1階、3階あわせて64人という大規模な展覧会。
ひとくちでいうと、まさに「玉石混淆」。「え! 4年間の集積がこれだけ?」とおどろかされる人もあれば、きらりと光る作品もあった。
なにより、デザイン、油彩、映像、陶芸、写真、彫刻など分野が多彩なので、見ていて楽しい。
竹田しおり「守り人」
題は流政之ふうだけど、立像は(阿部典英+橘井裕)÷2という感じ。
でもさびた廃材をユーモラスにまとめ、高さ3メートルはあろうかという大きな彫刻にしたてた粘りは立派。
関根禎恵「I タヌッ小路」
写真をメーンにした小冊子。こういうのを作る人はたくさんいるけど、これほどきれいにまとめていて、しかも対象(狸小路)への愛情が感じられるものはめずらしい。
ところで関根さん、「花のおくむら」の2階って、1960年代は本屋さんだったんですよ。
ユ・ジワン「囁き」
写真。あえてオーバー気味の露光が、「今」の雰囲気を伝える。おしゃれ。
五十嵐琴美「灯」「塔」
陶芸。この分野で「透かし彫り」のような技法を本格的に追求している人は道内ではあまりいないので、おもしろい。
田辺琢久哉「車のある家 都心ver.」
筆者は建築デザインのパネルにはあまり興味が持てないのだけど、これは気に入った。ホンダのスーパーカー「NSX」オーナーのための家の提案で、室内どこからでも車体が見えるなど、まさにエンスー(熱狂的車好きの意味)のためのデザイン。ここまで徹底されると気持ちよいぐらいだ。
齋藤芳央「路地裏01」「路地裏02」
油彩。齋藤さんは一貫して、欧洲とおぼしき街路の夜をモティーフにしている。絵の具の使い方はまだこなれないが、暗い画面には或る精神性のようなものが感じられ、心に残る絵だと思う。
牧田貴典「夏のおもいで」(同題2点)
砂浜に転がるサンダルを極端にアップで描いた作品。小川原脩へのアンサーソング?
奥山二美枝・松本千歩「支笏湖ユースホステル改修案 -あの素晴らしい愛をもう一度-三角屋根に愛の手を」
田上義也の代表作でありながら老朽化が進んで放置状態にあるユースをよみがえらせようという熱い提言。
佐藤綾香「HITORI SHOW」
映画。高校時代、学校祭で「ひとり芝居」に目覚めたという若い女性が主人公で、見ているとぐいぐいひきこまれる。女性が「ひとり芝居」で、出生からこれまで歩んできた道を語っていく。人生コースはごく平凡なのだが、平凡だからこそ尊いのだと思わせるものがある。ドラマ映像の挿入の仕方も見事。ちょっとラストが分かりづらいのが惜しいけど、映像にみなぎる熱がそんな瑕疵(かし)をおぎなって余りある。
ともあれ、これほど「語るべき内容」を有してきちっと「語っている」実写の自主制作映画を見たのはひさしぶり。ブラボー、です。
08年2月9日(土)-17日(日)
北方圏学術情報センター ポルトギャラリー(中央区南1西22 地図D)
地下鉄東西線西18丁目駅から徒歩5分
ジェイアール北海道バス「北1西20」から徒歩4分
□公式サイト http://www.geime2008.com/
ひとくちでいうと、まさに「玉石混淆」。「え! 4年間の集積がこれだけ?」とおどろかされる人もあれば、きらりと光る作品もあった。
なにより、デザイン、油彩、映像、陶芸、写真、彫刻など分野が多彩なので、見ていて楽しい。
竹田しおり「守り人」
題は流政之ふうだけど、立像は(阿部典英+橘井裕)÷2という感じ。
でもさびた廃材をユーモラスにまとめ、高さ3メートルはあろうかという大きな彫刻にしたてた粘りは立派。
関根禎恵「I タヌッ小路」
写真をメーンにした小冊子。こういうのを作る人はたくさんいるけど、これほどきれいにまとめていて、しかも対象(狸小路)への愛情が感じられるものはめずらしい。
ところで関根さん、「花のおくむら」の2階って、1960年代は本屋さんだったんですよ。
ユ・ジワン「囁き」
写真。あえてオーバー気味の露光が、「今」の雰囲気を伝える。おしゃれ。
五十嵐琴美「灯」「塔」
陶芸。この分野で「透かし彫り」のような技法を本格的に追求している人は道内ではあまりいないので、おもしろい。
田辺琢久哉「車のある家 都心ver.」
筆者は建築デザインのパネルにはあまり興味が持てないのだけど、これは気に入った。ホンダのスーパーカー「NSX」オーナーのための家の提案で、室内どこからでも車体が見えるなど、まさにエンスー(熱狂的車好きの意味)のためのデザイン。ここまで徹底されると気持ちよいぐらいだ。
齋藤芳央「路地裏01」「路地裏02」
油彩。齋藤さんは一貫して、欧洲とおぼしき街路の夜をモティーフにしている。絵の具の使い方はまだこなれないが、暗い画面には或る精神性のようなものが感じられ、心に残る絵だと思う。
牧田貴典「夏のおもいで」(同題2点)
砂浜に転がるサンダルを極端にアップで描いた作品。小川原脩へのアンサーソング?
奥山二美枝・松本千歩「支笏湖ユースホステル改修案 -あの素晴らしい愛をもう一度-三角屋根に愛の手を」
田上義也の代表作でありながら老朽化が進んで放置状態にあるユースをよみがえらせようという熱い提言。
佐藤綾香「HITORI SHOW」
映画。高校時代、学校祭で「ひとり芝居」に目覚めたという若い女性が主人公で、見ているとぐいぐいひきこまれる。女性が「ひとり芝居」で、出生からこれまで歩んできた道を語っていく。人生コースはごく平凡なのだが、平凡だからこそ尊いのだと思わせるものがある。ドラマ映像の挿入の仕方も見事。ちょっとラストが分かりづらいのが惜しいけど、映像にみなぎる熱がそんな瑕疵(かし)をおぎなって余りある。
ともあれ、これほど「語るべき内容」を有してきちっと「語っている」実写の自主制作映画を見たのはひさしぶり。ブラボー、です。
08年2月9日(土)-17日(日)
北方圏学術情報センター ポルトギャラリー(中央区南1西22 地図D)
地下鉄東西線西18丁目駅から徒歩5分
ジェイアール北海道バス「北1西20」から徒歩4分
□公式サイト http://www.geime2008.com/
載っている学生に早速知らせようと思います♪
わたしとしては、ほんとはもっとじっくり見たかったくらいです。
そして、もっといろんな人について書きたかったのです。
これからも北海道美術ネットをよろしくお願いします!
本当にありがとうございました!
これからもちょくちょく拝見させていただきます!