札幌の友野直実・渡邊慶子夫妻の尽力により毎年開かれており、今年でたしか12回目。
若手を中心に、道外の生きのいい作家の作品が見られるめったにない機会として、見逃せない展覧会だ。
ことしの出品者は、DMには、ご夫妻のほか、阿川理恵、石川丘子、石原誠、伊藤あずさ、小川了子、御囲章、鐘本幸穂、川田竜輔、菅祐子、熊崎阿樹子、洪昇恵、澤村佳代子、三瓶光夫、高木まどか、谷黒佐和子、富田恵、西岡久實、野本聖子、野沢ユリ、波磨悠子、林朝子、保坂洋平、堀田恵理、南敦子、森永春樹、山上晃葉、吉見律子、渡邊麻衣子の計30人の名前が印刷されている。
この手の展覧会で、全体的な傾向をあれこれ述べることは、たぶんほとんど意味がない。
だけど、そうしてみたい欲求にかられてしまう。
20世紀末から21世紀初頭のころ、この版画展は、もっと抽象的でとっつきにくい作品や、若いエネルギーのあふれる作品が多かったような記憶がある。
しかし、今回は、総じて見ると、具象が半数以上を占め、シュルレアリスム的な傾向はごく薄くなる一方で、平和でささやかな日常を肯定するような、脱力感というかおとなしい作品が多かったような気がするのだ。もちろん、そのことを、良いとか悪いとか決め付ける気はぜんぜんない。ただ、感覚の根っこが、「クウネル」とか「女子カメラ」、川内倫子なんかと、どっかでつながっているように思えてならない。
言い換えれば、野心とエネルギーと過剰さの欠落。
そんななかで、エネルギーをじっと内に秘めているような強さを感じるのが、渡邊慶子さんの作品だ。「Gray Pearl」と題された2点は、以前に比べると花のかたちがはっきりしているようだが、決して花そのものを描写するのではなく、生命そのもののはらむ根源的なものに迫っているように感じられる。
一方、ひそやかな世界を木版でつくってきた夫の友野さんは、今回「梅図」という、どこか和風の作品を出してきた。日本的な意匠ではあるが、単に浮世絵や琳派に回帰したわけではない。新しい展開だと思う。
ほかに、菅さんの「Gift」「polaris」は、背景が白く抜けているのがユニーク。
小川さんの「囁き」「囁くもの」には、作者の持つ情感みたいなものが感じられた。
林さんの2点は、グロテスクなイラストみたいで、これはこれで個性的だと思う。
2009年1月27日(火)-2月1日(日)10:30-18:30
さいとうギャラリー(中央区南1西3 ラ・ガレリア5階 地図B)
■第7回展(2004年)
■2003年
■2002年
■2001年
若手を中心に、道外の生きのいい作家の作品が見られるめったにない機会として、見逃せない展覧会だ。
ことしの出品者は、DMには、ご夫妻のほか、阿川理恵、石川丘子、石原誠、伊藤あずさ、小川了子、御囲章、鐘本幸穂、川田竜輔、菅祐子、熊崎阿樹子、洪昇恵、澤村佳代子、三瓶光夫、高木まどか、谷黒佐和子、富田恵、西岡久實、野本聖子、野沢ユリ、波磨悠子、林朝子、保坂洋平、堀田恵理、南敦子、森永春樹、山上晃葉、吉見律子、渡邊麻衣子の計30人の名前が印刷されている。
この手の展覧会で、全体的な傾向をあれこれ述べることは、たぶんほとんど意味がない。
だけど、そうしてみたい欲求にかられてしまう。
20世紀末から21世紀初頭のころ、この版画展は、もっと抽象的でとっつきにくい作品や、若いエネルギーのあふれる作品が多かったような記憶がある。
しかし、今回は、総じて見ると、具象が半数以上を占め、シュルレアリスム的な傾向はごく薄くなる一方で、平和でささやかな日常を肯定するような、脱力感というかおとなしい作品が多かったような気がするのだ。もちろん、そのことを、良いとか悪いとか決め付ける気はぜんぜんない。ただ、感覚の根っこが、「クウネル」とか「女子カメラ」、川内倫子なんかと、どっかでつながっているように思えてならない。
言い換えれば、野心とエネルギーと過剰さの欠落。
そんななかで、エネルギーをじっと内に秘めているような強さを感じるのが、渡邊慶子さんの作品だ。「Gray Pearl」と題された2点は、以前に比べると花のかたちがはっきりしているようだが、決して花そのものを描写するのではなく、生命そのもののはらむ根源的なものに迫っているように感じられる。
一方、ひそやかな世界を木版でつくってきた夫の友野さんは、今回「梅図」という、どこか和風の作品を出してきた。日本的な意匠ではあるが、単に浮世絵や琳派に回帰したわけではない。新しい展開だと思う。
ほかに、菅さんの「Gift」「polaris」は、背景が白く抜けているのがユニーク。
小川さんの「囁き」「囁くもの」には、作者の持つ情感みたいなものが感じられた。
林さんの2点は、グロテスクなイラストみたいで、これはこれで個性的だと思う。
2009年1月27日(火)-2月1日(日)10:30-18:30
さいとうギャラリー(中央区南1西3 ラ・ガレリア5階 地図B)
■第7回展(2004年)
■2003年
■2002年
■2001年