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佐佐木方斎(ほうさい)さんに初めて会った。
1990年代後半から札幌市内のギャラリーをまわり始めた筆者にとって、佐佐木さんは伝説的な存在だった。
ほとんど独力で発行していた隔月刊誌「美術ノート」のことは以前から知っていた。(若いみなさんは、会場にバックナンバーがそろっているので、それを読むためにも、個展に来てもらいたいと思います。80年代の熱気がわかります)
しかし、90年代に入り、佐佐木さんは長い沈黙に入っていた。
筆者が見た彼の作品は、非常に規則的な抽象画で、ミニマルアート的だった。
今回の個展では、規則的な排列という特徴は変わっていないとはいえ、塗りムラなどがあり、そこに現実的、というか、人間的なにおいのようなものが感じられる。
支持体は新建材とよばれるもので、廃棄物を再利用している。見た目はちょうど板チョコのよう。規則的に突起がならんでいる。ひとつのブロックにある突起は72個。そこに、さまざまな色の油絵の具を重ね塗りしている。
凹凸のある支持体で、インスタレーションふうに、床に直接ならべたり、壁に立てかけたりしているが、もともとは絵画作品だという感じを強く受ける。とくに、下の層の油絵の具が見えたりするところでは、そういう印象が強い。
作品の一部を拡大してみる。
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さらに拡大すると、微妙なマティエールがわかると思う。
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聞くと、これは90年代半ばの制作だという。
ただし、今後創作活動を再開する予定はないそうだ。
残念だけど、ふたたび機が熟するのを待つしかないだろう。
2009年4月7日(火)-17日(金)11:00-19:00、月曜休み
temporary space(北区北16西5 地図H)
■佐佐木方斎/版画展 抽象画家「格子群」(2006年)
・地下鉄南北線「北18条」駅から徒歩5分
・中央バス、ジェイアール北海道バス「北18西5」から徒歩3、4分(札幌駅北口発の「屯田線」のほか、小樽行き都市間高速バスの北大経由便でも可)