北海道美術ネット別館

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■須崎祐次写真展「SPACE(アセンション)」 (11月23日まで)

2008年11月21日 23時48分35秒 | 展覧会の紹介-写真
(承前)

 「コマーシャルフォト」元編集長の吉岡達夫さんプロデュースによる写真展。B室では、広告写真やミュージシャンの撮影など幅広く活躍している40代半ばの須崎祐次さんの写真展です。
 こちらはすべて、中判カメラで撮ったモノクロのヌード写真。
 といっても、カヌーと裸婦5人を組み合わせた「space noa ノアの箱舟」シリーズ(11枚)でも、裸婦はあまり大きく写っていません。
 裸婦7人を、俯瞰してとらえた「space creation 人類創造」(16枚)となると、ヌードなのに体操選手の分解写真のようで、まるでエロティシズムを感じさせないふしぎな作品になっています。
 12枚からなる「space 60 trillion cells 60兆個の細胞」は、焼きやライティングの効果なのか、それとも被写体がアフリカ系の人なのか、わかりませんが、黒い中に黒っぽい人体の一部分がうつり、一瞬見ただけでは体のどの部位かはっきりとわからないこともあります。人体が、形態の素材とでもいうべき被写体としてとらえられているユニークな作品群です。


           

 手前(右側)は「space creation 人類創造」の一部。
 豆粒のようにうつっているのが裸婦ですから、撮影位置がかなり高いところであることがわかります。

 それにしても、背景の黒さには目を見張ります。
 スタジオを黒い幕で覆って撮影しているのだそうです。


           

 そして、これはネタバレになってしまうかもしれませんが、すべて銀塩ではなく、インクジェットでプリントされているということに、心底おどろきました。
 SILVER RAGという紙を使っているのだそうです。
 「銀の含有率が低下してきた近年の印画紙では思ったような黒が出ない」
とのこと。
 インクジェットの性能向上は、ここ数年めざましいものがありますが、ここまでガツンとしっかりした黒が表現できるのだとしたら、もはや銀塩の出る幕はないのでは-と思ったほどでした。

 こういうヌードもあるのか、と、楽しく見ることができる一方で、作者の人間探求のまなざしのようなものを感じることのできる展覧会でもありました。


2008年11月18日(火)-23日(日)10:30-18:30(最終日-17:00)
さいとうギャラリー(中央区南1西3 ラ・ガレリア5階 地図B


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