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鵜川五郎さん死去

2008年04月23日 08時32分09秒 | 新聞などのニュースから
 北海道新聞の4月19日、函館・道南版で、北斗市(旧大野町)の「孤高の画家」鵜川五郎さんが亡くなっていたことを知りました。

 ブリューゲルなど北方ルネサンスを思わせる画風で、戦争や現代を諷刺する鵜川さんの絵は、「鋭い」などという並みの形容詞でくくれるようなものではないと思います。
 そこには、人間のもつ狂気へ根源的な洞察があり、呪詛さえ、色濃く感じられるのです。だから、鵜川さんの絵は「社会派」という形容をはるかに超越した深みをたたえているのです。

 以下、記事の全文です。

 【北斗】痛烈な社会批判を込めた作品で知られる市内市渡の画家、鵜川(うかわ)五郎さんが9日午後8時20分、脳出血のため亡くなっていたことが18日分かった。88歳。道南の美術関係者は「孤高の画家」の死を悼んでいる。

 鵜川さんは1919年(大正8年)、岩手県大船渡市生まれ。岩手師範学校(現・岩手大)を卒業し同校で教えていたが、肺結核を患い退職。空気の良い環境を求めて50年に北海道へ移り住んだ。

 大野中、七飯中で美術教師を務めながら油彩画に打ち込み、全道展などの会員として活躍。72年に退職し画業に専念し、現代文明の批判や、戦争の愚かさを訴える連作などを発表。77年の「沼の畔」は、第1回北海道現代美術展で大賞に輝いた。

 90年代前半に美術団体から引退。近年は自宅の周囲を散歩し、風景画などに取り組んでいた。500点を超える作品を旧大野町に寄贈。今年1月から3月下旬にかけて、北斗市内の2カ所で市収蔵作品展が開かれた。

 3月2日朝、自宅で倒れ、意識が戻らぬまま亡くなった。妻で詩人の章子さん(79)は「倒れる前日まで描き続け、満足しているのでは」と話す。

 道立函館美術館の地家光二学芸課長は「人間の営みと自然を深く見つめ、高い技術で描写していた。晩年は柔らかい作風で、画業の広さを感じさせてくれた」と悼んでいる。


 旧大野、旧上磯両町の歴史愛好家などでつくる「これからの北斗市郷土資料館を考える会」は、現在の資料館が老朽化しているため、鵜川さんの絵を保存環境の良い場所へ移すことを提言しています(北海道新聞4月22日夕刊函館版)。

 あらためてご冥福をお祈りするとともに、鵜川さんの画業をまとめて見られる機会をつくっていただくよう、関係者にお願いいたしたく思います。


鵜川五郎小品展(08年3月)
鵜川五郎さんのこと(07年9月)

□ハコビニュース(PDF) http://www.dokyoi.pref.hokkaido.jp/hk-hakmu/contents/news/pdf/hakobi09.pdf


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