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(承前)
HOKKAIDO ART AND CRAFTS EXHIBITION VOL.37
APR 21-25,2010
at Sapporo citizen gallery
ここで、例年やっていることだけど、おびただしい部門のある「美工展」なので、部門別の出品数をみてみる。
「染色」が13点で、昨年に続きトップ。
次いで、陶芸11点、押花9点、織と組紐が8点、金工6点、籐と和紙絵が5点の順となっている。
木工と人形が減少気味なのがさびしい。
このほか、ガラス、刺繍、七宝、皮革、ペーパークラフト、ボビンレース、木彫、葉菜画の分野から出品があった。
今回、健闘を見せたのが組紐。
渡辺敦子さん(札幌)が新会員に推挙され、瓜生幸さんが佳作賞・新会友推挙となった。
冒頭の画像で、見えているのが瓜生さんの「芽吹き」。
帯の上に締めるにはずいぶん太いなあと思っていたら、これはカーテンをまくものであるようだ。緑色の諧調が印象的。
なお、画面の奥に見えている着物は、前木みのりさん(会員、札幌)「アドリア海遠望」。
欧洲の古い街並みが題材だが、こういう意匠は、ありそうであまり見ないと思う。
ベテラン会員の染色は、藍染が多い。
押花では、雑賀赫子さん(釧路)「黄華」が、晩秋の雰囲気をよく表現していて、美しい。
つぎの画像は、前田はるなさん(札幌)の陶芸。
いちばん高い位置にあるのが新人賞受賞作で「星を数える人」。
ほかに「ひだまり」「僕は天文学者になるんだ」も展示されており、1人で3点の展示は異例のことだと思う。
陶芸は、ほとんどが壺であり、人形は珍しい。
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会員で唯一壺でないのが、山谷智子さん(札幌)の「春暁」。
雪が解けて生命が芽吹き出すいまの季節から受けた感じを、釉薬をふきつけるなどして、表現している。
ほかに藤井由記子さん(札幌、会員)の「マレップの思い出」は、かきおとしだろうか? 表面の処理が目をひいた。
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奨励賞は会友の中から選ばれる。
ことしは、1年かかったという労作、長谷川東美子さん(千歳)の刺繍「「ひとり言」年輪のアッセンブル」と、永原智恵子さん(札幌)の織「みのりの畑」が選出された。
上の画像は、「みのりの畑」。2メートル四方の大作で、北海道の畑作地帯を色彩豊かに表現している。
刺繍では、会員・玉川佑子さん「会話とかげ」は、一見ラフなペン画タッチの絵を、刺繍で表現したたいへんな労作。
永原さん、渡辺敦子さんのほか、織の山内价子さん(札幌)、染色の新田千恵子さん(伊達)の計4人が新会員推挙となった。
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左は、一時期療養生活をおくっていた高木晶子さん(札幌)の皮革「再生の予感 II」。
シャープかつダイナミックな構図で、めりはりがきいている。
皮革は、会員の池田勝子さん(同)が亡くなり、今回遺作「アルハンブラの思い出」を出している。出品者は高木さんひとりになってしまった。
そのとなりには、フェルトを15色に染め分けた篠木正幸さん(江別)「Flower」。
右は、事務局長の羽賀隆さん(札幌)「陽だまり」。すっきりとまとめたデスク。
「パソコンを置くのにどうぞ」
と羽賀さんは話しておられました。
(この項続く)
2010年4月21日(水)-25日(日)10:00-6:00(最終日-4:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□美工展サイト http://www.geocities.jp/bikouten/
■第36回
■第35回
■第34回(画像なし)
■第33回
■第31回(画像なし)
■第30回(画像なし)
■第29回
■第28回(画像なし)
■第8回美工展会員展(2003年)
HOKKAIDO ART AND CRAFTS EXHIBITION VOL.37
APR 21-25,2010
at Sapporo citizen gallery
ここで、例年やっていることだけど、おびただしい部門のある「美工展」なので、部門別の出品数をみてみる。
「染色」が13点で、昨年に続きトップ。
次いで、陶芸11点、押花9点、織と組紐が8点、金工6点、籐と和紙絵が5点の順となっている。
木工と人形が減少気味なのがさびしい。
このほか、ガラス、刺繍、七宝、皮革、ペーパークラフト、ボビンレース、木彫、葉菜画の分野から出品があった。
今回、健闘を見せたのが組紐。
渡辺敦子さん(札幌)が新会員に推挙され、瓜生幸さんが佳作賞・新会友推挙となった。
冒頭の画像で、見えているのが瓜生さんの「芽吹き」。
帯の上に締めるにはずいぶん太いなあと思っていたら、これはカーテンをまくものであるようだ。緑色の諧調が印象的。
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欧洲の古い街並みが題材だが、こういう意匠は、ありそうであまり見ないと思う。
ベテラン会員の染色は、藍染が多い。
押花では、雑賀赫子さん(釧路)「黄華」が、晩秋の雰囲気をよく表現していて、美しい。
つぎの画像は、前田はるなさん(札幌)の陶芸。
いちばん高い位置にあるのが新人賞受賞作で「星を数える人」。
ほかに「ひだまり」「僕は天文学者になるんだ」も展示されており、1人で3点の展示は異例のことだと思う。
陶芸は、ほとんどが壺であり、人形は珍しい。
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会員で唯一壺でないのが、山谷智子さん(札幌)の「春暁」。
雪が解けて生命が芽吹き出すいまの季節から受けた感じを、釉薬をふきつけるなどして、表現している。
ほかに藤井由記子さん(札幌、会員)の「マレップの思い出」は、かきおとしだろうか? 表面の処理が目をひいた。
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奨励賞は会友の中から選ばれる。
ことしは、1年かかったという労作、長谷川東美子さん(千歳)の刺繍「「ひとり言」年輪のアッセンブル」と、永原智恵子さん(札幌)の織「みのりの畑」が選出された。
上の画像は、「みのりの畑」。2メートル四方の大作で、北海道の畑作地帯を色彩豊かに表現している。
刺繍では、会員・玉川佑子さん「会話とかげ」は、一見ラフなペン画タッチの絵を、刺繍で表現したたいへんな労作。
永原さん、渡辺敦子さんのほか、織の山内价子さん(札幌)、染色の新田千恵子さん(伊達)の計4人が新会員推挙となった。
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左は、一時期療養生活をおくっていた高木晶子さん(札幌)の皮革「再生の予感 II」。
シャープかつダイナミックな構図で、めりはりがきいている。
皮革は、会員の池田勝子さん(同)が亡くなり、今回遺作「アルハンブラの思い出」を出している。出品者は高木さんひとりになってしまった。
そのとなりには、フェルトを15色に染め分けた篠木正幸さん(江別)「Flower」。
右は、事務局長の羽賀隆さん(札幌)「陽だまり」。すっきりとまとめたデスク。
「パソコンを置くのにどうぞ」
と羽賀さんは話しておられました。
(この項続く)
2010年4月21日(水)-25日(日)10:00-6:00(最終日-4:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□美工展サイト http://www.geocities.jp/bikouten/
■第36回
■第35回
■第34回(画像なし)
■第33回
■第31回(画像なし)
■第30回(画像なし)
■第29回
■第28回(画像なし)
■第8回美工展会員展(2003年)
会員どうしで相互審査をすると、どんな惨状を呈するか、
想像するだに、お・そ・ろ・し・いです(笑)。
しかし、その弊害を解消するために会員どうしが相互審査を行った自由美術協会などでは、逆にいろいろ問題もあったと聞いております。
すぐ簡単に会員になれてしまうのも、はがさんのおっしゃった視点からして、どうかと思いますが、会員があまりに「狭き門」だとこんどは一般出品者が意欲を失ってしまいますし。
むつかしいですね。
もう一つ心に引っかかるのは、公募展を主催する団体自体の問題です。
他の団体のことを良く知っているわけではないので、私たち自身の北海道美術工芸協会についてお話しますが、ある種の身分制度のようなものがあります。
公募に応じて出品する「一般」の方、協会のメンバーである「会友」と「会員」の区別があり、
「一般」と「会友」が作品を審査される立場であるのに対し、「会員」には審査権と議決権があり、自身の作品を誰かに審査されることもありません。
つまり、ちょっと皮肉な言い方をすれば、会員になってしまえば、大変居心地が良いのです。
協会がどのような方向に向かっていくかは、議決権を持った会員の合意で決まるので、
会員それぞれの自覚と、高い志が必要ですが、自ら厳しく律するのは、言うは安く・・・です。
団体の行動はどうしても保守的になりがちなのです。
この話、なかなか終わらなくて、すいません。
http://blog.goo.ne.jp/h-art_2005/e/35555da35eb2f3a6bf80d19575f9f044
ひとつには、美術館が増えて、団体公募展や画廊の地位が相対的に低下したこと。
また、はがさんがおっしゃるとおり、画廊も増えて、個展やグループ展の開催が容易になり、団体公募展で発表しなくなる人が増えたこと。
さらに、団体公募展が分裂を重ねた結果、それぞれの見る価値が低下したという事情もあると思います。
これは全国規模の話で、道展や全道展、新道展はまた別ですね。
美工展さんは、規模があまり大きくないというのが、逆に特色のひとつになってるように思えます。
ところで、その後の記事では、団体公募展が新聞に(道新も含めて)取り上げられなくなっている、とのことですが、何故なのでしょうか?
個展やグループ展などで、個人が発信することが容易になっていて、その情報量が多い。団体公募展は、全体的な雰囲気としては年々の変化に乏しく、好奇心をくすぐらないとか、とりとめなく考えてみたのですが・・・
ほかの公募展にはない、決してハデではないけれどあたたかな雰囲気を、若い方も感じているのかもしれません。全員はムリかもしれませんが、若い応募者が来年以降も挑戦して、会に加わり、美工展の火を保ち続ければいいですね。
今後ともよろしくお願いします。