北海道美術ネット別館

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「美術の窓」4月号に、湧別町の伊藤英二さんの水彩画が登場

2020年04月30日 09時56分26秒 | つれづれ日録
 現代アート系や学生の情報源といえば「美術手帖」誌でしょうが、団体公募展系の情報に詳しい月刊誌が「美術の窓」(生活の友社)です(ちなみに、デパートなどで絵を購入するコレクター系が「月刊美術」でしょうか)。
 その「美術の窓」についての記事を連発します。

 4月号は、東京・渋谷の Bunkamura ザ・ミュージアムでの「超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵」にあわせた特集記事のひとつ「編集部が注目! バラエティ豊かな写実表現」に、画家13人の作品が紹介されているのですが、そのなかに、オホーツク管内湧別町の伊藤英二さんの「極寒を生きる」の図版が掲載されています。
 伊藤さんは1949年生まれ。もともと湧別町職員だった方で(最後は町教育長)、退職後は独学で水彩画に挑み、いまは日本水彩画会と道展の会友です。
 「美術の窓」の編集部は、日本のメディアではほとんど唯一、上野や六本木の公募展にマメに足を運んでいます。伊藤さんの絵も、日本水彩画会展でこの絵に着目したとのことでした。
 もちろん13人のなかで、道内関係者は伊藤さんだけです。ほんとに、よく見てると感服します。

 流氷原か雪原か聞いてくるのを忘れましたが、2羽のオオワシが餌をめぐってカラスと対峙する場面を描いた作品で、北方の生物が生きる環境の過酷さをあらためて思い知らされる迫真の一枚です。
 これが水彩画というのは、相当近づいて見ないと信じられません。水彩画というと、マチエールの弱さが指摘されることがままありますが、伊藤さんの作品を見ると、水彩とか油彩とかの画材は、まったく些細なことのように感じられてきます。

 話はそれますが、団体公募展というと、旧弊の代表みたいな言われ方をすることがありますが、地方に住む作り手にとっては、すべての作品をフラットに見てもらえる貴重な場なのです。あの神田日勝も、もし独立美術に出品していなければ、まったく無名のままで終わっていたかもしれません。


 特集記事には、いろいろな画家が取り上げられています。
 生島浩志、磯江毅、森本草介…。
 なかでも野田弘志インタビューと、諏訪敦論(筆者は立島惠佐藤美術館学芸部長)を読むと、野田さんは伊達近郊にアトリエを構え、諏訪さんは室蘭出身で、日本を代表する写実画家ふたりが北海道、それも胆振地方ゆかりというのは、なかなか興味深いことだと思います。

 ところで。
 この特集のきっかけになった「超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵」展なんですけど、新型コロナウイルスの感染拡大のあおりで、3月18日~5月11日の予定が、4月6日を最後に休館になってしまったのでした。


伊藤英二水彩画展 (2019)
※冒頭画像の左端の絵が、とりあげられました。

Bunkamuraザ・ミュージアム「超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵」展覧会紹介動画

(音が出ます。注意)



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