ウリュウさんは札幌のフォトグラファー。
ずいぶん以前から知り合いのようなつもりでいたけれど、会場で彼のポートフォリオに収められたプロフィルをいま一度見返して、最初に写真展に足を運んだのが2004年の宮田屋珈琲店と知って、おどろいた。
つまり、彼が札幌を拠点に活動を本格的に始めたのはわずか4年前。筆者はその直後、しばらく札幌を離れているので、彼の作品をきっちり見ているのは、この2年間だけということになる。
そう考えると、彼の精力的な活動ぶりにはあらためて舌を巻かざるを得ない。
なんとしてもじぶんは写真を-それも、モノクロ銀塩を-やっていくんだという強く静かな意志がつたわってくるのだ。
さて、話は一般論にうつる。
雪のモノクロ写真はむつかしい。
白さを強調すると、色がとんでしまったように見えてしまうし、明暗を出して焼く(プリントする)と、こんどは雪に見えなくなってしまう。
今回、ウリュウさんが出品している写真の雪は、けっこう明暗を強くしているので、ぱっと見には、雪とわからないものが多い。
しかし、これはご本人に確認したわけじゃないが、たぶん故意にやっているのだと思う。
外を歩けばわかるけれど、3月末から4月はじめにかけて街角に残っている雪は、白くないのだ。
泥をまとい、日に日に小さくなっていく雪の塊は、けっして「美しい」ものではない。
でも、その存在は、わたしたちが「春を迎えに行く」喜びと、表裏一体のものなのだ。
そして、ほとんど人の意識から忘れられたような格好になっている残雪に、もう一度視線を向けてみると、あの長くてつらかった冬にも、ちょっと懐かしさのような気持ちがわいてくる。
さらにいえば、こんなにも春がうれしく、待ち遠しいのは、冬が長く厳しいことの裏返しなのだ。冬がなければ、春はそれほどわたしたちの目に晴れがましい姿で現れないことだろう。
もっとも、北の春の最盛期は4月末から5月にかけて、たくさんの花がいっせいに咲き誇る時季だろう。
それまでの間の4月というのは、冬は終わったけれど、ほんとうの春はまだ来ていないような、ちょっと中途半端な季節ではある。
わたしたちは、光の微妙なうつろいに、そして、日々消えていく残雪に、春のピークの訪れを待ち望む気持ちを反映させる。
モノクロ写真ほど、そんな光のわずかな加減を定着させるのにうってつけのメディアはないだろう。
だからウリュウさんの写真は、ともすればせわしない都会の生活の中でわすれがちな季節のうつりかわりに、あらためて意識を向けさせてくれる機縁になるのだと思う。
08年3月31日(月)-4月12日(土)18:00-25:00(金、土曜-26:00)、日曜休み
cafe&bar Radio&Records(西区琴似1の4 ニシムラビル3階 地図K)
●chpater 2-そして春は
=4月20日(日)13:00-17:00
モエレ沼公園 ガラスのピラミッド・アトリウム2(東区モエレ沼公園)
搬入、展示、搬出を4時間以内で行う超短時間写真展
□ウリュウさんのサイト day's clip http://www.yuukiuryu.com/
□ウリュウさんのブログ http://blog.yuukiuryu.com/
□札幌経済新聞の記事(わかりやすいです) http://sapporo.keizai.biz/headline/188/
■『カナコ雪造カンパニー』~除雪原風景へのオマージュ~(08年1月)
■「旅をするフィルム-LIKE A ROAD MOVIE-」ウリュウユウキ写真展 (07年11月)
■Railway Story 衣斐隆・ウリュウユウキ写真2人展(07年7月)
■個展「思いは旅をする」 (07年5-6月)
■春展(07年4月)
■“SAPPORO”PHOTOS... (07年2月)
■kanecho party(06年12月)
■写真展19761012(06年10月)
■二番街de ddd ART(06年9月)
■小樽鉄路写真展(06年8-9月)
■his life,her life,this life -まちの記憶と記録展-(06年7月)
■04年3月の写真展
ずいぶん以前から知り合いのようなつもりでいたけれど、会場で彼のポートフォリオに収められたプロフィルをいま一度見返して、最初に写真展に足を運んだのが2004年の宮田屋珈琲店と知って、おどろいた。
つまり、彼が札幌を拠点に活動を本格的に始めたのはわずか4年前。筆者はその直後、しばらく札幌を離れているので、彼の作品をきっちり見ているのは、この2年間だけということになる。
そう考えると、彼の精力的な活動ぶりにはあらためて舌を巻かざるを得ない。
なんとしてもじぶんは写真を-それも、モノクロ銀塩を-やっていくんだという強く静かな意志がつたわってくるのだ。
さて、話は一般論にうつる。
雪のモノクロ写真はむつかしい。
白さを強調すると、色がとんでしまったように見えてしまうし、明暗を出して焼く(プリントする)と、こんどは雪に見えなくなってしまう。
今回、ウリュウさんが出品している写真の雪は、けっこう明暗を強くしているので、ぱっと見には、雪とわからないものが多い。
しかし、これはご本人に確認したわけじゃないが、たぶん故意にやっているのだと思う。
外を歩けばわかるけれど、3月末から4月はじめにかけて街角に残っている雪は、白くないのだ。
泥をまとい、日に日に小さくなっていく雪の塊は、けっして「美しい」ものではない。
でも、その存在は、わたしたちが「春を迎えに行く」喜びと、表裏一体のものなのだ。
そして、ほとんど人の意識から忘れられたような格好になっている残雪に、もう一度視線を向けてみると、あの長くてつらかった冬にも、ちょっと懐かしさのような気持ちがわいてくる。
さらにいえば、こんなにも春がうれしく、待ち遠しいのは、冬が長く厳しいことの裏返しなのだ。冬がなければ、春はそれほどわたしたちの目に晴れがましい姿で現れないことだろう。
もっとも、北の春の最盛期は4月末から5月にかけて、たくさんの花がいっせいに咲き誇る時季だろう。
それまでの間の4月というのは、冬は終わったけれど、ほんとうの春はまだ来ていないような、ちょっと中途半端な季節ではある。
わたしたちは、光の微妙なうつろいに、そして、日々消えていく残雪に、春のピークの訪れを待ち望む気持ちを反映させる。
モノクロ写真ほど、そんな光のわずかな加減を定着させるのにうってつけのメディアはないだろう。
だからウリュウさんの写真は、ともすればせわしない都会の生活の中でわすれがちな季節のうつりかわりに、あらためて意識を向けさせてくれる機縁になるのだと思う。
08年3月31日(月)-4月12日(土)18:00-25:00(金、土曜-26:00)、日曜休み
cafe&bar Radio&Records(西区琴似1の4 ニシムラビル3階 地図K)
●chpater 2-そして春は
=4月20日(日)13:00-17:00
モエレ沼公園 ガラスのピラミッド・アトリウム2(東区モエレ沼公園)
搬入、展示、搬出を4時間以内で行う超短時間写真展
□ウリュウさんのサイト day's clip http://www.yuukiuryu.com/
□ウリュウさんのブログ http://blog.yuukiuryu.com/
□札幌経済新聞の記事(わかりやすいです) http://sapporo.keizai.biz/headline/188/
■『カナコ雪造カンパニー』~除雪原風景へのオマージュ~(08年1月)
■「旅をするフィルム-LIKE A ROAD MOVIE-」ウリュウユウキ写真展 (07年11月)
■Railway Story 衣斐隆・ウリュウユウキ写真2人展(07年7月)
■個展「思いは旅をする」 (07年5-6月)
■春展(07年4月)
■“SAPPORO”PHOTOS... (07年2月)
■kanecho party(06年12月)
■写真展19761012(06年10月)
■二番街de ddd ART(06年9月)
■小樽鉄路写真展(06年8-9月)
■his life,her life,this life -まちの記憶と記録展-(06年7月)
■04年3月の写真展
今回はあいにく在廊していない日で、直接お話ができず残念でしたが、こちらで書いてくださっているように、あの雪の表面の質感や触感を伝えたくて、確かにちょっとカリカリ目に焼いています。
雪を写真で、しかもモノクロで表現するのは結構骨の折れる作業ですが、それもこの季節と銀塩写真への愛です(笑)。改めて、自分の育った長野や新潟に、そしていま暮らしている札幌に冬が、雪があることのうれしさや、その環境があったからこそ私に"旅心"というものが生まれたのかな……と、今回の作品づくりを通し、改めて思っています。
小生の勝手な予想が的中してたみたいで、ほっとしています(笑)。
ただ、一般的な感情だと、
「さっさと雪よなくなれ」
ってところかもしれないですね。
早く「春の祭典」になってほしいです。
家を出るとき、コートを着ていくべきかどうか迷うので、早くそれがいらない季節がきてほしい。
「写真と旅」
というテーマでは、中平卓馬がなんか書いてるようなので、あらためて読んでみたいと思っています。