北海道美術ネット別館

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■鈴木純子展-人と繊維と (2022年2月19日~3月27日、網走) 2022年2月26、27日釧路→川湯→網走(22)

2022年03月26日 07時44分48秒 | 展覧会の紹介-現代美術
(承前)

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ときて、4本目は(22)です。

 以前にも書きましたが、道内の美術館のなかでも網走市立美術館は、地元・道内ゆかりの美術家とか有名な大家とかではない、国内でふつうに活躍している作り手の個展をちょくちょく開きます。

 鈴木純子さんも網走や北海道には関係のないテキスタイル作家です。ただし、同美術館には以前「テキスタイルの未来形」というなかなか刺戟的なグループ展が巡回してきていて、鈴木さんもそこに出品していたようで、そのつながりで今回の個展になったのかもしれません。
 その他、2013年にはギャラリーカモカモ(札幌・真駒内)で展示するなど、道内でも何度か作品を発表しています。

 看板などに使われているのは「なめとこ山の熊」。
 これと似た作品に「Polar bear 21」があります。トウキビの繊維でつくったホッキョクグマの作品で、地球温暖化により絶滅の危機にあることを想起させます。

 また「Jackson Chameleon」など、新聞広告などにフィーチャーされている色鮮やかなカメレオンは、新聞を細いこより状にして編み上げた労作。
 使用済みのコーヒーフィルターを利用したものもあり、一般的なテキスタイルにくらべ幅広い素材を取り込んでいます。

 しかし個人的にいちばん心に残ったのは「Vacantly」(2009)などで、これは1700×2400ミリという大作。
 たしかにテキスタイルなのですが、遠目に見ると、モノクロ写真以外のなにものでもありません。
 左手に木々、中央に4、5人の群像、右側に斜面や飛行機を配置した構図は、詳細は分からないのですが、映画の一場面のようです。
 これは、布にシルクスクリーンで写真をプリントし、そのままだと「ぺたっと」してしまうので、緯糸だけすべてほどいて織り直すという技法だそうで、これまたたいへんな労作のようです。織り直しは「ほぐし絹」という伝統技法をベースにした鈴木さんのオリジナル手法だそうです。

 同様の技法を用いたものに「Vacantly gate」(2009)などがありました。


2022年2月19日(土)~3月27日(日)午前10時~午後4時、月曜休み
網走市立美術館 (網走市南6西1)

高校生以上200円、小中学生100円



・JR網走駅から約1.2キロ、徒歩16分
・網走バスターミナルから約330メートル、徒歩5分
(札幌・旭川発の特急列車、札幌発の都市間高速バス「ドリーミントオホーツク」号、いずれも終点です)

・網走駅から網走バスに乗り「西2丁目」降車、約120メートル、徒歩2分

駐車場はとなりの市民会館との共用。有料

(この項続く) 


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