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移植苗のリン浸漬処理がイネの増収と冷害回避につながることを実証

2020-05-23 | 園芸
 国際農研は、マダガスカル国立農村開発応用研究センターと共同で、リン肥料と水田土壌を混合した泥状の液体に苗を浸してから移植するリン浸漬処理技術により、イネの収量と施肥効率を大幅に改善できること、さらに、この技術がイネの生育日数を短縮し生育後半の低温ストレス回避に有効であることをマダガスカルの農家圃場で明らかにした。リン浸漬処理を施すことで、従来の施肥法(表層施肥)に比べて、籾収量が9~35%増加した。マダガスカルをはじめとするサブサハラアフリカでは、リン供給力に乏しい貧栄養土壌や生育期間中の不安定な生産環境(水不足、低温・高温ストレス)により、イネの生産性が著しく制限されている。同技術を普及させることで、サブサハラ地域のイネの安定生産、さらには、食料安全保障に貢献することが期待される。本研究成果は、国際科学専門誌「Field Crops Research」電子版(日本時間2020年4月24日15時)に掲載。
 ポイント
 〇移植苗のリン浸漬処理がリン欠乏圃場でのイネ増収と生育日数の短縮につながることを解明
 〇生育日数が短縮することで、生育後半の低温ストレス回避につながることを実証
 〇リン欠乏や低温ストレスに悩まされるアフリカの安定的イネ生産に貢献
 背景と経緯
 マダガスカルは、日本人の2倍以上のコメを消費するアフリカ随一の稲作国である。しかし、イネの生産性は今日まで停滞しており、主食であるコメの安定供給と農村地域の貧困削減を妨げている。その 結果、マダガスカルは、国民の77%が1日1.9 ドル未満で暮らす世界の最貧国の1つに数えられる。
 イネの生産性を阻害する要因として、農家が貧しいために肥料を購入する資金が少ないこと、貧栄養土壌が広く分布していることが挙げられる。特に、作物の三大栄養素の1つであるリンは、土壌中の存在量が少なく、また、土壌のリン固定能が高いために、施肥をしても土壌に吸着し、イネに吸収されにくい問題があった。そこで、本研究では、かつて日本で実践されていた 揉付(もみつけ)などにもヒントを得ながら、リン固定能の高い土壌でも、少ない肥料で効率的にイネの生産性を改善できる施肥技術の開発を目指した。
 内容・意義
 本研究で着目したリン浸漬処理は、リン肥料 (重過リン酸石灰 と水田土壌を混合した泥状の液体(スラリーに苗の根を30分程度浸してから移植する。小規模農家にも実践しやすい局所施肥技術の1つである。
 マダガスカルの農家圃場で、2年間にわたり同技術の効果を評価したところ、リン浸漬処理を施すだけで、無施肥に比べて59~171%、表層施肥に比べて、同量もしくは半分の施肥量で9~35%、籾収量が増加することが示され、リン固定能の高い熱帯の貧栄養土壌でこの技術の効果が高いことが明らかになった。さらに、リン浸漬処理は、無施肥に比べて約3週間、表層施肥 に比べて約10日間、イネの生育期間を短縮できることが分かった。その結果、この技術は、標高の高い地域における生育後半の低温ストレス回避、すなわち、イネの登熟不良の改善にも有効であることが示された。リン欠乏がイネの発育を遅延させることはよく知られているが、本研究では、リンの施肥法の違いにより顕著に生育日数が変化すること、さらに、それにともなって環境ストレスが回避できることを生産現場で初めて実証することに成功した。
 マダガスカルをはじめ、サブサハラ地域のイネ生産は、リン欠乏のみならず、水不足や低温・高温ストレスなど生育期間中のさまざまな環境ストレスにさらされている。本 成果は、こうした栽培環境での安定的なイネ生産にもつながることから、 学術的にも実用的にも価値が高いものといえる。
 今後の予定・期待
 本成果は、マダガスカルの現地メディアにも広く取り上げられており、農家や行政機関の関心が高まっている。今後、国際農研は、マダガスカルの共同研究機関、農業畜産水産省、肥料会社、および JICA 技術協力プロジェクト PAPRIZ 2などと力を合わせて、数百 世帯 の小規模農家を対象とした実証試験 を予定している。
 実証試験で得られたデータを基に、同技術の 効果 や農家が実践する上での課題を抽出し、技術の汎用化と広域への普及を目指す。同技術が普及することで、マダガスカル政府が掲げる2023年までのコメの自給達成 や同様の生産課題を抱えるサブサハラ地域の安定的なイネ生産、さらには、同地域の食料安全保障および貧困削減に貢献することが期待される。
 ◆用語解説
 〇1日1.9ドル未満
 必要 最小限の生活水準が満たされていない とする世界銀行が示す絶対的貧困ライン 。
 〇リン固定能
 施肥したリンが土壌に吸着する割合を示す指標。土壌中の非晶質のアルミニウムや鉄含量が 多いほど高くなりやすく、作物のリン吸収を阻害する。
 〇揉付(もみつけ)
 リン固定能の高い火山灰土壌が多い 鹿児島県などに みられた施肥法。リン肥料もしくはリンを多く含む骨粉を苗の根に揉み付けてからイネを移植した。
 〇スラリー
 液体中に粘土などの固 体粒子が懸濁(けんだく)した泥状のもの。
 〇局所施肥技術
 作物の根が分布する位置にあらかじめ 施肥することで 、効率よく肥料成分を吸収させる施肥法。
 〇PAPRIZ 2
 コメ生産性向上・流域管理プロジェクトフェーズ 2(2015年12月~2020年11月)。
 マダガスカルの稲作技術普及と生産性向上に取り組む JICA 技術協力プロジェクト。

 天気は曇り。時間によって雲の厚さが異なるのか、空からの明るさが変化する。
 近所の空地で、”ハハコグサ”の花が咲いている。開花時期は、4月~6月だから時期外れの開花ではない・・昨年も一昨年も時期外れの花を見てきたから・・。
 名(ハハコグサ:母子草)の由来に、毛が多い状態、毛が形成される状態を「ほほけ立つ」と呼び、この”ホホケグサ”の転訛から、との説がある。古い呼び名にホウコグサがあり、茎・葉が「蓬(ほお)けて」白い細かな毛に覆われているので、「ほうこぐさ、ほおこぐさ」との別名である。
 ”ハハコグサ”は、春の七草の一つ。御形(おぎょう、又は、ごぎょう)と呼ばれ、食べるのは春の茎葉の若いものだけ。草餅の材料に使われたが、「母と子を臼と杵でつくのは縁起が良くない」として蓬(よもぎ)に代わったと言う。
 ハハコグサ(母子草)
 別名:御形(おぎょう、ごぎょう)
 学名: Gnaphalium affine
 キク科ハハコグサ属
 1年草または多年草
   (春の七草の一つ)
 ムギ類とともに伝来した史前帰化植物
 開花時期は、4月~6月


根の葉緑体を作るのに窒素同化鍵酵素が重要であることを発見

2020-05-22 | 園芸
 筑波大学生命環境系の草野都教授(理化学研究所環境資源科学研究センター客員主管研究員)、東北大学の山谷知行名誉教授、理化学研究所環境資源科学研究センターの福島敦史研究員、国際農林水産業研究センターの圓山恭之進主任研究員、岐阜大学の山本義治教授らの研究グループは、イネの窒素同化に不可欠な細胞質局在型グルタミン合成酵素(OsGS1)のアイソザイムであるOsGS1;1が、光合成を行わない根の葉緑体形成に大きく関わることを明らかにした。本研究の成果は、2020年2月6日付け「Plant Physiology」のオンライン版で公開。
 研究成果のポイント
 〇イネの窒素同化に欠かせない細胞質型グルタミン合成酵素(GS1)アイソザイムのうち、根で働く2種類の働き方の違いを明らかにした。
 〇2種類のうちOsGS1;1は炭素・窒素代謝の恒常性制御を担っており、OsGS1;2はアミノ酸生合成に影響を与えていた。また、OsGS1;1の働きを抑制すると、光合成を行わない根に葉緑体が形成されることを世界で初めて明らかにした。
 〇葉緑体形成に関係ないと考えられてきた窒素同化および炭素・窒素代謝を制御することで、根に光合成能力を付与できる可能性があることを示す研究成果である。
 窒素は肥料の三大必須栄養素の一つで、植物の生存に不可欠な葉緑素やアミノ酸等の材料となる。植物体内に取り込まれた窒素はアンモニウムに変換された後、グルタミン合成酵素(GS)によりアミノ酸の一種であるグルタミンを作る。植物は細胞質局在型GS1をコードする遺伝子を複数個持っているが、植物が多数のGS1アイソザイムを持つ理由は明らかにされていなかった。
 本研究では、食糧として重要な作物であるイネのGS1アイソザイムの中で、窒素肥料を与える時期として効果的な生育初期段階で発現するOsGS1;1およびOsGS1;2に着目した。それぞれの遺伝子を破壊した変異型イネを解析した結果、
 Osgs1;1変異体の根では中心代謝に属する糖類やアミノ酸類の蓄積バランスが崩れるのに対し、
 Osgs1;2変異体ではアミノ酸類の量のみが減少することが分かった。さらに、Osgs1;1変異体では、光合成を行わない根の部分に葉緑体が形成されることを明らかにした。
 OsGS1;1は炭素・窒素代謝の恒常性や葉緑体形成など広範な現象に関わり、Osgs1;2は代謝中のアミノ酸生合成制御に特に関わっていることになる。
 ◆用語解説
 〇窒素同化
 硝酸イオンやアンモニウムイオンなどの無機窒素化合物を材料にアミノ酸等の有機窒素化合物を合成する反応のこと。
 〇アイソザイム
 同一の生化学反応を触媒する複数の酵素群を指す。個々のアイソザイムが持つ分子構造や物理化学的性質は異なる。
 〇メタボロ―ム
 ある生物がもつ代謝物(メタボライト)全てを指す呼称。「オーム」という言葉は「総体」を示す。「メタボライト+オーム」が語源である。
 〇トランスクリプトーム
 細胞中に存在するすべてのmRNAの総体のこと。トランスクリプトームは特定の条件下(環境、組織等)によって変化する。
 〇オミックス解析
 総体(オーム)を科学する(-ミクス)ことを示すのがオミックスであり、生体を構成している分子を網羅的に調べる方法。
 〇ネットワーク解析
 現実世界に存在する巨大で複雑な関係性を持つ対象を点と線からなるネットワークとして表現し、その構造的な特徴を探る方法。本研究の場合、点が代謝物蓄積量、線が遺伝子発現量を示している。GAMによるネットワーク解析により、データベースの代謝ネットワーク内でどのサブネットワークが強調されているかを視覚化している。
 〇TCA回路(クエン酸回路)
 tricarboxylic acid回路の略称。ミトコンドリアのマトリクス(細胞質の液状の部分)でアセチルCoA由来のアセチル基を二酸化炭素にまで完全分解する過程を指す。NADHやFADH2などのエネルギーを生み出す好気的代謝における最も重要な生化学反応回路である。
 〇カルビン・ベンソン回路
 光合成電子伝達系で合成したNADPHとATPを利用し、二酸化炭素を還元して有機化合物を合成する反応。葉緑体内のストロマという無色の液体に局在する。

 曇り。気温は低く、最高気温15℃・最低気温10℃。昨日よりは少し暖かい。
 ビル横の空き地に雑草が生い茂っている。その中に黄色の花、”クサノオウ”の花だ。大きな花ではない、花横に上向きの莢が実る。
 ”クサノオウ”は、草ノ黄・瘡ノ王・草ノ王と書く。茎や葉の部分を傷つけると橙黄色(最初白く、直ぐに黄色に変化)の乳液が出る。乳液だけでなく、全草に多種のアルカロイド成分を含む毒草である。本草は古くから民間療法の薬草として使われていた。皮膚疾患(いぼ取り・水虫・インキンタムシ)や外傷薬で、煎じて消炎性鎮痛剤として服用したとも言う。現在でも下剤として利用されるが、毒性が強いのでその使用には専門家の指導が必要と言う。
 名(クサノオウ)の由来は、草ノ黄:植物体を傷つけると黄色の乳液が出る、瘡ノ王:皮膚病(湿疹、くさ)に有効な薬草、草ノ王:皮膚病の他にも鎮痛剤などで使われ薬草の王、などの説がある。
 クサノオウ(草ノ王、草ノ黄、瘡ノ王)
 別名:皮癬草(ひぜんくさ)
 ケシ科クサノオウ属
 多年草
 開花時期は5月~7月
 花は径3cm程の鮮やかな黄色の四弁花
 花後に長さ3cm程の莢が上向きに実る
 全草に多種のアルカロイド成分を含む毒草である。
  茎などを傷つけると出る黄色い乳液などは皮膚に触れると炎症を起し、皮膚の弱い人は草に触れただけでかぶれることがある。


花粉症治療に重要なシラカバ花粉アレルゲン「Bet v 1」の大量生産に成功

2020-05-06 | 園芸
 筑波大学生命環境系(つくば機能植物イノベーション研究センター)三浦謙治教授、医学医療系野口恵美子教授、国立大学法人福井大学医学部藤枝重治教授らの研究グループは、シラカバ花粉症を引き起こすアレルゲンBet v 1を大量に生産することに成功した(4月3日発表)。また、精製されたBet v 1は、シラカバ花粉症患者のIgE抗体に対し、これまでのアレルゲンと同様の結合をすることがわかった。研究成果は、「Frontiers in Plant Science」に掲載。
 シラカバ花粉症患者は欧米や北海道で多くみられ、世界で1億人以上が罹患していると推測されている。花粉症は、体外から侵入してくる花粉に存在するアレルゲンと、体内で作られるIgE抗体が結びつくことで、アレルギー症状が引き起こされる。シラカバにおける主要なアレルゲンは、Bet v 1である。
 花粉症の治療法として、「アレルゲン免疫療法」が注目されている。これは、アレルゲンを少量ずつ患者に投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状をやわらげる治療法で、長期にわたり症状を抑える可能性がある。この療法に用いられるアレルゲンの調製には、花粉からのエキスや、大腸菌などの異種タンパク質発現システムを用いた組換えアレルゲンが使用されている。しかし、花粉エキスを用いる場合は大量の花粉を用意する必要があること、バクテリア由来の組換えアレルゲンを用いる場合は植物特有のタンパク質修飾がなされないといった問題点があった。植物においてBet v 1を作出する研究開発も行われてきたが、収量が低い(0.2mg/g新鮮重)という課題が残っていた。
 研究グループはこれまでに、植物にて大量のタンパク質を生産することができる独自のシステムを開発している。同システムでは、ジェミニウイルスのDNA複製システムと2つのターミネーターをタンデムにつなげることで、植物におけるタンパク質の発現量を増大し、ベンサミアナタバコ1gあたり約4mgの緑色蛍光タンパク質(GFP)の蓄積に成功している。植物においてタンパク質を生産することから、植物特有のタンパク質修飾がなされることが期待される。研究グループは今回、同システムを用いてこれまでの問題点を克服し、患者IgEによって認識されるBet v 1の大量調製を試みた。
 研究では、シラカバ花粉アレルゲンBet v 1を発現できるようなベクター(遺伝子を導入するための核酸分子)を設計し、つくばシステムを用いて、ベンサミアナタバコにアグロインフィルトレーション(アグロバクテリウムの感染)により、Bet v 1を発現させた。
 その結果、アグロインフィルトレーション後5日目において、ベンサミアナタバコ1gあたり、約1.2mgのBet v 1が発現していた。これは、従来法に比べて6倍の発現量であり、大量のアレルゲン生産に成功した。ベンサミアナタバコ葉から可溶性タンパク質を抽出し、硫酸アンモニウムによる分画およびアフィニティカラムクロマトグラフィーによりBet v 1を精製したところ、ほぼ単一のバンドが得られ、LC-MS/MS(液体クロマトグラフィータンデム質量分析)解析により、精製品がBet v 1であることが確認できた。精製Bet v 1を詳細に調べてみると、わずかにバンドがシフトしており、このバンドシフトは、タンパク質の糖鎖修飾によるものであると示唆された。
 シラカバ花粉症患者を含むヒト血清を用いて、精製Bet v 1とIgE抗体との反応性を調べたところ、精製Bet v 1はシラカバ花粉症患者IgE抗体によって認識されることが明らかになった。つまり、同システムにより、シラカバ花粉症の免疫治療に利用可能な、より天然に近い組換えBet v 1を、これまでに報告のある中でも最高レベルの収量で作出することに成功した。
 今回の研究成果は、植物バイオテクノロジー分野の発展と花粉症治療の分野に貢献するものと期待される。
 研究グループは、「植物由来のBet v 1を大量に生産できる方法が構築できたことから、つくばシステムは、Bet v 1と同じPR10ファミリーに属するアレルゲンの生産にも応用できるものと期待される。PR10ファミリーは、果物を食べると口がかゆくなったり、口腔が腫脹したりする口腔アレルギーを引き起こすリンゴMal d 1、モモPrup1、ヘーゼルナッツCor a 1、ダイズ(豆乳)Gly m 4などの主要なアレルゲンだ。これらのアレルゲンの効率的な生産によって、口腔アレルギーに対するアレルゲン免疫療法への発展も期待できる」と、述べている。
 ◆用語説明
 〇ベンサミアナタバコ
 タバコ植物の仲間。病原菌からの感染予防のための植物免疫システムに欠陥があり、病原菌感染の実験やアグロインフィルトレーション法によく用いられている。2012年にアメリカのグループによりゲノムが解読された。
 〇アグロインフィルトレーション
 特定の遺伝子を組み込んだアグロバクテリウムを植物体に感染させ、当該タンパク質を発現させる技術。感染後、数日で目的のタンパク質を得ることができる。
 ◆アレルゲンBet v 1
 シラカバ花粉にアレルギーを有する患者は、免疫学的な交差反応性のため、リンゴやモモなどの果物や野菜を食べたときに、口腔や咽頭の過敏症をしばしば訴える。現在、こういった現象は時に随伴する全身症状とともに、口腔アレルギー症候群(OAS:oral allergy syndrome)と呼ばれて注目されている。
 OAS はIgE を介するⅠ型アレルギーと考えられており、シラカバ花粉と食物の間の交差抗原としては、シラカバの主要抗原であるBet v 1 とプロフィリンであるBet v 2 が挙げられている。

 朝は小雨、直に止み、空は晴れ~曇り。
 近所の空き地で、ひとかたまりで繁殖している”カタバミ”や”アカカタバミ”、花が咲いている。”カタバミ”の葉が赤紫色のものを”アカカタバミ”と言う。
 ”カタバミ”は、酢漿草・傍食・片喰・片食などと書き、様々な由来から。
  噛むと酸っぱい味がする(葉に水溶性蓚酸(しゅうさん)塩・クエン酸・酒石酸を含むため)
  葉が食べられたように欠けているから
  片葉が3つだから(片葉三)
  葉が茎の上にだけ伸び、下には伸びないから
 ”アカカタバミ”のアカは花の色ではなく、葉の色が暗い赤紫色だから。
 アカカタバミ(赤片喰、赤酢漿草)
 英名:creeping red woodsorrel
 学名:Oxalis corniculata f. rubrifolia
 カタバミ科カタバミ属
 多年草
 カタバミより全体にやや小さく、赤紫色
 環境に対する耐性が高く、繁殖力旺盛
 開花時期は4月~10月
 花は径5mm~8mm程で、黄色の5弁花。花弁の付根付近に赤い斑が入る


加工性に優れた鮮やかな赤色の木材をつくる桑の秘密を解明

2020-04-24 | 園芸
 東京農工大学大学院農学研究院生物システム科学部門の梶田真也教授をはじめとする国内外の機関からなる研究グループは、大正時代に奥尻島で発見された桑の野生種である赤材桑が、鮮やかな赤い色の木材をつくる仕組みを解明した。赤材桑がつくる木材は、色が赤いという特徴だけではなく、通常の樹木がつくる木材よりも成分の分離が容易で、化学パルプや燃料、化成品の製造に適している(2020年2月19日発表)。今回の成果により、桑の木材に新しい利用の道が開かれると共に、他の樹種への応用も期待される。本研究成果は、米国植物生物学会の「Plant Physiology」誌への掲載が決定し、暫定版が公開された。
 現状
 約5000年前に中国で始められたとされる養蚕は、日本においても約2000年の歴史を持つ。この間、我が国独自の桑品種が数多く生み出され、今も茨城県つくば市にある農研機構の圃場を中心に、国内各所で数百品種が保存栽培されている。これらの中には、葉や茎の形質が特別な品種が多数あり、学術的に高い価値を持つものの、形質発現のしくみが遺伝子レベルで詳しく調べられた品種はこれまでほとんどなかった。
 赤材桑(せきざいそう)は、大正元年頃に北海道の奥尻島で発見された桑の野生種で、夏場の成長期、茎や枝に鮮やかな赤い木材をつくる。発見当初、同島では赤材桑を紫桑(むらさきぐわ)や薬桑(くすりぐわ)と呼び、養蚕に加えて、神事の供物や漢方薬の原料としても使っていたとされている。大正11年、当時東京の杉並にあった蚕業試験場に持ち込まれた穂木から苗木が作られたことを機に、同場の職員であった吉村武三吉氏によって赤材桑と名付けられた。それ以来、赤材桑は接ぎ木などで株分けされ、現在でも国内数か所で育てられている。
 黒檀に代表されるように、特徴のある色の木材をつくる樹木は珍しくないが、木材の顕著な着色は年を経て成熟する過程で起こる。従って、幹や枝の中で木材ができた直後は、多くの樹種で木材は淡いクリーム色をしており、赤材桑のように当初から真っ赤な色を呈する野生の樹種は過去に報告がない。これまでに赤材桑が赤色の木材を生み出す原因遺伝子や赤い木材の化学成分は、全く明らかにされていなかった。
 研究成果
 研究グループは、まず赤材桑と普通の桑の木材をチオアシドリシスと呼ばれる特殊な方法で処理し、木材の分解産物を調査した。その結果、赤材桑からはインデン骨格を持 った特殊な化合物が検出された。この化合物は、桑の木材に20%程度含まれる芳香族高分子であるリグニンに由来するもので、赤材桑のリグニンが特殊な構造を持っていることが推察された。次に、赤材桑からリグニンを単離し、核磁気共鳴分光法で分子構造を調べたところ、赤材桑のリグニンには先述のインデンの元になる多量のケイ皮アルデヒド類が取り込まれていることが分かった。この原因として、リグニンの合成に関与するシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ(CAD)遺伝子の機能不全が疑われた。
 確かめるために、研究グループは次世代シーケンサーで赤材桑と通常品種のゲノムDNAを解読し、CAD遺伝子の全塩基配列を決定した。その結果、通常品種では正常なCAD遺伝子が、赤材桑では一塩基の挿入によって完全に壊れていることが分かった。通常品種では、CADの働きによりケイ皮アルコール類が合成され、これが重合することでリグニンが生成する。しかし、赤材桑ではCAD遺伝子が破壊されているために十分な量のケイ皮アルコール類が合成できず、その代替としてケイ皮アルデヒド類が重合することにより、リグニンの構造が変化することが判明した。
 ケイ皮アルデヒド類のリグニンへの取り込みは、塩基性条件下でのリグニンの分解性を高め、その後の酵素処理による木材からの単糖の回収率(糖化率)向上に寄与することが期待される。実際にアルカリ溶液で前処理した木粉をセルラーゼで加水分解したところ、事前の期待どおり赤材桑の木材では糖化率が格段に向上した。
 今後の展開
 木材は、適切な管理により持続して再生産することが可能なバイオマス資源である。現在、我々が使用する化石資源の一部を代替するため、木材から燃料や化成品を製造する技術の開発が世界中で進められているものの、木材からの効率的なリグニンの除去が大きな技術課題となっている。リグニンが取り除きやすい木材を蓄積する赤材桑を更に詳しく調べることは、桑だけではなく、他の樹種の木材の用途拡大にも貢献すると考えられる。
 ◆用語の説明
 〇チオアシドリシス
 木材に含まれるリグニン中のエーテル結合を特異的に切断し、リグニン由来の低分子分解物を溶出させる方法。
 〇インデン
 分子式がC9H8で表示される、二環性の炭化水素。
 〇リグニン
 植物の細胞壁の主要な構成成分であり、細胞壁を固く丈夫な構造に保つための高分子。生体内では、アミノ酸であるフェニルアラニンを経由して合成されるコニフェリルアルコール等のケイ皮アルコール類が重合して生成する。

 今日の天気。午前は曇り、午後から晴れ。気温は上がらず、少し寒い・・最高気温12℃。
 道沿いに”モチノキ”が植えられている、街路樹。花が咲き始めている。花・蕾とも薄い緑色、葉の緑色と混じり、目立たない。秋になれば出来た果実は赤くなり、目立つけど。”モチノキ”は雌雄異株、この木は雄株・・赤い果実は付かない。
 名(モチノキ;黐の木)の由来は、この木の樹皮から鳥餅を作るから。鳥餅(とりもち)とは、”モチノキ”や”タラヨウ”の樹皮から作る飴色の粘液物質。樹皮を水につけて腐らせると、粘液物質が残り、これを精製して製造する。昔はこれで野鳥を捕獲していたが、現在は禁止猟法である。猟の仕方は、鳥かごによくさえずるおとりを入れておき、その駕籠の周辺に鳥もちを付けた止まり木を仕掛けておく。
 因みに、”モチノキ”からの鳥黐は色が白いため、”ヤマグルマ(山車):ヤマグルマ科ヤマグルマ属”を原料とするアカモチと区別するため、「シロモチ」または「ホンモチ」と呼ぶことがある。
 モチノキ(黐の木)
 別名:ホンモチ、シロモチ
 学名:Ilex integra
 モチノキ科モチノキ属
 常緑広葉・小高木
 雌雄異株
 原産地:日本(東北南部以西)、朝鮮半島
 開花時期:4月~5月
 花弁は4個、楕円形で長さ約3mm
 雄花は2~15個。雌花は1~4個ずつ集まる。
 雌株は花後に径1cmほどの丸い果実を付け、秋に真っ赤に熟す
 結実期は10月中旬~12月下旬


アオキの雄花と雌花

2020-03-31 | 園芸
 朝から晴れた。風も穏やかなので暖かい1日かな。段々と春らしくなる。
 散歩道で”アオキ”を見る機会が増える、花が咲きだしたから。
 ”アオキ”は雌雄異株で、雌株には雌花、雄株には雄花が咲く。冬に艶のある美しい赤色の実を付けるのは雌花。
  雌花;花弁が4個と柱頭の大きな雌蕊が1個あり、雄蕊はない
  雄花;花弁が4個と雄蕊が4個で雌蕊はない
 ”アオキ”は、日本の古来種で、学名は”Aucuba japonica:アウクバ ヤポニカ”とある。名(アオキ:青木)の由来は、冬でも青々とした常緑の枝・葉からのアオキバ(青木葉)から。
 アオキ(青木)
 別名:青木葉(あおきば)、ダルマノキ
 学名:Aucuba japonica
 ミズキ科アオキ属
 常緑低木
 雌雄異株
 枝は緑色、古くなると木質化し灰褐色
 開花時期は3月~5月
 枝先に紫褐色の小さな花が咲く
 果実は雌株に付く、実は1~2cm程の楕円形で深紅色となる
 果実が黄色のキミノアオキ、白色のシロミノアオキがある
  (掲載写真の前半3枚は雄花、後半3枚は雌花)
 果実は雌株に付く、実は1~2cm程の楕円形で深紅色となる
 果実が黄色のキミノアオキ、白色のシロミノアオキがある


イネの光合成機能を増強、最大28%の増収効果がある

2020-02-22 | 園芸
 東北大学大学院農学研究科牧野周教授、石山敬貴助教らの研究グループは、岩手大学農学部および国際農研との共同研究で、遺伝子組換え技術によって光合成の炭酸固定酵素ルビスコが約1.3倍量に増強されたイネ(ルビスコ増強イネ)を作出し、東北大学内にある隔離水田ほ場において収量評価試験を行った。その結果、ルビスコ増強イネは、同じ窒素施肥量において、玄米収量が最大で28%増加した。高い窒素利用効率と光合成の機能改善により、穀物の増収に結び付いた実例は、世界で初めてである。この研究成果は、世界的な食糧危機回避と地球環境保全に大きく貢献するものと評価されている。本研究の成果は、2020年2月18日、国際科学誌「Nature Food 1巻2月号」に発表。
 今世紀半ばには、世界の人口は100億人に達すると言われている。国際連合食糧農業機関は、人口の急激な増加と中国やインドなどの経済発展に伴う食生活の変化が、穀物の需給バランスを逼迫させ、世界的な食糧危機を到来させると警鐘をならしている。一方で、人類は1960年代に「緑の革命」と呼ばれる穀物の短稈種の開発に成功し、多量の窒素施肥に依存する食糧増産を図ってきた。しかし、多量の窒素施肥は、地球生態系の富栄養化や河川・海洋・大気汚染などの原因となり、大きな社会問題となっている。今後、さらに穀物の増収を図るためには、単に高い収量性を示す穀物を育種するのではなく、同じ窒素施肥量に対してもより高い収量性を示す「窒素肥料の利用効率の高い穀物」を開発する「第二の緑の革命」が求められる。
 本研究では、稲品種、能登ひかりを親品種に遺伝子組換え技術を用いて、炭酸ガス同化を担う光合成酵素ルビスコが約1.3倍量に増強されたイネ(ルビスコ増強イネ)を作出した。日本においては、遺伝子組換え技術を用いて作出された穀物を野外のほ場で栽培するには、文部科学省および環境省から承認を得なくてはなりません。数年におよぶ生物多様性評価試験を行い、その後一年間両省の審査を経て、「ルビスコ増強イネが他の生態系へ影響を与えない」との判断が下され、2016年4月に、ほ場における栽培が承認された。承認後の2016年から2019年までの4年間、宮城県農政部の視察のもと、厳密に管理された東北大学の「遺伝子組換え植物隔離ほ場」で栽培試験を行った。なお、日本の大学機関および文部科学省管轄の研究機構の中で、「遺伝子組換え隔離水田ほ場」を所有するのは東北大学附属川渡フィールドセンターのみです。
 その結果、10 g N m-2(10 kg N/10a)以上の窒素施肥区において、親品種の能登ひかりと比較してルビスコ増強イネの玄米収量が17%から28%増加した。詳細な収量構成要素および生化学的解析を行った結果、組換えイネの葉のルビスコ量およびその活性が増加し、それに伴い光合成速度の向上が観察された。この光合成機能の改善が、組換えイネの登熟歩合および稔実籾数増加につながり、収量増加に結び付いたことがわかった。
 この研究の学術的成果は、自然環境下のほ場において、遺伝子組換え技術を用いて作出された穀物の光合成機能の改善が、収量増加に結び付くことを実証した世界で初めての報告である。また、この研究の社会的意義として、本研究で使用したルビスコ増強イネは、遺伝子組換え技術を用いて作出されているため、すぐに農業現場に応用することはできないが、光合成の増強が新しいイネの新品種の開発に応用できることを示したことである。さらに、世界的な食糧危機回避と地球環境保全に貢献する研究成果と高い評価を受けている。
 ◆用語解説
 〇「緑の革命」と「短稈種」
 1960年代、人類の主要作物であるイネとコムギにおいて、短稈育種が行われた。人間の背丈ぐらいあった両作物は腰の高さぐらいまで小型化された短稈種の開発に成功、短稈種は倒伏に対して耐性を持ったことから、多量の窒素施肥を可能とした。今日までのイネとコムギの増収は、短稈種の導入による多肥に依存したもので、緑の革命と呼ばれている。ハーバー・ボッシュ法の普及により、空気中の窒素から安価なアンモニア肥料が生産可能となった背景も見逃せない。多量の窒素施肥は、葉の窒素含量を増加させ、その窒素含量の増加によって光合成能力を増大にさせる効果があり、同時に穂数や籾数の増加効果もあるため、イネやコムギの増産に直接結びつくものであった。
 〇ルビスコ
 光合成のCO2固定を触媒する酵素で、現在の大気CO2濃度では、植物の光合成全体の速度を決定していると考えられている。一般的に植物の葉の可溶性タンパク質の50%ほどを占め、地球上で最も多く存在するタンパク質であると推定されている。

 朝から昼頃まで、雨が降りそうな曇り空、午後からは晴れて、お日様が顔を出した。
 散歩で見つけた”プリムラ・ジュリアン”のミニミニ花園。
 ”プリムラ”はサクラソウ科サクラソウ属の耐寒性一年草で、世界で500種以上あると言われるほどに種類が豊富であり、花色も橙・黄・赤・・桃・白・青・紫などと多色である。プリムラの代表的な品種としては、プリムラ・ポリアンサ、プリムラ・オブコニカ、プリムラ・マラコイデスなどがあり、プリムラ・ジュリアンはポリアンサとシュリエの交雑種。
 プリムラ・ジュリアン
  (Primula juriana hybrid)
 サクラソウ科サクラソウ属
 耐寒性一年草
 ポリアンサとシュリエの交雑種の小輪矮性品種
 開花時期は12月~4月
 花は径3cm~7cm 
 花色は橙・黄・赤・桃・白・青・紫など


総合植物展「花と緑のココロ博2020」

2020-02-03 | 園芸
 今日の天気は、曇り~晴れ。朝起きたら吐く息が白かった・・今日1日は寒いかな、と思ったが・・今日の最高気温は11℃・最低気温0℃・・余り寒くない・・。
 2月3日は節分。節分とは「季節の分かれ」の意味で、立春・立夏・立秋・立冬の前日である。2月4日は立春で、立春から立夏の前日までが、暦の上では春になり、立春を境に気温が上がるとされている。・・これから暖かくなる・・と良いな。
 節分での「豆まき」の行事は、平安時代頃から行われる宮中での年中行事で、近代にこの宮中行事が庶民に採り入れられたものである。季節の変わり目には邪気が入り易いと考え、その邪気を払うため「豆まき」を行う。豆を使うのは、まめ(魔・滅)→魔(悪い鬼)を滅する、などの説がある。

 総合植物展「花と緑のココロ博2020」に行ってきた。
 「とうほく蘭展」をリニューアルしたと言われる、東北最大級の総合植物展「花と緑のココロ博2020」が、夢メッセみやぎを会場に開かれた。「ココロのオアシス」をイメージして童話の世界観を再現した「大型庭園」、入り口から花を敷き詰め、回廊のように約10メートル続く「ウェルカムフラワーゲート」など、「心の癒やし」をテーマにした展示が並ぶ。会場全体に彩り豊かな花々が飾られ、一足早く春の訪れを体感できた。・・会館のPRより。


アブラナ科植物が備えている防虫機構を発見

2020-01-27 | 園芸
 甲南大学の西村いくこ特別客員教授(京都大学名誉教授)らは、アブラナ科植物が備えている防虫機構を発見した。生まれたばかりの葉や根が虫などに食べられ始めると、ワサビのにおい物質を放出していた。
 研究チームは、幼いアブラナ科植物の細胞内にある小器官「ERボディー」が葉や根の表面部分の細胞に多く見られる点に着目し、植物の生体防御に関係していると推測した。「ERボディー」にある酵素の働きを調べたところ、別の小器官「液胞」内の物質を分解してワサビのにおい物質を作り出していることが分かった。遺伝子変異で「ERボディー」を失った幼いアブラナ科植物に空腹のダンゴムシを放つと、ワサビのにおい物質は放出されず、1日後にはほとんど食べつくされてしまった。通常の幼いアブラナ科植物の場合は、ほとんど食べられなかった。この実験から、ERボディーと液胞を連携した防御機構が働いていると結論付けた。
 原始的な植物の化学物質による防御では、毒性の高い「シアンガス」が発生する。虫を遠ざけるだけでなく植物自体にも打撃を与える。この方式は、植物自体にも毒性が低く虫を遠ざける物質を使う賢い防御法だという。またアブラナ科に特有の2つの遺伝子を他の植物で働かせると「ERボディー」を作り出すことが分かっている。
 西村特別客員教授は「植物の防御機構の進化などの解明にも挑戦したい」という。
 ◆ワサビ
 ワサビ(山葵)は日本原産のアブラナ科植物で、栽培の始まりは慶長年間(1596~1615年)からとされ、古くから寿司や刺身に欠かせない香辛料として利用されている。
 ワサビには独特の香味と刺激臭があるが、食用だけでなく、抗菌・消臭・防カビ・鮮度保持などの働きも持っている。天然のワサビエキスは、悪臭のもととなる成分を無臭の気体に分解する力があり、消臭に効力を発揮する。

 今日の天気は、曇り~晴れ。
 散歩中にお花屋さんの前に鉢入れのお花を見つけた。
 お花は、一足も二足も早い春の花だ。
 花が咲いた桜(十月桜?)もあった。・・今年は暖冬だから桜も早く咲くかな。


ヒイラギモクセイの花が咲く

2019-10-26 | 園芸
 台風一過、爽やかな秋空が広がる・・と言いたいが、今日の天気は風が少し強く、空には雲が多い。
 散歩道の沿いに背高の生垣がある。塀から微かだけど、良い匂いがする。寄って見たら、塀に点々と白い小さな花が咲いている。”ヒイラギモクセイ”の花である。花の寿命は短い(数日位かな)ようで・・今年は開花を見ることができた。
 ”ヒイラギモクセイ”は”ヒイラギ(柊)”と”ギンモクセイ(銀木犀)”の交雑種と考えられている。雌雄異株であるが、雄株のみが知られており、結実しない。
 ヒイラギモクセイ(柊木犀)
 学名:Osmanthus × fortunei
 モクセイ科モクセイ属
 雌雄異株(雄株のみが知られてjる)
 常緑小高木
 開花時期は10月
 開花期間は短い
 花は白い小さな4深裂の花(4mm位)
  2本の雄しべがあり、花の中心に退化した雌しべが見える
  僅かに芳香がある
 ギンモクセイ(銀木犀)が咲き終わった頃に咲く
  特徴による見分け
   葉のトゲトゲ:銀木犀 < 柊木犀 < 柊
          すべすべ トゲトゲ 大きくトゲトゲ
   開花の時期:銀木犀 → 柊木犀 → 柊


晩春~初夏の端境期に収穫できる大粒イチゴ新品種「そよかの」を育成

2019-09-11 | 園芸
 農研機構は、青森県・岩手県・秋田県・山形県との共同研究により、イチゴ新品種「そよかの」を育成した(9月5日発表)。「そよかの」は、寒冷地や高冷地における露地栽培、半促成栽培に向く品種である。晩春~初夏に収穫できる大粒のイチゴで、形の揃いが良く多収であり、果皮は明るい赤色である。
 イチゴは生食用、ケーキ等業務用として年間を通して需要があるが、6月~11月にかけては生産量が落ち込み、端境期となっている。東北地方や北海道などの寒冷地や高冷地では、その冷涼な気候を生かして、6月前後に果実を出荷する露地栽培や半促成栽培が行われており、イチゴの周年供給に寄与している。しかし、これらの栽培で用いられている品種は、収穫期後半の果実の小粒化や形の乱れ、収穫後の果皮色の黒変や着色不良などの点で改良の余地があった。
 ◇卸売数量(H30農林水産省青果物卸売市場調査より)
  月    卸売数量
  1月~4月 1万トン~2万トン
  5月    1万トン
  6月~11月 千トン~2千トン(端境期)
  12月   1万トン
 新品種「そよかの」の特徴
 1. 多収性で極晩生の「豊雪姫とよゆきひめ」を母とし、食味が良く果実が硬めであり、うどんこ病レース0抵抗性をもつ「さちのか」を父とした交配を2008年に行い、選抜により「そよかの」を育成した。
 2. 寒冷地や高冷地における露地栽培や半促成栽培に適する極晩生の一季成り性品種。
 3. 葉は大きく立ち上がって大株となり、ランナーも十分に発生する。
 4. 露地栽培および半促成栽培の一種である低温カット栽培のいずれにおいても、平均1果重は16g程度と、同時期に収穫できる「北の輝きたのかがやき」や「豊雪姫」(いずれも1粒12g~14g前後)より大粒である。また「そよかの」は、乱形果や奇形果の発生が少ないことから、高い商品果率が期待できる。 商品果収量は「北の輝」より多く、「豊雪姫」と同程度である。
 5. 果実は円錐形で揃いに優れ、果皮は明るい赤色で、収穫後の果皮色の黒変は認められていない。果実は「北の輝」より柔らかく、「豊雪姫」より硬くなる。果実糖度は中程度、酸度はやや高く、食味は中~やや良である。
 6. 東北地方等で発生がみられるうどんこ病レース0に対して、「北の輝」や「豊雪姫」は罹病性であるが、「そよかの」は抵抗性を示す。萎黄病いおうびょうに対しては罹病性である。
 ◆用語解説
 〇露地栽培
 作物を屋外の畑で栽培することを「露地栽培」という。日本におけるイチゴ生産は1960年代頃まで露地栽培が主流で、露地栽培によるイチゴは、晩春~初夏に収穫される。その後、ビニールハウスや暖房設備の普及により、イチゴの収穫期間は拡大し、今ではそれらの設備を用いて冬~春(12月~5月頃)に果実を生産する「促成栽培」が主流となっている。その結果、冬場に生産のピークが移る一方、晩春~初夏の生産量はかつてより落ち込み、端境期となっている。
 〇半促成栽培、低温カット栽培
 「半促成栽培」は、主に4月から7月頃にかけて果実を収穫する作型で、北海道や東北地方などの寒冷地や高冷地で行われている。半促成栽培では、畑への苗の植え付けを前年の晩夏~秋に行うが、冬季における加温の有無により、加温半促成栽培、無加温半促成栽培などに細分化される。
 「低温カット栽培」は無加温半促成栽培の一種で、冬季に灯油等を用いた加温をせず、トンネル被覆やべたがけ等による保温のみで栽培する。
 〇極晩生(ごくばんせい)
 作物の品種には、収穫時期が早いもの(早生)から遅いもの(晩生)まで様々あり、中でも特に遅いものを極晩生という。極晩生のイチゴ品種は、主に5月から7月にかけて果実を収穫する露地栽培や半促成栽培に利用される。
 〇一季成り性イチゴ(いっきなりせいイチゴ)
 イチゴには、一季成り性と四季成り性がある。一季成り性イチゴは、低温、短日条件で花芽を作り、主に冬から春にかけて収穫される。代表的な品種に、「とちおとめ」「福岡S6号(商標名:あまおう)」「恋みのり」などがある。
 四季成り性イチゴは、夏季の長日条件下でも花芽を作り、夏や秋でも果実を収穫できる。四季成り性イチゴは、主に夏秋期のケーキ用に利用されている。
 〇うどんこ病レース0(うどんこびょうレースゼロ)
 うどんこ病はイチゴの重要病害の1つで、うどんこ病菌の感染により発症する。発症すると、葉や果実がうどんこ(小麦粉)をかけたように白くなり、収量や商品価値が低下する。イチゴのうどんこ病菌には2つのタイプ(レース0とレース1)が知られており、それぞれ感染するイチゴ品種が異なる。レース0は、東北地方や北海道でも発生が認められている。
 〇豊雪姫(とよゆきひめ)
 農研機構東北農業研究センター育成の極晩生の一季成り性品種。北東北地域における露地栽培、半促成栽培に利用されており、収量が多いことが特徴である。
 〇ランナー
 イチゴは株からランナー(匍匐枝、匍匐茎ともいう)とよばれる"つる"を伸ばし、その"つる"の先に子株をつける。これらの子株は親株と同じ遺伝子をもつクローンであり、これを利用して苗を増やす。
 〇北の輝(きたのかがやき)
 農研機構東北農業研究センター(旧野菜・茶業試験場盛岡支場)育成の極晩生の一季成り性品種。促成栽培用品種の収穫が終わった頃から収穫が始まり、主に北東北地域における露地栽培、半促成栽培に利用されている。果実が硬く輸送性に優れる。
 ◆「そよかの」の特性
 植物体特性:ランナー数8.9(6月下旬)
 収量特性:平均1果重 16.5g 商品果収量 果重150.5(kg/a)
 果実特性(露地栽培):硬度0.51(N/φ2mm) 糖度9.1(° Brix) 酸度0.57(%)
 果実:果実は円錐形で、揃いが良く、果皮は明るい赤色
 品種登録出願番号:
   第33721号 (令和元年7月4日出願公表)

 今日の天気は曇り、時々晴れ、昼1時ごろとても強い雨。
 午後3時ごろ、雨が止み、空を見たら雲・雲だ。一昨日の4時ごろに見た虹を思い出した。

朝鮮朝顔の花が咲いた

2019-09-02 | 園芸
 今日の天気は曇り、午後から時々晴れる。
 所用があり、早朝から郊外に出かけた。時間が少しあったので、雨の中を散歩。
 塀と側溝の間に”アメリカチョウセンアサガオ”が咲いていた。花は白い径10cm程の大きなラッパの様で、半分位はまだ閉じている。・・名(アサガオ)の如く朝に開いて昼前に閉じてしまうな花である。緑の葉の茂みに隠れて丸形でイガイガの小さな実が見える。
 葉の上面や茎枝に短い軟毛があり、”チョウセンアサガオ”と区別できる。尚、朝鮮朝顔の仲間は全て有毒植物である。
 ◆仲間
 〇チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)
  別名:マンダラゲ(曼陀羅華)、キチガイナスビ(気違い茄子)
 〇アメリカチョウセンアサガオ(アメリカ朝鮮朝顔)
  別名:ケチョウセンアサガオ(毛朝鮮朝顔)
 〇キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)
  別名:エンジェルス・トランペット(angels trampet)
 〇ヨウシュチョウセンアサガオ(洋種朝鮮朝顔)
  別名:フジイロマンダラゲ(藤色曼陀羅華)
 〇シロバナヨウシュチョウセンアサガオ(白花洋種朝鮮朝顔)
  別名:悪魔の草

 アメリカチョウセンアサガオ(アメリカ朝鮮朝顔)
 別名:毛朝鮮朝顔(けちょうせんあさがお)
 学名:Datura meteloides
 ナス科チョウセンアサガオ属 (ダツラ属)
 多年草
 原産地は北米南部、メキシコ
 江戸時代末期・明治時代に渡来し、観賞用として栽培された帰化植物
 開花時期は7月~9月
 花色は白、花径10cm程、花筒は5条の筋があり、浅く10裂
 花後の実は球形のさく果(熟すと果皮が裂開する果実)、太くて長い棘がある


花のめしべを作るのに欠かせない遺伝子の働きを解明

2019-09-01 | 園芸
 奈良先端科学技術大学院大学の伊藤寿朗教授らは、花のめしべを正しく作るのに欠かせない遺伝子の働きを解明した。この遺伝子の働くタイミングを調整すれば、果実の品質向上や食料の増産につながる可能性がある。
 伊藤教授らは、めしべのもとになる幹細胞の増殖を調節しているとみられる「KNU」というたんぱく質を作る遺伝子に着目した。
 アブラナ科の一年草、シロイヌナズナでめしべができるまでの各段階のつぼみを使い、「KNU」の働きを調べた。めしべが発達する早い段階で、「KNU」は幹細胞を増殖させる別の遺伝子にくっつき、この遺伝子の働きを邪魔する役割を果たしていた。めしべの発達が進むと、「KNU」がくっつく遺伝子の周辺ではDNAが小さく折り畳まれ、邪魔する働きが強まることもわかった。「KNU」は幹細胞の増殖能力に徐々にブレーキをかけ、栄養をためてめしべを正しく発達させる働きがあるとみている。「KNU」を作れない植物は、めしべの根元が異常にふくれ種子ができなくなる。一方「KNU」が大量に作られる植物は、めしべそのものが消えてしまう。不明だったこの仕組みが解明できたという。
 「KNU」が働く時期を調整すれば、果実の大きさや種子の数を操作できる可能性がある。果実や野菜、穀物などの新品種を開発する有力な技術になると期待している。
 ◆KNU (2019.5.14の発表から、抜粋)
 本研究グループは、まず、モデル植物であるシロイヌナズナを用い、幹細胞の増殖に必要な転写因子WUSCHEL(WUSタンパク質)とその上流の転写抑制因子KNUCKLES(KNUタンパク質)に注目した。
 KNUタンパク質が作用しないknu突然変異体では、雌しべの中で種の代わりに過剰な数の花器官が出来て、幹細胞の増殖が止まらなくなることがわかっていたから。また、KNUを過剰発現すると、逆に幹細胞の増殖が早くに止まってしまうため、花器官の数が減る。そこで、knu突然変異体やKNU活性をコントロール出来る植物体を作成して、WUS遺伝子の発現とクロマチンに影響を及ぼすヒストン修飾という分子構造の変化を花発生の時間軸にそって解析した。その結果、複数のヒストン修飾が時間軸に沿って変動し、時間の遅れが生じながらクロマチン構造が閉じていくことを発見した。さらにKNUタンパク質に直接、相互作用するタンパク質として抑制的なヒストン修飾の導入に必要なポリコムタンパク質が含まれていた。
 ポリコムタンパク質によって導入される抑制的なヒストン修飾は遺伝子の発現をオフにする機能があるため、KNU誘導後のWUS遺伝子への発現の影響について調べたところ、抑制的ヒストン修飾が導入される前に、WUS遺伝子の発現量は減少することがわかった。一方、ポリコム突然変異体の解析から、ポリコムは抑制し続けるために必要であることがわかった。つまり、ポリコムは抑制の開始には関係しない一方、継続的な抑制状態の維持に必要であることがわかった。
 それでは、どうやって、KNUはWUSの発現をオフにするのでしょうか?
 KNUがWUS遺伝子座に直接結合して、クロマチンの構造を緩めることで遺伝子の活性化にかかわるSPLAYEDクロマチンリモデリングタンパク質の結合を阻害することを明らかにした。この結果から、KNUタンパク質がWUS遺伝子に結合して多段階にはたらくスイッチとして、遺伝子の抑制に作用していることを明らかにした。

 今日の天気は曇り~晴れ。最高気温は31℃と今日も暑い。
 道沿いの植栽地に”テッポウユリ(鉄砲百合)”と”タカサゴユリ(高砂百合)”が咲いている。
 ”タカサゴユリ(高砂百合)”は、筒状の白花で、筒状花の外側に紫褐の縞があり、葉は細い。”テッポウユリ(鉄砲百合)”に似ているが、背が高い・・テッポウユリ:草丈が1m位、タカサゴユリ:草丈が1.5m位。葉の幅が細く、鉄砲の形の”テッポウユリ(鉄砲百合)”と似ているので、”ホソバテッポウユリ(細葉鉄砲百合)”とも呼ばれる。
 因みに、”テッポウユリ(鉄砲百合)”は春(6月頃)に、”タカサゴユリ(高砂百合)”は夏~秋にかけて咲く。
 タカサゴユリ(高砂百合)
 別名:細葉鉄砲百合(ほそばてっぽうゆり)、台湾百合(たいわんゆり)
 学名:Lilium formosanum
 ユリ科ユリ属
 耐寒性球根植物
 原産地は台湾、大正12年日本へ種子が入る
  西日本を中心に広く野生化している
 開花時期
  鉄砲百合は6月頃、高砂百合は8月頃
  種子で繁殖する。11月頃に蒴果が熟す
  細長い莢に沢山の種子が詰まっている。晩秋に莢がはじけて種子が放出される(風媒花)


ブドウ「シャインマスカット」の高精度な全ゲノム解読に成功

2019-08-27 | 園芸
 かずさDNA研究所と農研機構果樹茶業研究部門は共同で、ブドウ「シャインマスカット」の全ゲノム解析を行い、全ゲノムの 99.4%にあたる 490.1Mb の配列を解読した。これにより、ワイン用欧州ブドウとのゲノム構造を比較した。
 「シャインマスカット」は農研機構が開発した黄緑色でマスカット香を有する良食味の生食用欧米雑種ブドウ。これまで、ワイン用欧州ブドウではゲノム解読がされていたが、生食用欧米雑種ブドウでは全ゲノム配列が明らかになっていない。
 「シャインマスカット」の全ゲノム配列が染色体レベルで明らかになったことで、生食用欧米雑種ブドウの果実品質や病気に対する抵抗性など、より良い品種をつくるための重要な遺伝子に関わる研究を一層進めることができる。
 研究成果は、BioRχiv において8月19日にオンライン公開された。
  研究成果の概要と意義
 ①超並列シークエンシング技術と大型計算機を駆使し、「シャインマスカット」全ゲノムの 99.4%にあたる 490.1 Mb の配列を解読した。
 ②「シャインマスカット」は欧州ブドウと米国ブドウの長所を兼ね備えた欧米雑種ブドウである。 欧米雑種ブドウである「安芸津21号」を母親に、欧州ブドウである「白南」を父親として育成された。「シャインマスカット」全ゲノム配列の特性より、両親それぞれから異なるタイプの遺伝子を受け継いでいることが示唆された。
 ③「シャインマスカット」と欧州ブドウとの配列を比較したところ、生食用欧米雑種ブドウで ある「シャインマスカット」はワイン用欧州ブドウとは異なるゲノム構造をもっていることがわかった。2つのゲノム構造の違いをさらに詳しく調べることで、「シャインマスカッ ト」の生食用としての優れた形質にかかわる遺伝子を明らかできることが期待される。
 ④本研究により得られた情報は、Plant GARDEN データベース(https://plantgarden.jp)にて公開するとともに、バイオ系のプレプリントサーバーbioRχiv(バイオアーカイブ)でオ ンライン公開する。
 将来の波及効果
 ①「シャインマスカット」の全ゲノム解読に世界で初めて成功したことで、生食用欧米雑種ブ ドウの様々な重要形質に関わる遺伝子の解明に向けた研究を進めることができる。
 ②生食用欧米雑種ブドウでは、これまでゲノム情報を用いた育種選抜がほとんど実施されていない。今回の研究で明らかにした「シャインマスカット」の全ゲノム配列情報と、現在作成中の「シャインマスカット」を生み出した交配組合せ集団(安芸津21号×白南)の 連鎖地図を用いることで、生食用欧米雑種ブドウの有用形質を選抜するためのゲノム情報が得やすくなり、生食用ブドウ育種の迅速化に寄与することが期待される。

 今日の天気は、曇り、時々小雨、時々晴れ。
 街のスーパーでは”ナシ”が出始めた。散歩でも、塀越しに見える”ナシ”がたわわに実っている。
 梨の種類は、大別して3種あり、和なし(日本なし、Pyrus pyrifolia var. culta )、中国なし (P. bretschneideri) 、洋なし(西洋なし、P. communis )である。これらの実は、何れも食用として栽培される。日本語で”ナシ(梨)”と言うと通常、このうちの”和なし”を指す。塀越しに見える”ナシ”も”和なし”。
 ”ナシ”の語源には諸説がある。
  中酸(なす):江戸時代の学者新井白石は中心部ほど酸味が強いことから、中酸が転じたと述べている。
  風なし:風があると実らないから
  中白(なかしろ)・色なし:果肉が白いから
  梨子(らいし):漢語の梨子の転じたもの
 ”ナシ”という名前は「無し」に通じることからこれを忌ん(忌み言葉)で、家の庭に植えることを避けたり、「ありのみ(有りの実)」という反対の意味を持たせた呼称が用いられることがある。しかし、「無し」という意味を用いて、盗難に遭わぬよう家の建材にナシを用いて「何も無し」、鬼門の方角にナシを植えることで「鬼門無し」などと、縁起の良い利用法もある。
 ナシ:梨 (なし)
  その果実もナシ
 別名:有の実(ありのみ)
  有名品種には、豊水(ほうすい)・幸水(こうすい)・二十世紀などがある
 学名:Pyrus pyrifolia var. culta
 バラ科ナシ属
 原産地:中国を原産とし中国や朝鮮半島、日本の中部地方以南に自生する野生種ヤマナシ(ニホンヤマナシ、P. pyrifolia var. pyrifolia )を基本種とする栽培品種群のこと。
 日本でナシが食べられ始めたのは弥生時代頃とされ、登呂遺跡などから多数食用にされたとされる根拠の種子などが見つかっている。文献に初めて登場するのは「日本書紀」であり、持統天皇の693年の詔において五穀とともに「桑、苧、梨、栗、蕪菁」の栽培を奨励する記述がある。
 開花時期:4月頃、桜から1週間ほど遅れて開花する
 白い5弁花


アジサイの青色成分を直接確認、 植物本体から成分を抽出できた

2019-07-01 | 園芸
 名古屋大学の吉田久美教授と青木弾講師らの研究グループは、”アジサイ”の花の色を青にする色素成分を直接確認することに成功した(2019年4月1日付 Scientific Reportsに掲載)。酸性の土壌で”アジサイ”を育てると青い花になることは古くから知られていたが、植物本体から成分を抽出できたのは初めてである。青に発色する仕組みも証明できた。
  土壌が酸性のときアジサイの花の色は青
  中性で紫
  アルカリ性で赤に変わる
 研究グループは花弁(花びら)のように見える「萼:ガク」の部分をセ氏零下160度で瞬間凍結した。断面にある物質の質量を凍ったままで分析できる特殊な装置を使い、色素を構成している成分を詳しく調べた。その結果「アントシアニン」と呼ぶ色素とアルミニウムイオン、発色を安定にする効果がある「助色素」の3つの成分が同じ比率で結合していることが、青色を発するために必要だと分かった。
 アルカリ性の土壌で育てた”アジサイ”は萼(ガク)が赤くなる。赤い萼ではアルミニウムイオンがほとんどなく、青に発色する色素が作られていなかった。
 アジサイが青くなる原因は、土壌に含まれるアルミニウムイオンが酸性になり水に溶け出すためと考えられ、研究グループはこれまでに試験管内で青色に発色する色素を合成してこの仮説を確認していた。ただ”アジサイ”に本当に含まれているのかどうかが不明だったため、成分の抽出を目指していた。
 今後、ガクの部分にアルミニウムイオンが集積する仕組みなども調べ、アジサイの色が変わる全容を解明する考えだ。
 ◆物質の質量を凍ったままで分析できる特殊な装置
 低温-飛行時間型二次イオン質量分析計
 飼料表面に一次イオン(今回は金)を照射すると、そのエネルギーで表面に存在する様々な有機分子、無機物がイオン化して二次イオンが得られる。この二次イオンを飛行時間型の質量分析器で分析する装置のことを飛行時間型二次イオン質量分析計という。
 ◆アジサイの花色(花弁ではなくガク)
 アジサイの花色(ガクの色)は、酸性度・三種類の助色素(5CQ、5pCQ、3CQ)・アルミニウムイオンの組み合わせで決まる。酸性度・アルミニウムイオンは環境要因で、助色素は遺伝である。
 アルカリ性土壌が酸性化するとアルミニウムイオンが溶出する。ヨーロッパの”アジサイ”がピンクの理由がここにある。日本の土壌はほとんど元から酸性土壌で、アルミニウムイオンをあまり含まない、故に青いものが多い。

 早朝は雨、だったようだ、植物が濡れていた。朝はポツリポツリと小雨、段々と雨が上がり、昼頃は晴れ。
 ”アジサイ(紫陽花)”の花は咲き始め。”アジサイ”は梅雨の訪れを告げる花、綺麗に色づき始めた。早朝の雨で、花も葉も濡れていた。
 ”アジサイ”はアジサイ科(Hydrangeaceae)アジサイ属(Hydrangea)の植物の総称である。アジア・北アメリカに約40種が分布する。最も一般的に植えられている球状のアジサイは、セイヨウアジサイ(ヒメアジサイ・テマリ咲きアジサイは別)であり、日本原産のガクアジサイ(Hydrangea macrophylla)を改良した品種である。

 名(アジサイ)の由来は、最も有力なのは、藍色の花が集まって咲く様を表した「あづさい:集真藍」が変化したもの。「あづ」は集(あつ)、「さい」は真藍(さあい)である。別名に、藍色花の集合を表す集真藍・味狭藍・安治佐為、様々な色の変化から七変化・八仙花、丸く集まった姿から手毬花、などがある。
 アジサイ(紫陽花)
 別名:集真藍・味狭藍・安治佐為、七変化・八仙花、手毬花
 学名:Hydrangea macrophylla form. macrophylla(紫陽花)
    Hydrangea macrophylla form. normalis(萼紫陽花)
 ユキノシタ科アジサイ属(アジサイ科アジサイ属)
 落葉性低木
 開花時期は、6月~7月
   梅雨時期と重なる
 ガクアジサイ(萼紫陽花、額紫陽花)は日本原産
 球状のアジサイ(紫陽花)はセイヨウアジサイで、ガクアジサイの改良品種
 花に見えるのは萼(ガク)で、その色は様々(紫・白・青・ピンクなど)である


過剰DNAは、リン栄養が欠乏状態になると積極的に分解され再利用される

2019-06-19 | 園芸
 岡山大学資源植物科学研究所坂本亘教授と高見常明技術専門職員、神戸大学大学院理学研究科の三村徹郎教授、広島大学大学院理学研究科の草場信教授らの研究グループは、細胞内のDNAが自己分解され、リンの栄養分として再利用される生命現象を明らかにした(平成30年11月12日発表)。
 植物は光合成により大気中の二酸化炭素を固定して有機物を作る。窒素(N)・リン(P)・カリウム(K)などの養分は、外部から吸収して利用する。N・P・Kは植物の三大栄養素として肥料にも使われる。リン肥料は、主に天然のリン鉱石から作られるが、21世紀になりリン鉱石の埋蔵量が懸念され、今世紀中に枯渇するのではと危惧されている。
 植物の光合成を行う葉緑体や呼吸をつかさどるミトコンドリアは、太古の昔に細胞内共生により獲得した、バクテリア由来のオルガネラDNAをたくさん持っている。これらの、一見不要と思われる過剰のDNAは、リン栄養が欠乏した状態になると積極的に分解され、再利用されていることが今回の研究で明らかになった。
 本研究成果により、DNA分解を介したリン酸利用効率の向上性が分かり、これらの知見を用いて養分利用を改善させた作物の改良にも結びつくことが期待される。
 研究成果の内容
 坂本教授と高見技術職員らの研究グループは、地球上で生命が誕生後、今から約15億年前にバクテリアの細胞内共生により細胞に生じた小器官であるミトコンドリアと、葉緑体が持つオルガネラDNAに注目した。オルガネラDNAは、共生バクテリアから受け継いだDNAであるが、植物の葉などではDNAを必要以上にたくさん持っている。一見、不要と思われる過剰のDNAであるが、植物の葉ではこれらのオルガネラDNAが、DPD1ヌクレアーゼという分解酵素で分解され、リンの再利用に使われていることを、モデル実験植物であるシロイヌナズナと、葉が落葉するポプラを用いて明らかにした。太古の昔に植物が共生によって獲得したDNAを、葉緑体にたくさん維持する理由が長らく謎であったが、本研究成果により、これらのDNAが遺伝物質としてだけでなく、リン栄養としても機能していることが分かった。
 用語説明
 細胞内共生説
 真核細胞の祖先となる細胞が、別のバクテリアを共生体として取り込み細胞小器官のミトコンドリアと葉緑体ができたとする説。
 オルガネラDNA
 真核生物の細胞核の外の細胞小器官(オルガネラ)に含まれるDNA。
 シロイヌナズナ
 アブラナ科の小型雑草で学名はArabidopsis thaliana。
 世代期間が短く種子をたくさんつけるために世界中で植物研究に使われている。また遺伝情報(ゲノム)が小さく、解明済みであり、遺伝子の研究に適している。

 今日の天気は、15時頃までは曇り・小雨・晴れと変化大きい、夕方近くからは小雨。早朝の畑作業は”トウモロコシ”への追肥、雑草取り。”雑草取り”は少し休むとドンドン増える!。
 散歩道沿いの畑の隅で、”ムラサキツユクサ”が咲き出した。蕾が沢山見え、これから蕾が順次咲く、花は一日花である。
 鑑賞用に良く見かける”ムラサキツユクサ”は園芸品種で、アンダーソニアナ(学名:トラデスカンティア・アンダーソニアナ)、と言われる。ツユクサと名が付くが、日本に自生するツユクサとは属が異なる(ムラサキツユクサはトラデスカンチア属、ツユクサはコンメリナ属)。
 因みに、”ムラサキツユクサ”と混同されることが多い”オオムラサキツユクサ”との違いは、萼に長毛が生えるのが”オオムラサキツユクサ”で、短毛~無毛が”ムラサキツユクサ”である。
 ムラサキツユクサ(紫露草)
 ツユクサ科トラデスカンチア属(ムラサキツユクサ属)
 多年草
 原産地は北アメリカ
 開花時期は6月~10月
 花は径3cm位の3弁花、花弁は丸い
 花の中央の雄蕊(おしべ)が目立つ
 花色は紫が基本で、赤紫・白色などがある