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08年8月5日追補(3)有島三兄弟-それぞれの青春

2008年08月07日 20時26分42秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
承前

 常設展示をじっくり見て文学者の足跡に思いをはせた後は、特別企画展「有島三兄弟-それぞれの青春」である。

 よく知られているように、有島の弟、生馬は二科展創設にかかわった著名な画家であり、その弟・里見(とん)も「多情仏心」などで知られる小説家なのだ。

 会場の、有島記念館のサイトによると、こういう趣旨のようだ。

 今年は、有島武郎生誕130年・没後85年・有島記念館開館30年を迎えます。そこで、薩摩川内市川内まごころ文学館・長野県信州新町有島生馬記念館・鎌倉市鎌倉文学館との四館共同企画による特別企画展を開催します。
 今回は、有島武郎、有島生馬、里見の「有島三兄弟のそれぞれの青春」に焦点をあて、その時代背景と共に紹介します。


 生馬は画家であるから、彼の絵がまとまって見られるのではないかと、ひそかに期待していたのだが、残念ながら「ロッカ・ディ・パーパの山村」「岩のある風景」など小品4点ほどしか展示されていなかった。
 めずらしいのは、有島武郎との長年にわたる文通で知られるスイスの女性ティルダ・ヘックに贈った風景画だろうか。

 むしろ、美術品では、武郎が生涯に唯一制作したブロンズ像「有島生馬の像」がめずらしかった。
 また、武郎による鉛筆画「父・武の肖像」(1916年9月13日)も初めて見た。あらためて、武郎のデッサン力の非凡さにおどろいた。

 しかし、いちばんびっくりしたのは、その武の「空色不二」と書かれた扁額(へんがく)に、つぎのような字釈が掲げてあったことだ。

 二不色空

 

 それともこの扁額は左側(落款が押してある側)から読むのだろうか。
 「二不色空」では意味不明だが。

 この企画展は、すでに各館を巡回してきたものと聞いている。この字釈を掲げたまま、ここまできたのだろうか。

 いやしくも「文学館」を名乗る施設の担当者で、だれひとり、扁額を正しく読むこともできないのだろうか。
 情けないなあ。


08年6月8日(日)-8月10日(日)9:00-17:00
有島記念館(後志管内ニセコ町有島)
一般500円


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