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■井越有紀個展 ある、あった (2013年10月1~14日、札幌)

2013年10月14日 08時32分39秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 テキストは後ほど。
 会期中、会場で公開制作し、昨夜(10月13日)完成したとのことです。



(以下追記)

 ひらたく言うと、期間中に作ったインスタレーション。天井からつり下げてあった糸の玉が、すこしずつ小さくなっていきました。
 この糸と、青いストッキングの布をあわせて、少しずつつなげていったもの。
 遠くから見ると、白い漏斗型ですが、近づいて見ると、青っぽい布が視界いっぱいに広がり、圧巻です。
 糸や布の濃淡が、ネットワークの暗喩のようでもあります。




 飲食席の上の天井にも作品が設置されています。
 丸い小さな玉の中に、ふいに胎児のようなものがあります。

 さらに、カウンター席の奥(次の画像)など、意外な場所にもさりげなく作品が配置されています。

 作者の井越さんは、東京の美大でファッションデザインについて学び(小池寿子教授の教室だったそうです)、その後は「KIJUMISKA」という名義のユニットで人形を作っていました。
 2008年に札幌市資料館で開いたkijumiskaの展覧会は、なんだか人間の悪意を見透かしたような不気味なものを感じさせる展示だったことを記憶しています。
 ことし、札幌に帰ってきたとのことです。

 彼女は、自分という意識を持った存在が、自分の殻、自分の枠を出て行けないことについて語っていました。
 しかし最近、ようやくそれを超えられるのではないかという希望がきざしてきたのだとも話していました。
「希望についてやみくもに語りたい、そんな気分なんです」




 むろん、自立した自我というのを、普遍的な存在と考えることじたいが近代のフィクションなのであって、「家」や「氏族」や「村落共同体」から離れた「自分」というものが措定されるようになって、長くて500年、短くて150年程度にすぎない。
 もちろん、そのフィクションのうえに、法や経済といった近代の制度が成立しているのであるが…。

 ニーチェのいうように、わたしたちは全き孤独には耐えられない。
 「個」と「共同」をどのように止揚していくかは、近代人にとって大きな課題であろう。



 筆者のごく個人的な印象では、大型のインスタレーションを見たとき、「新世紀エヴァンゲリオン」の映画版で、弐号機を「ヨリシロ」にしようと空から飛来したエヴァのことを思い出した。
 そして、井越さんの話を聞いていると、エヴァの「人類補完計画」を想起してしまった。
 なんだか、的外れなことを言っているようでごめんなさい。

 会場に置かれていたポートフォリオを見ていたら、シモーヌ・ヴェイユの「重力と恩寵」の一節が引かれていた。
 


(まとまりのない文章のまま終わってしまってすみません)

2013年10月1日~14日(月)午前10:30~午後10時(日曜~8時)、会期中無休
トオンカフェ(札幌市中央区南9西3)


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