札幌生まれ、京都在住の七里知子さん。
京都ではまだ個展を開いたことはありませんが、札幌では毎年のように、ギャラリーミヤシタで開いています。
実際の風景や情景をもとにしながら、描写にこだわることなく、半抽象的な独特の画面をつくっています。
冒頭の「Into the green 緑の深淵」「Into the green moss」「Into the green Frill」(左から)のうち、「Frill」は、ユリの花が逆さに揺れているかのように見えます。
ご本人にお聞きしたところ、雨に打たれてそっくりかえってしまった紫陽花の花を拡大して描いたものが元になっているそう。
もちろん、そういう元ネタがわからなくても、じゅうぶんに鑑賞できる作品です。
紫陽花の枝を見つめていると、枝であることがわからなくなって、その世界に入り込んでいってしまうような感覚が、こめられています。
中央の大きな絵は、岸辺に緑が覆いかぶさっている川の風景がもとになっています。それも、岩手県の川とのことです。
護岸工事がなされておらず、水面の上に枝や葉が伸びているような河川は、いろいろな思いを誘います。
会場にもありましたが、さいきん七里さんはメゾチント(銅版画の一種)に取り組み始めました。
それが油彩にも影響しているようで、これまでは淡い色が多かったのですが、「今まで使わない色を選ぶようになったりしています」と話していました。
無意識の世界を反映したような、茫漠とした色彩の世界。
深さと鮮やかさが増しているようでした。
2014年6月4日(水)~22日(日)正午~午後7時(最終日~午後5時)、月曜休み
ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20)
□tomoko-shichiri.main.jp
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