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2018年の韓国合計特殊出生率は0.98、世界でも最低水準

2019-02-28 | 社会・経済
 韓国統計庁は、2018年に生まれた子どもの数(出生数)は約32万7千人(前年より約3万人減少)で、過去最少だったと発表した(2月27日)。一人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は0.98と、データがある1970年以来初めて1.0を割り込み、世界でも最低水準となった。
 韓国の出生率は、1980年に2.82で、1990年に1.57と日本と並ぶ水準に低下した。2000年から15年の間は1.2前後だったが、2005年に世界最低水準の1.08を記録したが、2017年に1.05に急減した。2018年の出生率は前年より0.08下がった0.98となった。平均出産年齢は32.8歳と、前年より0.2歳上がった。
 台湾でも2010年には世界的最低の0.895を記録した。現在では、1.16(推測値)。
 中国では、2010年以降は1.0~1.3で推移し、2016年に1.25。人口を維持できるとされる2.07程度を下回る。
 米国は2017年に30年ぶりの水準に落ち込んだが、1.76にとどまる。
 日本の2017年の出生率は1.43。
 出生数(生まれた子どもの数)は94万6060人で、前年から3万918人減り、過去最少。死亡数は134万433人(同3万2685人増)で戦後最多、つまり、自然減は39万4373人。
 ◆合計特殊出生率
 1人の女性が一生に産む子どもの数に相当
 人口推計で最も重要な指標が出生率で、2.07が人口維持の目安となる。
 ◆各国の合計特殊出生率(2016年)
    合計特殊出生率 平均初産年齢
 日本   1.44     30.7歳
 米国   1.82     26.2
 フランス 1.92     28.5
 ドイツ  1.60     29.4
 英国   1.79     28.9
 韓国   1.17     30.3

肥満を制御する酵素を発見

2019-02-26 | 医学
 〇発表者
 裏出良博(東京大学医学部附属病院眼科特任研究員、北里大学薬学部客員教授)
 藤森功(大阪薬科大学薬学部病態生化学研究室教授)
 有竹浩介(第一薬科大学 薬学部 薬品作用学分野教授)
 永田奈々恵(東京大学大学院農学生命科学研究科放射線動物科学研究室特任研究員)
 前原都有子(大阪薬科大学薬学部病態生化学研究室助教)
 〇研究の背景
 肥満は、糖尿病(インスリン抵抗性糖尿病)、高血圧や脂質異常症などの多くの生活習慣病の発症原因となることから、肥満の予防や解消は急務の課題とされている。特に、肥満が原因となってインスリンが効かなくなり、血糖値が下がらないインスリン抵抗性糖尿病の患者数は、増加の一途をたどっている。
 日本の糖尿病有病者数は約1,000万人と推計されている(平成28年国民健康・栄養調査(厚生労働省)。
 肥満は複雑に制御されていることから、肥満のメカニズムを解明し、新たな抗肥満薬の開発につながる「肥満調節分子」の発見が期待されている。肥満では、組織に脂質が蓄積するだけでなく、脂質自体が、直接、肥満や生活習慣病の病態の進展に関わることが知られているが、その制御機構の全貌は解明されていなかった。
 〇研究内容
 研究グループは、これまでにプロスタグランジンD2PGD2)が脂肪細胞に蓄積した脂肪の分解を抑制することを発見していた(Biochem. Biophys. Res. Commun. 490: 393,2017)。さらに、PGD2を生合成するL型酵素(L-PGDS)の遺伝子発現が肥満マウスの脂肪組織において上昇することを発見した。
 そこで、肥満制御におけるL-PGDSとPGD2のはたらきを調べるために、脂肪細胞で特異的にL-PGDSを作ることができないようにしたマウスを作製して解析した。正常なマウスと脂肪細胞でL-PGDSを作ることができないマウスに11週間、普通食あるいは高脂肪食を与えたところ、普通食では両者に肥満の程度や脂肪細胞の大きさに差は現れないものの、高脂肪食を与えたときには、脂肪細胞でL-PGDSを作ることができないマウスでは、正常なマウスと比べて体重増加が20%以上減少し、内臓や皮下の脂肪量も減少し、個々の脂肪細胞の大きさも小さくなっていた。また、脂肪細胞の分化の程度を知るさまざまなマーカー遺伝子や脂肪酸の生合成に関わる多くの遺伝子の発現は、脂肪細胞でL-PGDSを作ることができないマウスで、いずれも低下していた。
 血液中のコレステロール、脂質、グルコースの値は、正常マウスと比べて、脂肪細胞でL-PGDSを作ることができないマウスでは低下しており、これらメタボリックシンドロームで異常となる血液中の値も改善されていることが分かった。また、肥満の脂肪組織にはマクロファージが浸潤し、炎症状態になることが知られているが、脂肪細胞でL-PGDSを作ることができないマウスでは、炎症を誘導するマクロファージのマーカー遺伝子であるF4/80やCD11cの発現レベルが低下しており、糖尿病の指標となるインスリン感受性も改善されていることが分かった。
 〇社会的意義
 肥満の進展を調節する酵素であるPGD2を作るL型酵素(L-PGDS)を脂肪細胞で作ることができないようにしたマウスでは、食事による体重増加が抑制され、インスリン感受性が改善されたことから、L-PGDSが肥満、さらにインスリン抵抗性を進展させるはたらきがあることが明らかとなった。
 L-PGDS のはたらきを抑える薬剤は、肥満の新しい予防法や治療法の開発につながることが期待される。
 ◆用語解説
 〇インスリン抵抗性
 インスリンによる血糖値の低下作用が現れにくいため、血糖値を正常範囲にするために過剰な量のインスリンを必要とする状態のこと。
 我が国では、数千万人に上るインスリン抵抗性の糖尿病の患者および予備軍がいるとされる。インスリン抵抗性の主な原因は内臓脂肪の蓄積であり、内臓脂肪の蓄積による炎症性サイトカインの分泌増加、アディポカインの分泌異常などによりインスリンの作用が異常となる。
 〇プロスタグランジンD2(PGD2)
 プロスタグランジン(PG)は炭素数20個からなる化合物で、さまざまな生理活性をもつことから生理活性脂質と言われる。 プロスタグランジンには化学構造の異なる複数の種類が存在するが、中でも生理的に重要なPGD2 は、これまでに睡眠の誘発やアレルギーの増悪化などの作用を有することが知られている。
 〇PGD2のL型合成酵素(L-PGDS)
 PGD2を作る酵素にはH型とL型の2種類があり、それぞれ同じ酵素反応を触媒するが、立体構造や組織分布が異なる。L型酵素は脳、心臓、脂肪組織などに分布して、睡眠や動脈硬化、脂質代謝に関与する。

超省エネ・小型の高精度な原子時計を開発

2019-02-25 | 科学・技術
 東京工業大学、株式会社 リコー、産業技術総合研究所の研究グループは、消費電力が極めて低い小型の原子時計を開発した。この原子時計は、構成部品のひとつである周波数シンセサイザの消費電力を大幅に削減し、さらに新たな量子部パッケージを用いることで温度制御の効率を向上させ、60mWの低消費電力と15cm3(内寸33mmx38mmx9mm)という極小サイズを実現している。大型の原子時計とほぼ同等の1日で300万分の1秒以下の精度を達成した。
 この研究成果は、大型で消費電力が大きかった原子時計のサイズおよび消費電力を大幅に削減することで、これまで搭載が難しかった自動車やスマートフォン、小型衛星など、様々な機器に原子時計を搭載可能となり、自動運転、高精度な測位、新たな衛星ネットワークの実現を大きく加速させる可能性がある。
 研究成果の詳細は、米国サンフランシスコで開催される国際会議ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference <国際固体素子回路会議>2019、2月17日から開催)で発表された。
 高精度でありながら2mWという超低消費電力な周波数シンセサイザの実現および新たな量子部パッケージによる温度コントロールの効率化で、60mWの超低消費電力な小型原子時計(ULPAC: Ultra-Low-Power Atomic Clock)の開発に成功した。開発した小型原子時計は、消費電力を大幅に削減しながら、大型の原子時計とほぼ同等の1日で300万分の1秒以下の精度を達成した。この原子時計は、電圧制御水晶発振器、周波数シンセサイザ、レーザーのドライバ回路、制御回路、セシウム133原子(用語7)へのレーザー光照射を行う量子部パッケージで構成される。
 CPT(Coherent Population Trapping)を利用した原子時計では、セシウム133原子に2つの周波数のレーザー光を照射する。この2つのレーザー光の周波数差がセシウム133原子に固有の共鳴周波数(9,192,631,770 Hz)に一致したときに、検出される光強度が最大となる。これを利用して電圧制御水晶発振器を校正し、原子時計の基準となる非常に安定した周波数を作りだしている。
 周波数シンセサイザは、レーザー光の周波数差を0.3mHz以下の非常に細かい周波数ステップで変えるために用いられ、従来、原子時計の構成要素において50mW以上の大きな電力を占める構成部位だった。開発した原子時計は、周波数シンセサイザをCMOS集積回路で作りこむことで、消費電力を25分の1以下まで削減することに成功、2mWの消費電力を達成した。
 さらに、新たな量子部パッケージの構造を採用し、ヒーターによる温度制御の際に、外部の温度が伝わりにくくなるような隔離機構を設けるとともに、パッケージ内部を金でコーティングした。温度制御の効率を向上させることで、電力を消費しがちなヒーターの消費電力を9mWまで削減した。高安定レーザードライバ回路および高精度温度制御回路により長期間での周波数安定性も改善した。
 従来の周波数標準器では、消費電力と周波数安定度はトレードオフの関係にあったが、開発した原子時計(ULPAC)は、良好な周波数安定度と低い消費電力を両立しており、サイズも15cm3と非常に小型である。今回、10^5秒(約1日)の平均化時間で2.2×10-12の長期周波数安定度を達成した。一般的な水晶発振器を搭載した時計と比べ、約10万倍も正確な時計を実現した。
 今後は、非常に小型で消費電力も小さいため、自動車、スマートフォン、小型衛星等、様々な機器への組み込みが可能である。従来は搭載できなかった様々な機器で高精度な原子時計が搭載可能となり、自動運転やGPSの代替、高精度計測など、政府が進めるIoTが支えるソサエティ5.0(超スマート社会)の実現 に貢献すると期待できる。
 この開発品は、5年後を目途に販売開始を目指す。
 ◆用語
 〇原子時計
 原子と電磁波の共鳴現象と、一般的な時計に利用される水晶発振器の周波数をリンクさせている時計。そのため、一般的な時計より精度の高い時計装置の実現が可能である。マイクロ波領域の電磁波を利用した原子時計では、セシウム(Cs)原子やルビジウム(Rb)原子が装置内に封入される。
 〇周波数シンセサイザ
 1つの発振器デバイスの信号を基準として種々の異なる周波数をもつ信号を発生させる回路、あるいはその回路を含む装置。 〇量子部パッケージ
 ヒーターと測温素子からなる温度制御機構と、面発光レーザー素子(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)、偏光光学素子、セシウム原子を封入したガスセル、受光素子からなる原子時計の心臓部に当たるデバイスで、原子共鳴信号の検出機構を小型のパッケージに集積化した。小さい電力で一定温度の安定性を実現するために、外部へ熱が伝わる経路を可能な限り遮断する隔離機構と、パッケージ内部を高真空で封止した断熱構造となっている。
 〇衛星コンステレーション
 低軌道衛星は数時間周期で地球を周回しており、全世界をカバーするために、多数の衛星を軌道投入し協調動作をさせる。そのようなシステムを衛星コンステレーションと呼ぶ。
 〇コヒーレントポピュレーショントラッピング(CPT)
 原子と電磁波の共鳴現象の一種。セシウム原子に光を照射すると、通常であれば吸収が起きて透過光量は減少する。そこに2種類の周波数をもつ光を照射するとセシウム内で特殊な状態が生成され光の吸収量が減少し、すなわち透過光量が増加、共鳴現象が観測される。これまではセシウムとマイクロ波(波長3cm)の直接相互作用となる共鳴現象を利用するしかなかった。このCPTを利用すれば光の波長程度(約900nm)の領域でも、原子と電磁波の共鳴現象の発現が可能となる。
 〇電圧制御水晶発振器
 制御電圧を変えることにより出力周波数を調整できる水晶発振器。
 〇セシウム133
 安定同位体:原子セシウム原子の同位体の中で、放射線を出さず、自然界で唯一安定して存在する原子である。
 原子番号55の元素。アルカリ金属。融点は28.44 ℃で、常温付近で液体状態をとる5つの金属元素のうちの一つ。

聴いてきました、みやぎの「花は咲く」コンサート2019

2019-02-24 | 音楽
 今日もいい天気、少し暖かくなってきた。
 コンサート会場(宮城野区文化センター・パトナホール)に出かけ、”みやぎの「花は咲く」コンサート2019”を聴いてきた。
 開催日時:2019年02月24日(日) 13:00
   会場:宮城野区文化センター パトナホー
 出演者、合唱団
 2013年当時、宮城野区の応急仮設住宅やみなし仮設、および津波浸水地域にお住まいだったシニアを対象に「仙台フィルメンバーの演奏で『花は咲く』を歌ってみませんか」の呼びかけで、公募により結成された合唱団「みやぎの『花は咲く』合唱団」が、ソプラノ齋藤翠、渡邉かれん、テノール渡邉公威、ピアノ黒木直子、目々澤亜紀と共演。
 プログラム
 <合唱講師による演奏>
 ラーナー作詞;ロウ作曲;踊り明かそう
 ショパン作曲;エオリアン・ハーブ
 <ゲストによる演奏>
 ティリンデッリ作曲;おお、春よ
 ブッチーニ作曲オペラ「ジャンニ・スキッキ」より;私のお父さん
 ヴェルディ作曲オペラ「リゴレット」より;女心の歌
 コルディフェッロ作詞;カルディッロ作曲;カタリ・カタリ
 イングランド民謡;埴生の宿
 ゲーテ作詞;ヴェルナー&シューベルト作曲;野ばら
 アイルランド民謡;春の日の花と輝く
 ハーバーグ作詞;アーレン作曲;虹の彼方に
 カブッロ作詞;ディ・カプア作曲;オ・ソーレ・ミオ
 ヴェルディ作曲オペラ「椿姫」より;乾杯の歌
 <みやぎの「花は咲く」合唱団による演奏>
 北山修作詞;端田宣彦作曲;風
 星間船一作詞;さとう宗幸作曲;青葉城恋唄
 岩井俊二作詞;菅野よう子作曲;花は咲く


厚生労働省の食品摂取基準案、高齢者もたんぱく質を

2019-02-23 | 健康・病気
 今日の新聞で、”「高齢者もたんぱく質を」厚労省案、虚弱予防で”とあった。小生も高齢者なので、良く読ましていただきました。(以下は記事のコペピ)
 厚生労働省は、65歳以上の高齢者が1日に摂取するたんぱく質の目標量を引き上げる食品摂取基準に関する報告書案を示した(2月22日)。たんぱく質が不足すると、高齢者は筋肉が衰えるなど「フレイル」(虚弱)という状態に陥りやすく、運動・認知機能が低下する。このため同省は高齢者が必要なたんぱく質を摂取するよう目標量の下限を引き上げる考え。
 〇年代別のたんぱく質の総エネルギーに対する摂取目標量(%)
   *カッコ内は1日当たりの推奨量(グラム)
  (出所)厚生労働省の報告書案を基に作成
  2020年版             2015年版
 年代   男性    女性     年代   男性    女性
 18-29歳 13-20(65) 13-20(50) 18-29歳 13-20(60) 13-20(50)
 30-49歳 13-20(65) 13-20(50) 30-49歳 13-20(60) 13-20(50)
 50-64歳 14-20(65) 14-20(50) 50-69歳 13-20(60) 13-20(50)
 65-74歳 15-20(60) 15-20(50) 70歳以上 13-20(60) 13-20(50)
 75歳以上 15-20(60) 15-20(50)
 健康増進法に基づく日本人の食品摂取基準は5年に1度改定する。今回の基準は2020年版で20年4月からの目標となる。同省は22日に開かれた基準策定検討会に報告書案を提示。3月中にとりまとめ、年内に告示する方針。
 報告書案によると、フレイルを予防するためのたんぱく質の目標量は1日に必要な総エネルギー量に対する割合で上限と下限を示している。2020年版の摂取基準では、65歳以上は総エネルギー量の「15~20%」を目標としている。前回の2015年版の摂取基準ではすべての年代で「13~20%」としていた。
 総エネルギー量は身長や体重、活動量などで異なるため、活動量が少ない人は総エネルギー量に対する割合ではたんぱく質の絶対量が不足する恐れもある。同省は推奨量として65歳以上では男性で「1日当たり60グラム」、女性で「同50グラム」を掲げ、加齢によって活動量が少なくなっている人についても推奨量以上を摂取するよう求める。
 たんぱく質の取り過ぎは腎臓の状態を悪化させたり、糖尿病のリスクを高めたりする可能性があり、総エネルギー量に対して20%の上限は全年代で変更しない。
 このほか報告書案では食塩の摂取基準についても変更した。高血圧や腎臓病を予防するための目標量について、15歳以上の男性では1日当たり7.5グラム未満、女性では6.5グラム未満に設定。男女とも2015年版の摂取基準に比べて0.5グラム引き下げた。高血圧と腎臓病の重症化を防ぐための食塩の目標量として、新たに男女とも「1日6グラム未満」とする目標も設定した。
 ◆体重1キログラムで1グラム以上
 65歳以上の高齢者は体重1キログラム当たり少なくとも1グラム以上のたんぱく質の摂取が望ましいとした。体重50キログラムの人ならば1日50グラム以上となる。総エネルギー量は活動量によっても異なるが、一つの目安になりそうだ。
 100グラム当たりに含まれるたんぱく質は、例えば豚バラ肉で約14グラム、アジの開きだと20グラム前後。食が細る高齢者が十分なたんぱく質を取っていない可能性が高く、今回の報告書案はほかの栄養源とともに朝昼晩の食事でたんぱく質をしっかり取ることを推奨する形になる。
 たんぱく質でも動物性は糖尿病の発症リスクにもなるが、大豆など植物性たんぱく質は関連がないか予防に役立つという研究結果もあるという。ただ報告書案では「特定のたんぱく質を勧める十分な根拠は得られていない」としている。

2018年の特殊詐欺被害356億円、認知件数は16,493件と8年ぶりの減少

2019-02-22 | 社会・経済
 警察庁が発表した2018年の振り込め詐欺など特殊詐欺の年間の被害総額(暫定値)は、356億8000万円(2月21日)。被害額は、前年比38億円(9.6%)減で、4年連続の減少。認知件数は、1万6493件と前年比1719件(9.4%)減で、8年ぶりの減少となった。
 手口別では、
 おれおれ詐欺は
   認知件数:9134件(前年比638件(7.5%)増)
   被害額:182億8000万円(前年比25億1000万円(12.1%)減)
 架空請求詐欺は
   認知件数:4852件(前年比901件(15.7%)減)
   被害額:137億4000万円(前年比9億8000万円(7.7%)増)
 還付金詐欺は
   認知件数:1910件
   被害額:22億5000万円 いずれも30%台後半の大幅減
    金融機関による声掛けや高齢者の現金自動預払機(ATM)の振込額制限が功を奏した。
 特殊詐欺の被害者がだまされた理由(警察庁の調査による)
  親族の声にそっくりだったから(62.7%)
  相手の話をもっともだと感じたから(28.8%)
  自分や親族のことをよく知っていたから(3.4%)
  相手が親切な感じだったから(0.3%)
  たくさんのことを言われて面倒だったから(0.3%)
  その他(4.5%)
 被害者が自分は被害に遭わないと思った理由(検察庁まとめ)
  だまされない自信があった:約6割
  自分には関係ないと思っていた:約4割
  詐欺の手口を詳しく知っていた:約3割
  誰かに相談するようにしていた:約1割

特定の遺伝子型で選抜し地鶏の発育性を向上

2019-02-21 | 農業
 農研機構は、秋田県畜産試験場、岐阜県畜産研究所、熊本県農業研究センター畜産研究所、宮崎県畜産試験場と共同で、4県の地鶏について、生産の基になっている種鶏(しゅけい)を特定の遺伝子型で選抜することにより、地鶏の発育性を向上させ、出荷時体重を増加させることに成功した。
 4県の地鶏
  秋田県の比内(ひない)地鶏
  岐阜県の奥美濃古(おくみのこ)地鶏
  熊本県の天草(あまくさ)大王
  宮崎県のみやざき地頭鶏(じとっこ)
 地鶏は、地域の特産品として定着し、ブロイラーよりも高値で取引されている。しかし、飼育期間が長く生産にコストがかかることから、生産者から発育性の向上が求められている。なお、市場に流通する地鶏の多くは、在来種と他の鶏種を交配して生産されている。
 農研機構は2012年に、秋田県畜産試験場と共同で、「比内地鶏」の父系親品種の「比内鶏どり」において、発育性に強く関連する遺伝子(コレシストキニンA受容体遺伝子)が、ある遺伝子型(A型)を持つと、比内鶏の発育性が向上することを発見した。今回この成果をもとに、農研機構らは、共同で、4県の地鶏生産のルーツとなっている鶏(種鶏)を、比内鶏で発育性が向上するA型の遺伝子型で選抜・固定することによって、4県すべての地鶏の発育性が向上し、出荷時体重が増加することを確認した。
 本成果は、4県の地鶏の生産者所得の増加に貢献すると共に、全国のブランド地鶏の、発育性向上にも利用できると期待される。4県の試験場および研究所は、遺伝子選抜を行った種鶏群の孵化場への供給を、31年度以降、順次行う予定である。また本成果は、発育性の育種改良が遅れている他の地鶏への応用が期待される。
 因みに、上記4種の地鶏について、旧来の種鶏群から、A型固定の種鶏群へと完全に入れ替えた場合の経済効果を試算した。4県で年間1,250千羽の地鶏が出荷されており(2017年度)、4県合計で年間約66,000千円の生産者の売り上げ増加が見込まれる。
 ◆用語解説
 〇地鶏
 本成果で使用している「地鶏」は、「地鶏肉の日本農林規格」(平成11年7月施行、平成22年6月16日改正)で定義されているものを指す。その中で、飼育の対象となるひな鶏、飼育期間、飼育方法、飼育密度が詳細に定められている。
 例えば、ひな鶏では、在来種由来の血液百分率が50%以上のものであって、出生の証明(在来種からの系譜、在来種由来血液百分率およびふ化日の証明をいう。)ができること、とされている。日本食鳥協会のホームページには、ブランド名を持つ地鶏が約60種類掲載されている。
 〇種鶏
 地鶏の生産において、純粋な品種や系統がそのまま市場に出回ることはない。純粋な品種や系統は「原(げん)種鶏」と呼ばれる。原種鶏から、市場に流通する地鶏肉を生産するために分派させた鶏群が「種鶏」である。コマーシャル鶏は、複数の種鶏を交配させて作出されている。遺伝的な改良は、種鶏で行われている。
 〇コレシストキニンA受容体遺伝子(CCKAR:cholecystokinin type A receptor gene)
 コレシストキニンA受容体をコードする遺伝子。ニワトリでは、第4番染色体に座乗している。コレシストキニンは、食欲を抑制する神経情報伝達を担うペプチドホルモンとして知られている。コレシストキニンの受容体としては、AおよびB受容体が同定されている。このうち、主に腸管に分布しているA受容体は、満腹感を脳に伝えるシグナル伝達を担っている。CCKARの一塩基多型が、どのようなメカニズムで、発育形質に影響を及ぼしているかについて、今後詳細に検討する必要があるが、食欲や代謝に影響を及ぼしている可能性がある。
 〇一塩基多型(SNP:Single Nucleotide Polymorphism)
 遺伝子多型のうち、1つの塩基が、ほかの塩基と異なっているものは、一塩基多型(SNP: Single Nucleotide Polymorphism)と呼ばれている。そのタイプによって、遺伝子の発現量や遺伝子をもとに体内で作られるタンパク質の働きが微妙に変化し、発現形質に影響を与えることがある。

 今日は気温が上がり温かい(最高気温11℃位)。
 郊外のイチゴ栽培場(一苺一笑;いちごいちえ 松森農場)で、イチゴを購入。甘い・美味しい!。


がん診断や治療に、負担が極めて小さいリキッドバイオプシー

2019-02-19 | 健康・病気
 がんの治療法を選ぶには、生検(Biopsy:バイオプシー)によるがんの組織診、細胞診が一般的である。生検は、手術や内視鏡検査などにより行うことが多く、腫瘍部に穿刺(せんし)して組織や細胞を採取する。直接臓器から採る必要があるため、患者の負担が大きいという問題がある。病状や年齢によっては体力的に生検を諦めざるを得ない場合もあり、肺やすい臓など生検自体が難しい臓器もある。
 最近、がん治療や治療薬の選び方が変わろうとし、それが”リキッドバイオプシー”である。”リキッドバイオプシー”とは、血液など体液(Liquid:リキッド)内のがん由来の遺伝子変化などの情報を調べて、がんの診断や治療法の選択、治療効果の予測を行う手法である。
 ”リキッドバイオプシー”は、10~20ccの採血で済むため、患者の負担が極めて小さい。また、血液採取は何度でも行えるため、がんが変化し抗がん剤の耐性を得た場合も、各段階で治療薬を適切に選ぶことが可能になる。
 血液からがんの情報がわかる
 リキッドバイオプシーの手がかりは、大きく分けて3つある
 1、血中に流れ出てくるがん細胞、血中循環腫瘍細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)を調べる
  腫瘍からわずかに血液中に漏れ出して体内を循環しているがん細胞
 2、がん細胞から流れ出たDNAのかけらを調べる
  血液中にわずかに漏れ出したがん由来のDNA、血中循環腫瘍DNA(ctDNA:circulating tumor DNA、cfDNA:cell free DNA)。
 3、がん細胞が分泌したエクソソームの中のマイクロRNAを調べる
  細胞はエクソソームという分泌物を出す。血液だけでなく、尿や唾液にも含まれる。
  将来、尿や唾液をサンプルとする非侵襲の検査でがんを診断できる可能性がある
 ”リキッドバイオプシー”は、医療経済面でも効果的。分子標的薬などの抗がん剤は高額だが、事前に治療効果予測が立てられるから。免疫チェックポイント阻害薬も、リキッドバイオプシーでより効果的に使われる可能性があるという。

地球の自転がぶれるので、次のうるう秒が分からない

2019-02-18 | 天文
 現在の世界の標準時刻である協定世界時(UTC)は原子時計で算出して決めている。だが、本来の時刻は地球の自転や公転に基づいて天文学的に決めている。この時刻を世界時(UT)という。地球の自転周期は潮の満ち引きなどの影響でわずかながらぶれるため、規則正しく動き続ける原子時計との間にずれが少しずつ生じてしまう。ずれが大きくなると、太陽に合わせて暮らしている人間の生活に影響が出る恐れがある。
 そこで、UTとUTCの間のずれが0.9秒を超えそうになったときに、UTCを1秒ずらして調整するようにした。これが、うるう秒である。
 うるう秒が導入されたのは1972年。この時点で既に存在した「10秒」のずれはそのままにして、これまでの間に27回のうるう秒による調整が行われた。これで、現在のUTとUTCのずれは37秒になっている。なお、これまでの27回は全て、うるう秒を追加する調整であった。
 〇これまでの実施
 回数 年 月 日  うるう秒  協定世界時-国際原子時
 27  2017年1月1日 +1秒   -37秒
 26  2015年7月1日 +1秒   -36秒
 25  2012年7月1日 +1秒   -35秒
 24  2009年1月1日 +1秒   -34秒
 23  2006年1月1日 +1秒   -33秒
 22  1999年1月1日 +1秒   -32秒
 21  1997年7月1日 +1秒   -31秒
 20  1996年1月1日 +1秒   -30秒
 表に示すように、うるう秒実施日には規則性がない。これは、自然環境の影響などで地球の自転がぶれている故である。
 ◆全地球測位システム(GPS)の時刻
 GPSも、時刻を活用している。地球を回るGPS衛星は原子時計を搭載しており、この衛星からの時刻情報で自分の位置を測定する。
 地上約2万kmの軌道上を30基以上のGPS衛星が飛んでいる。GPS衛星からの信号には、発信した時刻と位置(軌道)の情報が含まれている。この信号の発信時刻と自分が受信した時刻との差で、衛星からの距離を算出する。地表では同時に6~10基のGPS衛星から信号を受信できる。これらの衛星からの距離情報を組み合わせることで、受信機が地表上のどの位置にいるのかを測定できる。
 GPSが送ってくる時刻は、「GPS時刻」と呼ばれる独自のもの。原子時計を基準として、うるう秒による調整はしないため、うるう秒があるごとに1秒ずつUTCとずれる。18年6月時点でGPS時間が18秒進んでいる。この時刻のずれに関する情報もGPS衛星からの信号に含まれているので、受信機側で補正して正しいUTCに変換する。
 GPS時刻の基となるのは米海軍天文台(USNO)が決めている標準時「UTC(USNO)」。これをGPS衛星へ定期的に送信して、衛星が搭載する原子時計から配信している。
 ◆調整の理由
 地球は太陽を1年で回り(公転)、自らも回転(自転)している。
 1日は地球の自転を基本として24時間(24X60X60=86400秒)と定めていた。しかし、1958年より極めて精度の高いセシウム(133Cs)原子時計を用いて計測すると、地球の自転は一定でない事が判明した。これより、1秒の定義を地球の自転を基本とせず、極めて一定精度の高い原子時計での定義とした。
 1秒は、「セシウム133原子の基底状態の二つの超微細準位間の遷移に対応する放射の周期の9192631770倍の継続周期」となった。この定義での秒で計測すると、1日は年々長くなっている事が判った。長くなった分を入れる事・・閏秒(うるうびょう)の挿入である。
 地球の自転速度が遅くなる理由は、地球の中心部が液体である、潮の干満と海底との摩擦などと考えられている。1958年から1972年まで35秒遅くなっている。将来はもっと遅くなるかもしれないとの予測。

木質バイオマスからの糖製造コストを削減、由来化成品の普及拡大に期待

2019-02-17 | 科学・技術
 産業技術総合研究所バイオベース材料化学グループ藤本真司主任研究員は、木質バイオマス(広葉樹)からの糖製造の水使用量を削減すると同時に、糖化率を大幅に改善する技術を開発した(1月11日発表)。
 木質バイオマスからの糖製造では、一般的に前処理と酵素糖化が必要である。その中で水と熱しか用いない前処理である水熱処理は、環境負荷が小さいという利点があるが、大量の水を使用するという問題があり、バイオマス原料の5~10倍程度の水が使用されている。さらに、水熱処理単独の前処理では糖化率が低いため、薬剤処理(薬剤法)や粉砕処理(水熱・メカノケミカル法)が必要な場合もあり、糖製造コストを増加させている。
 今回開発した技術は、従来の水熱法と比べ、水使用量を9割程度減らすことで加熱エネルギーを最大で80%以上低減する。ともに、自己生成される有機酸の効果により、水熱処理単独の前処理にもかかわらず90%を超える糖化率を達成した。その結果、薬剤処理や粉砕処理が不要なので主要なランニングコストを70%以上削減できた。
 この技術は、木質バイオマスから糖化を経て合成される化成品の開発・普及への貢献が期待される。
 因みに、研究は2019年1月16~17日に広島県東広島市で開催される第14回バイオマス科学会議でも発表された。
 ◆用語説明
 〇バイオマス
 再生可能な、生物由来の有機性エネルギーや資源で化石燃料は除いたもの。
 木材、草、海藻、生ゴミ、紙、下水汚泥などの有機物がある。
 〇前処理
 後段の酵素糖化の効率を向上させるために、バイオマスの強固な構造を壊し、構成成分を分離するための処理。
 〇酵素糖化
 酵素によってセルロースやヘミセルロースのような多糖を単糖や二糖にすること。
 〇水熱処理
 100℃以上の高温高圧の熱水で木材などのバイオマスを処理する方法。酸処理と同様の効果が得られる。
 〇ランニングコスト
 プラントの建設費などの初期費用がイニシャルコストと呼ばれるのに対して、運用に関わる費用のこと。
 〇カーボンニュートラル
 排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量である状態。
 植物は光合成によって二酸化炭素を吸収するので、燃やしても排出される二酸化炭素の量は吸収した量と同じになる。

 今日の天気は晴れ。段々と温かくなる気配・・最高気温8℃とか。
 畑で春作業の準備をして、お買い物に出かけた。買い物ビルの屋上から太白山が見えた。雪は積もっていない。
 ◆太白山
 宮城県仙台市太白区茂庭にある山。山頂部にある三等三角点「生出森」の標高は、320.61メートル(2014年4月1日)。
 仙台富士、または名取富士とも呼ばれる。
 山は、ゆるい裾野からコポっと立ち上がり、俗称:おっぱい山・・!!。

2018年の世界平均気温が観測史上4番目に高く、今後5年間も同様の傾向が続くと予測

2019-02-16 | 気象
 世界気象機関(WMO)は、2018年の世界平均気温が観測史上4番目に高かったと発表した(2月6日)。米航空宇宙局(NASA)・米海洋大気局(NOAA)も同様に発表している。過去4年が史上最も暑かった年の上位を占め、温暖化傾向は続いている。英気象庁は今後5年間も同様の傾向が続くと予測しており「2014年から2023年は、史上最も暑い10年になるだろう」としている。
 WMOによると、2018年の世界の平均気温は産業革命前の基準とされる1850~1900年平均より1.0℃高く、14.68℃。観測史上最高の平均気温を記録した2016年ほどではないが、 同じ温度で 2番目、3番目となる15年、17年に次いで4番目に高かった。2015年から4年連続で記録的な高温が続いたことになる。また、観測史上気温が高かった年の上位20位がこの22年間に集中している。

2019年日本国際賞、らせん高分子開発の岡本佳男氏と持続的土壌管理手法のラタン・ラル氏に

2019-02-15 | 学問
 国際科学技術財団は、2019年(第35回)の日本国際賞を、岡本佳男氏とラタン・ラル氏に贈ることを決めた(1月16日)。
 「物質・材料、生産」分野
 岡本佳男博士(78歳、日本)
  名古屋大学特別招聘教授
  中国ハルビン工程大学 特聘教授
 らせん高分子の精密合成と医薬品等の実用的光学分割材料の開発への先駆的貢献。
 物質を形作る分子のなかに、右手と左手のように、作りは同じだが鏡に映した像のように形が対称な2種類をもつものがある。これを「鏡像異性体」という。
 グルタミン酸ナトリウムでうま味を感じるのは、その一方の形だけで、サリドマイドのように、片方が薬となっても、もう片方が重い副作用を及ぼすこともある。
 したがって、片方だけを選択的に合成、分離することが、鏡像異性体の利用には欠かせない。
 岡本氏は、「らせん高分子」とよばれる鏡像異性体で片方の形だけを作る方法を開発。これを筒に詰めて片方の端から鏡像異性体を流し込むと、一つの種類だけが「らせん高分子」にひっかかって流れにくくなることを確認。これが、鏡像異性体を高速に精度よく分離する現在の「高速液体クロマトグラフィー」の基礎になった。医薬品の開発などに広く使われている。
 「生物生産、生態・環境」分野
 ラタン・ラル博士(74歳、米国)
  オハイオ州立大学特別栄誉教授
  炭素管理・隔離センター センター長
 食糧安全保障強化と気候変動緩和のための持続的土壌管理手法の確立。
 土壌に含まれる栄養分としての有機物が耕作で流れ出すのを防ぐため、土を耕さないで農作物を育てる「不耕起栽培法」を確立し、世界に普及させた。
 有機物の多くは、植物が大気中の二酸化炭素から「光合成」で作り出したものなので、土壌中に有機物をとどめることは、大気中の二酸化炭素を土壌中に取り込んで固定することにもなる。そのため、二酸化炭素の増加による地球温暖化の進行を、いくらかでも遅らすことができる。食糧の増産と地球環境の保護という両立しにくい事柄に解決の道を開いた点が評価された。
 ◆日本国際賞(Japan Prize)
 日本国際賞は、「科学技術において、独創的・飛躍的な成果を挙げ、科学技術の進歩に大きく寄与し、人類の平和と繁栄に著しく貢献した」人物に対して、国際科学技術財団が授与する賞である。
 受賞対象は「物理、化学、工学」と「生命、農学、医学」の二つの領域で、受賞対象分野は1年に2つの分野である。受賞者には、各分野に賞金5000万円が贈られる。受賞者は生存者のみ。
 日本にもノーベル賞に匹敵するような賞が必要だとして、松下幸之助が基金(私財など約30億円)を提供。1983年に政府内で各機関からの協力が閣議決定された。

 今日の天気は、雲が多い晴れ。風が弱いので、厳しい寒さは感じない。
 朝起きたら、朝日が綺麗。毎日、朝日が出る場所が少しずつ変わる。

携帯などでの大音量音楽に難聴リスク、「音量下げて」とWHOが警告

2019-02-14 | 健康・病気
 世界保健機関(WHO)は、スマートフォンなどの携帯音楽機器で長時間、大音量の音楽を聴き続けると聴覚障害になる恐れがあるとして、音量制限機能などの搭載を求める国際基準を発表した(2月12日)。現状では、世界の若者(12歳~35歳)の半数近くに当たる11億人が難聴になる危険性が高いと警告した。
 WHOは、「100デシベル(dB)の騒音なら15分以内」とする。100デシベル(dB)は、「電車が通るときのガード下の騒音」程度に相当する。安全でないとみなしているのは、85デシベル(dB)超で8時間、100dB超で15分の音量にさらされるもの。
 現在、世界人口の約5%に当たる約4億6600万人が、日常生活に支障をきたすほどの難聴に悩まされている。この中には3400万人の子どもが含まれるが、WHOによると、そのうちどれだけの人がオーディオ機器の危険な使用によって聴力を損傷したのかは分からないという。しかし、今回の新基準によって、「日々、音楽を楽しむ若年消費者層を守ることができるだろう」と期待を寄せる。
 ◆難聴
 加齢による老人性難聴の多くは、蝸牛の細胞の死滅だけでなく、耳の器官の障害など複数の原因が複合的に関係している場合が多い。日本では65歳以上の25~40%、75歳以上の40~66%、85歳以上の80%以上にみられ、罹患者は1500万人以上に上る。
 若者でも、長時間大音量にさらされていると、ダメージが蓄積して30代・40代の早い時期に老人性難聴を発症することがあるという。では、どの程度の音に気をつけたらいいのか。
 周りがうるさい電車内でイヤホンを使い音楽を聴いていると、無意識のうちにボリュームが大きくなりやすいので注意が必要。また、耳鳴りは内耳の細胞が損傷しているサイン。うるさい所から静かな所に移動したときに、「シーン」という耳鳴りがしたら大音量の場所にいたと考えるべき。同じ場所には近寄らないことが勧められる。意外な原因が飲酒。最近の研究で飲酒により内耳の細胞を壊す物質が出ることが分かっており、ナイトクラブなどで飲酒しながら長時間、大音量で音楽を聴くのは避けたい行為。

刑法犯、2018年は81万件と戦後最少に

2019-02-13 | 社会・経済
 警察庁は、2018年(平成30年)の刑法犯認知件数の確定値を発表した(2月12日)。
 刑法犯認知件数は、81万7338件で前年を9万7704件下回り戦後最少を更新した。人口千人当たりの認知件数も6.5件と最少を記録した。全体の摘発件数は30万9409件で、前年比1万7672件減。人数は20万6094人で8909人の減少となった。
 「窃盗」の認知件数が58万2141件(前年比7万3357件減)と大幅に少なくなったのが主な要因。うち「侵入盗」は6万2745件(同1万377件減)で、「自動車盗」も8628件と1万件を割った。
 重要犯罪のうち、前年より増えたのは「強制性交等」1307件(同198件増)、「略取誘拐・人身売買」304件(同65件増)。他はいずれも減少し、「殺人」915件(同5件減)、「強盗」1787件(同65件減)、「放火」891件(同68件減)、「強制わいせつ」5340件(同469件減)。

ディーゼル・ガソリンエンジンで熱効率50%を達成、従来比10ポイント改善

2019-02-12 | 科学・技術
 自動車の電動化が進むが、2040年でもハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車も含めて、世界の全自動車保有台数の約89%は、内燃機関が搭載されると予測されている。従って、世界のCO2排出量を減らすためには、内燃機関の熱効率向上は不可欠で、これまで、世界各国の自動車会社が、内燃機関の熱効率向上技術の開発に取り組んできた。しかし技術の成熟化に伴いその飛躍的な進展はますます難しくなっている。熱効率は、1970年代に30%で、40年以上をかけても40%に到達する程度である。
 本プロジェクトは、過去40年間かけて自動車メーカーが10%ほど向上させた熱効率を、5年間の短期間でさらに10%引き上げる野心的な目標を掲げた研究開発である。
 慶應義塾大学の飯田訓正特任教授、京都大学の石山拓二教授、早稲田大学の大聖泰弘特任研究教授らは、乗用車用のガソリンエンジン・ディーゼルエンジンの正味最高熱効率50%を上回ることに成功した。
 ガソリンエンジンは、超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)、ディーゼルエンジンについては高速空間燃焼の実現に成功した。両エンジンに共通する損失低減のための研究開発によって、機械摩擦損失の低減技術、ターボ過給システムの効率向上技術、熱電変換システムの効率向上技術を開発した。これらの技術を統合した結果、ガソリンエンジンで51.5%、ディーゼルエンジンで50.1%の正味最高熱効率を達成した。
 研究開発
 1.ガソリン燃焼の高効率化に関する研究開発
 (1)研究実施者:ガソリン燃焼チーム(研究責任者:飯田訓正特任教授)
 (2)研究開発概要
 ① 燃焼コンセプト:「超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)」
 ② コンセプト実現のための課題:従来の点火技術だと着火しにくい。大きな放電エネルギーを与えて部分的に着火させても、火炎が伝播するときと消炎し伝播しないときの変動が大きく、燃焼が安定しない。
 ③ 実施内容と成果:超希薄燃焼場に強力なタンブル流(縦渦)を導入した、高乱流・希薄燃焼の現象を解明。その結果に基づき、安定着火を可能とする点火技術を開発。これにより、エネルギー損失の低い低温燃焼となる超希薄燃焼を実現し、熱効率向上の実証に成功。
 2.ディーゼル燃焼の高効率化に関する研究開発
 (1)研究実施者:ディーゼル燃焼チーム(研究責任者:石山拓二教授)
 (2)研究開発概要
 ①燃焼コンセプト:「高速空間燃焼」
 ②コンセプト実現のための課題:エンジン燃焼室の壁近くでの火炎の滞留や後燃えによって、エネルギー損失(冷却損失)が生じたり燃焼エネルギーの仕事への変換効率が低くなったりする。
 ③実施内容と成果:燃料噴霧の発達や燃料濃度の分布に関する詳細な解析と実験により、燃料噴射の在り方と火炎形成の関係を解明。また、後燃えの要因を特定。その結果に基づき、燃料噴霧が空気を巻き込みながら最適に分散する、燃料噴射技術を開発。これにより、火炎が壁から離れて配置され、かつ後燃えを低減する高速空間燃焼を実現し、熱効率向上の実証に成功。
 3.損失低減に関する研究(ガソリン燃焼とディーゼル燃焼の両方に共通)
 研究実施者:損失低減チーム(研究責任者:大聖泰弘特任研究教授)
 3-1.機械摩擦損失の低減に関する研究
 (1)研究実施者:機械摩擦損失低減グループ(リーダー:三原 雄司東京都市大学工学部機械工学科教授)
 (2)研究開発概要:固体潤滑剤と軟質金属から構成される高耐久の低摩擦層およびその表面改質技術の開発などにより、エンジンの摺動表面に低摩擦機能を付与し、機械摩擦損失の55.5%低減を実証。
 3-2.排気エネルギー有効利用に関する研究(ターボ過給の高効率化)
 (1)研究実施者:ターボ過給ワーキンググループ(リーダー:宮川和芳早稲田大学基幹理工学部教授)
 (2)研究開発概要:流体解析に基づき翼列、流路を新たに設計するとともに、伝熱と軸受での摩擦を考慮したターボ過給機システムを構築。市販ターボ過給の効率を10ポイント以上上回る、最大69%程度の効率値を実証。
 3-3.排気エネルギー有効利用に関する研究(熱電変換システムの高効率化)
 (1)研究実施者:熱電変換ワーキンググループ(リーダー:飯田努東京理科大学材料工学科教授)
 (2)研究開発概要:発電温度域を中低温に拡大できる、新たな素子およびモジュールを開発。排気熱との熱交換システムを含めて、最大1.3%程度の熱効率相当の性能があることを実証。
 今回の成果は、今後数十年間主流と予測されている内燃機関を搭載した自動車による環境負荷を低減し、世界のCO2排出量削減に貢献する、としている。
 用語説明
 〇正味熱効率とエネルギー損失
 実際のエンジンでは以下のようなエネルギー損失が発生し、燃料が持つエネルギーを仕事に変換できていない部分がある。  冷却損失:燃焼ガスの熱エネルギーが、それより低温の燃焼室の壁を通じて外部に放出されることによって失われるエネルギー損失
 排気損失:燃焼ガスの熱エネルギーが、排出されるガスとともに失われるエネルギー損失
 機械摩擦損失:エンジンの摺動部分の摩擦によって失われるエネルギー損失など
 正味熱効率とは、これらの損失を差し引き、燃料が持つ全エネルギーをエンジンの有効仕事に変換できた割合をいう。
 〇超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)
 理論空燃比(ストイキオメトリー)よりも燃料濃度を半分以下にした燃焼。単位質量あたりの燃料を完全燃焼させるために必要な空気の最小質量は、燃料ごとに理論的に決まっている。このときの空気質量を燃料質量で割った比を、理論空燃比(ストイキオメトリー)という。当プロジェクトでは、理論空燃比よりも燃料の濃度が半分以下の混合気での燃焼を、「超希薄燃焼」とした。なお、既存のガソリンエンジンでは、安定した燃焼を実現するために理論空燃比に近い値で燃焼させているのが一般的である。
 〇トライボロジー
 潤滑、摩擦、摩耗、焼付きなど、相対運動をしながら相互に作用を及ぼし合う2つの表面、およびこれに関連する諸問題と実際の応用に関する科学と技術。
 〇自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)
 日本の自動車メーカー9社と2団体で構成され、世界的に関心の高まる内燃機関の環境性能に対して合同で研究を加速していくことを目的に2014年に発足した技術研究組合。各企業で共通な研究課題について、産学官が連携して基礎・応用研究を実施し、その成果を活用して各企業での開発を加速させる活動をしている。
  ホームページURL:http://www.aice.or.jp/
 〇後燃え
 燃料噴射を終えてピストンが膨張行程に入っている際に、未燃燃料が燃え続く現象。 後燃えが長期にわたると、熱効率の低下の原因となる。また、すすの酸化が進まずPM(粒子状物質)排出が増えるため、環境負荷の面でも問題となる。噴射圧力を高め噴射時期を早めると後燃えを低減できるが、燃焼が急激になり、NOxの排出および燃焼による騒音が悪化するという背反があるため、高度な後燃え制御が必要となっている。
 〇モデルベース開発(MBD)
 ものづくりにおいて、数値シミュレーションを活用して開発する手法のこと。製品が持つ多種多様な機能がどう発揮されるかを、ものを試作せずにコンピューターで精緻に確認できるため、開発を高効率化することができるため、国内外の先端企業が取り入れつつある。今後、基礎的な現象解明や物理といった科学に基づく最先端の高度モデルを導入することによって、さらに発展させることが望まれている。
 〇混合気
 噴射されて気体になった燃料あるいは噴霧されて霧状になった燃料と、空気が混ざり合ってできている気体のこと。