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   健康を歩いて増進

冠動脈攣縮における心臓リンパ管の役割が明らかに

2019-03-31 | 医学
 東北大学大学院医学系研究科の循環器内科学分野の下川宏明教授、松本泰治院内講師、天水宏和医師らの研究グループは、冠攣縮性狭心症の原因となっている冠攣縮の成因に心臓リンパ管の異常が関与していることを、ブタモデルを用いて、世界で初めて証明した(3月29日発表)。冠攣縮は心臓の動脈(冠動脈)が痙攣を起こす病態で、胸痛や突然死を引き起こす。
 狭心症
 心臓の栄養血管である冠動脈が、何かの原因で狭くなると、心筋に送り込まれる血液が不足し、心筋が酸素不足に陥る。そのために生ずる胸の痛みが「狭心症の痛み」である。多くの場合、冠動脈の動脈硬化によって生じた冠動脈の狭窄が血流を障害することが原因となる。たいした動脈硬化がないにもかかわらず、冠動脈が痙攣性に収縮を起こして縮んでしまう(攣縮)するタイプもある。また子どもの病気である川崎病の後遺症や大動脈弁膜症が原因になることもある。
 日本では虚血性心臓疾患は少ないが、高齢者人口の増加につれて患者数は増えつづけ、3大死因の1つになっている。急性心筋梗塞症だけで言えば、その発症数は年間約15万人で、そのうち30%の方が死亡している。
 狭心症の重要な原因の一つである冠動脈攣縮(かんどうみゃくれんしゅく)は、まだその病態が十分には明らかにされていない。本研究で、心臓リンパ管の異常(機能不全)が冠攣縮の原因(冠攣縮が悪化)となることを、大型動物モデル(ブタ)を用いて、世界で初めて証明した。
 心臓リンパ管は、1653年に世界で初めてその存在が報告されたにもかかわらず、心臓の血管(冠動脈や冠静脈)と比べ、ほとんど注目されなかった。本研究は、ブタモデルを用いて、心臓リンパ管の機能不全によりすることを世界で初めて示したものであり、心臓リンパ管が冠攣縮性狭心症に対する新規治療標的になり得ることが今後期待される。

 朝から雪。路面には雪がなかったが、地面には薄く積もっていた。午後からは雪が上がり、曇り~晴れ。積もった雪も融ける。
 畑に植えた”ユキゲユリ”に花が咲き出した。”ユキゲユリ”は高山植物で、自生地では雪が解けずに残っていても花が咲くこともあることからこの名(雪解ゆり)になったと言う。別名に”チオノドクサ”とあるが、チオノドクサは属名である。”チオノドクサ”には数種類が知られている。”チオノドクサ・リュシーリアエ(C. luciliae)”が良く知られており、花色は澄んだ青で中心が白い。花の澄んだ青色で中心が白色は、和名の”ユキゲユリ(雪解百合)”が似合うかな。
 学名の「Chionodoxa」は、ギリシア語の「chion:雪」と「doxa:栄光、華麗」からと言う。英名では「Glory of the snow」との事で、何れも雪に関係している。
 ユキゲユリ(雪解百合)
 別名:チオノドクサ
 学名:Chionodoxa luciliae Boiss.
 英名:Glory of the snow
 ユリ科チオノドクサ属
 クサスギカズラ科、ヒヤシンス科、キジカクシ科に分類することもある
 多年草(秋植え球根、径4cm位)
 原産地は地中海沿岸~小アジア
 開花時期は2月~4月
 花色は 青・紫・白・ピンク



安定して水を電気分解するマンガン触媒の開発に成功

2019-03-30 | 科学・技術
 地球上で最も効率よく太陽エネルギーを利用しているのは、植物などの光合成生物である。植物は、豊富に存在する中性の水と大気中の二酸化炭素からデンプンなどの有機物を作り出す。これにより、地球上の生態系が支えられている。
 植物の光合成を人工的に再現する試みを「人工光合成」と言い、究極的な課題となっている。化石燃料の大量消費による環境破壊が深刻化するにつれ、環境に優しいエネルギー変換技術としての人工光合成への期待が高まっている。
 人工光合成を行うアプローチの一つに、太陽光発電により得られる電力を用いた水電解反応(2H2O→4H++O2+4e-)がある。この反応により水から獲得した電子とプロトン(水素イオン)は、水素製造や有機物合成に使うことができる。しかし、水電解反応を行うための触媒として、資源量が少ないイリジウム(Ir)などの希少金属が必要となっている。これに対し、マンガン(Mn)や鉄(Fe)など、自然界に豊富に存在する元素を用いた触媒では活性が低く、すぐに分解・劣化するという問題がある。
 理化学研究所環境資源科学研究センター生体機能触媒研究チームの中村龍平チームリーダー、李愛龍(リ・アイロン)国際プログラム・アソシエイト、大岡英史特別研究員らの国際共同研究チームは、11カ月以上にわたり安定して水を電気分解(電解)するマンガン(Mn)触媒の開発に成功した。
 研究手法と成果
 国際共同研究チームは、高い耐久性を持つ水電解反応の触媒として、鉱物としても存在するガンマ型の酸化マンガン(MnO2)に着目した。ガンマ型酸化マンガンは、マンガン乾電池にも利用されている材料である。
 まず、ガンマ型酸化マンガンを、熱分解法によりフッ素ドープ酸化スズ電極上に合成した。得られた電極触媒の構造を電子顕微鏡で観察したところ、原子レベルで大きさが異なる2種類のトンネル構造(1X1と1X2)が粒子中に形成されていることが確認できた。次に、得られたガンマ型酸化マンガンを作用電極として用い、水電解反応の特性を評価した。真水など中性の水を電解すると、プロトン(水素イオン)の生成により溶液のpHが酸性に変化する。このpH変化への耐久性を評価するため、今回の評価はpH2の強酸性環境において行った。
 通常、このような酸性領域で水電解反応を行うと、酸化マンガンはすぐに分解し、溶け出すため、これまで酸化マンガンは、水電解触媒としては利用できないと考えられていた。研究チームは、水電解反応の反応経路可視化技術を用い、ガンマ型酸化マンガンが水を電気分解するメカニズムを詳細に検討した。その結果、三電極系において電位を精密に制御することで、ガンマ型マンガン酸化物が劣化せず、安定して水を電気分解できる電圧領域(基準となる可逆水素電極に対して1.6~1.75V)が存在することを見いだした。そして、この安定電位領域に基づき反応環境を調整することにより、非貴金属系の触媒の中で世界最高の活性(電流密度10mA/cm2の水電解電流を作り出すのに必要な過電圧が489mV)で、水を電気分解できた。
 さらに、この触媒は10mA/cm-2の条件において11カ月以上活性を持続することが実証された。一方で、安定電位領域からわずか50mV外れた環境で水電解反応を行うと、酸化マンガンはすぐに溶出し、5日後には活性は完全に消失した。
 また、ガンマ型酸化マンガンを、固体高分子型水電解槽の触媒として用い、水素製造能を評価した。
 その結果、安定電位領域において水電解を行うことで、ガンマ型酸化マンガンを用いてもエネルギー変換効率約70%にて、350時間(約15日間)にわたり、真水から水素と酸素を作り出せることを確認した。一方で、安定電位から外れた反応条件においては、8時間程度で触媒の劣化が見られた。
 今後の期待
 鉄やマンガンから作られた水電解触媒は、酸性環境下においてはすぐに溶出する、というのがこれまでの常識だった。本概念は、新たな電極触媒の開発や、最適な反応環境を特定するための新たな戦略になると考えられる。
 本成果は、今後さらに活性を高めることで、イリジウムなどの希少元素に依存しない新しい水電解技術の開発につながると期待できる。さらに、太陽電池などで得られる再生エネルギー由来の電力を用いることで、太陽と水から燃料を作り出す人工光合成システムの実現につながると考えられる。
 ◆補足説明
 〇マンガン(Mn)触媒
 光合成生物が行う、水から電子を引き抜き酸素とプロトンを作り出す水分解反応を、人工的に行うための触媒。光合成生物が四つのマンガン原子(Mn)を含む酵素(生体マンガン4核酵素)を用いていることから、マンガンを含む金属酸化物や金属錯体が触媒として検討されている。
 〇固体高分子型水電解槽
 水を電気分解する際、固体高分子(例えば、ナフィオン)を電解質として用いる手法。特徴としては、真水を基質として用いることができるため、環境負荷が低い水素製造法として期待を集めている。
 〇水電解反応
 水の電気分解(水電解)とは、正確には水から水素と酸素を作る反応(2H2O→2H2+O2)を指す。この反応は、酸素を生成する陽極反応(2H2O→O2+4H++4e-)と、水素を作る陰極反応(2H++2e-→H2)に分けられる。つまり水の電気分解とは、陽極において水から電子(e-)とプロトン(H+)を引き抜き、陰極でそれらを組み合わせることで水素を作る反応と捉えることができる。陰極材料としてはニッケルやモリブデンなど、非貴金属系で既に優れた材料が開発されているため、今後、水電解による水素製造を実現するためには、陽極材料の開発が重要である。今回合成した酸化マンガン触媒は、この陽極反応を担う材料として有望である。
 〇ガンマ型酸化マンガン
 酸化マンガン(MnO2)の構造の一つ。一般に酸化マンガンは、材料の中に四角形の空洞があり、このトンネル構造により触媒活性が変化する。トンネルの大きさは一つの辺に含まれるマンガン原子の数で表し、ガンマ型は1×1と1×2の二種類のトンネルを持つ。他にも2×2のトンネルのみを持つアルファ型や、1×1のみを持つベータ型酸化マンガンなども存在する。
 〇水電解反応の可視化技術
 水から電子を引き抜き酸素とプロトンを作り出す水分解反応が、どのように進行しているかを観測する技術。水分子の構造、マンガン触媒の電子状態、構造のゆがみの変化などを、リアルタイムで計測することが可能である。
 〇三電極系
 本来、正極と負極の二つの電極があれば水電解を行うことは可能である。一方、触媒反応のメカニズムを解析するためには電圧の精密測定が不可欠であり、このため三つ目の電極として参照電極が活用される。参照電極を含めた電極系を三電極系という。一般に、二電極系は工業プロセスで、三電極系は基礎研究で活用されることが多い。
 〇可逆水素電極
 溶液のプロトン(水素イオン)濃度を考慮に入れた参照電極。三電極系を用いた計測において、触媒となる電極(作用極)電位の基準点を与える。

 朝は晴れ、午後から曇り~雨・雪・霙と忙しい天候。寒さは、寒の戻りで寒い。畑仕事の手が悴む(かじかむ)。
 小さな空き地で、”ツクシ”が顔を出していた。
 ”ツクシ”はスギナの胞子茎(胞子穂、胞子体とも言う)で、胞子茎(ほうしけい)とは胞子嚢(ほうしのう、胞子が入っている袋)をつける茎。ツクシの後に続いて、横から栄養茎(主軸の節ごとに取り巻くように細い線状の葉が付く)が出てくる・・これがスギナ(杉菜)。”ツクシ”群の中に”スギナ”がチラチラと見える。
 名(ツクシ)の由来は、スギナに付いているから付子(ツクシ)説、ツクヅクシ(突く突くし、突出している様子)の転訛のツクシ説、突々串〈つくつくくし、串の様に突き出ている)からの説、澪標〈みをつくし、航路標識:水から突きでた柱)からの説、などがある。漢字での「土筆」は、土から伸びる筆の姿を表している。
 因みに、ツクシは食用となると言い、「胞子のほろ苦さと茎の歯ざわりは最高」らしい。
 ツクシ(土筆、付子)
 英名:horsetail(馬の尻尾)
 スギナ(杉菜)の胞子茎、スギナはトクサ科トクサ属
 出る時期は、桜の開花と同じ頃の3月下旬~4月上旬



全国の高校生に聞いた、将来役に立つと思う教科は

2019-03-29 | 受験・学校
 学研教育総合研究所が、全国の高校1~3年生の男女それぞれ100人ずつ、計600人に「高校生の日常生活・学習に関する調査」(2018年9月)を行った。
 この調査より、
 〇将来役に立つと思う教科
 1、外国語(全体28.5%、男子26.0%、女子31.0%)
 2、国語(全体17.8%、男子14.0%、女子21.7%)
 3、数学(全体14.0%、男子17.7%、女子10.3%)
 4、家庭(全体9.7%、男子5.3%、女子14.0%)
 5、情報(全体7.0%、男子10.0%、女子4.0%)
 〇好きな教科
 1、数学(全体15.0%、男子18.0%、女子12.0%)
 2、国語(全体11.3%、男子10.0%、女子12.7%)
 3、地理歴史(全体10.0%、男子14.7%、女子5.3%)
 4、理科(全体9.8%、男子13.3%、女子6.3%)
 5、外国語(全体9.2%、男子5.0%、女子13.3%)
 〇嫌いな教科
 1、数学(全体21.2%、男子16.7%、女子25.7%)
 2、外国語(全体17.2%、男子19.0%、女子15.3%)
 3、国語(全体12.5%、男子14.3%、女子10.7%)
 4、地理歴史(全体8.8%、男子7.3%、女子10.3%)
 0、保健体育(全体7.8%、男子7.0%、女子8.7%)
 〇将来つきたい職業
 1、公務員(5.2%)
 2、プログラマー・プログラムエンジニア(4.7%)
 3、教師・先生(4.5%)
 4・5、看護師、エンジニア・技術者(各3.2%)
 6、画家・イラストレーター(2.2%)
 7・8、研究者(科学者・考古学者など)、薬剤師(各2.2%)
 9・10、保育士・幼稚園教諭、CA(キャビンアテンダント)、ファッション関係、会社員(各1.8%)

 天気は晴れ。気温は最高気温8℃ほど・・寒い、寒が戻った。
 畑には様々な雑草が生い茂り、花が咲き出したものもある。その中の、”ヒメオドリコソウ”、花が咲きだしている。”ホトケノザ:仏の座”と良く似ている。両者ともシソ科オドリコソウ属で、同じ仲間だ。葉の形や色などが少し異なっている。
 ”ヒメオドリコソウ”は、五重塔の様に重なった紫がかった葉・葉面の細脈に沿ったしわ・毛が生えた葉や茎が四角形などが特徴である。
 名(ヒメオドリコソウ:姫踊子草)の由来は、オドリコソウ(踊子草、シソ科オドリコソウ属、花の形が笠をかぶって踊る人の姿に似る)を小さくした様な花からと言う。
 ヒメオドリコソウ(姫踊子草)
 シソ科オドリコソウ属
 二年草
 ヨーロッパ原産、明治時代中期に帰化を確認
 開花時期は2月~5月
 上部の葉は赤紫色を帯び密集、その葉腋に淡紅色の唇形花がつく
 花の長さは1cmくらい


青年期の男性がBMI22㎏/m2以上で将来糖尿病の発症リスクが高まる

2019-03-28 | 健康・病気
 順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンターの染谷由希特任助教と同大学スポーツ健康科学部メンバーによる研究グループは、「青年期のBMIが22以上で将来糖尿病の発症リスクが高まることが長期間の調査で分かった。」と発表した(3月19日)。肥満とされる25を超えなくてもリスクがあり、糖尿病予防のためには青年期からの体格・体重管理が大切であることを示すデータとして注目される。
 研究グループは、大学卒業生(男性661名、平均55歳)の糖尿病罹患状況と在学時の体格との関連を調査した(観察期間:27年~36年:平均32年)。
 大学在学時(平均22歳)のBMIを4つの群(BMI21.0kg/m2未満、21.0-22.0kg/m2、22.0-23.0kg/m2、23.0kg/m2以上)に区分し、各群での糖尿病発症率を比較した。これによると、BMIが増加するにしたがって発症率が上昇していた(各群4.4%、7.6%、10.5%、11.3%)。追跡期間を考慮して検討した結果、糖尿病の発症リスクは、BMI22.0-23.0kg/m2から上昇していることが明らかになった。つまり、青年期である20歳代前半のBMIが22㎏/m2以上の場合、将来の糖尿病発症リスクが高くなることが明らかになった。
 以前より、日本人は欧米人と比較して、同じBMIであっても脂肪を皮下脂肪として蓄えられない、脂肪肝になりやすい、などといった脂肪分布の異常やインスリン分泌が低いことが指摘されてきた。これらの背景を踏まえると、青年期のごくわずかなBMI上昇がその後の糖尿病発症と関連すると推測される。また、近年、アジア人ではBMI23㎏/m2以上で糖尿病になりやすいと報告されていることを支持する重要な結果であり、本邦の予防医学推進のための重要なエビデンスの一つになると考えられる。
 ◆BMI(体格指数)
 体格指数は通称BMI(body mass index)と言う。どれくらい痩せているか、太っているかを示す指数。
 体重(kg)を身長(m)で2回割って算出する。
 日本での基準は18.5kg/㎡未満を痩せ、18.5~25kg/㎡を普通体重、25kg/㎡以上を肥満としている。
 ◆糖尿病発症リスク
 糖尿病になる確率を示す指標である。
 数値が1より高いほど、糖尿病を発症しやすい状態を示し、数値が1より低いほど、糖尿病を発症しにくい状態を示す。

 朝から晴れ。風がとても強い。夕方から雪の予想。まだまだ寒い。
 ”ヒマラヤユキノシタ”の花が咲いている。大きなシャモジの様な丸い葉で、花茎を伸ばしてピンク色の花径1cm程の花が纏まっている。
 名(ヒマラヤユキノシタ:ヒマラヤ雪ノ下)の由来は、ヒマラヤやシベリア地方に多く、寒さに強く、雪でも常緑の葉だから、の説がある。葉は革質で固く、タンニンを多く含むので、ロシアではこのタンニンを製革に使用する、とか。
 ”ヒマラヤユキノシタ”が属するユキノシタ科ベルゲニア属は10種程が知られており、種間雑種も多い。”ヒマラヤユキノシタ”はベルゲニア・ストレイチー(Bergenia stracheyi)に付けられた名であるが、交雑種も含めてヒマラヤユキノシタと呼んでいる事が多い。
 ヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪ノ下)
 別名:大岩軍配(おおいわぐんばい)、桜鏡(さくらかがみ)
   ウインター・ベゴニア(Winter begonia) 、ベルゲニア(Bergenia)
 ユキノシタ科ベルゲニア属
 耐寒性常緑多年草
 原産地はヒマラヤ山脈周辺、明治初期に渡来
 開花時期は3月~5月
 花色には赤色・白色がある


天然ガス田の微生物を用いて金鉱石から金の浸出に成功

2019-03-27 | 科学・技術
 九州大学大学院工学研究院菅井裕一准教授、佐々木久郎教授ならびに工学府博士課程3年のSanYeeKhaingは、日本国内の天然ガス田の微生物を用いて金鉱石から金を浸出することに成功した。
 日本では、塩水(かん水、と呼ばれる)にメタンが溶解した状態で、地下に存在している水溶性天然ガスが豊富に埋蔵されている。このかん水には海水の約2,000倍のヨウ素がヨウ化物イオンとして溶解しており、ヨウ化物イオン(I-)を酸化してヨウ素(I2)を作り出す「ヨウ化物イオン酸化細菌」が生息していることが知られている。ヨウ素とヨウ化物イオンの混合液が金を溶かすことも知られている。
 菅井准教授らは同細菌を用いた金鉱石からの金の浸出を着想した。かん水から分離した8種のヨウ化物イオン酸化細菌株にヨウ化物イオンと栄養源を与え、金鉱石(金品位0.26wt%、培地中の鉱石量3.3w/v%)とともに30℃で30日培養した。結果、同細菌がヨウ化物イオンの一部をヨウ素に酸化し、ヨウ化物イオンとヨウ素から三ヨウ化物イオン(I3-)が生成して、鉱石中の金がジヨード金酸イオン([AuI2]-)となって溶け出すことを明らかにした。このうち3種の菌株については、同鉱石に含まれるすべての金を浸出させ、さらに最も優れた菌株を用いることにより5日間ですべての金を同鉱石から浸出させることに成功した。
 地下に存在している微生物やヨウ化物イオンを用いることにより、環境負荷が小さく、経済的な金の浸出方法の確立が期待される。また本研究成果は、鉱石を採掘することなく、地下の金鉱体に坑井を通じて微生物やヨウ化物イオンを注入し、地下で金を浸出して地上に回収する方法の開発につながる可能性も秘めている。
 ◆微生物の多様な金属代謝機能
 Bio-leaching(バイオリーチング)
  鉱石等からの金属類の溶出
 Bio-mineralization(バイオミネラリゼーション)
  金属類の不溶化、結晶形成
 Bio-volatilization(バイオボラタリゼーション)
  金属類の揮発化
 Bio-sorption(バイオソープション)
  金属類の吸着・吸収
 微生物利用の利点
  増殖により触媒機能が絶えず更新する
  常温・常圧下のプロセス
  生物反応のため高い特異性(選択性)
  バイオミネラリゼーションでは、生物反応特有の(化学反応では生成困難な)ミネラルが得られる可能性がある

 朝から晴れ。風がとても強い。最高気温が13℃程だが、風が強いので寒い・・寒の戻りかな。
 近所の畑で、”ナノハナ(菜の花)”が咲いている。
 ”ナノハナ(菜の花)”は、”野菜(菜っ葉)の花”から”菜の花”になったもので、おひたしや和え物で食べられる葉や茎頂部の花芽や花である。大雑把にいえば、アブラナ科アブラナ属の蕾・花である。
 ナノハナ(菜の花)
 別名:花菜(はなな)、菜花(なばな)、菜種(なたね)
 アブラナ科アブラナ属
 開花時期は、2月~5月
 花弁数は4枚、黄花
 菜の花は春に見かける黄色い花の総称として使われる
 西洋油菜(せいようあぶらな)を「菜の花」と呼ぶことも多い


尿素や糖分で発電する小型の燃料電池を開発

2019-03-25 | 科学・技術
 大阪工業大学の金藤敬一教授は、尿素をエネルギーにして発電する小型の燃料電池を開発した。尿素以外の糖(グルコース)、アルコール(エタノール)もエネルギー源として使える。
 燃料電池は、水素などの燃料を、化学反応を促進させる「触媒」を使って酸化させ、発電する。ただし、燃料電池の触媒としてよく使われる白金(プラチナ)は、尿素では作用せず使えない。
 そこで電気をよく通す「導電性高分子」に着目し、これを主な材料にした新たな触媒を作製した。改良を重ね、約2cm角、厚さ1mm程度の小型燃料電池に仕上げた。4個をつなげ、5mmの四角い穴に注射器で尿素を注入すると、約3Vの電圧が発生し、LEDを灯せることを確認した。
 金藤さんは、南アルプスの山小屋で懐中電灯をともしてトイレに行ったとき、「尿を燃料にできれば」と思い立ったという。実際の尿や、尿素以外の糖(グルコース)、アルコール(エタノール)を燃料にすることもできる。金藤さんは「持ち運びができるので、非常時にジュースや尿を使って発電し、助けを求めることにも使える。電源がとれない山小屋やパーキングエリアで電灯をつけたり、体内の尿を利用することで電力が必要な人工臓器を動かしたりするなどの応用が、期待される実用化に向けて出力をさらに上げたい、と言う。

 今日の天気は晴れ~曇り。気温は、最高気温14℃とチョット暖かいが、風が強く冷たいので、暖かさは感じない1日だ。
 散歩道の”ツバキ”、花が咲き出した。
 ”ツバキ(椿、一般に薮椿(ヤブツバキ)を言う)”は日本原産である。古事記では都婆岐(つばき)・日本書記では海石榴(つばき)と出て来る植物。「椿」の字は万葉集で登場する。漢字の「椿」は日本独自の当て字(国字?)で、「春に花咲く木」からと言う。”つばき”の読みの由来には諸説ある。
 厚葉木:葉に厚みがあるから
 強葉木:強い葉っぱの木から
 鍔木:落ちた花が刀の鍔(つば)に似ているから
 艶葉木(つやはき):「光沢がある」の古語から
     葉は濃い緑色で、光沢がある
 冬柏(つくばく):朝鮮名から
 因みに、中国での「椿」は「芳椿」と言う東北地方の春の野菜が該当するとの事。
 同科同属に”サザンカ(山茶花)”があり、両者の区別が少し難しい。
 ツバキ(椿)
   一般に椿と言えば、「薮椿」を言うことが多い
 ツバキ科ツバキ属
 学名:Camellia japonica
 薮椿は日本原産の常緑樹
 開花時期:1月~3月
 サザンカ(山茶花)とツバキ(椿)
     サザンカ     ツバキ 
 花姿  平開       平開しない
 雄シベ 筒状とならない  筒状
 落花  バラバラ散る   首から落ちる


細胞壁の形成を促進する新たなタンパク質2種を発見

2019-03-24 | 農業
 植物の細胞壁は、陸上にもっとも豊富に存在する最大の生物資源である。木材や綿、紙パルプなどといった多くの工業製品にも応用されている。近年は化石燃料に代わるバイオ燃料や次世代素材のセルロースナノファイバーの供給源としても着目されている。細胞壁はセルロースなどの多糖類が蓄積されたものである。細胞壁形成のための蓄積量や位置は、植物細胞の中で制御されていると考えられており、その仕組みは解明されていない。
 国立遺伝学研究所の小田祥久准教授、東京大学大学院理学系研究科、理化学研究所環境資源科学研究センターの共同研究により、「細胞壁の形成を促進する新たなタンパク質2種を発見した」(1月29日)。
 研究グループでは細胞壁の形成を制御する遺伝子を探すために、道管の細胞に着目した。道管を構成する細胞は、細胞内を空洞にすることで水を通す役割を果たしているが、その細胞壁は厚く丈夫であり、「壁孔」と呼ばれる微小な水の通り道をつくっている。「壁孔」周辺ではとりわけ細胞壁は厚くなり、特徴的なアーチ型になることが知られている。
 独自の細胞培養法を用いて、道管の壁孔周辺で活発に働くタンパク質を調査したところ、新たに2種のタンパク質が発見され、「WAL」と「BDR1」と名付けた。
 「WAL」は、アクチン繊維と呼ばれる繊維状の構造に結合することで、壁孔の縁に沿ったリング状のアクチン構造を作り出すことが確認された。アクチン繊維を破壊した植物や、WALタンパク質を失ったwal変異体では機能が抑制され、アーチ状の細胞壁の形成は不完全なものにとどまった。
 「BDR1」は細胞膜上に存在する低分子量GTPアーゼの一種である、ROPタンパク質とWALの双方に相互作用することで、アクチン繊維のリング構造が形成される位置を制御していた。「BDR1」の働きを制御することで、壁孔のWALタンパク質が消失することが確認された。
 これらから、細胞膜上のROPタンパク質が、「WAL」と「BDR1」を介してアクチン構造を壁孔に集めることで、壁孔周辺での細胞壁の形成促進していることを示している。
 植物の細胞壁を利用した物質・エネルギー生産は温暖化の原因である大気中の二酸化炭素の削減に貢献するとされる。中でも樹木を用いることで、食料生産と競合することがなくなるというメリットも踏まえた上で、研究グループでは、今回発見されたタンパク質の働きを利用して細胞壁の形成を促進することで、細胞壁の生産の多い樹木の開発などにつながると期待を寄せている。
 〇道管の細胞壁にある壁孔
  壁孔を伴った細胞壁を形成し、壁孔の縁で特に活発化し、アーチ状の細胞壁が形成される。
 〇WALタンパク質
  道管を構成する細胞では壁孔の縁に存在し、リング状の局在を示す。

 今日は曇り~晴れ。風が少し強く、最高気温8℃程、寒さが戻ってきた感がある。
 近所の駐車場の塀とアスファルト舗装の間に今年も”フキノトウ”が出てた。同じ場所で見つけて今年で7年目?となる。
 ”フキノトウ(蕗の薹)”はフキ(蕗)の花の蕾で、葉が出る前に花蕾(フキノトウ)だけが地面に出てきた。早春の雪解けの防寒のためか、蕾を苞(ほう)が厚く取り巻いている。
 フキノトウ(蕗の薹)
  フキ(蕗)の蕾
 キク科フキ属
 原産地は日本、樺太・朝鮮半島・中国にも分布する
 多年草
 蕾の状態で摘み採り、煮物・味噌汁・ふきのとう味噌などで食べる
  ・・花が咲いてしまうと苦い・・


2018年度日本芸術院賞に松浦寿輝さんら8人、荒川洋治さんら3人に恩賜賞

2019-03-23 | アート・文化
 日本芸術院は、優れた芸術活動を表彰する2018年度日本芸術院賞を詩人評論家荒川洋治さんら8人に贈ると発表した(3月22日)。荒川洋治さんら3人には、特に顕著な業績を認め、恩賜賞も贈る。
 恩賜賞・日本芸術院賞
 真神巍堂(本名真神仁宏)さん:75歳、書家
 荒川洋治(本名荒川洋治)さん:69歳、詩人・評論家、「水駅(すいえき)」以来の詩や文芸批評の業績
 亀井忠雄さん:77歳、能楽大鼓方、「姨捨(おばすて)」などの舞台成果
 日本芸術院賞
 池川直さん:60歳、彫刻家、「時の旅人」
 並木恒延さん:69歳、工芸家、「月出(い)ずる」
 松浦寿輝さん:65歳、小説家・詩人・評論家、多くの領域で高い水準の作品をつくり続けた
 野平一郎さん:65歳、作曲家・ピアニスト・指揮者、音楽文化の発展に寄与した業績
 宮城能鳳(本名徳村正吉)さん:80歳、組踊立方、卓越した舞台表現と継承発展に寄与した功績

シキミの花が咲いている

2019-03-22 | 園芸
 今日の天気は曇り。風がとても強い。
 お墓詣りに出かける。墓地を囲う様に竹林があり、風でザワザワと騒いでいる。
 墓地の中に”シキミ”の木があり、花が沢山咲いている。和尚さんの話では、随分前からあります、時々仏前に供えます、との事。
 シキミの枝は仏事に使用する木として知られ、寺院や墓地に良く植えられている。葉を千切って匂いをかぐと良い香りがする・・葉や樹皮を線香・抹香に利用する。でも、全て(花・葉・実・根・茎にいたるまで)が毒で、特に果実・種子は有毒物質(アニサチンなど)を含んでいる。果実を食べると死亡する可能性がある。なので、「しきみの実」は植物としては唯一、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。
 名(シキミ:樒)の由来は、前述の「悪しき実」が転訛し、シキミとなったとされる。因みに、9月~10月に袋果がはじけて猛毒の種を出す。他の説として、季節に関係なく芽を出すので「四季芽」からシキミ、やや平べったい形をした実の形から「敷き実」からシキミ・・などがある。
 シキミ(樒、櫁)
 別名:櫁(しきび)、花の木(はなのき)、香木(こうのき)、花柴(はなしば)、仏前草
 シキミ科シキミ属
 雌雄同株
 広葉常緑樹の小高木、育つと樹高5m程となる
 本州の関東より西の比較的暖かい地域の山地に多く見られる
 原産地は、日本・中国
 開花時期は3月~4月
 雄しべが閉じているときに雌しべが開き、雄しべが開いているときに雌しべは閉じている(雌性先熟)
 葉のわきに径2.5cm程の黄白色の花をつける。花弁状の花被片が10~20個ある。
 花弁と萼片が同色で同じ大きさなので見た目には区別がつかない
 果実は劇毒である。実の形状は中華料理で多用される「八角」と似ており、扁平で周囲に8本の突起が出ている。


第8回科学の甲子園全国大会、愛知県の海陽中等教育学校が総合優勝

2019-03-21 | 受験・学校
 科学技術振興機構は、高校生の科学の知識や応用力を競い、科学好きの裾野を広げるとともに、トップ層のさらなる学力伸長を目的として、高校生等を対象に「科学の甲子園」を開催した。平成23年度に創設された。
 第8回科学の甲子園全国大会
  主催:科学技術振興機構(JST)
  開催場所:埼玉県さいたま市
  開催日時:平成31年3月15日(金)~3月18日(月)
  チーム:各都道府県内の高等学校等に所属する1~2年生の6~8名で構成される
  予選:都道府県予選に過去最多の709校、9075人が参加
  選抜:選考を経て選抜されたのは47校、361人が全国大会に進出
  評価:筆記競技と実技競技の得点を加算した総合成績による
     筆記試験:理科・数学・情報の問題が出題される
     実技試験:実験・実習・考察など
 成績一覧(総合成績)
 競技・成績  学校名
 優勝  愛知県代表・海陽中等教育学校
 第2位  神奈川県代表・栄光学園高等学校
 第3位  滋賀県代表・滋賀県立膳所高等学校
 第4位  岐阜県代表・岐阜県立岐阜高等学校
 第5位  長崎県代表・青雲高等学校
 第6位  愛媛県代表・愛光高等学校
 第7位  宮崎県代表・宮崎県立宮崎西高等学校
 第8位  岡山県代表・岡山県立倉敷天城高等学校
 第9位  石川県代表・石川県立金沢泉丘高等学校
 第10位  兵庫県代表・兵庫県立宝塚北高等学校

 今日の天気は曇り、時々小雨がぱらつく。
 畑に行ったら”オオイヌノフグリ”の花が咲き出している。もう春かな。
 緑葉が絨毯の様に広がり、これに白青の水玉模様を散らした様に花が咲いている。花は4枚の萼・4枚の青紫色の花弁(根元で纏まり、一つの花冠となる)で、ゴマノハグサ科クワガタソウ属の特徴である、2本の雄しべ・1本の雌しべ。
 ”オオイヌノフグリ”は、花が小さい”イヌノフグリ”より大きい花なので名付けられたようだ。”イヌノフグリ(犬陰嚢)”は”オオイヌノフグリ”と同科同属で、春に薄桃色の小さな花(径3mmほど)が咲く。かつては道端などで普通に見られた雑草であったが近年大幅に減少し、レッドデータブックでは絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種)に指定されている。
 ”イヌノフグリ”の名は、二つ付いた果実の様子が犬のフグリ(陰嚢:いんのう)に似ているから・・小さなフグリ。
 オオイヌノフグリ(大犬陰嚢)
 別名:天人唐草(てんにんからくさ)、星の瞳(ほしのひとみ)、瑠璃唐草(るりからくさ)
 英名:Bird's eye
 ゴマノハグサ科クワガタソウ属
 越年草
 ヨーロッパ原産、明治初期に渡来した帰化植物
 開花時期は2月~6月
 花色はコバルトブルー、花径は8mm程
 花は日が当たると広げ、日が陰ると閉じる


国土地理院は「自然災害伝承碑」の地図記号を新たに制定

2019-03-20 | 環境
 国土地理院は、過去の自然災害の記録を刻んだ各地の石碑や供養塔の場所が一目で分かるよう、「自然災害伝承碑」の地図記号を新たに制定した(3月15日発表)。4月以降、全国の自治体から碑の由来や位置などに関する情報を収集、6月にはウェブ版の「地理院地図」で公開し、9月には「2万5千分の1地形図」に記号を掲載する。
 昔の人たちが後世に伝えようとした自然災害の教訓を正しく知ることが、災害への「備え」を充実させ、災害による被害の軽減に貢献するとし、新しい地図記号を制定することを決めた。地域住民による防災意識の向上や防災教育に役立ててほしいとしている。
 昨年7月の西日本豪雨災害で甚大な被害を受けた広島県坂町には、111年前に起きた大水害の被災状況を伝える自然災害伝承碑が建立されていた。しかし、地域住民からは、碑の存在は知っていても碑文を読んで伝承内容を深く考えたことはなかった、などという声が聞かれた。同様の碑は全国の火山や津波、土砂災害などの自然災害現場に建てられて災害内容を伝えているが、これまで地図上では碑の一部が人物の功績をたたえる立像などと同じ「記念碑」の記号で表されていた。2011年3月11日に起きた東日本大震災で東北地方の太平洋側沿岸で甚大な被害が出た際には、被災地に過去、大津波があったことを伝える碑がいくつもあったことが報道されている。
 詳細は
 国土交通省国土地理院
 http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/bousaichiri190315.html


骨粗鬆症の新たな遺伝子座位を発見

2019-03-18 | 医学
 骨粗鬆症は、骨量と骨質の低下により骨の脆弱性が増加し、骨折を起こしやすくなる疾患である。骨折による骨格の変形、歩行障害、慢性疼痛などにより、日常生活動作や生活の質が低下し、介護の必要性を増大させる原因となっている。骨粗鬆症の有病率は中年以降年齢とともに増加し、特に閉経後の女性では約30%以上の人が骨粗鬆症にかかるという統計もあり、高齢化社会の大きな課題の一つとなっている。医学・医療だけでなく、社会・経済的にも深刻な問題で、その原因、病態の解明、新たな予防・治療法の確立が待ち望まれている。
 骨粗鬆症は、遺伝的因子と環境因子の相互作用により発症する多因子遺伝病、生活習慣病である。
 骨粗鬆症の遺伝因子の同定には、さまざまな評価法がある。双子や家族の研究で、踵骨(かかとの骨)の骨密度(BMD)には高い遺伝率(82%)があることが示されている。過去のゲノムワイド関連解析(GWAS)のメタ解析の結果、踵骨BMDに関連するいくつかの遺伝子座位が明らかにされてる。しかし、これまでの研究は主にヨーロッパ人が対象で、東アジア人における調査はまだない。
 そこで、国際共同研究チームは、台湾人、日本人、韓国人において、踵骨BMDに関するGWASのメタ解析を行うことにした。
 理化学研究所生命医科学研究センター骨関節疾患研究チームの池川志郎チームリーダー、呂幸芳研修生(臺北醫學大學藥學院博士課程、RIKEN IPA)らの国際研究チームは、台湾人、日本人、韓国人について骨粗鬆症に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、新しい遺伝子座位(原因遺伝子の存在する領域)を3ヵ所発見した。
 国際共同研究チームは台湾、日本、韓国の共同研究により、骨粗鬆症の良い指標である踵骨(かかとの骨)の剛性指数(SI)に関するGWASのメタ解析を行った。その結果、台湾人と韓国人に共通して、遺伝統計学的に有意な相関を示す七つの一塩基多型(SNP)を発見した。これらのSNPは、7番、11番、17番染色体内の7q31.31、11q14.2、17p13.3の3カ所に存在した。これらの3遺伝子座位の相関は、英国人のGWASデータでも再現された。さらに、インフォマティクス解析から、これらの遺伝子座位内に14の骨粗鬆症の候補遺伝子を同定した。
 研究手法
 超音波測定法によって得られ得る踵骨の剛性指数(SI)は、骨密度の定量的な良い指標である。国際共同研究チームは、台湾のバイオバンクからの7,742人の遺伝子情報を用いて、踵骨SIについてのGWASを実施し、SIに関連する七つの代表的な一塩基多型(SNP)を同定した。これらは、7番(7q31.31)、11番(11q14.2)、17番(17p13.3)染色体に存在した。続いて、Korean Genome Epidemiology Studyの韓国人(2,955人)の踵骨SIのGWASで、台湾人で得られたデータの再現性を確認した。しかし、日本人(バイオバンクジャパン)の骨粗鬆症のGWASでは、これらのSNPの相関は再現されなかった。
 七つの代表的なSNPについてコンディショナル解析を行うと、そのうち三つのSNP(rs2536195、rs1231207、rs4944661)がこれらの遺伝子座内の最も重要なシグナルであることが分かった。これら三つのSNPの相関は、英国のバイオバンクのBMDのGWASでも確認され、韓国人集団とのメタ解析でも再現された。
 次に、台湾人のGWASで得られた候補遺伝子を、エピジェネティックアノテーション、遺伝子オントロジー(GO)、タンパク質相互作用、GWASカタログ、および発現量的形質遺伝子座(eQTL)解析によって評価した。これらの結果を統合したインフォマティクス解析により、相関遺伝子座内のSNPと遺伝子に対する14のSI関連遺伝子の候補を発見した。
 今後の期待
 国際共同研究を拡大して検体数を増やし、相関解析の解析力を向上させ、さまざまなインフォマティクス解析を追加することで、さらなる遺伝子の発見が期待できる。また、今回発見した候補関連遺伝子の機能解析により、骨粗鬆症の理解、病態解明がより進展することが期待できる。
 ◆用語説明
 1.ゲノムワイド関連解析(GWAS)
 疾患の感受性遺伝子を見つける方法の一つ。ヒトのゲノム全体を網羅する遺伝子多型を用いて、疾患を持つ群と疾患を持たない群とで遺伝子多型の頻度に差があるかどうかを統計学的に検定する方法。検定の結果得られたP値(偶然にそのようなことが起こる確率)が低いほど、相関が高いと判定できる。GWASは、Genome-Wide Association Studyの略。
 2.剛性指数(SI)
 骨の超音波検査によって得られる二つの測定値、the speed of sound(SOS)と the broadband ultrasound attenuation(BUA)によって計算される骨密度の定量的な指標。SIはStiffness Indexの略。
 3.メタ解析
 二つ以上の統計解析結果を合わせる際に、それぞれの解析結果のばらつきを補正し、偏りのない合算をする統計学的手法。
 4.一塩基多型(SNP)
 ヒトゲノムは30億塩基対のDNAからなるが、個々人を比較するとそのうちの0.1%の塩基配列の違いがある。これを遺伝子多型という。遺伝子多型のうち一つの塩基が、ほかの塩基に変わるものを一塩基多型と呼ぶ。SNPはSingle Nucleotide Polymorphismの略。
 5.インフォマティクス解析
 情報科学を用いたコンピュータ上での解析。ゲノム研究では、データベース上の情報を統計的手報で、検索するものが多い。
 6.骨密度(BMD)
 骨の強度を表す指標の一つ。一定容積の骨に含まれるミネラル成分(主にカルシウム)の量。BMDはBone Mineral Densityの略。
 7.遺伝率
 環境要因と遺伝要因の割合。遺伝率は0から1の値をとり、大きいほど遺伝要因から受ける影響が大きいことを示す。
 8.バイオバンクジャパン
 オーダーメイド医療実現化プロジェクトの基盤となるDNAサンプルや血清サンプルを47疾患(約20万人)から収集し、臨床情報とともに保管している世界でも有数の資源バンク。
 9.コンディショナル解析
 相関解析の手法の一つ。あるSNPの相関は、常にそのSNPと連鎖不平衡にあるSNPの影響を受ける。この他のSNPからの影響を排除した相関を調べる方法。
 10.エピジェネティックアノテーション
 DNAのメチル化、ヒストンのアセチル化などのエヒ゜ケ゛ノムテ゛ータについての注釈。
 11.遺伝子オントロジー(GO)
 統一された用語(GO term)による遺伝子の生物学的概念の記述。これを用いて、遺伝子の機能情報など遺伝子関連情報を記述することで、さまざまなデータベースの遺伝子関連情報を統合して、包括的に活用できる。GOはGene Ontologyの略。
 12.発現量的形質遺伝子座(eQTL)
 解析QTLとはQuantitative trait locus(量的形質遺伝子座)の略で、量的形質がどのように生物に表現されるかに影響を与える染色体上のDNA領域のこと。
 eQTL解析は遺伝子発現プロファイリングとQTL解析を組み合わせた手法であり、疾病など形質に関連する遺伝子そのもののほか、その発現に影響する調節因子(遺伝子近傍にある調節配列などのシス因子、および遺伝子に結合する転写因子の遺伝子などのトランス因子)を明らかにすることが可能である。

 今日は晴れ、雲が多い。
 散歩道沿いに、”クリスマスローズ”が咲いている。咲いた花は下向きで、上からは花びら(花弁)しか見えない。”クリスマスローズ”の花びら(花弁)に見えるのは萼(がく)である。花びらは退化して小さな蜜腺(ネクタリー)となり、おしべの付け根を囲むような形で小さく残っている。花の中心は雌しべ、その外に雄しべ・蜜腺・萼となる。
 ”クリスマスローズ”と呼ぶのは、クリスマスの頃に開花する「ヘレボルス・ニゲル」だけを指した呼称である。日本の園芸市場では、クリスマスの頃ではなく春に開花する「レンテン・ローズ」と呼ばれる「ヘレボルス・オリエンタリス」なども「クリスマス・ローズ」の名前で出回る。
 ”レンテンローズ”は、レント(Lent:受難節、復活祭(イースター)までの40日間)の頃、2月頃~3月頃に咲く。この種を元にして他種とで作られた園芸種はオリエンタル・ハイブリッドと呼ばれる。日本の気候に合い良く育つので広く普及している。
 クリスマスローズ
 別名:雪起こし(ゆきおこし)
    名の由来:雪に覆われても持ち上げて花を咲かせるから
 学名:Helleborus
 キンポウゲ科ヘレボラス属
 多年草
 原産地はヨーロッパ、西アジア
 日本には明治の初めに入り、薬草として栽培
 開花期は12月~4月
 花色は多彩で、赤・桃・白・緑・複色系など
 花弁に見える部分は、萼片。このため「鑑賞期間」が比較的長い


悪臭物質アンモニアを効率的に除去する粒状吸着材で豚舎・堆肥化施設の空気をキレイに

2019-03-17 | 科学・技術
 産業技術総合研究所ナノ材料研究部門ナノ粒子機能設計グループ高橋顕主任研究員、南公隆主任研究員、川本徹研究グループ長らと、関東化学株式会社は共同で、大気中からアンモニアを有効に除去できる吸着材と吸着装置を開発した(1月23日発表)。さらに、実際に豚舎と家畜ふん尿の堆肥化施設に適用し、その効果を実証した。
 アンモニアは肥料として必要不可欠な物質であり、世界で年間1.7 億トン(2016年)と大量に生産されている。特定悪臭物質の一つであり、特にふん尿の処理が必要な畜産現場やトイレでの悪臭の原因でもある。
 アンモニアは濃度10ppmvで臭気強度4に相当する強い臭いを示し、労働環境における許容濃度は25ppmvである。また、畜産業界でもアニマルウエルフェアの観点から畜舎内の濃度を25ppmv以下に抑えることが求められている。さらに、大気中に放出されたアンモニアはPM2.5などの地球規模での環境問題の原因にもなっている。日本では、大気中に放出されるアンモニアの60%以上が畜産業(1994年度)によるものであり、その対策が喫緊の課題となっている。これまで畜舎や家畜ふん尿の堆肥化施設から排出される悪臭物質の除去技術として生物脱臭法であるバイオフィルターや土壌脱臭が一部の施設に導入されているが、多量のアンモニアを処理するには大型化・大面積化が必要であり、よりコンパクトな装置が求められていた。
 産総研は、有害物質であると同時に有用物質でもあるアンモニアの回収と再利用を目指して吸着材の研究開発を進めている。その中で、顔料としても知られるプルシアンブルーが市販の吸着材を超えるアンモニア吸着性能を示し、薄い酸で洗浄すれば再利用できる吸着材であることを見いだした(2016年5月10日発表 産総研プレスリリース)。プルシアンブルーは人が感知できない極低濃度(0.1ppmv以下)でもアンモニアを吸着でき、極低濃度のアンモニアが影響を及ぼすような美術館や水素ステーションなどでも活用が期待されている。
 研究の内容
 アンモニアを除去する吸着材には、豚舎や堆肥化施設から絶え間なく発生するアンモニアを除去するため、高い吸着性能が必要である。さらに、吸着後も再生して繰り返し使えることが必要である。また水分子とアンモニア分子は性質が類似しているため、空気中に水蒸気として水が共存する実際の条件でもアンモニアを吸着できる必要がある。
 最適なプルシアンブルー類似体の選択と吸着装置で使用するための粒状化に取り組んだ。プルシアンブルーは鉄イオンが炭素と窒素によりジャングルジムのように三次元的につながった構造で、1ナノメートル以下の均一な穴を持つ。プルシアンブルーを構成する二種の鉄イオンを別の金属イオンに置き換えたものをプルシアンブルー類似体と呼ぶが、今回、豚舎で用いることを念頭に、再利用ができ低コストのアンモニア吸着材の開発を目指し、70種類以上のプルシアンブルー類似体を合成し、評価した。その結果、一方の鉄イオンを銅イオンで置き換えたプルシアンブルー類似体(銅プルシアンブルー)が適切であった。
 銅プルシアンブルーを装置に取り付けて効率的に大気中のアンモニアを吸着させるため、銅プルシアンブルー粉体をバインダーと混合し、粒状化して、直径3~5mm程度の粒状吸着材を開発した。粒状吸着材に求められる特性は、高い吸着性能と十分な機械強度を持ち、再生作業時に破損しないことであり、これらを検証した。
 粉体は実験室にて、粒状吸着材は豚舎にてアンモニア吸着量を測定し、10ppmvのアンモニアを含む25℃の空気の理論処理量(L)に換算して比較した。粉体が処理できる空気量は1gあたり5,200 Lであるのに対し、粒状吸着材は1g当たり3,900 L以上であり、粉体の74%以上の吸着性能を持つことを確かめた。粉体の試験は実験室にてアンモニア濃度10ppmv、湿度0%の空気で行い、粒状吸着材の試験は福島県にある実際の豚舎で、アンモニア吸着を阻害する水蒸気などが共存する空気(アンモニア濃度12ppmv、湿度80%)で行った。
 アンモニアを吸着した粒状吸着材は、薄い酸で洗ってアンモニアを脱離させることで、再度アンモニア吸着材として利用することが可能である。アンモニア吸着と再生を繰り返した際の、粒状吸着材の耐久性を検証するために、豚舎空気からのアンモニア吸着と薄い酸での洗浄によるアンモニア脱離を繰り返し行い、洗浄時のアンモニア脱離量の変化を確認した結果、30サイクルまでの繰り返し使用が可能であった。また、30サイクル後の吸着材の形状は、特に破損はなく、再生・再使用に耐える強度であることが確認できた。
 家畜ふん尿の堆肥化施設から出る排出ガスの悪臭もアンモニアが原因であり、そのアンモニア濃度は数百ppmv以上と豚舎内よりも一桁以上高い。その上、堆肥化施設からの排出ガスは湿度が高いため(ほぼ100%)、既存のアンモニア吸着材では吸着が困難であった。そこで豚舎と同様の装置でフィルターを増やして吸着を試みたところ、排出ガスのアンモニア濃度が100ppmvのとき、フィルター1枚でも40ppmvに低下し、3枚使用するとほぼ0ppmvになった。今回開発したアンモニア吸着システムは堆肥化施設の悪臭対策にも有効と分かった。
 実証実験に参加している養豚業経営者は「悪臭除去の観点では、堆肥化施設も問題になることが多い。堆肥化装置に使えるなら、利用も進むのではないか。」と本技術への期待と需要の高さを語っている。
 今回開発した技術は畜産現場に限らず、アンモニア発生による悪臭に困っているトイレ、介護施設、スポーツジムなどでも活用が期待される。さらに、アンモニアは腐食性ガスでもあるため、半導体製造工場での品質維持、博物館などでの展示物の維持、エネルギーとして使用する水素の精製など、さまざま場面でその除去が課題となっている。このような課題の解決にも貢献が期待される。
 今後の予定
 今後も豚舎内のアンモニア除去を続け、豚の発育効率の向上効果を評価する。さらに、回収したアンモニアを肥料など、他の用途に利用する方法も併せて検討を進める。
 用語の説明
 ◆アンモニア
 化学式NH3で表される無機化合物。無色透明な気体で、、刺激臭がある。農作物の肥料や窒素を含む化合物の合成原料として使用される。非常に刺激臭の強いガスであり、人は1ppm 程度という非常に低濃度のアンモニアでも感知できる。また、PM2.5の原料となる主要物質の一つあり、大気中のアンモニア濃度を低減することによりPM2.5の減少が期待される。
 ◆プルシアンブルー
 紺青とも呼ばれ、300年以上前から使用されている青色顔料。一般的な組成式はAyFe[Fe(CN)6]x・zH2Oであり、本試験に用いた組成はK0.23Fe[Fe(CN)6]0.74・3.5H2Oである。
 1704年に初めて合成され、その後葛飾北斎やゴッホらにも使用されてきた。近年は金属種や組成を変えることにより、さまざまな新しい機能を発現することが報告され、産業用途での重要性が増している。電気的に色が変えられるエレクトロクロミック材料、放射性セシウム吸着材、二次電池の電極、化学センサーなどに加え、アンモニア、アンモニウムイオン吸着材としての有用性も報告された。
 ◆プルシアンブルー類似体
 プルシアンブルーと同様な構造を持つヘキサシアノ金属高分子錯体。一般式はAyMa[Mb(CN)6]x・zH2Oである。今回はMaに銅イオンを用いたCuHCFやMaとMbにコバルトイオンを用いたCoHCCのアンモニア吸着能を評価した。
 ◆PM2.5
 大気中を浮遊する粒子状物質のうち、概ね大きさが2.5マイクロメートルのもの。呼吸器系への悪影響が大きいと考えられている。PM2.5の一部は、農地や畜舎から放出されたアンモニアと、工場等から排出された窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)とが大気中で反応して発生する。さまざまなPM2.5原因物質の中で、アンモニアを抑制することが最もPM2.5の発生を抑制できるとの予測もある。
 ◆特定悪臭物質
 悪臭防止法において「不快なにおいの原因となり、生活環境を損なう恐れの物質であって、政令で定めるもの」と定義されている。アンモニア、メチルメルカプタンなど、現在22物質が指定されている。
 ◆ppm
 parts per millionの略称で大気中のガス濃度の単位の一つ。単位は無次元であるが、ガス濃度に関しては一般的には対象となるガス成分の体積とガス全体の体積の比を百万倍にしたものである。例えば、アンモニア1ppmのガス1Lの中には1/1,000,000Lのアンモニアが存在する。
 ◆ppmv
 100万体積分率と呼ばれるガス濃度の単位。10,000 ppmvが1体積%に等しい。
 ◆臭気強度
 臭いの強さを0?5の6段階で表す臭気強度表示法による臭いの指標。0は無臭、1はやっと感知できる臭いを、2は何の臭いか分かる弱い臭いを、3は楽に感知できる臭いを、4は強い臭いを、5は強烈な臭いを表す。例えば悪臭防止法では臭気強度2.5?3.5に対応する物質濃度が敷地境界線の規制基準の範囲として定められている。アンモニアの場合は、臭気強度2.5が1 ppmv、3.5 が5 ppmvである。畜舎内で5 ppmvであれば敷地境界における基準は十分に達成できると考えられる。
 ◆許容濃度
 ここでは日本産業衛生学会が勧告する有害物質の許容濃度。労働者が一日8時間週に40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に暴露される場合に、該当有害物質の平均暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度。
 ※日本産業衛生学会「許容濃度等の勧告(2018年度)」平成30年5月17日(産業衛生学雑誌2018: 60(5):116-148)から引用
 ◆アニマルウエルフェア
 日本では「動物福祉」や「家畜福祉」と訳される概念。畜産業界においては、家畜が感受性のある生き物であるとし、「生まれてから死ぬまでの間、限りなく行動欲求が満たされストレスを受けない健康的な生活ができる飼育方法」を目指す畜産のあり方を示す。その結果として畜産物の安全や生産性の向上にもつながることが期待されている。
 ◆バイオフィルター
 生物を利用した脱臭フィルター。対象となる物質を分解する微生物をフィルター内で繁殖させる。分解には比較的時間がかかるため、大型のフィルターが必要になる。
 ◆土壌脱臭
 土壌をフィルターとして用いる脱臭法。対象となる物質が土壌に含まれる水分や鉱物に一旦吸着された後、土壌に含まれる微生物により分解される。
 ◆配位
 鉄等の遷移金属イオンに、水やアンモニア等の非共有電子を持つ配位子が結合すること。一般的な結合と異なり、結合に関与する2つの電子が配位子側から供給される。

 今日の天気は曇り。午前中に小雨がパラパラと。最高気温は10℃前後で、風が少し強いので、寒い。この寒さは、お盆までかな(お盆は、3月18日~3月24日)・・希望。
 梅田川沿い・橋の側の”サンシュユ”の花。葉が出る前に黄色の小さい花を咲かせ、枝先に花が満開だ。春の到来を知らせる。
 木全体を覆う花が早春の光を浴びて黄金色に輝くことから、別名に春黄金花(はるこがねばな)がある。
 秋に果実を付ける。果実はグミに似た楕円形で赤い色で光沢がある。この様子から、別名に秋珊瑚(あきさんご)がある。。江戸中期に朝鮮から渡来し、薬用植物として栽培された。今でもそのまま食べられ、滋養・強壮の薬効がある山茱萸酒を作る。名の”サンシュユ”は中国名「山茱萸」を音読みしたもの。茱萸とはグミのこと。
 サンシュユ(山茱萸 )
 別名:春黄金花(はるこがねばな)、秋珊瑚(あきさんご)、山茱萸(やまぐみ)
    Japanese cornel(ジャパニーズ・コーネル)
 学名:Cornus officinalis Siebold et Zucc
 ミズキ科ミズキ属
 原産地は中国・朝鮮、薬用植物として
  江戸中期(享保七年:1722年)に朝鮮から渡来
 落葉小高木
 開花時期は2月~4月
 秋(11月頃)にグミのような赤い実に熟す


錠剤サイズの「飲む体温計」動物適用実験に成功

2019-03-16 | 科学・技術
 東北大学イノベーション戦略推進センターの中村力特任教授、マイクロシステム融合研究開発センターの宮口裕助手、工学研究科の吉田慎哉特任准教授らの研究グループは、胃酸発電で動作する錠剤サイズの「飲む体温計」を開発し、このたび動物適用実験に成功した(3月13日発表)。
 睡眠中の基礎体温、深部体温やそのリズム(体内時計)は、健康状態を把握するための重要な指標の1つと考えられている。また、深部体温リズムは体内時計の指標の1つであり、これが睡眠覚醒リズムや社会的時間とずれると、睡眠障害やさまざまな疾病リスクを上昇させることが報告されている。これらを日常的にモニタリングできれば、病気の早期診断や健康増進につなげることができる。
 一般的な体温計ではこれらを正確に測定することは容易ではない。例えば、体表温度計は、環境温度や皮膚との接触状態によって測定誤差が生じてしまう。温度センサーを肛門に挿して直腸温を測定する方法は、正確かつ比較的容易に深部体温を測定できる。しかし、センサー挿入時に誤って腸壁を傷付ける恐れもあるし、これを日常的に行うことは困難である。
 研究グループは、胃酸発電でエネルギーを獲得する「飲む体温計」を開発した。
 試作した錠剤型センサーの外形寸法は、直径が約9mm、厚み約7mmである。胃酸電池の電極となるMg(マグネシウム)とPt(プラチナ)金属板以外は樹脂に覆われており、樹脂内部には、温度センサー・マイコン・カスタム集積回路・通信用コイル・積層セラミックコンデンサーなどが実装されている。
 センサーが飲み込まれ、胃酸電池電極部に胃酸が接触すると、レモン電池と同様の原理で発電し、センサーが胃を通過する前に、発電エネルギーで昇圧回路を動かし、高い電圧でコンデンサーに充電する。そして、この充電エネルギーを用いることで、例えば30分に1回程度の頻度で腸内温度を測定し、体外の受信器へデータを送る。体外への通信は、体内吸収の極めて少ない約10MHzの周波数帯での近距離磁気誘導方式を採用した。このセンサーは、通常であれば24時間以内に体外に排出され、下水処理場での沈殿工程で回収、廃棄されることを想定している。
 動物適用実験では、試作したセンサーをイヌに服用させて胃の中に滞在させ、センサーシステムの動作を検証した。その結果、市販のループアンテナを用いることで、イヌの体内温度の測定に成功した。また、実験に使用されたセンサーは、滞留することなく翌日に自然に体外に排出された。体内のセンサーと外部アンテナは50cm離しても十分に通信させることができた。受信器を改良することで、さらに通信距離を延ばすことは可能であると考えられる。
 例えば、受信アンテナをベッドの脇、もしくは下に内蔵しておき、ユーザーが就寝前にセンサーを服用しておけば、就寝中の深部体温データを収集できる。これにより、真の基礎体温や体内時計の位相のずれなどを、容易かつ「さりげなく」測定できる。運動中のデータ収集には、ベルトや腕時計タイプの受信器を用いることを想定している。将来的には、個人が普段使いできるように、安価な部品や実装技術を用いることで、原価を100円以下に抑えることを目指している。今後は、ヒトへの適用試験を目指し、システムの最適化と動物実験を重ねていく予定である。
 ◆体温
 動物の平均体温
  鶏:42.0度 豚:39.0度 牛:38.5度
  犬:38.5度 猫:38.5度 馬:37.5度
 日本人の体温は約36.9℃と言われている。
  その変化は1日で約1℃以内に留まる。
 人間の限界温度
  最高温度:42℃までに設定・・それ以上体温が上がると、体内のタンパク質が凝固してしまうから
  体温の下限:個人差は激しいが、通常は28℃~20℃で死に至る

 天気は晴れから曇り。前々日には雨の予想だったが、曇り。でも、少し寒い。
 ”オウバイ”に花が咲きだした。玄関前の塀にかかる”オウバイ”だ。
 名(オウバイ:黄梅)に梅と付くが、梅(バラ科サクラ属)ではなくジャスミン(モクセイ科ジャスミン属)の仲間である。ジャスミン属ではあるが花に香りはない・・少し残念。
 名の由来は、黄色の花が梅に似る、咲く時期が梅と同じ頃、からと言う。花・姿が良く似ているものに、”ウンナンオウバイ(雲南黄梅)”とか”オウバイモドキ”と呼ばれるのがあるが、これらは常緑樹。オウバイは落葉樹、花期には葉はまだ出ない。
 オウバイ(黄梅)
  中国では、迎春花(げいしゅんか)と呼ばれる
   旧正月(2月)頃に咲き出すから
 学名:Jasminum nudiflorum
 モクセイ科ソケイ(ジャスミン)属
 落葉性半つる性低木
 中国北部原産、15世紀末(1488年、1666年説もある)に渡来
 開花時期は2月~4月、花期には葉はまだ出ない
 花色は明るい黄色、花径は2.5cm位
 花の形は高杯形で、梅に似る
 花には一重と八重がある


長時間働く男性社員は心筋梗塞のリスクが増える

2019-03-15 | 健康・病気
 労働時間の長い人は標準的な労働時間の人と比べて健康状態が悪くなる。しかし、多くの日本人を対象に長期間調べた調査はこれまでなかった。
 国立がん研究センターと大阪大学医学部(公衆衛生学)の研究グループは、1993年に茨城・新潟・高知・長崎・沖縄の5県に住んでいた当時40~59歳の男性約1万5000人を対象に、労働時間を含めた生活内容や健康状態を2013年までの20年間追跡調査した。調査開始時と10年後のアンケートを元に1日の労働時間を7時間未満、7時間以上9時間未満、9時間以上11時間未満、11時間以上の4グループにわけて調べた。
 1日に11時間を超えて働く中年男性は、標準的な勤務時間の男性と比べて急性心筋梗塞を起こすリスクが1.6倍になる。こう警告する研究成果を研究グループが発表した(3月15日)。働き過ぎは心臓に負担をかける、少なくとも心臓に悪影響があることを裏付けた形で、50代の男性会社員のリスクは2.6倍だった。因みに、女性については、急性心筋梗塞になる割合が男性に比べて低いなどの理由から今回は分析対象になっていない。
 調査では、212人が急性心筋梗塞を発症していた。この数字を、心筋梗塞のリスクを高めるとされる喫煙や睡眠時間といった要因で差が出ないように疫学研究上の調整をして勤務時間との関係を分析した。これより、1日11時間以上働いていた長時間労働のグループは急性心筋梗塞になるリスクが標準的なグループと比べて1.6倍高かった。
 分析対象を会社勤務の男性に限ると、11時間以上のグループは7~9時間のグループと比べてリスクは2.1倍。11時間以上のグループの中でも調査開始時年齢が50~59歳の人に限定して分析するとリスクは2.6倍も高くなっていた。経営者や自営業の人は長時間働いてもリスクの上昇はみられなかった。長時間労働と脳卒中との関係についての関連性は確認できなかったという。
 労働時間と急性心筋梗塞・脳卒中発症リスク
 労働時間     ハザード比
 (時間/日)   急性心筋梗塞  脳卒中
 7時間以下    1.29      1.04
 7~9時間未満   1.00      1.00  ・・標準
 9~11未満未満   1.22      1.06
 11時間以上     1.63      0.83
  提供;国立がん研究センターと大阪大学の研究グループ
  ※年齢、BMI、高血圧歴、糖尿病歴、高脂血症歴、喫煙、アルコール摂取、歩行時間、睡眠時間、職業で統計学的に調整

 天気は晴れ。気温は最高気温11℃とかである、でも風が弱い故か、暖かい1日のようだ。
 散歩道沿い畑で、”ネコヤナギ”の蕾が大きくなり、開花している。花穂が銀白色で柔らかく、猫の尻尾の様に見える。葉はない・・花(尾状花序)の後に出る。
 ヤナギ(柳)は、ヤナギ科ヤナギ属 の樹木の総称である。世界に約350種あるとされ、日本でも30種以上はあると言う。日本では、柳と言えば”シダレヤナギ(枝垂柳、落葉高木)”を指すことが多いが、”ネコヤナギ(猫柳、落葉低木)”も馴染み深い。
 名(ネコヤナギ:猫柳)の由来は、花穂が銀白色で柔らかく、猫の尻尾の様に見える「猫の尾をした柳」からである。別名は、「猫の尾」ではなく「小犬の尾」に例えて”エノコロヤナギ(狗尾柳)”。
 因みに、”ネコヤナギ”の花言葉は、率直・自由・思いのまま。
 ネコヤナギ(猫柳)
 別名:川楊(かわやなぎ)、狗尾柳(えのころやなぎ)
 学名:Salix gracilistyla
 ヤナギ科ヤナギ属
 落葉性低木
 雌雄異株
 原産地は日本・中国など
 早春、葉が出る前に大きな花穂を付ける
 開花時期:3月~4月
 花は尾状花序