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  思い出を歩いて発掘

   健康を歩いて増進

第16回江崎玲於奈賞に東京大学大学院工学系研究科教授の染谷隆夫氏

2019-08-31 | 学問
 茨城県科学技術振興財団は、ナノテクノロジー分野などで優れた業績を上げた研究者に贈る「第16回江崎玲於奈賞」授賞者に、伸縮性と柔軟性に富んだ有機半導体を開発した東京大学大学院工学系研究科教授の染谷隆夫氏を選んだ(掲載日:2019年8月26日)。
 今回の授賞対象になったテーマは「伸縮性と生体親和性をもつ新しい有機半導体エレクトロニクスの開拓」。有機半導体は、極薄で軽い電子部品を作ることができるのが特長だが、染谷氏は、ナノスケールの分子を制御することにより、電気的機能に優れて伸縮性も備えた大面積有機超薄膜とその積層化技術を先駆的に開拓した。そしてその成果を基に人間の皮膚や衣服などに貼り付けて体温などを測定するセンサーを実現。この技術は「ウェアラブルセンサー」「スキンディスプレイ」として医療分野のほか、スポーツ科学など幅広い応用に期待が寄せられている。
 ◆江崎玲於奈賞
 江崎玲於奈賞は、ノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈氏の栄誉にちなみ、優れた業績が科学技術振興や産業の活性化にも寄与することを目的に2003年に創設された。
 授賞者を決める江崎玲於奈賞委員会は、江崎氏を委員長に、白川英樹氏(ノーベル化学賞受賞者)、野依良治氏(同)、小林誠氏(ノーベル物理学賞受賞者)、天野浩氏(同)といった日本人ノーベル賞受賞者が名を連ねている。
 内容
 本賞(賞状)、副賞(1,000万円 協賛:関彰商事株式会社)、記念品
 対象者
 日本国内の研究機関においてナノサイエンスあるいはナノテクノロジーに関する研究に携わり、世界的に評価を受ける顕著な研究業績を挙げた研究者、原則1名
 主催等
 主催:一般財団法人茨城県科学技術振興財団、つくばサイエンス・アカデミー
 共催:茨城県

 早朝は雨か、路面が濡れていた。今日の天気は午前曇り、午後から晴れ。最高気温は30℃とか、まだまだ暑いな。
 朝の散歩で、塀に絡みついた”キカラスウリ”の花。小さな果実も見える。早朝の雨で、葉も花も濡れている。同じ様な花に、”カラスウリ”がある。両者とも夜から咲くが、朝まで咲いているのは、”キカラスウリ”である。
 名(キカラスウリ:黄烏瓜)は、花が”カラスウリ(烏瓜)”に似ており、果実が黄色に熟するから。”カラスウリ”の実は赤く熟し、”キカラスウリ”はやや大きな黄色の実となる。両者の花は、5裂花で花弁の先が糸状であるが、”カラスウリ”は花弁先端が分かれず、”キカラスウリ”は花弁先端が2つに分かれている。
 キカラスウリ(黄烏瓜)
 学名:Trichosanthes kirilowii var. japonica
 ウリ科カラスウリ属
 蔓性の多年草
 雌雄異株
 開花時期は7月~9月
 花は径5~10cm位で白色。花冠は数枚に裂け、その先は糸状となっている
 雌花はつぼみの段階で子房を持つ(雄花は持たない)
 秋に黄色に実が熟す(果実長径8cm~9cm、短径数cm)
 同じ仲間(同属)のカラスウリ(烏瓜・唐朱瓜)と花はとても良く似ており、
 カラスウリは赤い実(果実長径数cm、短径3.5cm位)がなる


日本の1人当たり鶏卵消費量は333個、世界2位で1位はメキシコ365個

2019-08-30 | 食・レシピ
 TVで卵料理や大好き人間が話題となっていた。
 IEC(International Egg Commission;国際鶏卵委員会)は、各国のレポーターが報告した2017年次統計の各数値をデータベースにまとめて公表した(2018年10月15日 鶏鳴新聞より)。
 各国の年間1人当たり鶏卵消費量(殻付換算)の順位は、
  1位:メキシコ(363個、前年比8個減)
  2位:日本(333個、同2個増)
  3位:中国(307個、同25個増)
  4位:ロシア(305個、同10個増)
  5位:アルゼンチン(280個、同7個増)
  6位:コロンビア(279個、同17個増)
  7位:米国(276個、4個増)
  8位:カザフスタン(268個)
  9位:スペイン(267個、同50個増)
  10位:ニュージーランド(246個、同11個増)
 主要な鶏卵生産国の1トン当たり飼料価格、鶏卵生産コスト(農場出荷時の原卵1ダース当たり)
 飼料価格が安い国の順位は、
  1位:米国(224.20ドル)
  2位:ロシア(257.37ドル)
  3位:ハンガリー(258.05ドル)
  4位:南アフリカ(259.97ドル)
  5位:ポーランド(266.16ドル) 穀物を自国で調達できる国が安い
 飼料価格が高い順では、
  1位:日本(576.56ドル)
  2位:スイス(574.00ドル)
  3位:オーストリア(408.72ドル)
  4位:ニュージーランド(379.51ドル)
  5位:中国(337.43ドル)
 1ダース当たりの鶏卵生産コストが安い順は、
  1位:米国(0.60ドル)
  2位:インド(0.62ドル)
  3位:ペルー(0.63ドル)
  4位:トルコ(0.72ドル)
  5位:メキシコ(0.73ドル)
  6位:中国(0.75ドル)。
 1ダース当たりの鶏卵生産コストが高い国は、
  1位:スイス(3.05ドル)
  2位:カナダ(1.55ドル)
  3位:日本(1.25ドル)
  4位:キプロス(1.18ドル)
  5位:スロバキア(1.02ドル)
 ◆参考
 平成30年3月9日に農林水産省が公表した「鶏卵流通統計調査」によると、平成29年(1~12月)の鶏卵生産量は260万1173トン(前年比1.5%増)と3年連続で前年を上回った。

 今日の天気は、早朝~朝は雲が多い晴れ。9時頃から雨。
 日の出前の空、朝焼けが綺麗だ。久しぶりの朝焼けだ。

380万年前の猿人、完全な頭骨見つかり顔を復元

2019-08-29 | 歴史・考古
 アフリカ東部エチオピアで約380万年前の初期人類アウストラロピテクス・アナメンシス(アナメンシス猿人)の頭蓋骨の化石を見つけて顔を復元したと、米クリーブランド自然史博物館などのチームが28日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
 米クリーブランド自然史博物館のヨハネス・ハイレセラシエ博士らのチームは、エチオピア北部のアファール地域にある荒地で2016年、猿人のほぼ完全な頭骨を見つけた。犬歯やあご、全体の大きさなどから雄の成人とみられ、アナメンシス猿人のものと判断した。この猿人はアウストラロピテクス属の中で最初期に出現した種とされている。人類進化の道筋への理解を進める成果。
 あごが前に突き出し、耳の穴が小さく、脳を収容する空間が細長くて小さい。こうした特徴は700万年前ごろの極めて初期の猿人に近いという。一方、頬骨が前に出ているなど、250万年前ごろの比較的新しい特徴も持っていた。
 この猿人の化石はこれまで約420万~390万年前の時代に見つかっていた。その後、アファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)が進化したと考えられてきた。発見を踏まえ、チームは約390万年前からの約10万年間は、アナメンシス猿人とそこから分岐したアファール猿人が併存したと判断している。
 諏訪元・東京大学総合研究博物館教授(形態人類学)は「アファール猿人と異なる特徴を持つアナメンシス猿人が380万年前に生息していたことは興味深い。猿人の頭骨化石の空白期を埋める大きな発見だ」と指摘している。
 ◆アウストラロピテクス
 アウストラロピテクスは、約400万年前~約200万年前に生存していたアフリカで生まれた初期の人類である。いわゆる華奢型の猿人である。身長・脳容積はチンパンジーとほとんど変わらないが、骨格から二足歩行で直立して歩く能力を持つと考えられている。
 猿人には、420万年前のアウストラロピテクス=アナメンシス、380万年前のアウストラロピテクス=アファレンシス、280万年前のアウストラロピテクス=アフリカヌスなどがある。

 今日の天気は曇り、時々雨、時々晴れ。夕方から雨の予想。
 ワイヤーの塀に”ガガイモ”が絡まり、花が咲き出した。花にはまだ蟻が寄っていない・・これからかな。花は径1cm程で、幾つか纏まっている。星型で、花冠は5深裂しており、内側に白い毛が密生している。花の中心部にはずい柱があり、柱頭は長く花冠から突き出る。
 名(ガガイモ)の由来は不確定だが諸説ある。かがむような低い所に太い茎があるからカガミイモ→ガガイモの説、葉の形が亀(ガガ)の甲羅の様で芋に似た実を付ける→ガガイモになった説、などなど。
 茎・葉は解毒や腫れ物の貼り薬として使われ、茎を切って出る白い乳液はイボや虫刺されに塗られる。白い乳汁が出ることから、別名に「乳草」がある。
 若芽は茹でて油炒め、煮物等の食用ともなり有用な植物と言う。このため、ガガイモは神代の時代からある花として知られる。
 因みに、名に”イモ”とあるが、この草に”芋(いも)”は出来ない。細長いながら地下茎は育つが毒があって食べられない。でも多食しなければ大丈夫・・らしい。根を食べる植物から”イモ”の名が付いたのかな。
 ガガイモ(蘿摩・蘿芋)
 学名:Metaplexis japonica
 ガガイモ科ガガイモ属
 蔓性多年草
 日本、朝鮮半島、中国、ロシアに分布
 開花時期は8月~9月
 果実は紡錘形(10cm位)の袋果で、白毛のある種子が沢山



ブドウ「シャインマスカット」の高精度な全ゲノム解読に成功

2019-08-27 | 園芸
 かずさDNA研究所と農研機構果樹茶業研究部門は共同で、ブドウ「シャインマスカット」の全ゲノム解析を行い、全ゲノムの 99.4%にあたる 490.1Mb の配列を解読した。これにより、ワイン用欧州ブドウとのゲノム構造を比較した。
 「シャインマスカット」は農研機構が開発した黄緑色でマスカット香を有する良食味の生食用欧米雑種ブドウ。これまで、ワイン用欧州ブドウではゲノム解読がされていたが、生食用欧米雑種ブドウでは全ゲノム配列が明らかになっていない。
 「シャインマスカット」の全ゲノム配列が染色体レベルで明らかになったことで、生食用欧米雑種ブドウの果実品質や病気に対する抵抗性など、より良い品種をつくるための重要な遺伝子に関わる研究を一層進めることができる。
 研究成果は、BioRχiv において8月19日にオンライン公開された。
  研究成果の概要と意義
 ①超並列シークエンシング技術と大型計算機を駆使し、「シャインマスカット」全ゲノムの 99.4%にあたる 490.1 Mb の配列を解読した。
 ②「シャインマスカット」は欧州ブドウと米国ブドウの長所を兼ね備えた欧米雑種ブドウである。 欧米雑種ブドウである「安芸津21号」を母親に、欧州ブドウである「白南」を父親として育成された。「シャインマスカット」全ゲノム配列の特性より、両親それぞれから異なるタイプの遺伝子を受け継いでいることが示唆された。
 ③「シャインマスカット」と欧州ブドウとの配列を比較したところ、生食用欧米雑種ブドウで ある「シャインマスカット」はワイン用欧州ブドウとは異なるゲノム構造をもっていることがわかった。2つのゲノム構造の違いをさらに詳しく調べることで、「シャインマスカッ ト」の生食用としての優れた形質にかかわる遺伝子を明らかできることが期待される。
 ④本研究により得られた情報は、Plant GARDEN データベース(https://plantgarden.jp)にて公開するとともに、バイオ系のプレプリントサーバーbioRχiv(バイオアーカイブ)でオ ンライン公開する。
 将来の波及効果
 ①「シャインマスカット」の全ゲノム解読に世界で初めて成功したことで、生食用欧米雑種ブ ドウの様々な重要形質に関わる遺伝子の解明に向けた研究を進めることができる。
 ②生食用欧米雑種ブドウでは、これまでゲノム情報を用いた育種選抜がほとんど実施されていない。今回の研究で明らかにした「シャインマスカット」の全ゲノム配列情報と、現在作成中の「シャインマスカット」を生み出した交配組合せ集団(安芸津21号×白南)の 連鎖地図を用いることで、生食用欧米雑種ブドウの有用形質を選抜するためのゲノム情報が得やすくなり、生食用ブドウ育種の迅速化に寄与することが期待される。

 今日の天気は、曇り、時々小雨、時々晴れ。
 街のスーパーでは”ナシ”が出始めた。散歩でも、塀越しに見える”ナシ”がたわわに実っている。
 梨の種類は、大別して3種あり、和なし(日本なし、Pyrus pyrifolia var. culta )、中国なし (P. bretschneideri) 、洋なし(西洋なし、P. communis )である。これらの実は、何れも食用として栽培される。日本語で”ナシ(梨)”と言うと通常、このうちの”和なし”を指す。塀越しに見える”ナシ”も”和なし”。
 ”ナシ”の語源には諸説がある。
  中酸(なす):江戸時代の学者新井白石は中心部ほど酸味が強いことから、中酸が転じたと述べている。
  風なし:風があると実らないから
  中白(なかしろ)・色なし:果肉が白いから
  梨子(らいし):漢語の梨子の転じたもの
 ”ナシ”という名前は「無し」に通じることからこれを忌ん(忌み言葉)で、家の庭に植えることを避けたり、「ありのみ(有りの実)」という反対の意味を持たせた呼称が用いられることがある。しかし、「無し」という意味を用いて、盗難に遭わぬよう家の建材にナシを用いて「何も無し」、鬼門の方角にナシを植えることで「鬼門無し」などと、縁起の良い利用法もある。
 ナシ:梨 (なし)
  その果実もナシ
 別名:有の実(ありのみ)
  有名品種には、豊水(ほうすい)・幸水(こうすい)・二十世紀などがある
 学名:Pyrus pyrifolia var. culta
 バラ科ナシ属
 原産地:中国を原産とし中国や朝鮮半島、日本の中部地方以南に自生する野生種ヤマナシ(ニホンヤマナシ、P. pyrifolia var. pyrifolia )を基本種とする栽培品種群のこと。
 日本でナシが食べられ始めたのは弥生時代頃とされ、登呂遺跡などから多数食用にされたとされる根拠の種子などが見つかっている。文献に初めて登場するのは「日本書紀」であり、持統天皇の693年の詔において五穀とともに「桑、苧、梨、栗、蕪菁」の栽培を奨励する記述がある。
 開花時期:4月頃、桜から1週間ほど遅れて開花する
 白い5弁花


合金の複雑な微細構造を物理の基本法則のみから予測

2019-08-26 | 科学・技術
 横浜国立大学と物質・材料研究機構の共同研究グループは、物性や特性を決める合金の複雑な微細構造を、媒介変数あるいは引数(ひきすう)などとも呼ばれるパラメータを使わずに、物理の基本法則のみから予測することに成功した(8月1日発表)。計算機シミュレーションによる合金設計に道を開く成果。この研究成果は、国際学術雑誌「Nature Communications」に2019年8月1日18時(日本時間)にオンライン掲載。
 新材料の創製・開発研究では、実験や観察結果から導き出される理論ではなく、物理の基本法則に基づく第一原理計算を用いて展開する研究が盛んになっている。
 研究グループは、「第一原理フェーズフィールド法」と呼ばれる新手法を開発した。
 フェーズフィールド法は、マイクロメートル(1μmは100万分の1m)のスケールでの合金の微細構造組織を計算機シミュレーションで扱うための理論計算手法の一種。従来法では、得られた構造が実験結果に合うようにパラメータを決めていたため予測能力を持たなかったが、新手法では、第一原理計算から得られる階段関数を用いることで一切のパラメータを用いずに微細構造を予測できる。
 今回は航空機ジェットエンジンのタービンなどに用いられるNiAl(ニッケル・アルミニウム)合金を対象に研究開発し、様々なNiとAlの混合比に対してパラメータ無しで微細構造を予測することに世界で初めて成功した。得られた結果は実験とよく一致し、局所応力分布も簡単に求まるため、機械強度も予測できるという。この研究を発展させれば、目的の特性を最大限に実現できる合金設計への貢献が期待される、としている。

 今日の天気は曇り~晴れ。最高気温は28℃程で、明日は25℃とか・・秋がやってくる。
 近所の買物団地の植栽地で、”ガマズミ”の実が赤くなってきた。葉はまだ緑だが、これから葉も赤くなる。でも、熟した赤い実は直ぐに鳥に食べられ、なくなる。熟した実は食用となり、焼酎に漬けて果実酒にできる(果実酒は澄んだ深紅色・・ワインの様)。
 名(ガマズミ、莢 ・蒲染)の由来には諸説がある。「神つ実」からの説や、何かの染色に使った説などがある。「神つ実」説は、マタギたちが山で食べれる山の神からの授かり物として大切にされた、ことから。染色説は果実酒や漬物・布の着色に利用したからだろう。因みに、広く各地に分布しているので、およそ140種以上の呼び名があると言われる。
 ガマズミ(莢、蒲染)
 別名:粗毛がまずみ(あらげがまずみ)
 学名:Viburnum dilataum
 スイカズラ科ガマズミ属
 原産地は日本、朝鮮半島、中国
 落葉低木
 開花期は5月~6月
 枝先に散房花序で径5mm~8mm程の白花を沢山咲かせる
 果実は核果(径3mm~5mm)で、9月~10月に赤く熟すが甘味が足りない
 美味しくなるのは晩秋(11月頃)で、表面に白っぽい粉をふく


酸性の細胞環境で安定蛍光する、光スイッチ型緑色蛍光たんぱく質を開発

2019-08-25 | 科学・技術
 大阪大学産業科学研究所の永井健治教授らの研究グループは、pH4.5~9.0の細胞環境で安定して蛍光する、耐酸性の光スイッチ型緑色蛍光たんぱく質「rsGamillus」の開発に成功した。特殊な顕微鏡法と組み合わせることで、光の回折限界を超えた分解能で、生きた生物試料の高解像度画像を撮影できるようになる。本研究成果は、2019年8月15日に「Cell chemical Biology](オンライン)に掲載。
 研究グループは昨年、日本産ハナガサクラゲの光る触手から新規の蛍光たんぱく質を単離改変することによりpH4.5~9.0の細胞環境で安定して蛍光する耐酸性の緑色蛍光たんぱく質「Gamillus」を開発した。
 今回、吸収スペクトル測定とX線結晶解析により、酸性環境下において、「Gamillus」の蛍光・非蛍光状態が光刺激により可逆的に切り替わること(光スイッチ)、そのメカニズムが蛍光発色団のtrans-cis異性化並びにフェノール水酸基のプロトン化/脱プロトン化であることを見いだした。このメカニズムを基にした分子設計、遺伝子変異導入により、光スイッチのコントラストを向上させた変異体「rsGamillus」を開発した。
 研究の背景
 リソソームなどの酸性細胞小器官(50~1500nm)は、生体分子や細胞内小器官との融合や分裂を通して、生体分子の修飾・輸送・分解など、生命活動に幅広く関わる。2016年のノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典博士が発見したオートファジーも、酸性細胞小器官が関わる生命現象の一例である。植物細胞においては、細胞内酸性小器官に加えて、細胞間隙(細胞壁)が酸性に保たれています。細胞間隙は、単なる物質輸送だけでなく、物質代謝や成長にも関わる極めて重要な場である。
 超解像顕微鏡法は、生きた細胞内の生体分子の局在や動態を、光の回折限界(~300nm)を超えた解像度で観察することができる画期的な手法である。観察対象である生体分子を標識するための蛍光タグと、特殊な照明パターン(スキーム)を組み込んだ顕微鏡の2つが必要である。光スイッチ型の蛍光たんぱく質をタグとして用いる超解像法は、たんぱく質を簡便に標識でき、細胞に対する毒性も比較的小さいことから、幅広い研究者に利用されている。しかし、現在報告されている光スイッチ型の蛍光たんぱく質の多くは、pH5~6以下の酸性環境で消失するといった問題点がある。従って、酸性細胞小器官の細かい動態や、酸性細胞環境中の微小構造を調査するためにも、耐酸性で緑色の蛍光たんぱく質が強く求められていた。
 本研究成果を応用することで、酸性細胞小器官の動態や、酸性細胞環境中の微細構造を、より鮮明にライブ観察できるようになる。一方で、酸性細胞環境中の複数たんぱく質の相互動態を調べるためには、緑色に加えて、青・赤色領域の耐酸性の光スイッチ型蛍光たんぱく質の新規開発と、それを併用したマルチカラーでの超解像観察法が今後必要となる。こうした新規ツール開発を通じて、酸性細胞環境で起こる未知の生命現象の発見と、酸性環境中の分子異常が関わる疾病メカニズムの詳細解明が期待される。
 ◆用語解説
 〇蛍光
 光を吸収し、その光よりも低エネルギー(長波長)の光を放出する物質の性質のこと。
 rsGamillusは青色光(~500nm)を吸収し、緑色光(~520nm)を放出する。
 〇蛍光たんぱく質
 蛍光を発するたんぱく質の総称。2008年のノーベル化学賞で知られる下村修博士らが、1962年にオワンクラゲから初めて遺伝子を単離し、緑色蛍光たんぱく質(Green Fluorescen Protein,GFP)と命名した。
 〇光の回折限界
 通常の光学イメージングでは、光学的な収差のない理想のレンズを用いた場合でも、試料面上の輝点はカメラ上である程度の広がり(~300nm)を持って集光する。像として識別することができる2点間の最小距離を回折限界という。
 〇X線結晶解析
 結晶化した分子にX線を照射し、回折を記録・解析することで、その立体構造を約0.1~1nmの精度で求めることができる手法。
 〇蛍光発色団
 蛍光たんぱく質中の、実際に蛍光現象に関わる部位を蛍光発色団と呼ぶ。
 GamillusとrsGamillusの場合、グルタミン・チロシン・グリシンの3アミノ酸から、自己触媒的に蛍光発色団が形成される。
 今日の天気は曇り。時々雨、時々晴れ・・変化が激しい。
 町内会の花壇で、”オオセンナリ”の花が咲いている。色々な花や雑草と共に花が咲いている。
 花は、淡青紫色の花で、風船の様な萼(ガク)の先にアサガオの様な花である。風船の様に発達した萼(ガク)には、”フウセンカズラ(風船葛、ムクロジ科)”や”ホオズキ(鬼灯・酸漿、ナス科ホオズキ属)”などがある。でも、”オオセンナリ”の果実(黄色)は有毒。
 ”オオセンナリ”は”ホオズキ”に似て、沢山の果実を付ける、別名は”センナリホオズキ”。ハエが嫌いな臭いを出すのでシュー・フライ(英名:shoo-fly plant)とも言う。
 オオセンナリ(大千成)
 別名:千成酸漿(せんなりほうずき)、青花酸漿(あおばなほうずき)、シュー・フライ(shoo-fly plant)
   アップル・オブ・ペルー (Apple of Peru)
 学名:Nicandra physalodes (L.) Gaertn
 ナス科オオセンナリ属(ニカンドラ属)・・1属1種である
 一年草
 原産地は南米(チリ、ペルー)
 江戸末期に渡来し、野生化した帰化植物
 開花時期は7月~9月
 花は風船様な咢から出て、花色は淡青紫色、花径は3cm前後
 風船様の咢の側面に5個の翼が付いている
 実は風船様の咢の中にでき、球形の液果(中身に液をたくさん含む果実)


アーバスキュラー菌根菌の純粋培養に成功

2019-08-24 | 科学・技術
 農業における化学肥料と化学農薬の活用による栽培体系の革新は飛躍的な食糧の増産をもたらし、全世界75億人の生命を支えてきた。しかし、現時点においても10億人が深刻な栄養不足に苦しんでおり、国連が発表した「世界人口予測2017年改定版」では、世界人口は2050年には98億人、2100年には112億人を越すと予測されている。人類活動による温暖化や土壌汚染、河川湖沼汚染などの地球レベルの環境問題に対処しつつ、人類への食糧供給を維持するためには環境負荷の低い次世代の栽培体系の構築が喫緊の課題である。その解決の一つとして有用土壌微生物の活用が世界的に活発化している。
 アーバスキュラー菌根菌 (AM菌) は約4億年の太古から植物の根に共生して生きてきた土壌に生息する菌類(いわゆるカビの仲間)で、有用土壌微生物として研究が進められている。AM菌は必須栄養素であるリンや窒素を土壌から吸収して共生相手である宿主植物に与えることで農地や自然生態系での植物の生育を助けている。特にAM菌はイネ科やマメ科、ナス科などの重要作物を含むほとんどの陸上植物と共生関係を結ぶことができるため、微生物肥料として大きな期待が寄せられている。しかし、AM菌は共生したときに宿主植物から供給される炭素源に依存して生育する性質を持つため、単独ではほとんど生育できず、次世代の胞子を形成することもできない(このような性質を絶対共生性という)。このため、AM菌を増殖させるためには、植物と共存培養する必要があり、手間とコストがかかるという問題がある。これまでにAM菌を純粋培養により増殖しようとする試みが世界中で行われてきたが、成功した例はなかった。
 本研究で、脂肪酸を添加した培地でAM菌を単独で培養したところ、生育が促されて共生能を持つ次世代胞子が形成されることを発見した。これによりAM菌の純粋培養が可能となり、本菌を大量生産できる可能性が開けた。
 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科の秋山 康紀 教授、筒井 一歩 大学院生(当時)、林 英雄 教授(当時)と、自然科学研究機構 基礎生物学研究所の川口 正代司 教授、亀岡 啓 博士研究員、信州大学農学部の齋藤 勝晴 准教授、北海道大学大学院農学研究院の江澤 辰広 准教授らは、微生物肥料として農業への利用が期待されているアーバスキュラー菌根菌(AM菌)の単独での培養に世界で初めて成功した。
 内容・成果
 ドイツの研究グループがAM菌Rhizophagus irregularisをバクテリアPaenibacillus validusと一緒に培養すると、AM菌が菌糸を分岐させつつ旺盛に生育し、ついには次世代の胞子を形成する現象を発見していた。このことからバクテリアに由来する何らかの物質がAM菌の生育と胞子形成を誘導すると考えられていたが、その物質は不明のままであった。
 研究チームは、そのバクテリア由来の物質の単離に成功し、それが枝分かれした炭素鎖をもつ脂肪酸であることを解明した。 その枝分かれ脂肪酸を含んだ培地でAM菌Rhizophagus irregularisを単独で培養したところ、旺盛な菌糸分岐形成と共に、わずかに次世代の胞子が形成された。
 そこで、他の様々な脂肪酸について調べたところ、炭素数16の不飽和脂肪酸であるパルミトレイン酸がバクテリア脂肪酸よりも強くAM菌の生育を促進し、より多くの次世代胞子を誘導することを発見した。パルミトレイン酸を含む培地で形成されるAM菌の胞子は、植物との共生培養で形成される胞子と比べると小型で、細胞壁の厚さも薄いものであったが、植物根に正常に感染共生して次世代の娘胞子を形成できることが分かった。すなわち、AM菌の単独での純粋培養に世界で初めて成功することができた。
 今後の展開
 リンは有限の資源である。先進国ではリンは過剰に施肥される傾向にあり、土壌環境に対する過負荷が懸念され、水系汚染の原因ともなっている。そこでAM菌の微生物肥料としての活用が期待されている。実際にいくつかのメーカーが農業資材化に成功し、市販されている。しかし、AM菌の増殖には宿主植物との共生が必要で手間とコストがかかるため、結果として資材が高価となり、なかなか一般には普及していないのが現状である。
 今回の研究成果により、AM菌の純粋培養への道が開かれた。今後、脂肪酸による胞子形成の機構を詳細に解析し、明らかにしていくことで、さらなる培養効率の改善が期待できる。加えて、近年のAM菌のゲノム解読により、AM菌の絶対共生性の原因となる可能性のある欠損代謝系が次々に明らかにされている。これらの知見をもとに培養技術の改良を加速化すれば、大規模な培養タンクを用いたAM菌の大量生産も可能となると思われる。すでに私たちは今回の研究成果をもとに技術改良を進めており、大幅な培養効率の改善を達成している。得られる胞子の数や共生能の点で植物を用いた共存培養にまだ及ばないが、継続的に改良を重ねていけば、将来的には低コストでかつ安定的にAM菌を供給することが可能になると期待される。

 今日の天気は晴れ。雲が少し多い。湿度が低いのか、風に爽やかさを感じる。
 空き地を囲む有刺鉄線を覆う様に”クズ”が繁殖し、花が咲いている。莢(さや)もできている。名(クズ)の由来は大和国(現在の奈良県)の国栖(くず)が葛粉の産地だったからで、”葛”は漢字から。
 クズの根から澱粉(でんぷん)が取れ、これが葛粉(くずこ)となる。漢方薬の”葛根湯”は葛根(かっこん)が主薬で、風邪の初期症状や頭痛・肩こりなどの症状に使う。葛根湯にまつわる落語に”葛根湯医者”があり、万能薬的な使い方をする”ヤブ医者”の話がある。
 クズは秋の七草の一つである。でも増殖力がとても強い葛は世界の侵略的外来種ワースト100(IUCN、2000) 選定種となっている。
 クズ(葛)
 別名:裏見草(うらみぐさ)
   葉が風で裏返ると白さが目立つ
 別名:庭見草(にわみぐさ)、野守草(のもりぐさ)、初見草(はつみぐさ)
 マメ科クズ属
 開花時期は8月~9月
 花色は赤紫色、上り藤の様に下から上へと小さな花が咲いていく
 花後は剛毛に被われた枝豆に似た扁平な莢(さや)ができる
 秋の七草の一つである


ヒトが進化の過程で失った遺伝子が動脈硬化をもたらす

2019-08-23 | 医学
 心臓発作は人間によく見られる疾患である。心臓疾患は人類の死亡原因の多くを占める病気で、2016年には全世界でおよそ1790万人が心臓疾患により死亡しており、全死亡件数の3割に当たる。その内の85%は「アテローム性動脈硬化症」による心臓発作だった。しかし人類と遺伝子的に近縁関係にあるチンパンジーでは、心臓発作は非常にまれな病気である。
 長い間、なぜ人にだけ心臓病がよく見られるのか分かっていなかった。研究グループによると、およそ200万~300万年前に人類の祖先が進化上、ある遺伝子を失っていたことが原因だと判明した。その遺伝子が「CMAH」である。
 筑波大学の川西邦夫助教らの研究グループは、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校で行なった研究において、ヒトが進化の過程で失った遺伝子CMAHが、動脈硬化の原因となる可能性を発見した。
 哺乳類の細胞表面を覆う糖鎖の末端に位置するシアル酸にはNeu5AcとNeu5Gcがあり、「CMP-Neu5Ac水酸化酵素(CMAH)」がNeu5AcをNeu5Gcに変換する。ヒト以外のほぼ全ての哺乳類がCMAHを持ち、Neu5Gcを含む糖鎖を合成している。ヒトは200万~300年前にCMAHの機能を失ったとされ、Neu5Gcを合成できない。微生物の多くが、細胞の糖鎖末端に位置するシアル酸を認識して宿主に感染する。Neu5Gcがないことでヒトが他の哺乳動物と共存しても、人畜共通の感染症にかかりにくいとされる。
 研究グループは、ヒト同様にNeu5Gcを合成できないCMAH欠損マウスは、野生型マウスよりも進行した動脈硬化病変を形成することを発見した。さまざまな分析・研究により、赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉など)の過剰摂取は心臓血管病や大腸癌のリスク因子と分かっている。ヒトは抗Neu5Gc抗体を持ち、赤身肉はNeu5Gcを多く含む。そこで、CMAH欠損マウスに抗Neu5Gc抗体を惹起させ、Neu5Gcを含む食事を与えたところ、他の実験条件と比べて動脈硬化が悪化することが分かった。
 これにより、ヒトでの赤身肉摂取によるNeu5Gcの蓄積と、抗Neu5Gc抗体による微小炎症が動脈硬化進展に関与する可能性が示唆された。今後、動脈硬化や大腸がんなどに対する新たな予防法や治療戦略への発展が期待される。
 因みに、CMAH遺伝子が欠如しているのは悪いことばかりではない。例えば、人類が長距離走行に長けているのはCMAH遺伝子の欠如のおかげだ、とバーキ教授は説明している。

 早朝は小雨。日の出の頃から曇り、時々小雨、時々晴れ。
 空地で、”ナツズイセン”が咲いている。雑草も一緒に茂っている。花は、”ユリ”に似て、茎の上部に数本纏まっている。
 名(ナツズイセン:夏水仙)の由来は、葉・球根が水仙(すいせん)似で、夏に花が咲くからと言う。でもこの花はユリ科ではなく、ヒガンバナ科なので、花期には葉がない。この様な花茎と花だけの姿から、”裸百合(はだかゆり)”とも呼ばれる。”リコリス:Lycoris”とも呼ばれるが、リコリスは学名の”Lycoris(ヒガンバナ属)”なので、彼岸花・狐の剃刀・夏水仙などの総称でもある。
 ナツズイセン(夏水仙)
 別名:裸百合(はだかゆり)、リコリス
 学名:Lycoris squamigera
 ヒガンバナ科ヒガンバナ属
 多年草(球根植物)
 古い時代に中国から原種が渡来した
 開花時期は8月、1ヵ月ほど後に”ヒガンバナ”が咲く
 春にスイセンに似た葉を出し、夏に枯れる
 葉が枯れると花茎が伸び、ユリ様の花を数個つける
 花色は淡紅紫色


膵臓癌の悪性度進展と癌免疫回避に関する分子メカニズムを解明

2019-08-22 | 医学
 北海道大学大学院医学研究院分子生物学教室の佐邊壽孝教授、消化器外科学教室Ⅱの平野聡教授らの研究グループは、膵臓癌(膵癌)の悪性度進展と癌免疫回避に関する分子メカニズムの解明に成功した(8月13日発表)。現在、癌免疫療法は大きな脚光を浴びているが、その適用範囲や効果はまだまだ限定的である。今回の研究成果は、膵癌だけでなく、多くの癌に対する免疫治療改善に大きく貢献する分子的基盤を示している。
 膵がんは、見つかった時点ではすでに局所浸潤や転移を起こしていることが多く、抗がん剤抵抗性も高く予後不良で、5年生存率は10%以下の難治性がんとされる。膵がんの多くは膵管上皮に由来し、これまでの動物実験から膵がんのドライバー遺伝子KRAS変異とTP53変異とによって膵管がんの浸潤転移が起こると示唆されるが、その分子実態は明らかにはなっていない。
 研究グループはこれまでに、タンパク質ARF6を基軸とする経路(ARF6-AMAP1)が乳がんなどさまざまながんにおいて悪性度進展に関与していることを見出している。さらに、乳がんにおいて、TP53 変異がメバロン酸代謝経路を介してARF6-AMAP1 経路を活性化し、これにより乳がんの悪性度進展に関与していることを見出している。
 今回の研究では、ARF6-AMAP1経路がKRAS変異とTP53変異を有する膵がんの悪性度にも関与していると考え、その仮説の検証とメカニズムの解明を行った。
 研究ではまず、ヒト膵がん細胞株および膵がんモデルマウス由来の細胞を用いて、ARF6-AMAP1 経路因子の発現および浸潤転移性の解析、ヒト膵がん組織を用いた組織染色による予後との関連について解析を行った。また、ヒト膵がん細胞株 MIAPaCa-2を用いたショ糖密度勾配遠心法による分画を用いたin vitroトランスレーションによるタンパク質翻訳の評価と、TCGA(The Cancer Genome Atlas)と RNA-seq.解析による ARF6 発現に関わる転写因子の同定を行った。さらに、MIAPaCa-2 細胞を用いて IFN刺激を行い免疫チェックポイント分子PD-L1の発現を誘導し、PD-L1の細胞内動態およびリサイクリングを解析した。動物実験では、膵がんモデルマウス由来の膵がん細胞をマウスの皮下に移植し、腫瘍増殖能を解析することにより免疫回避との関連について調べた。
 結果、ヒト膵がん細胞株および膵がんモデルマウス由来の細胞においてARF6-AMAP1 経路因子が高発現し、浸潤転移性等、膵がんの悪性度に関与していることを確認。病理標本解析からも、ARF6-AMAP1経路因子群の高発現により膵がん悪性予後因子となるとわかった。また、ARF6-AMAP1 経路因子と膵がんの悪性度に関する分子メカニズムを解析した結果、KRAS 変異と TP53 変異が協調してARF6-AMAP1経路の発現を高くさせ活性化することを見出した。その際、KRAS変異は翻訳開始因子eIF4Aが依存的にARF6の発現に関与していること、翻訳開始因子eIF4Eが依存的にAMAP1の発現に関与していることも判明。さらに、膵がんにおいてもTP53 変異はメバロン酸代謝経路を介してARF6経路を活性化すること、免疫逃避に関わる免疫チェックポイント分子PD-L1動態にもARF6経路の活性化が深く関与していることを明らかにした。
 今回の研究により、KRASとTP53の変異が同時に起こることががんの免疫回避に大きく関与することと、ARF6経路の活性化には特定の代謝活性が必須であることが明らかとなった。また、この代謝経路をはじめ、いくつかの異なった分子標的の阻害により、がん細胞の免疫回避能を著しく低下させることが可能であることも実験的に立証された。
 「今回の研究成果は、ARF6-AMAP1経路が膵がんの免疫チェックポイント阻害による治療法のバイオマーカーになる可能性を示唆。膵がんだけでなく、多くのがんに対する免疫治療改善に大きく貢献するものだ」と、研究グループは述べている。
 ◆膵臓癌の生存率
 膵臓癌の初期の生存率(治療してから5年間の生存率)は40%程あるが、初期で発見できるケースは稀である。これはステージ1期の数値で、ステージ2期になると18%と急激に低下し、ステージ3だと6%、ステージ4では2%しかあない。つまり、完治できる確率となると2%未満ということになる。

 早朝は雨。日の出の頃には曇り空。今日の最高気温は26℃と過ごしやすい。今日だけかな。
 畑のお隣は空き地(未耕作地)。何本かの”ハツユキソウ(初雪草)”がを見る。葉に白い縁取り(覆輪:ふくりん、縁取る様に見える斑の一種)が入り、縁の白との対比が美しく、雪を被った様な姿で、花も小さい白花。この美しい斑入り葉から、涼しげな名の”ハツユキソウ(初雪草)”と呼ばれる。涼し気に見える、暑い夏への花かな。
 因みに、 切り花にする時、葉・茎の切口から出る乳白色の液(アルカロイド)に注意。皮膚に炎症を起こすことがある。
 ハツユキソウ(初雪草)
 別名:ユーフォルビア
   スノーオンザマウンテン(Snow on the mountain)
 学名:Euphorbia marginata
    ユーフォルビア・マルギナタ
 トウダイグサ科ユーフォルビア属
 一年草(非耐寒性)
   こぼれ種で毎年のように芽が出る
 原産地は北米
 丈は50cm~100cm
 開花時期:7月~10月
 花径は数mm、花色は白
 花より葉色(緑と白)を鑑賞する、葉が白くなるのは7月頃から
 クリスマスで人気の観葉植物ポインセチアもトウダイグサ科


国際生物学賞にナオミ・エレン・ピアス博士が受賞

2019-08-20 | 学問
 独立行政法人日本学術振興会は、8月2日に国際生物学賞委員会(委員長井村裕夫:日本学士院幹事)を開催し、第35回国際生物学賞の受賞者をハーバード大学生物体・進化生物学科ヘッセル教授ナオミ・エレン・ピアス博士に決定した。今回の授賞対象分野は「昆虫の生物学(Biology of Insects)」。授賞式は、11~12月頃に、東京・上野の日本学士院において行われる予定。
 氏名:ナオミ・エレン・ピアス博士((Dr. Naomi Ellen Pierce)
 生年月日:1954年10月19日
 国籍:米国
 現職:ハーバード大学 生物体・進化生物学科ヘッセル教授
 略歴
 1983年 ハーバード大学 生物学 (Ph.D.)
 1989年-1990年 プリンストン大学 生物学科 准教授
 1991年-現在 ハーバード大学生物体・進化生物学科ヘッセル教授、比較動物学博物館チョウ目主事
 授賞理由
 ハーバード大学の生物体・進化生物学科教授で比較動物学博物館主事でもあるナオミ・ピアス博士は、現代昆虫学の最高権威のひとりである。ピアス博士の研究のメインテーマは昆虫と他生物の間の共生関係である。ピアス博士の研究は、シジミチョウとアリの共生関係に関する行動生態学が出発点であった。アリがシジミチョウ幼虫を寄生蜂などの攻撃から守り、チョウはその報酬として甘い蜜をアリに与えるのだが、たとえば蜜を分泌するチョウが成虫になると痩せてしまうなど、この共生行動にはコストが伴うことを野外実験で初めて厳密に明らかにした。これを皮切りに、昆虫が示す共生関係一般へと視野を広げ、現在の研究テーマは、共進化、相互適応、適応放散、寄生と防御反応と多岐にわたる。博士はまず、基本情報である共生の「登場人物」たるチョウとアリ、そしてやはり奇妙な送粉共生を示すランとハナバチの分子系統樹を構築した。これらのいわば「屋台骨」となる情報と生態情報を組み合わせた現代的比較法により、ピアス博士らは次々と新学説を提唱した。たとえば、ランとハナバチの共生関係は、以前に考えられていたよりも起源が古いこと、アリとシジミチョウの共生では相利性から寄生性が繰り返し進化したこと、アリの多様化には腸内共生菌が関与していることなどである。また機能的な側面からは、植物が病原微生物と食植性昆虫という二大天敵に対して示す防衛反応に関係するシグナリング経路やトレードオフに関する分子生物学的研究も行った。
 先端科学研究では、進展とともに研究対象を深く掘り下げる方向に進むのが常である。結果として材料生物も一種に絞り込まれることが多い。しかし、ピアス博士は逆に、研究対象生物を常に広げ続ける博物学的なアプローチをとっており、これは特筆に値する。ハーバード大学での指導では、常に新たな生物を対象にした新しい研究テーマを最先端技術を取り入れながら提示し続けてきた。ピアス博士は卓越した教育者でもあることから、博士の指導や助言を入り口に、多数の研究室出身者が、今では各々の対象生物と研究分野の権威として、世界中で活躍し研究を深めている。
 このように広くかつ深い研究分野の開拓者であるピアス博士の業績は高く評価され、今回の授賞対象分野が陸上環境で最も多様化した動物である昆虫に関する科学であるという点からも、国際生物学賞を授賞するに相応しいと結論づけた。
 ◆国際生物学賞
 国際生物学賞は、昭和天皇の御在位60年と長年にわたる生物学の御研究を記念するとともに、本賞の発展に寄与されている今上上皇の長年にわたる魚類分類学(ハゼ類)の御研究を併せて記念し、生物学の奨励を目的とした賞である。
 本賞は昭和60年(1985年)に創設され、以後毎年1回、生物学の授賞分野を選定の上、当該分野の研究において優れた業績を挙げ、世界の学術の進歩に大きな貢献をした研究者(原則として毎年1人)を選考して授賞している。
 受賞者には、賞状・賞牌及び賞金1千万円が贈られ、例年天皇陛下から賜品を賜っている。

 今日は朝から雨。15時頃から小止み。最高気温25℃程と今日は涼しい。
 畑に植えた”オクラ”。花が咲き、実が取れ出した。花は淡い黄色にワインレッドの咽部をもつ花で、花後に直立する角状の莢を付ける。花はすぐに萎む1日花。
 品種には、実の切り口が五角形になる品種や丸い品種などがある。食用とするオクラは若い莢で、開花から1週間から10日、長さ10~15cm位が収穫どきである。
 オクラの種類
  角オクラ:多くは莢の断面が五角形の”五角オクラ”で、六角形や八角形などもある。
     大きく成長しすぎると角が硬く食感が悪くなる。収穫は長さ10cm程。
  丸オクラ:莢に角のない(実の断面は丸型)のオクラを「丸オクラ」や「島オクラ」と呼ぶ。
     角オクラと比べ、多少収穫が遅れても硬くなり難い。収穫は15cm~20cm程で。
  赤オクラ:莢が鮮やかな紫紅色のオクラ。彩のアクセントになるサラダで食べるのがおすすめ。
  花オクラ:花が大きく、花びらが食用。花には実と同じように粘りがあり、生のままでサラダ、天麩羅などで食べる。
 オクラ(秋葵)
 別名:陸蓮根(おかれんこん)、アメリカネリ
 英名:okra
 学名:Abelmoschus esculentus
 アオイ科トロロアオイ属
 日本では一年草(熱帯では多年草)
 原産地はアフリカ北東部(エチオピアが有力)
 エジプトでは、紀元前200年頃には栽培されていたと言う
 日本には中国を経て江戸時代の終わりに渡来
   本格的に普及したのは昭和40年頃
 開花時期(収穫時期)は7月~10月


国立がん研究センターが公表、がん全体の5年生存率は約66%

2019-08-19 | 健康・病気
 国立がん研究センターは、5年生存率について全国の「がん診療連携拠点病院」のうち277施設で診察を受けた患者約56万8000人を詳しく分析し、がん以外の死因のケースを取り除いた「相対生存率」を算出した。その結果、2009~2010年に部位を問わずがんと診断された患者の5年後の生存率は66.1%で、2008~2009年を対象とした結果より0.3ポイント向上した(8月9日公表)。
 最新のがん5年生存率は前立腺が約99%と100%に近い一方、膵臓(すいぞう)は10%未満で大きな差が出た。がん全体では約66%で前回の生存率(65.8%)と比べてわずかながら向上した。生存率は着実に向上しているが、膵臓がんをはじめとする難治性がん対策の重要性が改めて浮かび上がった
 進行度別生存率ではこれまでの分析同様、早期の「1期」に比べて他部位に転移した「4期」が際立って低く、早期発見、早期治療の重要性が今回のデータでも明確に示された。
 国立がん研究センターはまた、2012年にがん診療連携拠点病院のうち286施設でがんと診断された患者の3年生存率も調べた。その結果はがん全体で72.1%だった。前回11年のデータを対象にした結果より0.8ポイント向上していた。3年生存率でも部位別では膵臓が16.9%、胆のうが33.4%で難治性がんが際立って低かった。
 部位別のがん5年生存率では、前立腺が98.6%、乳がんが92.5%と90%を超えた。このほか子宮体が82.1%、子宮頸(けい)が75.3%、大腸が72.9%、胃が71.6%で70%を超えた。この一方で膵臓は9.6%と際立って低く、肺の40.6%、肝臓の40.0%も低かった。

 早朝は霧雨かな。日の出の頃には晴れた。最高気温が30℃位、今日も暑い。
 道沿いの空き地に”エノコログサ”や”アキノエノコログサ”などが生い茂り、花穂が風に揺れている。両者ともネコジャラシ(猫じゃらし)と呼ばれるが、”アキノエノコログサ”の花穂は”エノコログサ”より全体に大きくて垂れ下がる様にわん曲している。”エノコログサ”の花穂はほぼ直立。
 アキノエノコログサ(秋狗尾草)
 別名:猫じゃらし(ネコジャラシ)
 イネ科エノコログサ属
 一年草
 (一般的に見られる夏の強害雑草)
 開花時期は8月~11月
  (主に、エノコログサは7・8月頃、アキノエノコログサは9・10月頃)
 花序は円柱形、一面に花が付く
 多数の毛が突き出すので、外見はブラシ状


モンゴル・ゴビ砂漠で恐竜類の集団営巣跡、恐竜は集団で巣を守る

2019-08-18 | 歴史・考古
 筑波大学生命環境系田中康平助教、北海道大学総合博物館小林快次教授、兵庫県立人と自然の博物館久保田克博研究員らの国際研究チームは、モンゴル・ゴビ砂漠東部で恐竜類の集団営巣跡を発見し、獣脚類恐竜の集団での巣作り行動を推定することに成功した。研究チームにはカナダや韓国・モンゴルの研究者も参加した。研究論文は7月5日付で国際科学誌「Geology」に掲載。
 田中助教らは、2011年~2018年の間、計5回にわたってゴビ砂漠の東部にあり、推定8600万~7200万年前のジャブラント層と呼ばれる白亜期後期の地層を発掘調査した。その結果、同一種類とみられる恐竜の集団営巣の跡を見つけた。巣の化石は約300m2の範囲に15個あり、直径約13cmの卵の化石がそれぞれの巣に3~30個確認できた。恐竜の種類は卵殻の構造などからテリジノサウルス類と推定された。
 また、15個の巣のうち9個の巣でひなが殻を割って出た穴がみつかり、卵がふ化した形跡と断定された。巣の配置や卵の化石の状態などから、テリジノサウルス類の親は集団で巣づくりをしていたと推定される。巣全体の中で少なくとも1つの卵がふ化した巣の割合は「営巣成功率」と呼ばれるが、調査結果から営巣成功率は推定60%。こうした高い営巣成功率は、巣を保護する現在のワニ類や鳥類にも見られるが、テリジノサウルス類の親も巣のそばにいて巣を守る行動をしていたようだ。
 テリジノサウルス類は獣脚類恐竜で、体長2~10m。馬のような頭に長い首と大きな胴と前肢にかまのような爪を持ち、鳥類の古い先祖と考えられている。絶滅した恐竜は、鳥類と異なって親が巣の中で卵をふ化させる「抱卵(ほうらん)」をしなかったとみられているが、集団で営巣する際に巣を守っていたのか不明だった。
 今回の研究成果は、現在の鳥類に見られる集団営巣時の親の行動が、抱卵しない恐竜類にまでさかのぼることを示している。研究グループは、恐竜が鳥類に進化する過程でまず集団での子育てのための保護行動をして、その後に抱卵行動をするようになったとみている。今後の研究により、恐竜から鳥類に進化する過程で生態や行動がどのように変わっていったか解明できると期待される。
 ◆テリジノサウルス類
 テリジノサウルス(Therizinosaurus)は、中生代白亜紀後期 (約7,000万年前)にモンゴルに生息していた恐竜の一種。名前は「刈り取りをする爬虫類」を意味し、前肢の巨大なツメを“刈り取り用の大鎌”に見立てた命名である。
 因みに種小名のcheloniformisは「カメのような姿の」と言う意味で、後述の前脚化石と共に幅広の肋骨化石が見つかり、カメのような姿に復元された事に由来する。推定全長8~11m。「テリズィノサウルス」、「ティリジノサウルス」とも呼ばれる。

 今日は朝から晴れ。雲が少ない、快晴だ。気温は最高気温33℃、今日も暑い。
 近くの園芸店に行ったら、道路向いのお家の庭に赤い果実が沢山生っている。”ヒメリンゴ”の果実だ。果実だけでなく、数輪花が咲いている。果実は小さなリンゴ似(径1cm~2cm位)で、赤・黄色となるのは秋、・・でもこの木の果実は赤い。
 ”ヒメリンゴ”の祖には諸説がある。説:中国原産の犬林檎(いぬりんご)の別名、説:犬林檎と蝦夷の小林檎(えぞのこりんご)の雑種などがある。
 ヒメリンゴ(姫林檎)
 別名:犬林檎(いぬりんご)、実海棠(みかいどう)
 学名:Malus × cerasifera
 バラ科リンゴ属
 耐寒性落葉小高木
 開花時期は4月~5月(桜より遅れる)
 花は5弁花、花色は最初薄桃で満開時に白色となる
 果実は小さなリンゴ似(径1cm~2cm位)で、秋に赤・黄色となる
 果実の観賞期は10月~11月


活性酸素種を生じる光合成とDNA複製は時間分業で対立を回避する

2019-08-17 | 科学・技術
 光合成は約30億年前にシアノバクテリアにおいて誕生し、その後シアノバクテリアが真核細胞内に共生して葉緑体となることで真核細胞に導入され種々の藻類と植物が進化した。さらに単細胞の真核藻類が様々な系統の真核細胞内に共生することで光合成は真核生物の複数の系統に広がった。
 光合成は地球上の生命の生育を支える一方で、高濃度の活性酸素種を生じ、DNA・タンパク質・脂質などを損傷する。陸上植物においては、細胞増殖は茎頂および根端等の光合成を行わない分裂組織に限定され、「危険な光合成」と「DNAを安全に複製すべき細胞増殖と次世代個体の創出」は場所(組織)によって分業されている。一方で、陸上植物よりも先に地球上に出現し、陸上植物の祖先でもある単細胞藻類では、同一細胞が光合成を行い分裂増殖するが、光合成の危険性にどの様に対処しながら増殖しているかは不明であった。
 国立遺伝学研究所の宮城島教授・恵良元研究員らと神戸大学の蓮沼教授・近藤教授らの共同研究グループは、単細胞紅藻を用いた解析を行い以下のことを明らかにした。
 (1)葉緑体の光合成とミトコンドリアの呼吸(光合成ほどでは無いがこちらも活性酸素種を生じる)活性が朝方最大となり夕方に向けて低下する。
 (2)光合成・呼吸に比べるとエネルギー変換効率が低い解糖・発酵系が夕方から夜に活性化される。
 (3)核のDNA複製と細胞分裂は夜間におこる。
 (4)夜間の細胞に光を当てて光合成を行わせるとDNAの損傷頻度が高くなる。
 以上の結果、活性酸素種を生じる光合成と、葉緑体と同様にバクテリアの細胞内共生によって誕生したミトコンドリアにおける呼吸活性が低下する夕方から夜間にDNA複製を行うことで「安全な」細胞増殖が行われていることが明らかとなった。同様の結果は葉緑体成立後間もなく紅藻と分岐した緑藻でも見られた。
 つまり宿主であると真核細胞と共生体である葉緑体・ミトコンドリアの時間分業により、お互いの対立が回避されることで光合成真核細胞が成立したと考えられる。

 今日の天気は曇り~晴れ。気温は、最高気温34℃とか。
 公園の片隅にある小さな花壇。お花だけでなく雑草も多い。お花は、明るい橙色が見事な”キバナコスモス”。
 ”キバナコスモス”は夏頃から咲き出す、秋がじきやってくる予告なのかな。”コスモス”は秋桜(アキザクラ)とも言い、秋の花なのだ。
 名(キバナコスモス)の由来は、コスモスの仲間で黄色の花が咲くから。
 キバナコスモス(黄花秋桜)
 別名:黄花秋桜(きばなあきざくら)、イエローコスモス(yellow cosmos)
 キク科コスモス属
 多年草(一年草)
  生育には最低でも10℃の気温が必要、日本では一年草として扱われる
 メキシコ原産の園芸植物
 大正時代の初めにヨーロッパから輸入され、普及は1960年代後半から
 開花期は主に7月~10月
 花色は黄色・橙色
 1960年代後半に赤色の品種”サンセット”が日本で作出されてから急速に普及


植物の光合成・成長に働く気孔が環境情報を細胞レベルで記憶している

2019-08-16 | 科学・技術
 明治大学農学部藤茂雄助教(元名古屋大学大学院理学研究科)、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の 木下 俊則 教授、大学院理学研究科青木沙也大学院生(当時)、WPI-ITbMの中道範人特任准教授、大学院理学研究科の林優紀研究員、横浜市立大学木原生物学研究所の辻寛之准教授らの研究チームは、「植物の気孔が日の長さを記憶し、それに応じて気孔の開き具合を調節していることを発見した。」発見は、植物の光合成や成長に重要な働きをする気孔が、環境情報を細胞レベルで記憶していることを示すものであり、その仕組みの解明に繋がる分子メカニズムが明らかとなった。本研究成果は、英国際誌”Scientific Reports”に2019年7月22日19時(日本時間)公開。
 気孔は一対の孔辺細胞により構成される植物の表皮にある穴で、太陽光に応答して開き、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや、水と酸素の放出など、植物体の通気口として働いている。これまでの研究で、日の長さに依存して花芽形成を誘導する因子(光周性因子)が、孔辺細胞において光による気孔開口を促進する働きを持つことが明らかとなっていた。
 今回研究チームは、日の短い環境で育てた植物よりも、日の長い環境で育てた植物では、光周性因子の働きにより、気孔が大きく開くこと、さらに興味深いことに、日の長い環境から日の短い環境に植物を移動しても、少なくとも1週間は気孔が大きく開く効果が持続することを発見した。さらなる解析の結果、遺伝子の発現制御に重要な働きをもつタンパク質であるヒストンの修飾状態が日の長さと関連していることがわかった。
 今回の発見は、植物の光合成や成長に重要な働きをする気孔が、環境情報を細胞レベルで記憶していることを示すものであり、その仕組みの解明に繋がる分子メカニズムが明らかとなってきた。

 朝は曇り、10頃から小雨、夕方には雨が少し強くなる。最高気温は29℃で、湿度が高いので、今日も暑い。
 雑草が茂る小道。”キンミズヒキ”に黄色の小さな花が咲いている。花は細長い細茎に沿って黄色の小さな五弁花である。茎の上半分は花が付き、根本の下半分には実が沢山付いている。この果実の表面には鍵形の棘があり、小動物や衣類などに付着するので、ヒッツキグサ(引っ付き草)と呼ばれる。
 名(キンミズヒキ:金水引)の由来は、草姿がミズヒキ(水引、タデ科タデ属)似ており、花の様子が黄金色の金糸に見えるからと言う。・・余り似てない・・。
 因みに、全草が漢方薬として使われる。夏から初秋の開花期に全草を掘り採る。生薬名は龍牙草(りゅうげそう)・仙鶴草(せんかくそう)と言う。
 キンミズヒキ(金水引)
 別名:龍牙草(りゅうげそう)、仙鶴草(せんかくそう)
    引っ付き草
 英名:Hairy Agrimony
 バラ科キンミズヒキ属
 多年草
 原産地はアジア、日本など
 開花時期は7月~10月
 花は径数mm~10mm程、黄色の5弁花で細長い花穂に沢山付く
 花後に果実ができる・・・引っ付き草
 果実は宿存咢の内側にでき、咢の縁には内側に曲がった刺毛があり、この刺毛が衣類などに附着する


国際地理五輪、日本代表の高校生がメダル銅1を獲得

2019-08-15 | 学問
 文部科学省と国際地理オリンピック日本委員会が、「日本代表の高校生1人が銅メダルを獲得した。」と発表した。
 世界の高校生が地理の力を競う第16回国際地理オリンピックが、2019年7月30日から8月5日まで香港で開催された。世界44ヵ国・地域の166人が参加した。
 日本代表は、国内大会の成績優秀者から4人が選抜された。このうち、中尾俊介君(京都・洛星高校3年)が銅メダルを獲得した。中尾君は昨年の同大会にも出場している。
 日本からはほかに、飯田菜未さん(茨城県立土浦第一高校3年)、植山隆斗君(東京・早稲田高校3年)、高野広海君(千葉・渋谷教育学園幕張高校3年)が参加した。
 国際地理オリンピックの試験は、マルチメディア試験、記述式試験、フィールドワーク試験の3つからなる。試験はいずれも英語での出題、解答である。
 メダルは上位12分の1に金メダルが、続く12分の2に銀メダルが、続く12分の3に銅メダルが与えられる。国ごとのチームで取り組むポスター発表もある。
 ◆過去の国際地理オリンピックにおける日本代表の成績
 2016年(第13回中国・北京大会)
銀メダル2名、銅メダル1名(参加規模:44ヵ国・地域、172名)
ポスターセッションにおいて参加44 か国・地域の中で上位4 か国に与えられる優秀賞を獲得
 2017年(第14回セルビア・ベオグラード大会)
銀メダル1名、銅メダル1名(参加規模:41ヵ国・地域、160名)
ポスターセッションにおいて第1位を獲得。
 2018年(第15回カナダ・ケベック大会)
   メダル獲得なし(参加規模:43ヵ国・地域、167名)

 朝は小雨、次第に晴れ、お日様が出る。風がとても強い。湿度が高いし最高気温が33℃なので、兎に角暑い。
 お庭で見つけた、”ハナトラノオ”の花、咲き出した。茎先に長い円錐状の花序で花・蕾が沢山付いている。
 花穂の形が虎の尾に似ているのを”トラノオ”と呼ぶ。花が美しいのを ”ハナトラノオ(花虎の尾)”と言う。
 名が”○○トラノオ(○○虎の尾)”の花には、科が違うのに結構似た形がある。蓼(たで)科の伊吹(いぶき)虎ノ尾・春(はる)虎ノ尾 、桜草(さくらそう)科の岡(おか)虎ノ尾 、ゴマノハグサ科の瑠璃(るり)虎ノ尾などである。
 ”ハナトラノオ(花虎の尾)”の花は長さ3cm程の唇形で、角の4隅4列に花列となり花穂を咲き上がっていく。別名で”カクトラノオ(角虎の尾)”と呼ばれるが、これは茎の断面が四角形(4隅に花列)だから。因みに、花言葉は達成。
 ハナトラノオ(花虎の尾)
 別名:角虎ノ尾(かくとらのお)、フィソステギア(学名から)
 学名:Physostegia virginiana
 シソ科ハナトラノオ属
 宿根草
 北米東部原産、大正時代に渡来
 開花時期は7月~9月
 花は長さ3cm程の唇形の花。これが4列となっており、花穂が咲き上がる
 花色は桃紫色~白色