「ボックスアート」
ということばの正確な定義があるかどうかはわからない。ただ、美術業界では、米国のジョセフ・コーネルの作品が有名で、ボックスアートを名乗る作品は多かれ少なかれ彼の影響を受けているともいえる。
ギャラリーたぴおでは、これまで4度、「閉塞形状展」というサブタイトルのついたボックスアートのグループ展がひらかれてきた。
いずれも「たぴお」の主宰者だった竹田博さん(昨年死去)の音頭で、10人ほどの作家を集めて実施されていた。その展覧会に「皆勤賞」だった林教司さん(岩見沢市栗沢町)が、たぴおを引き継いでから初めてのボックスアート展となる。
今回の出品者は、これまでよりかなり少ない3人。しかも、会場の半分を林さんの作品が占めている。のこる2人は藤川弘毅さんと池田宇衣子さんだ。
林さんの作品はとても良かった。彼のもつ性質が、ボックスアートという形式にぴったりとマッチしているのではないか。作品は、聖遺物のような、あるいは古い祭壇のかけらのような、ふしぎな魅力を放ちながら静かにたたずんでいる…。そう、感じたのだ。
冒頭の、古いかばんのような作品のふたの裏に記された英語は
「さよならだけが人生だ」
の訳なのだろうか。
林さんの作品には、日本的な湿り気がまったく感じられないのが興味深い。
会場の全景。
藤川さんは古い真空管式ラジオの裏ぶたをはずしたらしく、小さな音が漏れ出ていた。
その周囲の壁には、彼がとりくんでいる「女の子写真」がブロマイドのようにならんではられている。
池田さんは、新道展会員として、林さんや田中まゆみさん、阿地信美智さん(07年退会)といった新道展の立体造形のスタイルをよく消化している。
ただ、出来は悪くないと思うのだが、池田さんならではの思いがどうもいまひとつ伝わってこないうらみがある。もっと個性を出していったらおもしろくなると思う。
08年4月14日(月)-19日(土)11:00-19:00
ギャラリーたぴお(中央区北2西2、道特会館 地図A)
■BOX ART展4 閉塞形状展(07年2月)
■BOX ART展3 閉塞形状展(06年、画像なし)
■閉塞形状展(02年)