質立体構造モデリングへ展開されると考えられる。
 ◆クライオ電子顕微鏡
 タンパク質を含む溶液を極低温(液体窒素温度)にまで急速に冷却し、試料を観察する透過型電子顕微鏡。
 2017年、タンパク質立体構造解析への応用に貢献したジャック・デュボシェ、ヨアヒム・フランク、リチャード・ヘンダーソンの3氏にノーベル化学賞が授与されている。
 クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法によるタンパク質の立体構造解析が行われる。対象とするタンパク質を含む溶液を極低温(-180℃以下)にまで冷却し、透過型電子顕微鏡を用いて撮影されたタンパク質の投影像から立体像を再構築する方法。タンパク質の結晶化を必要としないため、これまでX線結晶構造解析で解くことが難しかったリボソームなどの巨大生体分子やタンパク質複合体の立体像を、原子分解能に近い分解能で決定できる。
 ◆単粒子解析法
 クライオ電子顕微鏡によって観察される、溶液中にランダムに配向したタンパク質の多数の投影像から立体像を再構築する手法。
 ◆分子動力学シミュレーション
 コンピュータを用いた分子シミュレーション法の一つ。原子間相互作用をフックの法則やクーロンの法則などから計算し、分子系の運動をニュートン方程式 F=ma に基づいて数値的に解くことで、分子の動きを理論予測し解析する方法。
 ◆フレキシブル・フィッティング法
 単粒子解析法によって得られたタンパク質の電顕密度マップに対して、分子構造を当てはめる際、マップと一致するようにバイアスをかけながら分子シミュレーションを行い、一致する構造を探索する方法。このとき、分子動力学シミュレーションが広く用いられる。
 ◆kd-tree法
 k次元空間に存在する点を分類するための空間分割アルゴリズム。例えば、3次元空間の場合、一般的には中間点をまず選び、X軸に対して垂直に分割平面を置く。2分割された空間をさらに分割するには、それぞれの空間の中間点を選び、Y軸に対して分割平面を置く。範囲探索や最近傍探索などに用いられる。
 ◆ハイブリッド並列計算法
 分散メモリ型並列と共有メモリ型並列を組み合わせた並列コンピューティング技法。前者は主にノード間、後者はノード内並列計算に用いられ、それぞれ、MPI(Message Passing Interface)、OpenMPプロトコルが広く用いられる。
 ◆全原子モデル
 分子構造を表現するとき、原子1個を一つの粒子として扱うモデル。原子一つ一つが固有の半径と部分電荷を持ち、それぞれがバネでつながっていると考える。通常、溶液環境を考慮して(水分子やイオンを系に含めて)計算するため、粒子数が多くなり、必要な計算量が膨大になる。
 ◆粗視化モデル
 分子構造を表現するとき、複数の原子を一つの粒子として近似するモデル。一般的に溶媒分子は系に含めず、溶液環境は近似的に扱う。全原子モデルと比べて粒子数を少なくできるため、計算量の削減によく用いられる。
 ◆ベイス推定
 観測された事象からその原因となる事象を確率的に推定するための方法。特にタンパク質の構造決定においては、「実験データDが観測されたときに、分子構造がXである確率 P(X |D)」を推定する際に適用できる。

 快晴、秋晴れだ。放射冷却で最低気温は低い、なので、濃霧が発生する。
 坂道沿いのお庭で、鉢植えの”トレニア”の花が咲いている。花の形は、口を開けた時の唇を連想させる・・ちょっと魅惑的!。花の色が、赤でなく、赤紫・・チョット残念。
 トレニアには約40種程あり、一般に”トレニア”の名前で呼ばれるのは、インドシナ原産の”トレニア・フルニエリ(T.fournieri)”とその変種や園芸品種と言う。
 トレニア
 別名:花瓜草(はなうりぐさ)、蔓瓜草(つるうりぐさ)、夏菫(なつすみれ)
 アゼナ科(ゴマノハグサ科)ツルウリクサ属(トレニア属)
 一年草として扱う
 草丈は15cm~35cm
 開花時期は5月~10月
 花は径3cm位
 花色は濃い紫色が基本で、赤・白・ピンクなど


エボラウイルスの核となるタンパク質の構造を解明、治療法開発に貢献期待

2018-10-21 | 科学・技術
 沖縄科学技術大学ウォルフ・マティアス准教授と大阪大学杉田征彦特任研究員らは東京大学などと共同で、エボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスの基本的な構造について、世界で初めて原子レベルで明らかにしたと発表した(10月18日)。
 エボラウイルスによるエボラ出血熱は確立された治療法がなく、致死率は90%に達する。2013年から2016年にかけて西アフリカを中心に1万1000人を超える死者を出し、欧米にも感染が広がった。
 エボラウイルスは感染すると細胞内で増殖し、細胞を破って外に出て広がる。ウイルスの核となる部分は、タンパク質がらせん状につながった構造と、遺伝情報を伝えるリボ核酸(RNA)でできている。
 研究グループは、極低温でたんぱく質などを観察する「クライオ(極低温)電子顕微鏡」を使って核となる部分を解析した。らせん状に連なったタンパク質の外側に溝のような構造があり、RNAがその溝に巻き付いていた。たんぱく質同士やたんぱく質とRNAとの結合の方法、らせんの大きさなども分かった。実際のウイルスは今回の核となる構造に、脂質の膜が付いている。今までは核となる部分がらせん状の構造であることは知られていたが、解像度が低く詳細な構造は分かっていなかった。タンパク質同士やRNAとの結合を阻害し、ウイルスの増殖を防げるとみられる。
 今後はウイルス全体の構造を解析することで、さらに治療薬の標的となる部分を探索する。また構造データはインターネット上で公開し、治療薬の開発につなげる。
 ◆クライオ(極低温)電子顕微鏡
 低温電子顕微鏡法(Cryo-electron microscopy (cryo-EM)、クライオ電子顕微鏡法)は透過型電子顕微鏡法の一種で、試料を低温(多くの場合液体窒素の温度)において解析する手法である。構造生物学や細胞生物学の分野において用いられる。
 生物学におけるクライオ電子顕微鏡法では、試料を染色せず、凍結することで「固定」して試料を観察する。このため、通常の染色や化学固定をして試料を作製する電子顕微鏡法と比べると、より生体内に近い試料の構造を観察出来ると考えられる。
 電子顕微鏡のデータ収集や解析の方法により大きく、
 (1)単粒子解析法 (single particle analysis)
 (2) トモグラフィー
 (3) 二次元結晶
 (4) 三次元微小結晶 (micro electron diffraction)
 に分けることが出来る。特に(1)単粒子解析法は結晶化の困難なタンパク質についても近原子分解能での解析が可能となっており、ウイルス、リボソーム、ミトコンドリア、イオンチャネル、酵素複合体などの構造が得られている。また、3 A以上の解像度を持つ解析も行われており、クライオ電子顕微鏡は従来のX線結晶構造解析法と同様の、あるいはそれを上回る性能を持つまでに至っている。
 因みに、開発者は2017年にノーベル化学賞を受賞している。
 「溶液中で生体分子を高分解能構造測定するための低温電子顕微鏡法の開発」、ジャック・ドゥボシェ、ヨアヒム・フランク、リチャード・ヘンダーソンの三名がノーベル化学賞を受賞した。
 ◆エボラウイルス、エボラウイルス病
 エボラウイルス病は、ウイルス解析によりザイールエボラウイルスによることが確認された。エボラウイルスはこれまで1976年に初めてその存在が確認されて以来、中央アフリカで流行してきたウイルスである。
 エボラウイルスは、マイナス1本鎖RNAをウイルス遺伝子として持ち、フィロウイルス科エボラウイルス属に分類される。フィロウイルス科には他にマールブルグウイルス属があり、マールブルグウイルスの1種だけが知られているが、エボラウイルス属の場合、これまで5種類の存在が知られている。
 ザイールエボラウイルス(Zaire ebolavirus)、スーダンエボラウイルス(Sudan ebolavirus)、ブンディブギョエボラウイルス(Bundibugyo ebolavirus)によるエボラウイルス病はアフリカ中央部で流行してきたが、主にザイールエボラウイルスとスーダンエボラウイルスが流行の原因ウイルスとなっている。ブンディブギョエボラウイルスは2007年にウガンダでの流行時に初めて新規エボラウイルスとして確認された。ザイール、スーダン、ブンディブギョエボラウイルスによる流行では、致命率がそれぞれ80~90%、約50%、約30%である。

 今日も朝から秋晴れ。気温は、最高気温21℃とか。晴れたので、放射冷却で最低気温が10℃以下・・寒くなって来る。
 塀から枝を出し、赤い小さな実が見える。”ウメモドキ”の実だ。葉はまだ落ちていない。これから、鳥に食べられる。
 ”ウメモドキ”は雌雄異株なので、実が付いているのが雌株。名(ウメモドキ)の由来は、梅の木に葉が似ている・枝ぶりが似ている・花の形が似ている、などからと言う。
 因みに、ウメ(梅)はバラ科でウメモドキ(梅擬)はモチノキ科。
 ウメモドキ(梅擬)
 モチノキ科モチノキ属
 落葉小高木(丈は2m~3m)、雌雄異株
 開花時期は5月~7月
 花は小さく(径3mm位)、花色は白~淡紫色
 葉の付根に雄花は多数、雌花は2~4個
 雌株は実を付け、9月頃より赤く熟す
 ウメモドキは赤い実を付けるが、白・黄・黒色の実もある
  白色の実:シロウメモドキ
  黄色の実:キミノウメモドキ
  黒色の実:クロウメモドキ


2018年秋の卸町ふれあい市

2018-10-20 | 催事
 今日の天気は晴れ~曇り。夕方に雨の予報。
 2018年秋の卸町ふれあい市に行ってきた。開店が9:00からなので、8:30着で出かける。でも、いつもと同様に沢山の人出だ・・駐車場には入れた。
 余談。大きな大根・キャベツが100円・・驚き。
 開催日時
 平成30年 10月20日(土) 9:00~16:30
      10月21日(日) 9:00~15:00
 場 所:卸町サンフェスタ、各問屋社屋(若林区卸町2-15-2ほか)


魚をほとんど食べない人、大動脈疾患死亡が約2倍に増加

2018-10-18 | 健康・病気
 国立がん研究センター社会と健康研究センター井上真奈美部長と筑波大学医学医療系山岸良匡准教授らの研究グループは、魚をほとんど食べない人で大動脈疾患(大動脈解離・大動脈瘤)による死亡が増加することを世界で初めて明らかにした。
 日本の8つの大規模コホート研究から36万人以上を統合した解析を行い、質問紙によって調査した魚摂取頻度と大動脈疾患死亡リスクとの関連を検討した。
 それぞれのコホートで使用している食習慣アンケート調査結果から、魚摂取頻度を、ほとんど食べない、月1-2回、週1-2回、週3-4回、ほとんど毎日の5つの群に分けた。循環器疾患の主なリスク要因を統計学的に調整した上で、ほとんど食べない群に対する他の群の大動脈疾患死亡リスクを算出し、その後、全てのコホートの結果を統合した。
 結果、魚を週1-2回食べる群と比べ、ほとんど食べない群では、大動脈解離で死亡するリスクが2.5(95%信頼区間1.1-5.5)倍、大動脈瘤で2.0(同0.9-2.1)倍、これらをあわせた大動脈疾患全体では1.9(同1.1-3.3)倍高くなった。月に1-2回食べる群では、魚を週1-2回食べる群と比べて大動脈解離で死亡するリスクの上昇はみられませんでしたが、大動脈瘤で1.9(同0.9-4.0)とややリスクが上昇する傾向が見られた。週3-4回食べる群、ほとんど毎日食べる群では、リスクの大きさは変わらなかった。
 今回の研究で、魚をほとんど食べないような非常に摂取頻度が少ない場合に、大動脈疾患で死亡するリスクが上がり、魚を摂取する機会が少なくとも月1~2回あれば、大動脈疾患で死亡するリスクは高くならないことが判明した。
 このことから、魚の摂取が極端に少なくならないことが大動脈疾患死亡を予防するために重要だと考えられる。なお、魚の高摂取は心筋梗塞のリスクを低下させることがわかっているため、摂取が極端に少なくならないよう気をつけるだけでなく、より多く摂取していくことが循環器疾患予防につながると考えられる。

 朝から快晴、雲がほとんどない。風は微風。
 散歩道で”ホットリップス”が咲いていた。”ホットリップス”は”サルビア・ミクロフィラ(チェリーセージ)”の一品種で、小さな花が二つ一組の”口紅を付けた”様な赤白混在の花色だ。
 流通名は”ホットリップス”だが、チェリーセージ・ホットリップスとかサルビア・ホットリップスとも呼ばれる。葉を揉むとハーブ特有の良い香りがする。季節・気温・日照で花色の割合が変化すると言われ、同じ株でも花色の割合が違い、一つの花でも花色の割合が違う・・とても不思議。
 ホットリップス
 (サルビア・ミクロフィラ・ホットリップス)
 学名:Salvia microphylla 'Hot Lips'
 シソ科サルビア属
 多年草
 原産地はアメリカ南部~メキシコ
 開花時期は5月~11月


マツタケの近縁種「バカマツタケ」の完全人工栽培に成功

2018-10-17 | 食・レシピ

 今年は「マツタケ」が豊漁、とTVでの情報。これに関連して、北朝鮮が韓国文大統領に数トンの「マツタケ」を贈ったとか・・今年は「マツタケ」の年かな。
 マツタケの近縁種で、似た香りと味がする「バカマツタケ」がある。良い名前でなく、マツタケより劣るように思うが、実は姿も良く似ているうえに味と香りはこちらの方が美味しい、と言われるキノコである。マツタケより早く8~9月に発生するので、別名:サマツ(早松)と言う。生えるのは、松林ではなくミズナラやコナラなどの広葉樹林に多い。分布は全国であるが、あまり見つからなく流通量は少ないので市場に出回らない。
 この「バカマツタケ」の完全人工栽培に肥料メーカーの多木化学が成功した(10月5日発表)。
 「バカマツタケ」の完全人工栽培の研究は、大学でキノコの研究をしていた研究員が約6年前から始めた。植物に共生させる方法は成功例があったが、菌床で完全人工栽培に成功したのは初めてで、季節を問わず供給できるメリットがあるという。
 完全人工栽培は2012年から着手し、今年4月に完全人工栽培の成功を確認した。得られた「バカマツタケ」のサイズは、長さ約9センチ、重さ36グラムで、天然ものよりやや大きかった。
 多木化学はコストダウンや安定供給の方法をさらに研究し、3年後の事業化を目指す。マツタケ専門の販売業者によると、国産マツタケの価格は時期や産地などで異なるが、1キロ当たり約4万~5万円。多木化学の担当者は「マツタケより安く提供できるようにしたい」と意気込んでいる。

 朝は雨、次第に止み、昼頃から曇り~晴れ。気温は低くなり、最高気温27℃とか。
 散歩道沿いの庭先に、小さな白い花のかたまりが見える。今頃に咲く、”クジャクソウ”の様だ。花色には、ピンクと白があり、白花は「白孔雀(しろくじゃく)」と呼ぶ。
 長い茎が沢山枝分かれし、多数の花が咲くところから、孔雀の尾っぽの羽根に見立て、”クジャクソウ(孔雀草)と呼ぶ・・名の由来。
 因みに、花言葉は「いつも愉快、ひとめぼれ」。
 クジャクソウ(孔雀草)
 別名:孔雀(くじゃく)アスター、木立紺菊(きだちこんぎく)
 学名:Aster hybridus
   Aster(アスター)はギリシャ語の「aster(星)」
 キク科シオン属
 北アメリカ原産
 開花時期:8月~11月
 花色に白・ピンクある


ウイルス防御の新たな遺伝子を発見

2018-10-16 | 科学・技術
 フランス国立医学衛生研究所後藤彰主任研究員は帯広畜産大学岡戸清特任研究員と共同で、ウイルス防御に関わる新たな遺伝子を見つけた。成果は米科学誌イミュニティー(電子版)に掲載された(8月15日)。
 昆虫や哺乳類などに広く備わる免疫関連たんぱく質「STING」の作用に注目した。ウイルス感染を察知すると働き、人ではインターフェロンという物質ができ、最終的に免疫細胞がウイルスを取り除くことが知られている。
 研究チームはもともとインターフェロンが働かないショウジョウバエで実験。RNAウイルスと呼ぶ種類を感染させると免疫関連遺伝子が複数働いた。このうちウイルス抑制効果が強かった未知の遺伝子を「Nazo(謎)」と名付けた。これらの遺伝子が作る物質が人のウイルス感染症に応用できる可能性がある。今後、機能を詳しく調べて感染症の新たな治療法開発につなげたい考え。
 ◆ウイルス
 ウイルス(ラテン語: virus)は、他の生物の細胞を利用して、自己を複製させることのできる微小な構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。
 ウイルスは細胞を構成単位としないが、生物の特徴を持ち、遺伝子を有し、他の生物の細胞を利用して増殖できる。現在でも自然科学は生物・生命の定義を行うことができておらず、便宜的に、細胞を構成単位とし、代謝・増殖できるものを生物と呼び、細胞をもたないウイルスは、非細胞性生物として位置づけている。あるいは、生物というよりむしろ"生物学的存在"といわれる。しかし、遺伝物質を持ち、生物の代謝系を利用して増殖するウイルスは生物と関連がある。感染することで宿主の恒常性に影響を及ぼし、病原体としてふるまうことがある。
 ◆STING
 論文(2013年4月12日)
 著者:阿部隆之・Glen N. Barber
 STINGによる自己および非自己に由来するDNA成分の認識と自然免疫応答の制御
 要約
 小胞体に局在する膜タンパク質として同定されたSTINGは、さまざまなRNAウイルスおよびDNAウイルスの感染に対する生体防御機構において重要な役割をはたす。また、STINGはウイルスおよび細菌に由来するDNA成分に対する自然免疫応答の誘導に重要な役割を示すことが報告されているが、その分子機序は明らかにされていなかった。
 この論文において、筆者らは、STINGはウイルスに由来するゲノムDNAのみならず、ISDとよばれる45~90塩基対の合成2本鎖DNA、さらに、アポトーシス細胞に由来する自己のDNA成分と複合体を形成しうることを明らかにした。in vitroにおけるDNA相互作用領域の解析より、STINGのC末端側の領域が重要であることが示された。STINGによるさまざまなDNA成分の認識はSTINGの核膜の周辺領域へのダイナミックな局在の変化を誘発し,TBK1の活性化を介しインターフェロンの産生を誘導することが示された。さらに、STINGは微生物に由来する非自己のDNA成分のみならず、自己のDNA成分の認識を介した慢性的な炎症性の応答の制御にも関与している可能性が示唆された。

 今日は晴れていい天気。気温は平年並み、との事。今まで少し暑かったから、平年並みの気温でも、涼しい、と感じる。
 近所の公園、”イチョウ”が黄葉し始め、実(銀杏:ギンナン)がたわわに付いている。樹の周辺にはまだ黄葉が散らばらず、実も落ちていない。・・イチョウは雌雄異株、実は雌株にのみになる。
 因みに、「生きている化石」植物の一つである。イチョウ類は、約3億年前(古生代後期)に出現し、中生代に最も繁栄した。
 イチョウ(銀杏、公孫樹、鴨脚樹)
 イチョウ科イチョウ属
  裸子植物門イチョウ綱の中で唯一の現存している種
 落葉高木
  広葉樹にも針葉樹にも属さない
 雌雄異株 実は雌株にのみになる
 中国原産、鎌倉時代の渡来説が有力


がん組織の挙動を体外で観察できる基板を開発

2018-10-15 | 医学
 北海道大学宮武由甲子助教、同高等教育推進機構の繁富(栗林)香織特任准教授らの研究グループは、培養がん細胞が自ら微小ながん腫瘍組織を形成、成長しながら動き回る様子を観察できるマイクロナノ基板を開発した(9月25日)。
 がん腫瘍組織(別名;悪性新生物)は、あたかも一つの飢えた生き物のように餌を求めて這いずり回ることが、本研究によって明らかとなった。この開発した基板を用いることにより、がん腫瘍組織の攻撃的かつ戦略的といえる挙動を世界で初めて動画で捉えることに成功した。
 研究グループが独自に開発したマイクロナノ基板の上で膵がん細胞を培養し、どのような挙動を示すか、病態生理学的な観点から解析を行う。顕微鏡の画像を動画撮影し、細胞の動態を観察した。その他、重症複合免疫不全症のマウス(SCID マウス)の腹部に同じ膵がん細胞を注射し、形成される膵がん腫瘍組織との比較も行う。さらに、基板上で形成された膵がん腫瘍組織が、がん細胞を攻撃する免疫細胞の一つであるNK細胞に認識されるかどうかを、両者を同じディッシュ上で培養することで確かめた。
 動画撮影により、膵がん細胞はマイクロナノ基板の上で足場を作りながら、細胞が細胞を取り込みポリープ状に成長、微小な膵がん腫瘍組織を形作ることが分かった。さらに免疫細胞であるNK細胞は、基板上で形成された膵がん腫瘍組織を認識できなかった。基板上に足場を持った膵がん腫瘍組織は、触手をのばして這いずり回り、周辺の死んだ細胞を積極的にむさぼり喰らい、成長した。さらにまるで食べ残しのように、死んだ細胞だけが表面に出す分子を自らの体表面にたくさん蓄積させている様子が観察された。免疫細胞は死んだ細胞を攻撃しないので、この膵がん腫瘍組織は結果的に「死んだ細胞のふり」をすることで、NK細胞の攻撃から免れていると考えられる。
 今後への期待
 本研究で開発したマイクロナノ基板上でがん細胞を培養すると、実際に生体内で形成される可能性の高いがん腫瘍組織の本来の姿を再現できることが分かった。マイクロナノ基板はシンプルな技術で大量生産も可能なため、今後動物実験に頼らない・効率がよく安価な創薬開発に貢献することが期待される。
 ◆マイクロナノ基板
 微細加工技術により北海道大学が独自に開発したもの(特許申請中)。
 本研究では細胞培養ディッシュの底に見えているガラス基板を用いる。
 マイクロサイズの微小領域(1マイクロメートルは、1ミリメートルの1000分の1の長さ)と、ナノスケールの凹凸(1ナノメートルは、1マイクロメートルの1000分の1の長さ)を持ったパターニング基板となっている。
 ◆NK細胞
 ナチュラルキラー細胞(ナチュラルキラーさいぼう、英: natural killer cell、NK細胞)は、自然免疫の主要因子として働く細胞傷害性リンパ球の1種であり、特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に重要である。
 細胞を殺すのにT細胞とは異なり事前に感作させておく必要がないということから、生まれつき(natural)の細胞傷害性細胞(killer cell)という意味で名付けられた。形態的特徴から大形顆粒リンパ球と呼ばれることもある。

 今日も晴れ。気温は日ごとに低くなり、秋到来を知らせる。
 近所の畑で、派手な葉っぱが目立つ”ハゲイトウ”を見る。”ケイトウ”は花を観賞するが、葉を観賞するのが”ハゲイトウ”。”ケイトウ”と”ハゲイトウ”とは同じヒユ科であるが、異なる属なので、親戚程度だな。
 ”ハゲイトウ”には、いくつかの品種があり、葉が緋赤や黄の単色のもの、赤・橙色・黄の複色になるタイプがある。畑の品種は、葉が鮮やかな緋赤色”アーリー・スプレンダー”かな(確信なし)。
 ハゲイトウ(葉鶏頭)
 別名:雁来紅(がんこうらい)
 ヒユ科ヒユ属(アマランサス属)
 一年草(草丈は1.5m~2m)
 原産地は熱帯アジア
 鑑賞期は7月~10月