展覧会の正式名称は
アール・ブリュット/交差する魂 ローザンヌ アール・ブリュット・コレクションと日本のアウトサイダー・アート
です。
旭川での展示はもう終わりましたが、これから東京などに巡回します。
必見の展覧会だと思います。
さいわい、図録は一般書店でも入手できます。
さらに、光文社新書「アウトサイダー・アート」(服部正著)という、とてもわかりやすくてためになる本があり、格好の入門書です。
アール・ブリュット(生の芸術)の定義などについては、リンク先を参考にしてください。
ただ、会場で、どっかの人が海外の視察者に
「なまの芸術といわれています」
と説明している場面に遭遇し、ずっこけそうになりました。
これは
「きの芸術」
と読んでください。
筆者が行ったのは最終日ということもあって、けっこうな観覧者がいました。特別展示室がほとんどだれもいなかったのと対照的でした。
アウトサイダーアートの魅力というのは、既存の芸術のものさしでははかれないところにあると思います。
誤解のないように願いたいのですが、アウトサイダーアートの作者に精神を病む人が多いのは事実であるとしても、精神を病む人のアートがアウトサイダーアートというふうに定義づけられるわけではありません。そして、精神を病む人のアートがすべて魅力的だというわけでもありません。アウトサイダーアートのなかにも、おもしろい作品とつまらない作品があるようです。
この展覧会にはおもしろいアウトサイダーアートが集まっていました。
なかでも、すでに澁澤龍彦によって日本に紹介されていたアドルフ・ヴェルフリなどは
「おー、本物だ!」
という感じで、とても興味深く見ることができました。
筆者のごときオタクの目からすると、末岡秀則「電車」もすごいものがあります。
ものすごい細かさで電車の正面の顔をならべて描いています。いずれも、かなり縦に引き延ばされているのが、ふしぎなところです。
展示されていた8枚の紙にかかれていたのをかぞえたら、計3777輛!
しかも、少なくても筆者が見た限りではすべて電車と電気機関車でした。つまり、新幹線や「ライラック」はあっても、ディーゼルカーの「北斗」や「オホーツク」は描かれていないのです。
喜舎場盛也の漢字をびっしりと書いた作品もおどろきでした。
一般的な漢字にまじって中国の略体字もずいぶん含まれています。
意味を捨象してひたすら文字を何千個もつらねていく様子は、どんな書もかなわぬほどラジカルです。
青い色が美しいなあと思ったのは坂上チユキの「EDEN」。
前出の「アウトサイダーアート」によると、鉱石なども交えて描いているそうです。
図録に書かれた自筆の略歴がまたふるっています。たしかに、細胞単位でみると、わたしたちは5億9000万年前の生まれなのかもしれません。
(この項つづく)
2008年1月16日(水)-2月17日(日)
道立旭川美術館(旭川市常磐公園)
2月28日-5月11日 ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、旧吉田邸(滋賀)
5月24日-7月20日 松下電工汐留ミュージアム
アール・ブリュット/交差する魂 ローザンヌ アール・ブリュット・コレクションと日本のアウトサイダー・アート
です。
旭川での展示はもう終わりましたが、これから東京などに巡回します。
必見の展覧会だと思います。
さいわい、図録は一般書店でも入手できます。
さらに、光文社新書「アウトサイダー・アート」(服部正著)という、とてもわかりやすくてためになる本があり、格好の入門書です。
アール・ブリュット(生の芸術)の定義などについては、リンク先を参考にしてください。
ただ、会場で、どっかの人が海外の視察者に
「なまの芸術といわれています」
と説明している場面に遭遇し、ずっこけそうになりました。
これは
「きの芸術」
と読んでください。
筆者が行ったのは最終日ということもあって、けっこうな観覧者がいました。特別展示室がほとんどだれもいなかったのと対照的でした。
アウトサイダーアートの魅力というのは、既存の芸術のものさしでははかれないところにあると思います。
誤解のないように願いたいのですが、アウトサイダーアートの作者に精神を病む人が多いのは事実であるとしても、精神を病む人のアートがアウトサイダーアートというふうに定義づけられるわけではありません。そして、精神を病む人のアートがすべて魅力的だというわけでもありません。アウトサイダーアートのなかにも、おもしろい作品とつまらない作品があるようです。
この展覧会にはおもしろいアウトサイダーアートが集まっていました。
なかでも、すでに澁澤龍彦によって日本に紹介されていたアドルフ・ヴェルフリなどは
「おー、本物だ!」
という感じで、とても興味深く見ることができました。
筆者のごときオタクの目からすると、末岡秀則「電車」もすごいものがあります。
ものすごい細かさで電車の正面の顔をならべて描いています。いずれも、かなり縦に引き延ばされているのが、ふしぎなところです。
展示されていた8枚の紙にかかれていたのをかぞえたら、計3777輛!
しかも、少なくても筆者が見た限りではすべて電車と電気機関車でした。つまり、新幹線や「ライラック」はあっても、ディーゼルカーの「北斗」や「オホーツク」は描かれていないのです。
喜舎場盛也の漢字をびっしりと書いた作品もおどろきでした。
一般的な漢字にまじって中国の略体字もずいぶん含まれています。
意味を捨象してひたすら文字を何千個もつらねていく様子は、どんな書もかなわぬほどラジカルです。
青い色が美しいなあと思ったのは坂上チユキの「EDEN」。
前出の「アウトサイダーアート」によると、鉱石なども交えて描いているそうです。
図録に書かれた自筆の略歴がまたふるっています。たしかに、細胞単位でみると、わたしたちは5億9000万年前の生まれなのかもしれません。
(この項つづく)
2008年1月16日(水)-2月17日(日)
道立旭川美術館(旭川市常磐公園)
2月28日-5月11日 ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、旧吉田邸(滋賀)
5月24日-7月20日 松下電工汐留ミュージアム